感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

『真・女神転生III NOCTURNE HD REMASTER』感想

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 難易度MERCIFUL……ありがとう……!もうね、これが無かったら絶対にクリア出来なかった。あと攻略サイト。感謝感激、製作者に足向けて寝られないレベルだわ。

 女神転生といえば難しいことに定評のあるシリーズ。かくいう私もストレンジジャーニーで詰み……派生シリーズでありながらデビルサバイバーでも詰み……ペルソナ罪でも詰み……と、一昔前のATLASゲームにはベコベコに凹まされてきた。一歩間違えると自分の行動を一切起こせないで死ぬこともある「プレスターン制」には苦手意識がかなりあった(一応4Fはクリアしたことがあったのだけど、あれはEASYという優しさに目覚めた後のATLASだし、3以降のペルソナまで来ると完全に別ゲーム)。

 昔のゲームって今に比べたらヒントは少ないし、気を抜くとすぐ死んでそれまで得たものがパァになったりとか(死ぬことは別にいいけどやり直しが辛いし、運でゲットしたものとかはもう一回その運が巡ってくるのにどれだけ試行しなきゃいけないんだと考えてウンザリする)、「何回無駄なことやらすん!?」とか「そんなことわかるかぁい!」と言いたくなるような展開が多すぎて苦手。制作もその難しさを誇りに思ってる感じが苦手。そういうものに製作とかゲーマーは「自分で考える力を養え」とか「試行錯誤するのが楽しいんじゃないか!」とか言うんだろうけど、私はそういうゲームを「ドMしかやらんゲーム」と呼んでいます(つい恨みがましい言い方になってしまう)。

 だから私はゲームはやるけど自分のことをゲーマーだと思ったことはない。

 

 そういった経緯で「興味だけはバリバリあるけど買ったとしてもロクにできずに積むんじゃあなぁ……」と購入を迷っていた私の背中を押してくれたのが難易度MERCIFUL追加の知らせ!「これならゲーム雑魚でもできる……!」と喜び勇んでプレイ開始。

 そうしたらまあ……簡単なこと簡単なこと!過去に詰みまくってきたとはいえ、プレスターンバトルの経験自体は私には豊富にあるから一切苦戦しない。むしろ簡単すぎやしないか?ってくらいサクサク倒せてサクサク進む。あまりに余裕だからセーブポイントが近いところとか道具に余裕があるときとかはNORMALに変えてやっていた。そうするとやっぱり雑魚戦闘でも一回一回に気を抜けないし、上へ行ったり下へ行ったりの長いダンジョンの中MPがガリガリ減って行くことに焦りながらやらなきゃいけないから、だんだんしんどくなってくる。しかもボス前にセーブができるとは限らないってのが痛くて、アマラ深界では「またあの道のりを戻ってくるのが嫌だ」という理由だけで最初から最後までMERCIFULのまま行った。偉大な神や悪魔を呆気なく倒せすぎて味気ないという感覚がないわけではないが、虚無感と疲労感を感じなくて済むと考えたらまあ仕方がない。EASY最高!MERCIFUL最高!

 

 ここからはストーリーの話。

 過去に実況かプレイ動画で見たことあったはずなんだけどまるで記憶になくて、やっぱり自分でやらないと「体験」にならないからすぐに忘れてしまうんだろうなと再確認した。

 記憶もほぼゼロ、事前調べもゼロでプレイしたから、「創世」がテーマと知ったとき「私には向いていない案件なんじゃないか」という予感がものすごかった。

 「物が溢れて便利になったはずなのに人はどんどん怠惰になり、心は空虚になっていく。衰退するだけの世界は一度壊してもう一度作り直しましょう」という展開はこれまでさまざまな「世界の命運を左右する系」の創作でされてきたことだけど、私はそういう話を聞くと何となくむず痒さを感じる。なぜかというと彼らの言う「世界」が「人間の手の届く範囲」のことしか想定していないように聞こえるから。この世に存在しているのはなにも人間だけではないのに、なぜ世界の命運なんて重大すぎる事柄を決めるのが人間にしか許されないのか(このゲームで主人公が自力でコトワリを啓けなくて誰かの手助けをするだけなのは、彼が「悪魔」だからと聞いて「そんな理不尽なことある?」と思った)?

 まあこういうことを言ってしまうとゲームの根幹に茶々を入れる感じになってしまうのであまり言いたくはないのだけど、「あなたたちの言う世界ってどこからどこまでを指すん?」っていうことが終始気になってしまって……。それが仮に地球全体を指すとして、地球の中でも日本、日本の中でも東京、東京の中でもシンジュク衛生病院に「たまたま」いた「人間」にしか決定権がないって、あまりに運任せ・不公平・理不尽・意味不明だと思わないか?

 そんな風に創世システムそのものにあまり乗り気になれなかったことに加えて、創世を目論む人たちの主張するコトワリのことごとくに……全然魅力を感じない!

 まず裕子先生。「怠惰で衰退するばかりの世界をやり直す」まではともかく、やり直した後のビジョンが全然具体的じゃないってのは氷川さんが指摘する通り。前と同じような世界に戻るならこんな大掛かりなことまでして創世をする意味がない。「人間の可能性」と言われても「何の確証も無いのに果たしてそこまで信じられるものかな?」と首を傾げてしまう。

 それに、先生は世界のためを謳って人間のほとんどを死に導く手助けをしておきながら、主人公だけは個人的好意から生かしたいとかエゴ丸出しなことに若干引いてしまった。死んだ人間も誰かの大切な人だったかもしれないのに自分にとっての大切な人は捨てたくないなんて身勝手な人だなと思った。でも普通の人間としてはこの方が自然なのかな。他の人たちの思い切りが良すぎる。

 次に千晶(デフォルトネーム)さん。私はこの人の言ってることが一番解せないというか、「強者のみが生き残る世界」ってところまではわかるんだけど、その結果「優秀で優美なものだけが存在することになる」ってホントか?選別してもその中でまた階級をつけたがり、殺し合ってついには誰も居なくなるか新しい奴隷階級が生まれるだけなんじゃないの?という疑念がひとつ。

 それから私が一番気になったのが千晶さん本人のダブスタ。強い者が勝つのは世の道理なのはそうかもしれないけど、あなたゴズテンノウと合体するまでは激弱でしたよね?「力が無い……」って泣いてましたよね?偉そうなこと言ってるけどゴズテンノウの力、つまり他人の力でイキってるだけの狐じゃないですか!あなたの存在そのものが「1人では立てない者同士が助け合う」ことの意義の証明になっちゃってるじゃないですか!そんな実態で「強き者だけが支配する……(恍惚)」などと片腹痛いッスよ!そんなダブスタ首領についていくなんて絶対お断りですわ!……という理由でヨスガにつくことは考えられなかった。

 次は勇(デフォルトネーム)さん。コトワリ啓けた人の中で一番マシ……というか理解できるかな〜と思えたのはこの人かな。東京崩壊後もいつも先生のこと気にしてたし、主人公とも仲良くやれてたのに、少し離れてる間に「もう誰も信じない……」状態になってて驚いたけど、こんな終末世界で他人の力をあてにしてる時点でダメだってのは一理あると思うし、暴力だの拷問だの虐殺だの裏切りだのが蔓延ってるのを目の当たりにしてたら、結局自分1人でやるしかないってところに行き着くのも分かる。

 ただ私(主人公)は仲魔に助けられまくってなんとか生き延びてるだけだし、そういうゲーム上のこと抜きにしても完全に独りで誰の応えも返ってこない世界に耐えられるかというと無理だから、残念ながら協力はできない……となってしまった。


あまりに衝撃的だったから撮ったけど顔が生えてくるの怖すぎ

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死に方も怖すぎ

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 最後は氷川さん。元凶といえば元凶のはずなのに嫌な感情が抱けないのは、たぶん彼が根っからのクソ真面目だということが言動の端々から感じ取れるからだろうな。

 そもそも受胎そのものはミロク教典で予言されてたことで氷川さんはそれの後押しをしただけってことでいいんだよな(氷川さんが動かなかったらその「時」は今ではなかったかもしれないけど)?

 私はこういう、世のため人のためをクソ真面目に考えた結果、普通では到底辿り着けないような突き詰めた考えや行動に至ってしまえる人間が大好きだからかなり評価が甘くなっている。

 「 人間はただ世界を回すための歯車になるべきだ。そうすれば不安や恐怖や苦痛からも解放される。」という論の「苦痛等から解放される」の部分はちょっと良いなと思ってしまったけど、私はもうそこまで行くと「そこまでして"存在"を続ける意味ってあるの?」と思ってしまう人間だな。

 彼のコトワリに沿うと、おそらく人間の知覚は失われると受け取ったんだけど合ってるのかな?自分が自分であると認識する必要すら無くなるんだよね?

 う〜〜んやっぱりそこまでするなら私は潔く死んだほうがいいなあ。

 人が「世界」を認識するときというのはつまり知覚を通して脳が認識してるということなので、その知覚と認識自体が失われた時点で「世界のため」とかいう大義そのものが茶番に見える。

 「世界」にとって人間が貢献できる範囲ってそこまで大きいものか?別に人間がいなくても「世界」はそれはそれとして受け入れて平然と回っていくのではないか?と思ってしまうのもある。

 私は「手の届く範囲だけ大切にしながら好き勝手やってパッと死ねればいい」という謂わば刹那的快楽主義みたいなもんだから、たぶん氷川さんのような人にとっては唾棄すべき低俗な人間として映るんだろうな〜と考えたら笑えてくる。でも自分には到底できないからこそ、大義のために突っ走れる人が私は好きなんだろうな

 

 そんなわけでどのコトワリにもあんまり惹かれなかった。強いて言うならフトミミに協力したかったんだけど殺されちゃって本当に残念(大儀のためというよりは、マネカタたちが外部から脅かされないで暮らせる場所が欲しいという願いは至極当然だと思ったから)。
   しかし人間が死に絶えた後もマガツヒを確保するためにマネカタなんてものを生み出すとは悪魔も超残酷なことするよ。しかも感情はあるけど思想はないのでマネカタにはコトワリを啓けないってそんな理不尽なことある?本当にただの燃料にされるために自我を芽生えさせられ苦痛を与えられて殺されるって悲しすぎる。でもカグツチの塔まで歩いて登ってくるタフさがあるところは純粋にすごいと思ったわ。せめて生き残りたちが安心できる生活を手に入れられるようになってほしい。


    そうやってすべてのコトワリへの可能性をバッサリ断ち切った私に残されていたのはもちろんアマラ深界ルート(動画で見たので存在を知っていた)。

 

劇場っぽい場所から幕が上がって登場するのがカッコよくて痺れる

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完全な悪魔になったとき模様も赤になったからこの後ずっとそれで行くのかと思ったら違った

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   創世システムに対して「そこまでして"存在"を続けなければいけない意味がわかんない」という身もふたもない感情を抱いてしまった私には、そのようなシステムを定めた神そのものに戦いを挑むなんて展開は願ったり叶ったりよ。こんなことを宇宙全土で延々と繰り返すのが正しいなんて納得できないわ。
    ただ4Fでもそうだったんだけど、どの陣営にも与しないってことは全ての陣営を殺さなきゃいけないってことだから、戦いの数も多くなるし敵も手強くなるのよ(4Fでも結局最後には味方全員殺すルートを突き進んだ記憶があるな……)。
    いつもだったら尻込みしてるところだけど今回はそう、難易度MERCIFULが私には着いている……!NORMALで倒せたのって三大天使とサマエルとアーリマンぐらいだったと思う。魔人もノアもバアル・アバターカグツチもルシファーも全部MERCIFULで倒したわ。クッソ弱くて鼻歌歌いながらでも倒せるレベルだったけど後悔はしていない。ルシファー様とか、本来なら強すぎて息も絶え絶えになるくらいの死闘を繰り広げてようやく勝つからこその達成感が味わえるものなんでしょうね。でも後悔はしていない。たぶん私のようなゲーム雑魚には一生かかっても達成できないから。まあその結果猊下に「見事だ」とか言われても「私の力じゃないッス!仲魔のみんなとMERCIFULのおかげッス!」って感じになっちゃったけど。

 

メタトロン様の戦闘曲にLAWのテーマ(?)が入ってるのがめちゃめちゃいい

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超かっけえ登場の仕方!

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通常攻撃全部クリティカルとか「そんな馬鹿な!」ってなるでしょ

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    しかし人修羅を作ったのもルシファー様で育てたのもルシファー様で(金髪の子供と老人は同一人物ってことでいいんだよね?)って人生を弄ばれてる感がハンパないんだけど、一応「もし私たちに賛同してくれるならここまで来てください」って言われてただけで強制はされてないところはえらく紳士的だなと思った。アマラ深界をやらなくてもエンディングは迎えられるし。その気になれば無理矢理従わせる力も当然あるだろうに、選択肢を与えてくれるなんて優しいな〜。別に利用されてるのでも不自由してないから別にいいやと思ってしまうんだけど。

 しかし主人公の適応力すごすぎるな。自分の人生が180°変わってしまったというのに眉一つ動かさないもん。


    利用される、といえばヒジリさんの話。初めて彼と会った時「病院の外で東京受胎に遭った」というような台詞に「なぜ生きている……?」と疑念を抱いていたので正体にはあんまり驚かなかった(過去に動画で見た記憶もほんのわずかにあったし)。
    それにアラディアが言うには彼の行動が「友の裏切り」だったらしいけど、そもそも最初から友情というよりはお互いに利があるから一緒にいた部分が大きかったし、あんな状態の世界でぬくぬくとした友情を育めるわけがないとわかっていたからそこまで悲劇には思えなかった。コトワリが絡むとみんなガンギマリになるのは散々見てきたし。「あーあーこの人もキマっちゃったかー」って感じ。
    でも「未来永劫死なずにこの世の全てを見届けなければいけない罰」を背負わされるほどの罪っていったいヒジリさんは何をやったん!?それは結局教えてくれなかった。創世システムをぶっ壊すのと同じくらいやばい罪?どんなだよ……。


    そして忘れてはいけないのがライドウパイセン。アバドン王まで動画で見ていた(ぼやっとしか覚えてないけど)ので彼が出てきた時はテンション爆上がった。スクショも撮りまくり。プレイヤーが名前つける系主人公が他作品に出てきた時、仲間ばっかりが喋ってコミュ障っぽくなる現象がちょっと愉快。

 

ずるいでしょこの登場は カッコいいもん

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  しかし彼と戦うことになるのはむしろ望むところだったんだけど、まさか第4カルパでホンモノの追いかけっこをやらされる羽目になろうとは……。そういうゲームやりにきたんじゃないんだけど!?あそこだけは二度とやりたくないわ(後半は攻略サイトのお世話になった)。捕まったらスタート地点に戻されるって何!?「正々堂々戦いなさいよ!」とブチギレてた。部屋に入って一息ついたと思ったら反対側の扉からにゅっと入ってこられた時にはリアルに「げぇっ!?」って声が出た。そのうえ猫が「スイッチは全部元に戻したぞ(ドヤ顔)」とか言い出したときは「このクソネコが!!」と思ってしまったわ。急かすようなBGMが近づいてきてバンバンバン!って撃たれるところマジ怖いから。しかも最後の追いかけっこのときはなぜか足が遅いから、たまに振り返らなきゃ諦めて帰っちゃうってどういうこと?あの瞬間だけは「絶対にしばいてやりたい」という気持ちでウズウズしてた。

 

何やかんや言ってもギスってるときの空気も嫌いじゃない

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    まあそんな殺意も喉元過ぎれば何とやらで、「仲魔にならないか?」と誘われたときには迷う暇もなく「はい!」と元気に返事を返してしまった。だってカッコいいから。しかも破魔呪殺バッドステータス無効で、ヨシツネのクリティカルバンバン出すわ全攻撃貫通になるわで頼り甲斐があるとかいうレベルではない。実際カグツチもルシファーも主にライドウが倒したようなもん。もはやどっちが主人公かわからない。
    マガタマが全然埋まってなかったのが主人公の敗因ね。プレスターンを制するためにいろんな属性を覚えさせたら、ボス戦ではここぞという時の火力が足りんという育成になってしまって……。
    ライドウもやりたいなあ〜リマスターでも移植でもしてくれないかなあ〜ATLAS……。


   感想の半分ぐらいが悪口で構成されてしまったけど、楽しめたのは間違いない。ただ昔のゲームだからちょいちょい不便だし、私は女神転生についてにわかとはいえある程度の知識というか慣れ(?)のようなものがあるから眼を見張るような感動はあまり感じられなかった。単純なLAW・NEUTRAL・CHAOSではないところは新鮮だったけど。もしこれをシリーズの知識すらない完全初見でやったなら衝撃的だったろうなあと思う。

    グラもリマスターで綺麗ではあるけど簡素なのはやっぱり簡素だし。近年のゲームが絵面でガツンと魅せてくるのに慣れてしまっているからどうしても物足りなく思ってしまうな。
    ただ、それまで普通の人間だったはずの友達が異世界に適応してどんどん人智を超えた存在に変貌していくって展開に妙に説得力があっていいなと思った(ストレンジジャーニーや4Fにも言えることだけど)。それとは逆に、悪魔たちが蔓延る街で思念体なんて姿になっても人間らしさは保ったままいる人間たちの強かさにも感心した。平穏な環境に慣れきってしまっている人たちでも、環境の方を強制的に変えてしまえば生き延びるために変化したり変化しなかったりを選ばなければいけなくなる。そう思えば受胎というショック療法を試みたのはある意味適切だったのかもしれないと思った。「生まれ変わるためには一度混沌に還る必要がある」という論の意味が肌感覚でわかった気がする。
    あと全体的に不気味だけどどこか神々しくて、怖いし気持ち悪いけどなぜか近づいてみたくなってしまうような魅力のある造形を、建物にしろ悪魔デザインにしろ徹底しているのがいいよね。現代的な要素とオカルト的な要素の融合の塩梅が絶妙。  国会議事堂がダンジョン化するとか寺を強大な悪魔が守護してるとかにワクワクしない方が無理ってものでしょ。カグツチ塔もアマラ深界も本来人の手には負えないものって感じがバリバリするのがいい。

 

邪教の館大好き 初めて入ったのが偶然満月で雰囲気抜群

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アサクサもかなりイカすよね~

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ラストダンジョン前のフィールド音楽が超カッコいいのよ オベリスクが押しつぶされて最上階が一階になっちゃってるのもいいし

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この禍々しさが最高でカグツチ塔ばっかり撮ってしまった

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妙に懐かしいなと思ったら遊戯王の王様の心の部屋に似てるんだ

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四角と黒と赤だけで構成されてるところがたまらなくいい

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    あと思念体とかマネカタとかどう考えても異質なものが「普通ですよ?」みたいな顔しているのもいい。
    そして悪魔たちにもそれぞれ人格(魔格?)があって中には気があう奴もいる一方で、人間と同じように見えてもやっぱり悪魔だから人間に対するのと同じ感覚で気安く接したら手痛いしっぺ返しを食らうこともあるってのは説得力があっていい。
    近年のペルソナはほぼコミカルオシャレ路線だけど、こういう風に鬱々としてて厳かな感じも結構好きだな。そのくせ戦闘に入ると途端に荒々しい曲が流れるのも素敵。
    
    悪魔全書も結構スカスカのまま突き進んじゃったし寺巡りもしてないし、特定のコトワリに与したらどんな感じになるのかも知りたいから2週目はやると思う。どれもイマイチだからクソ真面目な氷川さんを助けてみたいな(先生に従う気は最初からない)。

 最後にお気に入り悪魔たちの写真でも張っておこう。

 

コッパテング→カラステングから進化したクラマテングさん 今回進化システムがあるのが愛着がわいていい

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スザクさん やっぱ鳥ってかっけえと思う

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アーリマン戦で大活躍のテトラカーン・マカカジャ・メディア持ちドミニオンパイセン デザインもかなり上位に入るくらい好き

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近くで見ると愛嬌のあるイヌガミくん

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トールの兄貴がまっすぐ立ってるのを初めて見たなと思って撮った 終盤で再会したとき「強くなったな……」とか師匠面してきて困惑した

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おまけ

 

サキュバスのドルミナ―→永眠の誘いで瞬殺の主人公くん

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死にかけると赤くなるんだー!へぇー!と思って撮った

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『アサシンクリード オリジンズ』感想(オデッセイも少々)

    いや〜〜面白かった〜〜!

 実はオデッセイから先にやっちゃったんだけど、ギリシアの雰囲気にそこまで惹かれなかったからかスパルタに与するのに気が進まなかったからか家族の修復にそこまで興味がなかったからかピタゴラスいけ好かないと思ってしまったからか巨大怪物と戦うためにアサクリ買ったわけじゃないからか「呼吸しない、の答えが魚っておかしいだろ!えら呼吸知らんのか!?」と憤慨したからか傭兵システムに超イライラしたからか(余談だが傭兵システムが無いとこんなに堂々と殺しができるんだ!という感動がオリジンズにはあった)、まあまあ楽しいんだけどイマイチ乗りきれなくて「んん〜〜?」って感じだったんだよ(同性愛要素がたっぷりあったのとバルナバスくんが可愛かったのはめちゃくちゃ好きな点だけど)。

 そうなってみて、じゃあほぼ同じシステムらしいオリジンズはどうなの?と若干心配していたのだけど、ところがどっこい超楽しい。やっぱり主人公が好きになれるかどうかと、行動指針に同調できるかどうかが私にとっては一番大事だと思った。

    思うに、私はゲームがやりたいというよりは物語を堪能したいだけだから、魅力的なストーリーが無いと何にもやる気になれないようだ。自由度よりもどれだけ没入できるかの方を重要視してしまう。アレクシオス が悪いわけではないけど、前述の通り、ストーリー上用意される目的に私はそこまで燃えられなかった(唯一興味が湧いたコスモス門徒との悶着もラストが微妙にあっけなく感じて……)。

 その点今回はアサシン教団設立までを辿れるという大筋にもワクワクしたし、主人公バエクくんの復讐がどんな結末を迎えるかにも興味津々だったし(まず若そうに見えたのに妻も子供もいるの!?ってなったのがビックリポイントだった)、プトレマイオスの圧政に苦しむ人々を助けるというのもわかりやすいし共感しやすいし、何よりエジプトの風景に感動の嵐!

 これはもう完全に私の趣味でギリシアよりエジプトが好きというだけなのだけど、どこか不気味なのについ近寄ってみたくなってしまうような神秘的な美しさを纏った人工建造物の数々!完璧なシンメトリーで構成された神殿!最高!メンフィスのプタハ神殿なんてあまりの素晴らしさに卒倒しそう。

 

 命の家 巨大すぎる二対の像

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セクメト神殿のかっちょいいモノリス

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最高プタハ神殿

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バエクさんに「思ったより小さい」とか言われた大スフィンクス

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絶対外せないギザのピラミッド

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  どうやら私は広大な山々や海よりも、意味不明な大きさと気の遠くなるような精巧さで作られた人口建造物を眺めて「うおおおお!」となる方が好きなようだ。それが巨大であればあるほど良い。「これを作ろうと思った人も実際に作ってしまう人も到底正気とは思えない……。」と唖然としたい。そしてあわよくばアサシンの超身体能力でその頂上に登り、ダイナミックにイーグルダイブ!なんてことが出来ようものならもう思い残すことはない。(その点ではギリシアの巨大なゼウス像とかアテナ像とかポセイドン像とかもなかなか良かったが、いかんせん神殿類が小さすぎた。)

 でもオデッセイからやって良かったと思った点は、いくつかの街を構成するギリシャ風建築に対して「懐かしい〜!」と思うようになったこと(まるで当時生きてた人みたいだ)。散々聞かされたゼウスだのアポロ(ン)だのを変わらず聞けることもあるし、ギリシア人のような服を着たセラピスとかいう聞きなれない名前の神の名前もあって、それがエジプト人にも信仰されているという事実に、征服者は己の正当性を謳うために神から変えていくのかと戦慄を覚えたりもした。

 

もはや懐かしいゼウス神殿

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「セラピスって誰よ!」なアレクサンドリア大図書館

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    そしてもちろんアヌビスやオシリスなど有名なエジプトの神々の話が人々の生活に溶け込んでいる様もよかった。バエクも当たり前のように信心深くて、遺体を火で燃やすことを冒涜だと言ったり「葦の原野を渡れなくなるぞ」が最大級の脅し文句になったり「この街は儀式によって砂漠に捧げられたのだから掘り起こすのは摂理に反している」とか、その時代を生きている人の生(ナマ)の感覚に驚くことばかりだった。やっぱり「時代の空気を肌で感じられる」という点がアサシンクリード最大の持ち味であると私は思う。 
    あと細かいところでは、トカゲの暗殺の時にいつもみたいな高警戒地域ではなくて堂々と正面から入れて、「5人の中で本物のターゲットは誰でしょう?」って展開だったのが一番好きだった。それから象に乗ったターゲットと戦わされて「聞いてないよぉ!?」となった後倒したターゲットが落下死?圧死?したところも好き。それからスカラベに砂に埋められたとき、呼んだ馬がなかなか近寄らなくて困ってたら痺れを切らしたセヌくんが「ピィーッ!」って追い立ててくれたところも超好き。セヌくんが有能すぎて一生愛す。

 

 ここからはバエクとアヤ周りの話。
 いや〜〜バエクくんホント好きだわ〜。真面目で誠実、弱き者に優しいところはもちろん、悪に対しては一転して容赦なく切り刻み殴りつける苛烈なところも好き。そして子供に対してはどんな子にでもめちゃくちゃ甘ちゃんなところがマジで可愛い。あと目の周りが黒いところも超好き。
    さらにとりわけ好きな点は、大義よりも個人的な幸せを大事にする派なところだな。バエクくんは復讐さえ成せられれば後は夫婦仲良く暮らせればそれでいいという感じで、妻のアヤの方がエジプト全土を救うという大きな目的に身を捧げたい派なんだよね。大抵のフィクションだと男女逆になってると思うので新鮮だったな。

    最初あんなにラブラブシーンをプレイヤーに見せつけてきたのに中盤からだんだんすれ違うようになってしまって、最後には2人が夫婦関係を解消してしまったのはかなり悲しかった。「別に前と同じ性質の愛でなくても、別れるまではしなくてよくない?遠くでも繋がっているよでよくない?」と思ってしまったんだけど、やっぱり個人的に愛する夫という存在をもっていると、それが弱みになったり夫と信条を天秤にかけなければいけない時がどうしても訪れるだろうから、そうするしかないというのもわかる。身の回りの人を大切にすることの延長に自らの国を大切にすることはあるから、決して2人の絆が切れたわけでも愛がなくなったわけでもないんだけど、ただ優先順位が違う。それだけで側にいられなくなってしまうこともある。人間関係って儚い……。アヤの「二度と私のような母親が出ないようにしたい」という信念も、散々人を殺しまくった自分たちが日の当たる人生なんて歩んじゃいけないという気持ちも理解できるが故に。
    しかしアヤはバエクの関与していないところでターゲットを殺っちゃってたり船旅してたりラストのセプ何とかとカエサルという美味しいところをもってっちゃったりいろいろしてたわりに、装備変更不可とかシステム的には妙にとってつけた感じだったな。雰囲気はおまけっぽいけどめちゃくちゃ重要な本編だからチグハグだった。特にセヌがいなくて敵をマークできないのがだいぶ困った。いっそのことフライ姉弟みたいにダブル主人公だったらしっくりきたかもしれない。やっぱカエサルという超大物を殺るのは一から育てた主人公でやりたいという気持ちは無いでもないよね。
    私はバエクくんが伝説級の戦士でありながら名声や権力に頓着しないところが大好きだよ。メインストーリー最後のムービーでバエクが子供を支部に連れて行くのではなくただ手を繋いで家に送り届けるシーン、心底彼らしくて胸が熱くなった。大義のために戦う姿ももちろんいいけど、ただ身の回りの人が健やかに暮らすために思いやりをもてることも、ものすごく大切なことだと思う。
    それとそのラストムービー自体が死ぬほどカッコいい。闇を駆け忍び寄る暗殺の鮮やかさ!それから支部の描写!アサシンクリード 1で見た光景に完全に一致した瞬間(私はプレイしてなくて動画で見ただけだが)、身体に震えが走ったわ……。

    クレオパトラを信じて彼女のために働いたのに結局裏切られたのは痛手だったけど、そのおかげで人々のために戦いたいという志をもった同志たちに出会えて「隠れし者」となったという展開もかなり熱かった。例え身体が死んでも志だけは未来永劫残り続けるという語りも「真理」って感じがしたわ。たとえ時代が違って地域が違ったとしても、虐げられるままを良しとしない人々の意思は必ず存在するから隠れし者の精神は不滅、っていうね……熱いわ……。
    最後バエクはメンフィスにいるし支部もそこにあるから、彼の帰る場所はメンフィスってことになるのかな。シワのバエクではあるけどケムもアヤもいない家に帰ったところで……って感じだろうし(そもそも物語開始時点からホームは塞がれてたし)、シワは故郷であってももう「帰る場所」ではないんじゃないかとなんとなく思う。彼はもうただのバエクになって、隠れし者として皆のために生きることが目的になるのかな。でも彼には彼だけのささやかな幸せを見つけてほし〜〜という気持ちがどうしても湧いてきてしまうわね。彼の心が穏やかであってほし〜〜!もう何も損なってほしくない!暗殺者をやっている限り難しいだろうけど……。
 う〜んとにかく面白かった!オデッセイで少々不安になったがヴァルハラにも期待。

 

ホルスに似てるけどホルスではない何か 意味がわからなくてもカッコいい 来たりし者と関係がある?

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「ただのバエク」として放浪した白い砂漠で迎える朝

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メンフィス支部だけにあるホルスの目

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メインストーリーの終わり

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『アサシンクリード シンジケート』感想

 アクションゲーム、特にスニークの類いが苦手で「コソコソ隠れるなんてやってやれるかーっ!全員殺せば解決じゃーっ!」と突撃してしまうタチの私が一番苦手そうに見えたアサシンクリードシリーズ。果たしてクリアできるのか心配だったが、「実在する(した)都市を縦横無尽に飛び回れて時代の空気を肌で感じられるゲーム……やりて〜っ!」という思いで購入。もちろん詰んだりしたら肌で感じるどころではないので、レビューで一番簡単そうに言われているやつを探した。ゲーマーの言う「簡単」「ヌルい」は私にとってはあまり当てにならないので、シリーズ初プレイの人やゲーム自体にあまり慣れていなさそうな人の意見を参考にした。  

    このシンジケートと、初めてeasyが導入されたというオリジンズで迷ったが、どうせなら古い方を先にした方が後続をやりたくなったときにシステムの進化を感じられていいのではないかと思い、シンジケートに決定した。
    

 その結果どうだったかというと、た〜〜のしかった〜〜!大満足!

 懸念材料だったスニークは、最初は何をどうしたらいいのかわからなくて敵に見つかりまくってボコボコにされたり、ターゲットに逃走されたことに動揺して間違えて殺しちゃって死体を担いで逃げようとしてボコボコにされたりして「ドジっ子アサシン珍道中じゃん……」と落ち込んでいたのだが、電気爆弾を入手する頃には「何とか板についてきたんじゃないか!?」くらいにはなってきた。メインストーリー最終幕では時間制限ありでも落ち着いてキルし、煙幕を投げて3人以上でも対処できるようになって成長を感じた。

 まず鉄則は物理戦闘をなるべく避けること!アサシンなのだから当たり前といえば当たり前なのだが、序盤はパニクってつい殴りかかってしまうことが多かったので「まず何はともあれ逃げる!」をモットーにしたらだいぶ調子が出てきた。

 そして何よりも大切なのは状況把握!目標地点に近づいたらまず索敵!周りにどれだけ敵がいるのか、今自分が持っているもの・使えるものは何か、制圧した区域の宝箱は取ったか、等をちゃんと把握しておくことを心がける。

 特にミッション中は己の反射神経を一切信用しないことがミソ。ゲームの上手い人だったなら多少想定外が起こっても対処できるのかもしれないが、私にそういうことを期待してはいけない。目的だけでなく逃げ道までをちゃんとシュミレートしておく。

    それでもターゲットを生かして捉える賞金首狩りや、気づかれずに盗め等のミッションは結構苦手なままで、殺せば済むタイプのミッションの方が遥かに楽だなと思った。ゲーム中にも「殺させてくれぇ〜〜」みたいな声が出ていた。

 その中でも苦手だったのが馬車。ふらふらしまくりぶつかりまくりUターン出来なさすぎ。まずバックがL2でできることを知らなかったため序盤はかなり苦戦した。目的地で煙幕を使えば囲まれていてもミッション達成になることを攻略サイトで知れたのは相当ありがたかった。「馬車は嫌だ〜馬車は嫌だ〜……って結局馬車か〜〜〜い!」ってシーンがめちゃくちゃあったので疲れた。それでも何度も何度もやらされるうちにさすがに慣れてきて、ヒーコラ言いながらも何とかクリア。今後も馬車はなるべくやりたくはない気持ちがある。
  そんな風に諸所で悲鳴を上げながらも最後まで楽しくプレイできた理由は、やっぱりロンドンの街中を好き勝手に歩き回り飛び回りできること!私は西洋かぶれなので、ロンドンの街並みも教会も宮殿も庭園も、とにかく見るスポット全てに感動!ビッグベンの時計の部分にぶら下がれたときは全身に震えが走った。時計の部分が光って月夜に浮かび上がる姿はもう垂涎モノ。(PS4自体のスクショ機能をすっかり忘れていたために、クエスト専用マップ内の写真が取れていなくて大変無念……。)それとメインストーリークリア後にバッキンガム宮殿を歩き回れることには痺れたし、セント・ポール大聖堂の屋根についてる3人のジジイの像を間近で見られる機会なんて生涯無いよ。

 

時計にへばりつくミスター・フライ

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宵闇に浮かび上がるビッグベンの光

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華美~な宮殿内部

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セント・ポールの爺

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あとお気に入りはきったねえテムズ川にダイブすること。ロンドンはたしかに綺麗だけど産業革命期だからそこかしこが煙いしきったない。でもそこがリアリティを感じられていい(住む人間にとっては冗談じゃないと思うけど)。ロンドン最高!

 

きったねえ街でも変わらず夕日は美しいね

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   そんな有名スポット群だけでは飽き足らず、その時代を生きた偉人たちの人生に関われることも楽しすぎた。史実とは異なるんだろうけど、教科書等で知るのと実際に時代を「生きている」姿を見られるのは全く臨場感が違う。ナイチンゲールとかベルとかディズレーリとか盛りだくさんだったけど私のお気に入りはジジイ3人衆。ディケンズのジジイもマルクスのジジイもダーウィンのジジイも人使いの荒い奴らばっかりだったけど面白かったしタフな奴らばっかりだったから許しちゃう。別れの時は「達者で暮らせよ……(涙)」となった。

 そして満を持して登場したヴィクトリア女王!「肖像画のまんまだ!」って大興奮してしまった。しかし「叙勲されるアサシンってめちゃくちゃ権力に阿ってるじゃん!」と不安に思っていたら、ヴィクトリア女王のクエスト最後でエヴィーが「帝国主義には協力できません」と宣言していたので安心した。たとえ権力の恩恵が得られなくても、単なる王室の小間使いにはならないということね。
    あとはおまけマップ(?)の第一次世界大戦!「チャーチルゥ!」ってなったし見慣れた街並みが微妙に近代的になってるのも感動した(発電機とかサーチライトとかテムズ川タワーブリッジとか)。それでもアサシンのやることはそんなに変わらないんだなと思ったけど、技術の進歩のおかげで隠密はどんどんやりづらくなりそうだ。今まで格別能力のある人しか出来なかったことが、広く一般にもできるようになるんだから。


    それとこのゲームを語るうえで絶対外せないのはもちろんジェイコブとエヴィー。このゲーム時々日本語訳があやふやなことがあって、今何の話してるのか見えないときがあったんだけど、とりあえず姉弟の中が険悪なのはバリバリ伝わってきた。でもブラコン・シスコンばっかりのフィクションとは違って実際の兄弟関係ってけっこうこんな感じだと思うので、私にはこういう方が好ましいかもしれない。

    まずジェイコブが派手好きで細かいこと考えずに戦いたいタイプって時点でアサシン向いてなくない!?って思うわ。実際ミッションをやるにしてもステルススキルが豊富で投げナイフ大量持ちのエヴィーの方がやりやすいし。私はむしろジェイコブ側というか、エデンの布とか使命とかよりギャングを率いて戦いてえ〜って気持ちの方がわかるんだけど。(データベースの人物欄にも「No.2のアサシン(No.1はエヴィー)として名を馳せていた」って書いてあって、「ですよね〜」と思った。)それでもジェイコブの、貧しい人々や子供を守りたいって気持ちは本当だったっぽいので「そこまでこき下ろさなくても!」と擁護したくなる。
    というかエヴィーさんだってしっかりしてるかと思いきや、尾行に気付かずソーンに鍵取られたり、ヘンリーへの愛を優先して設計図逃したり、催眠術にうっかりかけられたり、最終幕の大事な局面でまたしてもラスボスに鍵を取られたりけっこうやってますからね。特に催眠術にかけられて警察にパクられ、檻の中で動物のように奇声を発してたなんてアサシン的にクソダサですよ。ジェイコブにバレたら一生ネタにされるレベル。あまりにもエヴィーさんが簡単に催眠にかかりにいくもんだから、最初私「これはかかった演技とかなのかな!?」と期待しちゃった。でも結果は、はした金盗んでまんまとパクられてた。これに限ってはまごう事なきドジっ子アサシン。
    そんなギッスギスの2人がいつか決別してしまいそうでハラハラしながらプレイしてたんだけど、最後には仲直りしてくれてホンッットによかった!やっぱり2人で助け合ってスターリックとの死闘を制したのが効いたのかなあ?

    それとジェイコブが自分の悪かったところを認めたのがめちゃめちゃデカいと思う。尻拭いしてもらったって申し訳なさそうにしてたし、何より「寂しかった」の一言よ!これが言える勇気!ジェイコブ君偉い!その前にエヴィーが「(エデンの布を纏っていたら)私が不死になってジェイコブだけおじさんになっちゃう」って言ったのも、2人がこれからも運命共同体でいるつもりって感じでグッと来た。エヴィーの方も「父親が全て正しいわけじゃない」って折れたしね。2人が最後に「列車まで競争だ」て言いながら走り出していくシーンがめっちゃ心に沁みた。達者でやれよ……。
    それから忘れちゃいけないのがヘンリー。最初からエヴィーさんといい感じの空気作り出しちゃってワ〜オって感じだった男。

    任務中に「僕が引きつけるよ」と申し出られたが私は一切信用しなかった。自分でやった方が早そうだから。そうしたらまさかの拉致られ姫ポジの男だった。「あいつ何をやっとんじゃ〜〜!どうやってこの落とし前つけてくれるんだコラァ!」とぶつくさ言いながら救出。流石のエヴィーさんも任務失敗に責任を感じて関係を断ち、「どうなる2人の関係!」とワクワクしてしまったのも事実。その時点でアーカイブを見て、ヘンリーが肉体よりも頭脳派だという情報を得たのだが、まさかまさかのラストバトルで名誉挽回してくるなんて思わなかった。プレイヤーは必死だからもうヘンリーのアシストが来たとき「へ、ヘンリィィィ〜〜!!」って声が出てしまったわ。肉体派じゃないのに!助けに来てくれたのね!お前のおかげだよ〜〜!
    あと個人的に心に刺さったのはマクスウェル・ロスだな。「散々殺しまくってきたブライターズのボスと協力〜!?利用されてるんじゃないの!?」と相当疑ってしまったのだけど、子供の命を巡ってジェイコブと決別したってことは、それまでは本心から協力したかったってことだもんな。疑って悪かったよ。  

    楽しくて刺激的なことのためにギャングやってるんだって話も完全に本当のことしか言ってなかったんだな。あまりに怪しすぎて一周回って怪しくないパターンだったか〜。
    特に死に際で、実はジェイコブに惚れてたって事実がわかったのが相当キた。愛かぁ〜〜愛じゃしょうがねえなぁ〜〜。たしかに自由と享楽を愛するジェイコブとは相性良さそう。

    でもジェイコブの方は、罪なき子供達の命をどうでもいいと思えるほど己の楽しみ一辺倒にはなれない人だから、譲れない一線を守るためには別れるしかなかった。というかジェイコブくんはちょっと目立ちたがりで派手好きで頭よりも体が先に動いちゃうタイプなだけで、他人のことがどうでもいいわけではないからね。

    好むものが同じなら上手くやれると思ってたのに思い通りにいかなくて、ロスの愛と憎しみの混ざり合った炎が燃え上がっちゃったわけね。愛って簡単に人を見境なくさせちゃうから怖い。でも愛憎で燃える劇場は最高にグッドだった。いいボーイズラブを見せてもらったわ……。
     
    しみじみと思うけど、ストーリーが良かった〜。最初にラスボスが提示されてて、関係者を暗殺するごとに近づいていくって基本スタイルも心が沸き立ったし、個々の暗殺ミッションも病院だったり銀行だったり劇場だったりバリエーション豊富で、侵入も普通に窓から入ったり変装したり協力者を得て堂々と突入したりで、緊張はするけどそれ以上に次は何が待ってるんだろうってワクワクした(馬車だけはもう勘弁だけど)。本当にやって良かった。オリジンズとかオデッセイとかも視野に入れようと思う。

 しかしこのゲームに慣れてしまうと他のをやったときに「ここ登れたらなあ……」とか考えてしまいそう。

 

追記 :無料DLCでできる事件捜査もミステリーオタクとしてめちゃくちゃ楽しかった!アサシン一切関係ないけど!鷹の目ってこういう使い方もできるんだなぁと感心してしまった。でもこっちはむしろ殺す側なのにどのツラ下げて犯人を警察に突き出してるんだろう……とは思った。むしろ今までの殺人量を考えたらこっちの方が遥かに凶悪犯……。

 

列車の隠れ家とかいう発想超好きィ

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男爵の装束を着ていったらNo.1アサシンのエヴィー様が「いい服ね」と褒めてくれた

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「外を見る」中にLスティックで四方から列車を見られるという素敵機能に最後の最後で気づいた

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樋野まつり『ヴァンパイア騎士』の話

 ヴァンパイア騎士……私の人生でトップクラスに大好きな漫画……。

 memories6巻を読んだ後また本編を全部読み直した。以前の私は優姫と零の関係に想いを馳せることに忙しかったのだが、最近は「枢はこのときどんな気持ちでいたんだろう」と考えるようになって、その視点で読むと新たに気づくことがいろいろあって楽しかった。

 memories6巻を読んで一番印象的だったのは、「この漫画は絶対に"3人"をやり通す」という気概を感じたことだ。 

 少女漫画においてダブルヒーローモノは鉄板中の鉄板で、古来からさまざまな物語で展開されてきた。しかし現代の一般的な価値観として、恋愛関係というものは「最終的に特別な"2人"の間だけで完結しなければならない」というように浸透している。ダブルヒーローモノでも、ヒロインは話の途中で2人の間で揺れたあと必ずどちらかを選ばなければならない展開になるのが定石だ。

 しかし『ヴァンパイア騎士』はそうではない。本気で「どちらも大切」をやり切るつもりだと私は確信している。

 枢が封印され、話もできない状態になっても決して彼を"過去の人"にはしない。それは彼が死なない純血のヴァンパイアだから、という理由だけではないと思う。仮に枢が本当に死んでいたとしても、優姫の中の彼への思いが吹っ切れるなんてことはきっとありえない。

 正直を言うとmemories6巻の「君に悪役は似合わないよ」のシーンを見たとき、「か、勝てない……」と思ってしまった。零が優姫の心臓を鷲掴みにするという大胆な行動に出た直後にコレ。突如現れる枢の鮮明すぎるイメージ。もはや生き霊。絶対に離れないし離さないという気概が溢れ出て、圧倒的な存在感を放っていた。

 またそれに関連して、memories2巻に私の大好きなシーンがある。仲睦まじい英くんと頼ちゃんを見て零と優姫が「試しに繋いでみるか」と手を繋いでみるシーン。優姫の「こうするとあの人(枢)のこと思い出す……」という言葉に零も「俺もだ……」と返すところ。2人でいるはずなのに違う人のことを考えている。これはどこからどう見ても世間一般でいうラブラブな恋人とは程遠い状況ではある。幸せいっぱいどころか寂寥感さえ漂っている有様。しかし彼ら(もちろん枢を含め)にとってこれは決して間違った関係でも歪んだ関係でもないと私は思う。枢が優姫と零の間に割り込んでいるとか零が枢を失った優姫の心の隙間に取り入ってるとかでもなく、優姫が2人の気持ちを弄んでいるとかでもなく、"3人"はこれで完成しているのだ。優姫が零と向き合うことは枢を捨てるということには決してならない。

 枢を愛する優姫ごと愛すると言い切る零の愛の深さ・大きさも相当なものだが、そんな2人に「よかったね……」と微笑むことができる枢の愛に私は激しく心を打たれ、読むたびに泣いてしまう。

 枢は優姫を世界の何よりも大切に思っていて、理性の声が無ければ永遠に閉じ込めて自分だけのものにしたいほど深く強く求めているような描写が本編にもこれでもかと出てくる。そんな枢が最後に零と優姫に託した「2人には一緒にいてほしいんだ」という言葉。彼にとって憎むべき恋敵である零に世界で一番大切な優姫を任せるという決断。優姫に対して本当に深くて大きな愛情をもっていなければそんなことはできない。

 3人の関係において、2人の男がそれぞれ優姫に矢印を向けているだけで男たちの間には何もない(どころか学園編では互いに殺したいほど嫌い合っていたりした)ように見えるのだが、実際は零が枢の血を飲んだ頃以降の2人の間には絆と言えるようなものが存在しているところがミソだと私は思っている。「同じ人間を愛する者へのある種の共感」と表現するべきか。2人にとって、自身と同じくらい物理的に強く、同じくらい強い想いで優姫を大切にしてくれると確信できる相手などお互いしかいないのだ。だからこそ優姫の心の中に住んでいるのが自分だけではないことに苛立ちながらも、その事実ごと受け入れられるほどの度量がもてるのだと思う。

 樋野先生が「昔の3人絵と今の3人絵はテーマが変わってる」とおっしゃっていたが、昔は優姫が真ん中で零枢が左右だったのが、今は枢が真ん中にいる絵が多くなっている。それは優姫と枢の間の絆だけでなく、零と枢の間にもたしかに想いが存在するということを表してるのではないかと思う。優姫が愛ゆえに枢を丸ごと信じることができるのと同時に、零は枢と同類だからこそ優姫には見えない枢の部分が鏡を見るように理解できるのかもしれない。

 そんな3人を見ていると、大切な人は絶対に1人でなければいけないしその中身は絶対に恋愛感情でなければいけないという感覚も、実は思い込みに過ぎないのかもしれないという気がしてくる。もちろん恋愛も構成要素の一つであるのは間違いないのだが、その一つだけで終われるようなものでもない。友達とか恋人とか名付けるのも結局は簡易的なラベリングに過ぎなくて、人と人との関係とはすべてが本当はもっと複雑でそれぞれ唯一のものなのではないか。ただ大切だという事実さえわかっていれば本当はそれで十分なのかもしれない。

 

 3人の関係を語るうえで欠かせないのはやはり「想いのすれ違い」だろう。"3人"として完成している今の彼らももちろん良いけれど、本編完結までの切ないすれ違いぶりがどうしようもなく良かった。

 枢から優姫への想い、零から優姫への想い、優姫から2人それぞれへの想いはどれもたしかに愛であるはずなのにずっと何かが噛み合わなかった。

 特に学園を出てから最終回少し前までの優姫と零の「建前がないと会うこともできない」というやるせなさ。心の中ではどうしようもなく求めているくせに「お前のことはもう何とも思っていない」と言い張る意地っ張りぶり。零がそんな風に言う理由にはヴァンパイアという存在を許せない気持ちももちろんあるが、何よりも枢の側が優姫にとって1番のあるべき場所だと信じているから出た台詞であると私は思った。 

 ヴァンパイアは誰が誰を想っているのか飢えでバレバレだから一層切ない。たとえ周りには隠せても自分には一番隠せないという切なさ。

 ところで零と枢の愛も大概だが、優姫も素知らぬ顔して愛が激重なところが実に良いと思う。最終回付近の枢大暴走の頃、枢が何度も「こう言えば優姫も僕に対する盲信から目覚めるだろう」と考えて自身を幻滅させるように仕向けてくるけれど、既に「最後に信じるのは枢」と覚悟完了している優姫。「何をされてもいい。裏切られてもいい」と言い切ってしまっている。そんな程度で優姫の愛は揺らいだりしないということを全然わかっていない枢がニクい。枢様は1人で何でもできてしまうわりに自己評価は低いからこういう感じになってしまったんだろうな。

 私は優姫が「枢様になら何をされても構わない」とか「あの人に呑まれて一つになりたい」とか言う時の覚悟完了してる眼差しがめちゃくちゃ好きだ。枢様のことを本気で愛していることが痛いほどわかる。

 枢は枢で優姫は零の側にいた方が幸せだと思っているから、恋い焦がれてやっと手に入れたはずの優姫を手放そうという方向に急に思い切ってしまうし。「僕の愛し方じゃ優姫は心から笑わないんだ」という台詞にそんなことないよ!と言いたいのに思い当たる節がありすぎる……。優姫は「枢と一緒に堕ちていきたい」と言っているのに枢はそれではダメだというところが2人の噛み合わなさ。枢の中にも未来永劫闇の中で2人寄り添って生きることに惹かれる自分がいるから、背負わせたくないと思いながらも優姫に自分の全部を明かして受け入れてもらいたいという気持ちもある。愛ゆえの矛盾とままならなさ。枢様のこういうところが私は本当に好きだ。

 零への恋に早々に決着をつけた愛さんの決断がどれほど潔く賢いものだったかよくわかる。拗らせたまま年月を重ねてしまった結果がコレよ!その絡み合い具合が私は大好きなわけだけれど。

 覚悟完了といえばmemoriesの零は、本編の眉間のしわが嘘みたいに穏やかな瞳をして優姫を見ることが多くなって、紡ぐ言葉も読んでるこっちが恥ずかしくなるほど素直になってしまっていて衝撃を受けた。「どんなことがあってももう二度と俺から別れを告げることはない」と決めたから迷いが消えたのか。

 本来は穏やかな場所を好む優しい子だということはわかっていたけれど、本編で辛いことばかりだった彼がこんな風に笑える日が来たという事実だけで涙が出る。本編で見せる、痛みを堪えるような切なげな瞳も大大好きだけどやっぱり彼が幸せなら私は十分だ。

 『ヴァンパイア騎士』はでっかい愛の漫画……。何度読んでも大好きすぎて泣ける……。

 


・余談

①李土様と玖蘭家

  個人的に私がすごく好きなのが李土様。性格極悪だけどだからこそ好きというか捻じ曲がったまま生きて死ぬ人間が好き……。最後に見せた優しさのようなものだけ見て「実はいい人だった」とか死んでも言いたくない。たしかに始まりは綺麗だったかもとか奥底では純粋な思いだったかもとか想像することはできるが、何千年生きても理性を保とうとする純血種もいるわけだから、邪悪はどれだけ好意的に見ても邪悪だ。樹里や優姫を手に入れたからといってまともな愛し方をしてくれるわけがないし。歪んでいようが愛は愛。しかしそれを受け入れるか受け入れないかは向けられた側の自由だ。

 あんなにワイルドなのに一人称が僕なところがすごく好き。

 ぶっちゃけ愛情の重さとねちっこさと巨大さでいえば枢とか悠も良い勝負だと思う。玖蘭家の男は明確に描かれていないだけで相当エグいことまで考えたことはありそうなくらい独占欲が尋常でなく強い人ばかりで、恋い焦がれてるときにみんな同じ目をするから怖い。一番怖いのは悠。傘を隠して相合傘がしたかったなどという供述には本物の狂気を感じた。李土様が樹里樹里言ってるときの雰囲気、枢様も本気出したら絶対あんな感じになるわって思ってゾクゾクする。

 でも枢様の偉いところは、獰猛な欲望を飼いならして理性的でいようと常に心がけてるところだから。そういうところが王の器で、血の強制力がなくてもみんなが枢様の支えになりたいって思う要因なのだと思う。純血種は本気になれば世界の王にもなれるのに、守りたいものがあればあるほど身動きが取れなくなるなんてやるせない。

 

②絵の上手さ

 私が『ヴァンパイア騎士』で一番好きな要素はなんだかんだ言って絵かもしれない。髪とコート類のなびきに命賭けてるところがめちゃくちゃ性癖に一致する。あとまつげがみんなバサバサなところ。扉絵とか毎回上手すぎてため息が出る。

 

③疑問点

    生まれてから死ぬまで3000年と少しの樹里の記憶が薄れるほど昔に、日本っぽいところで女子高校生やってたってことは今は何年なの?地下高速鉄道とか言ってるから超未来なの?その割には数千年後もクラシカルな学校と家と服だし携帯電話とか機械類も無さそうだしバイクが珍しいとかどういうこと?文明レベルはどうなってるの?そして黒主学園はどこの国なの?それ以前に他の国ってあるの?

 炉の火が落とされるときとはつまりすべてのヴァンパイアが死ぬか人間になるかしたってことなんだと思うけど、愛はこの先たった1人の純血種として途方も無い時を生きる羽目になるのではないのか?恋がいるとしても完全に純血でない者と純血の者とでは能力や寿命に大きな差があるのは自明のはず。結局最後の玖蘭は枢と同じように枯れ果てるまで生きることになるのは変わらないのか?愛のそういう覚悟はmemoriesで今後描かれるのかどうかが気になる。

  樋野先生は個人的な感情を描写するのはめちゃくちゃ上手だけど、戦闘シーンがはっきり描かれないのは苦手だからなのか必要ないからあえて端折ってるのかどっちだろう。どちらにせよ政治とかのマクロな物事描写はわりとふわっとしてる気がする。テロ行為とか示唆されても戦闘の描写が少ないから肩透かしに思うことがある。私は大きなことより個人的なことにフォーカスしてくれたほうが好みだからいいのだけど。でもmemories6巻で優姫が大衆の敵として追放される展開、トップが愛に変わっても政策が変わらず籠城生活じゃ何の変化もなくないか?トップさえ変えればヴァンパイアの大衆は満足なのか?チョロくないか?ヴァンパイア社会、大丈夫か?純血種の思惑一つでコロコロ変わる勢力図に振り回される一般ヴァンパイアって絶対大変だろうな……。

京極夏彦『百器徒然袋—風』感想

 こういう陰謀めいた話は真相判明するまでは居心地が悪すぎてあんまり好かないんだよな〜って比較的ローテンションで読んでたら、最後の最後で興奮しすぎて半狂乱になってしまった。

 毎回毎回大立ち回りしてもはや水戸黄門?(水戸黄門は戦わないが)。終始テンションが高くて躁病って疲れそうだな……と今更思った。

 スピンオフだからだけど関口くんの出番がさっぱりないのは寂しい(個人的に本島くんは好かんので)。

以下キャラごとの感想

榎木津礼二郎
 れ、礼二郎〜〜〜〜〜〜〜〜!?そ、それはズルくなぁい!?そんな、そんなのもうツンデレとかいうレベルじゃねえぞ!?あれだけバカだオロカだ不細工だと罵詈雑言投げかけ、「貴様が死のうが生きようが逮捕されようがどうでもいいわい」などと言われ、傍若無人荒唐無稽な展開を繰り広げられ、こちらもようやく「この人に見返りを期待してはいけない……」と受け入れかけたところに急に優しさを見せてくるのは卑怯!泣いてしまう!ナキヤマになるしかねえ!しかもそういうときだけまともに名前を呼ぶ!身体が勝手に礼二郎様に平伏してしまう……。ツンデレ王。神。優勝。泣いた……感激というかびっくりして泣いた……未知の体験をありがとう……。
 今回榎木津と中禅寺の冷たさが尋常じゃないように感じて、読んでる私も益田くん同様かなり自信を無くしていたというか、「この人たちに優しさを望んでいるのも私の勝手な願望に過ぎない、ただの押し付けなのかな……」ってなっていたんですが、もう最後のページでそんな気持ちすべてぶっ飛んでしまった。我ながら現金である。

 別の巻の感想でも書いたけど、榎さんは自分の周りにいる人が大切じゃないわけじゃないんだよたぶん。大切にする方法が常軌を逸しているだけで……。
 「榎木津に関わると馬鹿になる」ってもう何遍も言われてるし、彼が何にも頓着しないから無傷でいられても私のようなのはそんな風にはなれなくて、逮捕をちらつかされるだけですくみ上ってしまうようなちっぽけな自信しかもっていないのもわかってるし、彼のあまりの規格外さに比べたら自分がどうしようもなく愚かだと思えてしまう悔しさも全部わかってる。それでも見ていたいし関わりたいと思ってしまうんだね〜。みんな難儀なドMだよ。
 それはそれとしてお父さんに対して非常識と憤慨したり困惑してる榎さん見るのがなぜかめちゃくちゃ好き。ヒエラルキー最上位はお父さんなのでは……。というかお父さんも超絶美形なのかと思ったらそうでもないっぽいな。黒髪だし。まあ品のいい老紳士だしイケ爺ではあるのか。美貌の帝王は何?突然変異?
 私は事件の筋とかこの話限りのゲストとかには大して関心がもてないタチであるのだけど、『雲外鏡』での神無月はお粗末だったとはいえ、榎さんの能力をここまで正確に理解したうえで利用しようとするキャラクターは未だかつていなかったのでなかなか面白かった。

 榎さんの体質って能動的に見てるわけではないからどの記憶が再現されるかは選べないんだよな。場所なり連想させるものなりを用意すればある程度誘導はできるのだろうけど、見る方も見られる方も再生される映像を指定できないなら、24時間目をつぶって過ごすとかしない限り完全な計画にはならないだろうね。

 あの目に見つめられて平然としてられる人は余程の傑物だわ。証拠能力は一切ないけど「正しい」と知っている人にとっては指針になるからなあ。存在感のない人が言っても事実無根の中傷って思われるだろうけどなにせ神だから……。
 『面霊気』で人はみな面を被って暮らしていると語られるけど、それは時と場合や相手によって使い分けているのだし、自分が感じている"自分"と他人に見える"自分"もまた違っているという。自分ですら本当の自分なんてものはわかっていなくて面こそが自分そのものだと思っている場合もある。面は紛れもなく自分の一部であるのだけど一つの面だけがその人の全てではない。

 榎さんは「面なんて被らずに素でいればいい」と言うし実際神として振る舞うし、私たちもそう認識してしまうしそうあってほしいと期待もするのだけど、やっぱり榎さんも面を被っているんだってことに驚く。榎さんは神でもあるし、やっぱり人間でもあって、そのどちらも本当だから過剰に神格化したり逆に自分と同じく"当たり前"な存在だと矮小化するのも違うってことなんだろうな。
 不確かで多様な世界を無理矢理カテゴリ分けして整頓されているように見せて安心しているのが私たちだけど、世界は私が思っているよりずっと広くて複雑なのだと知る瞬間は恐ろしくもあるがやっぱり面白い。
 そして榎木津礼二郎は最高。

中禅寺秋彦
 コイツもコイツで今回くっそ冷たくてブリザード!?って感じだったけどやっぱ殺人や殺人未遂が起こってるか否かってのが重要なのかなあ。
 「警察は無能じゃないんだから無実なら堂々としていれば大丈夫でしょう」というのが彼の持論っぽいけど、実際誤認逮捕はされてるじゃん!しかも現代日本(現代ではないが)では誤認だって一度逮捕されりゃ社会が許しても世間が許さんとかいって差別されたり中傷されたりして人生立ち行かなくなったりするわけですよ。逮捕ぐらいはセーフと思ってそうなところが中禅寺の怖いところだよな〜。
 まあ益田くんは中禅寺からしたら守る対象ってほどではないんだろうな。関口くんのことはもはや自分の一部レベルに面倒見る腹づもりでいるような気がするし、敦子も兄妹だからということで他よりは熱心に守るかもしれないが、冷静に考えると益田くんや本島くんは本来中禅寺の管轄外と言っていいんだよな。旧友じゃないし、彼らは好き好んで自分から厄介事に飛び込むドMだからね。

 中禅寺は無敵に見えるからつい頼りたくなっちゃうんだけど、彼が「諦めろ」って言うときは羽田や堂島相手みたいに本当に勝ち筋が見えないときなんだな~。今回の『面霊気』では元子爵という綻びが見つかったからよかったけど、それだって元子爵が協力してくれなきゃ"おじゃん"だったし、というかなんでお父さんが協力してくれたかが一番謎だし。薄情もなにも事実勝てないか戦うだけ悲劇が増えるかなんだから、むしろ変に期待させずに事実を包み隠さず伝えてくれるのは親切ですらあるんだろう。でもそんな風に突き放されたらやっぱり悲しくなっちゃうから凡人はナキヤマになるしかないのである。
 ところで中禅寺が榎木津に"視"られるのを反射的に避けたシーンがあったの、「中禅寺も見られたくないことがあるんだなあ」と思ってしまった(私は彼を何だと思っているんだ)。

・益田龍一
 益田くんは巻を追うごとにどんどん可哀想になっていって申し訳ないけどめちゃくちゃかわいい……。最後の方とか終始泣きっぱなしだっのがかわいいね♡
 前回優秀な捜査力を発揮して、読んでいるこちらを「おっ!」と思わせたのに今回尾行も聞き込みも下手くそで「ウソォ!?」ってなった。そんな「いかにも怪しい人でござい」な風貌で挙動不審だったらそりゃ怪しいわ。しかも応対してる間に鞭盗まれるか普通!?第一初対面のお客相手の会話中に鞭を振り回すな!(爆笑)警察辞めてから明らかにおかしくなってるでしょ!

    探偵だとバレちゃいけないって言うけどそんな露骨に怪しまれるくらいなら探偵って言っちゃった方がまだマシな気がする。まあ私は探偵エアプだし調査結果は正確なんだったらいいのか……。
 榎さんはやりたくもないことを嫌々やっている人間を見るのが嫌みたいだけど、益田くんなんかは普段のお調子者スタイルも"仮面"だしコソコソ嗅ぎ回って怪しまれたり疑われたりする職業スタイルも"仮面"だし二重に駄目なんじゃあ……?でも邪魅では「身の丈にあった役をやればいい」とも言われているしどうすればいいんだ……?たぶんだけど「自分の納得できる仮面くらい自分で選んで、選んだのだったら卑屈になったり泣いたりしないで開き直ってろ」ってことか?そうだとしたら難しいこと言うなあ。
 しかしまあ、「僕は尽くしてきたじゃないですか」とか「同じ薔薇十字団員じゃないですか」とか哀れっぽく仲間を求めている感じがめちゃくちゃかわいい……。「きゅう」なんて鳴き声まで発しちゃってもう完全に捨てられた犬!そして自分の身を守るためなら守秘義務なんてドブに捨ててやるという卑怯根性!Love……。

 あれだけ冷遇されてもまだ榎さんに自分の価値基準内の"情"を求めてるの、よく懲りないなと思うが懲りないからこそ下僕なんてものがやっていられるのだろう。

京極夏彦『百器徒然袋—雨』感想

 やっぱり榎木津礼二郎はサイコ〜!
 全体的に軽くてコミカルな仕上がりだったけどスピンオフだからというより榎木津を中心に据えたら自ずとこうなるって感じだったな。理屈より先に正解がわかるとかいうチートと、まどろっこしいことを嫌う性質によって生み出される破壊。もはや台風の擬人化かと思った。
 しかし本島くんの名前を最後の最後まで引っ張る意味はよくわからなかったな(赤城山くんとか読んでたから実際もご大層な名前なのかと思ったら、意外に普通だったので拍子抜け)。本島くんはうじうじしない関口くんって感じで、よく言えば読者が同調しやすく悪く言えば面白みがないって感じかな。私はフィクション人物に癖がないとかつまらない派だからそこまで好きではない。でも興味本位というか榎木津礼二郎の存在と行動が気になって仕方がないしあわよくば一味に入りたいというのは、まさに礼二郎主役スピンオフに大喜びしている私のような読者そのまんまの心境である。

以下キャラごとの感想

榎木津礼二郎
 礼二郎くんは相変わらず噛めば噛むほど味が出て知れば知るほどわからなくなる男だな。『百鬼夜行-陽-』で一人称やってるときとか過去話とかを読んで、「意外に常識的で地に足着いてる所あるよな…… さすがに生まれたときからあんな傍若無人でぶっ飛んだ価値観してるわけないか…… 榎木津も人間なのに私は神格化しすぎていたかもしれない。」と反省していたのだがそんなのまったくの杞憂だった気がしてきた。
 コイツ探偵始めてから躁病に拍車がかかったんじゃないか?
 「法律に反しているからではなく僕が気に入らないからやっつける。僕は神だから僕が気に入るものは善で気に入らないものは悪。」とか字面にすると凶悪すぎてすごい。冷静になると私刑の容認に他ならないんだけど神だから天罰になっちゃうんだよな……。そんな道理があるかと思うのだが""神""には謎の説得力だけは死ぬほどあるからつい飲まれちまう。

 本島くんが「僕ら周りの人間は、もしや榎木津のこの上なく馬鹿っぽい振る舞いにむしろ救われているのかもしれない。」と言っているが、それは私も何かにつけて思っていることである。この"美貌の帝王(原文ママ)"に礼儀正しい所作で常識的な対応をされ、にこりと微笑まれたりしたときには多くの人間は問答無用で平伏してしまうのでは……という気がしてならない。その気になれば人を籠絡させることなんて苦もなくできそうなんだよな。榎さんがその才能をまるで活用する気がない人で本当に良かった……。
 でも「お腹ぺこぺこのペコちゃんだ!」はない(爆笑)。何その語彙!?キッズかよ。違う意味で籠絡される人が出てきそうだから!
 ところでカマを侮蔑の意味で使いまくっている『鳴釜』は読んでいてあまり良い気分はしなかった(時代設定が戦後すぐだからそうなるよなとは思う)のだが、こと榎木津においては「僕はカマを差別はしないがカマは嫌いだ」という言葉と行動が正確に一致している珍しい例だった。実際、金ちゃんに対する礼節は他の人へのものと同じくらいにもっていたし、個人的に嫌いだと思うことを制限することはできない。個人的に関係を迫られて拒否する自由と差別する自由はまったく別のものだから。でももし相手が女だったら、恋愛対象にできない人に迫られたからといって結果女全部まで嫌いになるということはないのに……?と思わないでもない。

 というか益田くんのカマオロカってあだ名、私はてっきりカマドウマから取られてるのだと思っていたがオカマの方のカマかよ。もしや恋されてることに気づいてるのか?
 しかし親と自分は一切関係ないとか言いながら元華族の財閥令息という立場を利用して高級料亭に行くのはいいんだ……。けっこう立場を利用していろんな所に乗り込んでるけど……。まあ立場がなくても押しかけるだろうから法に則って穏便にお邪魔できるだけマシなのか……?榎さんが立場をひけらかしてるんじゃなくて相手が勝手に忖度してくるんだし。

・益田龍一
 好きだ……Love……愛おしい……。何でこんなに好きなのか自分でもよくわからないのだけどめちゃくちゃ好き。
 今回前髪が長いことをやたら何度も何度も書かれてるんだけど、伸ばしてる理由がオシャレとかじゃなくて「ひ弱そうに見えれば攻撃されるときに手加減してもらえるかもしれないから」なの打算的すぎて大好き。おチャラけているようで内心は計算尽くなところマジ策士。
 邪魅で買った鞭を愛用していて会話の途中で何の脈絡もなく取り出してくるのは何なの?コントなの?しかも若干サドに目覚めてるんじゃあないよ。家具をビシバシ叩きながら話してくる人、冷静になって考えると嫌すぎる。邪魅の「僕は適当にお茶を濁します」で何かが吹っ切れたか?かと思えば警察官時代の明晰さを発揮したり変なところで真面目だったりして読む側を飽きさせないよね。
 でも榎さん大好きなのは変わりないようで良かった。付き合いが長くなるほど憎まれ口も増えて意地の悪さを覗かせるようになったけど、それと愛は表裏一体というか、好きだからこそ認められたくて、でも榎木津は自由だから思い通りになってくれなくて、だからこそ好きなんだけどそれゆえに憎らしいというか複雑な心境なんだよ。

 和寅と「どっちか榎木津さんをより理解してるか」で張り合うの読んでるこっちが恥ずかしいんですが!?河原崎さんが榎さんに恋愛的な意味で惚れたんじゃないかって動揺したのだって自分にも少しくらい心当たりがあるからじゃあないの?と思う(ホモフォビアをもった男というのは、"真の男"から外れるようなことをしてしまう自分への嫌悪からゲイに攻撃的になるという例があるから)。

 別に益田くんに限らないが、ぐだぐだ言い訳なんかしないで「好ましいからそばで見てたい」って言えたら良いのにね。実際これは恋愛的な意味(だったら私個人としては嬉しいが)でも友情的意味でも単なる興味関心的意味でもなんでもいいんだよ。変なプライドのために欲しいもの逃すよりは正直な方が得だと私は思うけどね。そう上手くはいかないね。

    彼が榎さんに間近で見つめられてドキリとして固まってるシーン、私に有難すぎてお祈りした。私は恋に敗北する男が大好きだから絶対成就しない益×榎を推してる。

中禅寺秋彦
 秋彦……Love……。榎さんに振り回される中禅寺本当好き。この男を振り回せるのなんてこの世で榎木津くらいしかいなくない?
 2人の見ている方向が合っている内はいいけどこれで反発するようなことがあったらそれこそ神々の争い級の惨事になりそうで嫌だ……。中禅寺は過去に「あれと意見が合わないようなら僕の方が間違っているということだ」とまで言ってるから2人の方向性が食い違うなんてことはまずないだろうけど、喧嘩するところを見てみたいと思う欲深い自分もいる。
 憑き物落としするときの中禅寺はなるべく私情を挟まずにシステムでいることを心がけてる節があるけど、榎さんといるとき(正確には塗仏の後)はけっこう素の人格が出てる気がするな。というか榎さんが意識的半分無意識的半分でそうさせているのかな。本来の性格(と言っていいのかはわからないが)はけっこう悪戯好きだし実はいじめっ子メンタルなんじゃあないか?「人をからかって遊ぶのが楽しい」という気持ちと「合理的でありたい」という気持ちがぶつかり合っているというのが正しいかな。やろうと思えばかなりサディスティックなことも思いつくしそれなりに楽しんでしまえる才能はあるんだよ。しかし合理性を希求する気持ちの圧力(?)が人一倍大きいために自制心が働いて、あの滅多に動かないスタンスに落ち着いているというわけだな。

 しかし「さあて——これから果心居士が君達に愉しい呪いをかけてあげるよ」とか言っちゃってて「ノリノリじゃん!!」と思った。これほど""暗黒微笑""の言葉を当てはめるのがふさわしい状況と人物ある!?私だって中禅寺に呪いかけられてえ〜〜〜!「釜鳴りは由緒正しいうんぬんかんぬん」と語って人を掌の上で踊らせてるときもなんか楽しそうだし(白々しい持ち上げ演技は読んでて死ぬほど笑った)、関口くんが足痺れて悶えてるときに膝に手を置いて揺らすとか絶対楽しんでたねアレは。真性のサドじゃねーか。
 榎さんの作業着姿見て腹を抱えて大笑いしたり「桜田組の木場」に笑いを堪えられなかったり、宇宙が三回終わったようなとか形容される仏頂面のくせに意外と表情豊かな中禅寺が好きだよ。

 個人的には常信様がまた出てきてくれたのがめちゃめちゃ嬉しかった 。ファンなので。

京極夏彦『鉄鼠の檻』感想

 私は百鬼夜行シリーズでこれが一番好きだ。大好きすぎて逆に感想まとめるのが遅れた。

 私の中では禅って仏教の中でも特によくわからない分野だなという印象だったので最初は身構えたんだけど、これを全部読み終える頃には何となくわかったような気になっている(気がするだけかもしれない)。十牛図の話とかめちゃくちゃ面白かったし「魔境を受け流すことこそが肝要」とかも「ほ〜〜なるほど〜〜」って感じ。
 そんで山の中の寺って露骨に"結界"だから不気味で怖いけど、何となく惹かれてしまう場所という感覚が昔から私の中にあったから、もう舞台設定だけでわくわくモノだったのね。そのうえあからさまにわらべ歌なんて登場させちゃって連続殺人と来れば、普通のミステリだったら問答無用で見立て殺人が始まっちゃうところだよ(まあ見立てていたことに関しては間違いではなかったんだけど)。そういう様式美も私は大好きだけどね。でも京極先生はそんなストレートな球投げて来ないだろうと思ったよ。

ここからキャラごとの感想

久遠寺老人
 今川は初登場だから油断してふ〜んって感じで読んでたら久遠寺老人登場まで来て「ん?久遠寺ってどこかで聞いたような……」って思考がよぎったんだけどそのときは思い出せなかったのね。後になって時間差で「……久遠寺久遠寺ってまさかあの久遠寺!?」ってなって脳天ビリビリ来たよ。姑獲鳥一回こっきりのゲストかと思ってたしそのときは女性たちのインパクトが強すぎて影が薄かったから、今巻で一番結界の外の常識を備えている"まっとうな"人として活躍しててびっくり。本当に家族の異変に気づかなかっただけの普通の医者なんだね……。
 でもよりによって榎木津礼二郎を呼ぶとかファインプレーなんだかそうじゃないんだか。読者、というか榎木津ファンとしてはめちゃくちゃありがたいんだけど。
 というか菅野だよ菅野!テメーのせいで(お母さんのせいもあるけど)涼子さんが壊れたっていうのにまた子供犯して薬物吸っててもうどうしようもねえな。以前の登場人物が出てきて作中世間のつながりを知れるのは嬉しいけどよりによってお前かよ!できれば会いたくなかった!
 でも久遠寺お爺さんが下手に同情したり共感したりせず、逆に菅野だけの責任にもせず自分も一緒に背負うって気概を示したのが救いだった。鈴子が犯されたのも惑わしたとか言わずに(私はこの点で仁秀さんが嫌い)完全な被害者と言ってくれたのもよかった。人の尊厳を守るという気がある人格者でよかった。
 小児性愛者の言うことを冷静な気持ちで聞くことは私にはどうにもできそうになく、怒りのせいで全てが言い訳屁理屈に聞こえてしまうために菅野の弁をちゃんと理解しているとは言いがたいのだが、「全てが脳髄の許す範囲内でしかない」というのはなんとなくわかった。でもそれ以外は駄目だ。菅野流に言えば私の脳髄が理解を拒否してる。わかろうという気が起こらん。

・山下さん
 好きだ……。前回の石井警部に引き続き警察官僚というのはだいたい保守的で見栄っ張りで頑迷というテイストで書かれていて、実際「ああこの人ダメだわ」と思わされるシーンが何度もあるんだけど、榎木津礼二郎と明彗寺という異世界の洗礼を受けてそれまで信じてきたものがいろいろ崩壊する様は見ていて同情を禁じ得なかった。益田くん含め部下全員に呆れられて白い目で見られるのとか哀れすぎる。実際それまでは問題なく仕事をこなせていたんだろうから、そういうセオリーがまるで通じない珍事件に行き会ってしまったのは完全に不幸である。
 しかし一度盛大に空振りして失敗して完膚なきまでに叩きのめされると不思議と目の前が開けてくることって結構あるよね。それがいわゆる"憑き物が落ちた"状態なのかもしれない。何を言っても本当のことから遠ざかっていく気がしてしまうってことは、裏を返せば何が本当のことかは言葉にできない領域ではすでに理解できているってことらしい。
 私は山下さんと常信様の会話がすごく好きで目の前がパッと開けたような気がした。 これが大悟ってやつか?すべてのものが最初から仏性をもっているんだけど迷ったり間違ったりもする。だからこそ「魔境は受け流し、ただ"成す"べし」か……すごいな……。ああ本当に言葉にすると何かが逃げていくようだ。山下さんの道が開けたと同時に自分の道も開けたような気がして清々しかったし、その後山下さんが坊さんどもに震えながらも毅然と対応するところなんて涙なしには読めなかった。「行けーー!山下さん!言ってやれ!」って応援せざるを得ない。

・坊さんたち
 私がこの『鉄鼠の檻』を大好きだと思う理由には、この坊さんたちの人間模様が面白すぎるから、というのが大きい。美形すぎの潔癖で四角四面な慈行様とか、座るだけで真理を体現するという祐賢様とか、檻を抜け出すために自分から檻を作っちゃう了稔様とか、「人を救わないでただ山に篭っていていいのか」という後ろめたさを他人に投影して勝手に恐れてしまう常信様とか、派閥に参加しない好々爺だけど実は結界の魔力に一番囚われていた泰全様とか、ものすごく徳が高い坊さんに見えていたけど実は禅師じゃない覚丹様とか。まず明彗寺自体が宗派ごちゃごちゃの小宇宙なわけでしょう。そんな混沌、面白くならないわけがない。
 まあ私の推しは祐賢様なのだけど(BLを愛しているから)、やってることはわりかし最低なんだがその最低行為は己の本心を認められない戸惑いと焦りの矛先が捻れちゃった結果なので「あちゃー……」と思ってしまうのである(小児性愛者に嫌悪むき出しにしておいて強姦未遂おじさんには寛容なの我ながら辻褄合ってねえなと思う)。

 しかし人が無意識化で否定していた本心を受け入れて自分の気持ちに素直になれる瞬間を見る感動は他の何物にも代えがたいわね。京極先生は同性愛者が絡んでも茶化したり無駄な異性愛規範講釈垂れたりせずに淡々とマジレスするところがいい。
 僧たちが明彗寺から出たがらないの、最初は大麻を栽培している秘密を隠すためかと思ったけどやっぱりそんな単純ではなかったね。物理的な原因じゃなくて自ら望んで心に檻を張っているというのが非常に興味深い。抜け出すための檻をわざわざ作るって聞くと変な感じだけど、時間の例えにもあるように「解放」は抑圧するものが無くては存在し得ないものなんだよね。

榎木津礼二郎
 もうなんかね、この人が出てくると安心感が半端じゃない。やること成すことむちゃくちゃなんだけど絶対結果的には正しいし負けることがないから(既存のフィールドで勝ち負けを論ずること自体が的外れというか)。
 「関口が死刑になろうが楽しいだけ」とか言いながら「死んじゃったらいい怯え方が見られなくなる」とか言い出すのマジ魔王(のちに自分で第六天魔王を名乗っている) 。いじめっ子。ガキ大将。
 それにしても英生くんと祐賢様のくだりはなぜかわからんけど妙に感動しちゃったな。榎さんは人命救助に長けた人だけど久遠寺老人みたいに何に差し置いても命が第一ってわけではないっぽい?英生くんが祐賢様とおそらく托雄くんのために黙ることを選択したときはそれを尊重するっぽい態度だったし。

 しかし何冊読んでも榎さんの行動原理はイマイチよくわからないな。まあ神だからしょうがないか。
 佳境に入るとひょっこり出てきて「京極一人では荷が重かろうと思って待っていてやった」「心遣いに涙が出るよ」っても〜またお前らにしかわからんところで通じ合って……勝てねえわ……(何に勝つんだ)。

・京関(もうセットでいいだろコイツら)
 まさかの 旅 行 回。コイツら……初っ端から見せつけてきやがる……。

 まず「ごめんください」も言わずズカズカお互いの家に上り込む仲だからね(姑獲鳥の「いつまでいてくれたって構わない」も参照)。気安い〜しかも学生のときも休みの度に旅行〜へえ〜仲良し〜。

 コイツらの学生時代超見たいな……三人一堂に会する機会って本編だと意外と少ないからな。
 それにしても妻のこと失念するとか関口くん……逃げられても知らんぞ。雪絵さんはなぜこの男と結婚したんだ(100回目の疑問)。
 しかし「文豪は旅館で長逗留するものだよ」とか言われて旅行する気になっちゃう関口くん死ぬほどチョロい。

 まあ肝心の京極堂は私の期待を見事に裏切り(初めから叶うとは思っていないが)、一人雪山で古本にかじりついているのがお好みのようだったのだけど。
 というか京極堂、猫にまでツンデレ発揮しててかなりウケた。「餓死するだろう」とか澄ました顔で言っておいて死んだら悲しいとかまんま関口くんへの態度とおんなじである。やはり関口くんはペット枠なのかもしれない。京極堂は山内さんにも彼の話してるっぽいし実はいろんなところで愛のある悪口ばらまいてそう(聞かされる方には半分ぐらい「知らんがな」と思われそう)。
 関口くんが京極堂のやり口を「悪魔的な親切さ」と形容するシーンがあるのだけどあまりにも的確な表現で笑ってしまった。言葉そのものの意味を完全にはわからなくても、何となくわかったようにさせるスキルが異様に高いんだよね京極堂は。気づいた頃にはもうとっくにヤツの掌の上なの。でもマーラとか呼ばれてるのは流石に吹いたな。
 唯心論とか織の話になると私にはほぼちんぷんかんぷんだったのだけど関口くんだけは京極堂に食らいついていて流石だなと思った。伊達に長年友人(知人)やってないわ。

・総括
 京極堂が禅を苦手と言ったことの意味が他の巻を読んだ後だとかなり腑に落ちる。彼は邪魅で「言葉は嘘です 言葉で作られた世界は嘘のものなんです」というようなことを言っている。
 私の体感では"わかった"瞬間というものは脳裏に閃光のように突如現れるもので、それを言葉にして初めて輪郭が与えられて手に掴めるような感覚を抱けはするのだけど、同時に言葉にすればするほど本質からは微妙にずれていくような、どれも本当のようでどれも偽りのような感覚に陥ることがある。禅というものはその閃光のように現れる"真理"をそのまま"存在"としてあるがままに受け入れる(内と外がある時点でまだ"至れてない"から厳密には違うのだけど)生き方なのだろうという風に私は理解した。だから嘘の言葉を嘘と知りながら操る京極堂の手法では禅に対抗するのは難しいのだな。
 私がこんな風に感想を書き起こしているのも、脳の上の方ですでに"わかって"いることをわざわざ言葉の領域に落としてきているだけの行為なんだろうな。本当はこんなことわざわざ書かなくたって"わかって"いるんだよきっと。でもただ"わかって"いるだけではなんだか不安だから言葉という輪郭を欲しがる。でもその輪郭はやっぱり本質とは微妙に違っているんだよ。
 今回京極堂がしたことは結界の綻びを突いただけであって禅そのものと対峙したわけではないんだな(そんなこと自体不可能みたいだし)。だから犯人も"悟れなかった"者だったし慈行様も空っぽだったのかな。真に悟った者が相手だったら勝てなかったのか。でもこれ仁秀老人には勝ったとは言えないよなあたぶん。鈴も助けられなかったし。総合的にはやっぱり負け戦だったのかな。
 しかし成長しない童の謎が、まさか一番ありそうにないと思えた「愛情不足のせい」だったなんて、そんなのあり!?ってなった。 事実は小説より奇なりかよ(これ小説だけど)。
 それにまたミステリあるある兄妹間の近親愛かって思ったけど、鈴子周りは最後彼女らの死体も残らなかったこととか含めて全体的にゾクッとする要素担当みたいなところがあったね。
 犯人の動機が「自分は至れなかった真理に他の人が辿り着いてしまったことへの嫉妬」って意外と俗っぽくて肩透かしという感じではあるが、"至れなかった"者の選択としては案外そんなものなのかもしれない。いやでも仁秀老人がそれだけの人だとは思えないんだよな。言葉そのままが事実とは到底思えない。わからんわやっぱり。
 でもすっごく面白かったな〜何度も読み返したい一品。