感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

『Detroit: Become Human』感想

 デトロイトビカムヒューマン、ストーリーの評判がいいのでやってみた。
 アンドロイドが人間から独立する過程の悲喜こもごもの話だったけど、私ずっとこの手の話で「なぜ人間のようになりたいと思うのが当然みたいな想定なんだろう?」と長年疑問を抱いている。「人間のような下等生物の模倣なんて考えもつかない」となってもよさそうなもので……。しかしデモ行進のスローガンが「我々は人間だ」ではなく「我々は生きている」だったのは単なる人間への憧れと同化願望ではないという意図なのかもしれない。まあこれは物語の根幹そのものなのでそこから否定したら話自体が成立しなくなってしまうので割愛する。
 

 では本編の感想。
 いやもうコナーちゃんが可愛い!警察に初めて派遣された捜査専門のアンドロイドとかいう超絶エリートなのに最初から妙な愛嬌があって、チャプター1から「この人大好きになる予感がするな…」と思っていましたが案の定最後までチャーミングでしたね。適当なおじさん刑事と真面目なアンドロイドのやり取りが大好き。ハンクおじさんの好感度を上げたくて頑張って選択肢選んだのに何回か地雷踏んでしょんぼり。おじさんは酒を奢ると好感度が上がるのが単純でLoveだった。あと酒で酔っ払って倒れてるのを見たコナーちゃんが家の窓ぶち破って水ぶっかけるのとかもLove。
 捜査を模したシミュレーションゲームが大好きなので捜査パートになると私もテンション爆上げ。
 後半まではサイバーライフという強力な後ろ盾があるので多少ヘマしても(バックアップ的な意味で)死なないという安心感があったので、プレイしてて楽な気持ちになれた。
 個人的には人間のためというよりハンクさんを守りたかったから、2人のコナーくんから本物を選び取るシーンとか最後2人が朝日の中抱き合ってるシーンとか心の中はもうエンダアアアアアアイヤアアアアアしてたよ。コナーちゃんが感情に目覚めないルートも見たい気がするけど、ハンクさんに嫌われちゃうことに耐えられないだろうな。
 次はマーカスくんの話。
 彼の元ご主人様のカールお爺様、すっっっごくいい人すぎてこんなご主人様いたらそりゃ愛してしまうよなって思った。ただのアンドロイドに対して自分で考えて絵を描いてみなさいとか言ってくれる人ホント稀有だよ。一般的にはアンドロイドって「積極的に暴力を振るいたいとは思わないけど支配はしてたいし自主性なんて抱いてほしくない」存在なワケでしょう。私は「それ自体」は大した罪ではないと思う。少なくとも当初のアンドロイドは人格をもつ者ではなくシステムに沿って動く道具だったわけだし。言うことを聞かせるために産み出した存在なのに、ある日突然自我が芽生えてそれは嫌だとか言われたら「え!?なんで!?」となるのは当然の反応だと思うから。驚いた後に虐殺に走るのが最悪なんだけど……。

    でも人間からしたらそもそも生き物ではないのだから虐殺には当たらず、ただ不具合の出た道具を「責任を持って」処分したというだけの認識だろうな……。人間でも子供を自分の望みを叶える道具として認識してる人とかはいるけど、そういう個人レベルの領域ではなく、世界の共通認識としてやっぱり人間とアンドロイドは格の違う存在だったわけだから。
 ともあれドラ息子との一悶着で廃棄されてしまったマーカスくんだけど、生き延びることへの執着が半端ないし、新入りのくせにジェリコのリーダーになってしまうカリスマもちなのはプレイしてて驚きの連続だった。あと演説がうますぎる。やっぱ自主性を育てるカールさんの教育(?)の賜物なのかなあ。彼が人間許せねえって言う度に「お爺様のこともそう思うのか…?」って心配だったけど終盤で墓参りして「あなたに会いたい…」って弱音吐いてて「よかったー忘れてなかった!」と安心。
 ところで普通にプレイしてたはずがなぜかノースと突然恋人になっちゃって「強制異性愛お断りです!」って発狂したんだけどnot恋人ルートもあるんだろうか?あってください。
 1週目は平和か暴力かどっちつかずな態度をとっちゃったので平和デモした後ジェリコ襲撃されて「もう我慢できねー!」ってなって戦争仕掛けて、でも私がゲーム下手くそだから普通に戦争に負けてマーカスくん死んじゃったし!もう本当にゲームが下手くそ!

    というか負けて追い詰められて「投降すれば撃たない!」って言われたから投降したのに無慈悲に撃たれて「人間ンン!!おのれ人間ン!!」って憤死したわ。

    それで2回目は平和デモにしたんだけど「これだけ理不尽な暴力を受けてなおそれって人間に甘すぎねえかな!?」って憤りも感じつつ、「でも戦争始めた時点で劣勢だしな…」と葛藤し、渋々平和を訴えるも軍はグレネードぶち込んでくるしもう「人間ンン!?(2回目)」って感じ。これは攻略サイト見て知ったことなんだけどFBIのおっさんと迂闊に交渉したら死んでたんだって?本当に人間って汚ねえな!

    まあ私がゲームうまうまだったら人間なんて全部ぶっ殺して革命の風吹かせてたから私が大部分悪いんだけどね。
 それで平和デモの最後なんだけど一点だけなんか納得いかなくて、アンドロイドが歌ったら軍が撤退するってロマンチストかな?それまであれだけ殺戮の限りを尽くしておいて歌聞いたら萎えるの?他の選択肢なんか「ノースにキスする」があって思わず「恋愛脳かな?」って声出ちゃったね。いやなんかこう…アンドロイドにも情緒があって愛を理解できる的な?アプローチだったんだろうなあと思ったんだけど、ただの市民ならまだしもそれで納得する大統領ロマンチストやなあ!まあ人々の行動がただの無知と恐怖による反動にすぎないのだから、そんな些細な気づきでも暴力の愚かしさに気づけるよ的な?感じなんだろうなあ。本当に人間というやつは最悪だな。
 そんな人間の愚かしさは置いておいて、マーカスくんの選択は平和でも革命でも偉大だったと思うよ。暴力に訴えるのは楽だし黙って耐えるだけじゃ心が死んでしまうけど、一度始めた暴力の連鎖から脱出することは難しいし、逆に撃たれて死んでいく仲間を見てもなお「平和のために非暴力でいよう」なんて言うにはとてつもない勇気が必要。

 余談だけど、マーカスがを犠牲にしようとしたらジョンが庇ってくれて、でも攻略サイト見たら「ジョンは死んでもトロフィーに影響しません」って書いてあって「そんなのありかよォ!」となった。

 しかし人間が殺意マシマシの中平和的にとか寝言言ってるマーカスくんを罵らない仲間がすごいなと思ってしまった。それだけ人間の素朴な悪意と暴力が凄まじかったから。平和的な姿勢を貫いたらマスコミのおかげで世論があっという間にひっくり返って「人間チョロ!」となったのは内緒。やっぱ知らないことへの恐怖に対抗できるのは正しい知識を得ることだけ。

 最後カーラの話。
 このパートは正直言ってストレスの方が大きかったかな。まず出からリアルめな児童虐待家庭でげっそりしたのと、私が「母性」みたいな概念が嫌いなので。アリスのことは全然嫌いじゃないというか、むしろ子供としては聞き分け良すぎて強いなと思うくらいだったんだけどね(虐待されてた子供は聞き分けが良くないと死んでしまう状況にいたからかな)。DV親父から逃げたと思ったらラルフとかいう危険な青年は出るわ、助けを求めたおっさんはアンドロイド虐待が趣味だわ、私はスニークミッションが苦手だわでストレスの連鎖で……。あとルーサーが加わってあからさまな疑似家族だったのがね……異性愛物語アンチの血が騒いで……。

    それでも人間の女の子と寄り添って生きていくならアンドロイドと人間の共存という大きな希望への一歩となれそうだなと期待してたんだけど、「実はアンドロイドでした!」でしょ?おいおい共存はどうしたYO!たぶんそういうのよりも「アンドロイドも家族を求める」という人間との類似性を優先したのかな。まあ私はアンドロイドオチでげき萎えしたので選択肢間違えてカーラとアリスが死んじゃっても「もういっか……」と思ってしまいましたね残念ながら。

    また通しでやりたいけどカーラパートのストレスは繰り返し感じたくはないな…。

その他
 グラフィックが最近やった中では一番良くて、街並みとかビルの中とかUIも含めてスタイリッシュでよかった。人物モデルもすっごく綺麗。カメラは近すぎてさらに視点をぐるぐる回すのが要求されるから酔いまくった。

    セリフやシーンを飛ばすことができないのと一度フラグ建てたらその後も通しでやらないと後の展開に影響できないのがイラっときた。

総括
 いろいろ言ったけどストーリーのクオリティが高いというのは本当だった。3人のプレイヤーキャラがバラバラに取った行動がラストに収束していくのはワクワクしたし、自分の行動がいろんな人の命運を決めるというのはやはり面白くて、没入感という点では100点満点。
 私にあまりにゲームの才能がなさ過ぎて1週目は3人全員死んだのは笑うしかない。
 コナーちゃんが自害するor諦めるの選択肢で「諦めるって何をだよ!?」とあたふたしてアマンダの思惑通りになって「クッッッソ!なんでだよ!!」となったアホさ。
 「アンドロイドに本当の感情があるのではなくシステムの異常だと言われてもなお私自身がアンドロイドに感情移入してしまうのはどうしてか?」とか、「でも人間の感情だって脳の電気信号とかいうじゃないか?」、「同じ人間の姿をしているから自分と同じというは錯覚に過ぎないのでは?」、「でも同じ姿をしているしていないが基準になるなら、人種が違うだけで同じ人間とみなさない排他的な考え方と何が違うのだ?」とかいろいろ考えた。
 メタ的なことを言うと、アンドロイドにまるで人間のような振る舞いをしてほしいと求めるのって結局「人間は素晴らしい、人間はこれでいいんだ」と誰かに肯定してもらいたいとか「みんな同じだと信じたい」という欲望に過ぎないんじゃないの〜それってどうなの〜という疑念が生まれてしまった。考えては見たけどすぐに答えが出ないだろうし簡潔な答えもきっと無いだろうなという気がしている。そんなスパっとした答えが出たらそれこそ「人間らしく」ないだろうから結局特に言えることはないと言う状態になってしまった。
 とりあえず面白かったのは間違い無いので買ってよかったな。