感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

無印『アサシンクリード』感想

 もはや私、アサシンクリード大好きな人みたいになっちゃってるな。だって時代考証バッチリの実在の街でパルクールできるゲームなんて他にないから。シナリオとかゲーム性とかを問う前にただ街を歩いているだけで楽しい。プレイ動画を見て展開を全部知ってしまっているからな〜とか、昔のやつは難しいって聞くしな〜とか迷ったんだけど、やっぱり自分の足(手?)でマシャフやらエルサレムやらを歩いてみたいという気持ちが強かった。あと過去作の要素が再利用されていたらしいヴァルハラをやったことで「みんながそんなに懐かしがる昔ってどんなだったわけ?」と興味が湧いたのもある。それと何だかんだでアルタイルの服装が一番かっけえと思っているから。

 

 結論から言うとかな〜り満足できた。

 レビューを見たらだいたい「あまりに反復作業すぎて飽きる」というようなことが書いてあるんだけど、私はゲームに爽快さとかあんまり求めてないから全然その辺は問題なかった。むしろ取れる手段が多すぎるとかプレイヤースキルを要求される系は脳が忙しくて疲れる。それと久々にPS3のゲームをやっておもったけど、グラフィックも情報量多すぎると目を回しちゃうタチなのでこれぐらいのざっくりさが心地いい。

 詳しいゲームプレイの話をすると、ソーシャルステルスの加減(?)がすごくちょうどよかった。ヴァルハラとの比較になってしまうんだけど、ヴァルハラは「敵対地域ではフードを被ると見つかりにくくなるよ」と言ってくるくせに兵に見られたらすぐ攻撃されるから高警戒地域とそこまで変わってるように思えなくて、「そんな風に言うなら多少は近くまで寄っても大丈夫なようにはしてくれよ!」と不満があった。しかし今回は、単に地面を歩くぶんには何の警戒もされることなく悠然と構えていることができる(物乞いの女の人とどついてくる酔っ払いが死ぬほどうざいという点はあるけど)。そのうえ最強コマンド「祈る」があるので、すぐ隣にテンプル騎士がいようが超余裕!というか神学者の一団で祈ってさえいれば衛兵が陣取っている場所にも顔パスなのがすごすぎる。史実では流石にここまでではないかもしれないが、現代とこの時代では神の存在感というか聖職者の絶対性のようなものが違いすぎるんだなと思った。僧侶に紛れるのはヴァルハラにもあるけど、うまく真ん中に入れてくれないので弾かれて見つかってイライラしていた。こっちはスッと入れてくれる上に自動で先まで歩いてくれる神仕様で感動。

 そして仮に兵に見つかってしまっても、アルタイルはカウンターの鬼なのでそれさえ覚えてしまえば誰が来ようがまず死ぬことはない。本当は投げ飛ばした後にアサシンブレードで仕留めるとかやってみたかったしガード崩しとかもっと決めたかったんだけど、7人くらいに囲まれるとかがザラだからこっちから仕掛けるとだいたい痛い目を見るので、じり……じり……とカウンター待機の時間ばっかりになってしまった。しかし十数の兵士に囲まれてなお生還するアルタイルくん化け物すぎる。私が雑なプレイだからだけど、暗殺した数よりも堂々とぶった切った人の数の方が圧倒的に多いね。接近戦に強くなったのはゲームシステムを変えた最近なのかと思ってたけど、実は初代が一番近接では負けなしの仕様だったことに驚いた。

 

・ストーリーの話

 天才が自惚れゆえの大失敗をして一度どん底に落とされて、力を取り戻すために奮闘して最後には前よりもっと大きな存在になっていくって展開は、シンプルだけどやっぱり熱い。私はオチを知っているからこそ、「この時アル・ムアリム様は何を考えていたのかな?」と考える楽しみもある。

 欲を言えばイキっていた頃のアルタイルくんももっと詳しく知りたかったけど、管区長たちのセリフを聞くに「聞き込みだの偵察だのちまちましたつまらないことは雑魚どもにやらせとけ」みたいな感じで暗殺の一番かっこいいところだけかっさらってく感じだったんだろうな〜。それでも実力で示してきてたから誰も何も言えなかったんだろうけど、ゲーム最初のソロモン神殿でロベールにド正面から掴みかかって行くところは暗殺者なのに今から殺しますよ感がバレバレで確かにマヌケだった。実際に街中で正面から人を暗殺しようとするとああいう展開になるのが細かい。もうあれを見せられちゃうと、完全にアルタイルの過失だからいろんな人から責められても「サーセンでした」しか言うことないわ。でも同胞の中にも、ねちねちいびってくる人とか単純に利害の一致でフランクにやってくれる人とか「腰が痛くてのぉ」とぼやいて小間使いにしてくる人とか「あの高名なアルタイルならこんなの楽勝ですよね!」とキラキラした目を向けてくる人とかいろいろいて、ただ嫌われるばかりではないところがよかった(情報提供者の時間制限系お願いミッションは正直クソダルだったが)。こっちを神聖視してくる人の中に「死の天使と呼ばれるあなたなら……」とか言ってくる人がいて「死の……何!?小っ恥ずかしい二つ名をつけるんじゃない!」となって逆にいたたまれなくて笑えた。あとダマスカスの管区長は「後輩たちが君の悪口を言ってたよ」と優しい口調で教えてるだけに見えて、実は遠回しに精神攻撃をしかけてきているとも解釈できてしまって怖かった。マリクみたいにストレートに怒ってくれた方がよほどわかりやすくて助かる。

 マリクといえば、アルタイルの成長物語を語る上で欠かせない存在。ソロモン神殿での大失態の後初めて会ったときは、超不機嫌な態度をとってきたのに(当然だけど)、最後にはアルタイルのことを兄弟と呼んでくれるようになるっていうマリクの変化がめっちゃよかった。何よりアルタイルが反省をちゃんと行動で示したのが大きいんだけど、謝罪したとき「今のお前はあの時とは違うのだから謝るべきことなど何もないのだ」とマリクが言ってくれたシーンは感動して若干泣いた。「勝利の栄光も敗北の味も分かち合おう」て!そんなこと言われたら泣くでしょ。

 しかしアル・ムアリム様にアルタイルが放った「私を殺さないのは私と同等以上に使える人材がいないからだ」説が本当っぽかったのは驚いたな。え、本当にNo.1アサシンだったわけ?単純な武力だけならマシャフの衛兵の人とか強そうだけど、気配を消す才能とか身のこなしとか技の冴え(?)とかだと話が違うってことなんだろうなおそらく(私のゲームプレイは全然全く冴えてないんだけど)。マジで才能があってよかったなアルタイル……。

 アル・ムアリム様は師としての刷り込み効果のようなものでアルタイルを完全に操れると思ってたのかもしれないけど、後半になるとアルタイルが疑問点にズバズバ切り込んできてアル・ムアリム様が意味のあるような無いようなふわっとした言い方で丸め込もうと頑張ってるように見えてちょっと面白かった。

    推測だけど、イキってた頃のアルタイルは掟は軽んじてたかもしれないけど、アル・ムアリム様のことはまあまあ慕ってたんじゃないかとなんとなく思う。失敗して逃げ帰ってきたときの、いかに自分のせいじゃないかを印象操作したがるようなところ、親に気に入られたいキッズのようだったもの。アルタイルの親については何の情報もないけど、彼が自分以上の存在と思える人がもしいたとしたらアル・ムアリム様ぐらいなんじゃないか?ストーリー全体の描写が淡々としているからあまり登場人物の感じていることを説明してくれないんだけど、やっぱり親同然の人が教団を裏切るなんて一大事だと思うんだよ。それでエデンのリンゴなんて厄介なものを抱えざるを得なくなり、いきなりみんなを率いなきゃいけない立場になって、これからのアルタイルは大変なんて言葉では言い表せないくらいだろうな。

    しかしアルムアリム様、秘宝を自分の欲のために使いたかったのではなくて、叡智に触れれば触れるほど人間の救えなさを思い知るばかりだから世界平和のためにこうするしかないと思ってやったのだと思うとあまり怒る気持ちにもなれない。テンプル騎士には吐き気を催す外道もいっぱいいるんだけど、本当に世界のためになりたいと思っている人も結構いるからアサシン側だけが綺麗なわけではないってところがアサシンクリードの味のあるところだと思う。

 アルタイル本人だって、破壊すると決めていたはずなのに、当の秘宝の力を前にしたらどうしても捨てられないと感じてしまったみたいだし。自分が使わないとしてもその力を他の誰かが手にしてしまったらと考えたら怖いし、かと言って持っていても永遠に争いの中で生きることになるだろうし、破棄できるとしても秘宝が失われることは単純に世界にとって重大な損失になるレベルのものだから、その扱いを決める責任はあまりにも重すぎる。秘宝というのは存在を知ってしまったが最後、どうやってもそれから逃れられなくさせる厄介な代物だよ。

 あ〜面白かった。やっぱり最初から自分の手でやるっていうことには大きな意味があったな。伝聞で聞くアルタイルに対する感情と自分で動かしたアルタイルに対する感情って全然違うもの。それとオリジンズ以降の現代編に対しては「へー」みたいな感情しかもてなかったけど、これはスタート地点だからデズモンドに対する愛着は普通に湧いてくるし。スタッフロールが流れ始めたとき「やってよかった……」と心から思った。ファンの間で傑作と名高い2ももちろんやろうと思う。