感想置き場

BLとアサシンクリードが好き

『Assassin's Creed Ezio Collection』感想

 ゲーム3本と映像2本(映像はまだ見てないけど)がセットになってなんと5800円!破格~!アサクリ2をやりたいなら当然エツィオコレクションだとどこのサイトを見ても書いてあるので従ってみた。まあリベレーションとかは短かったので単純に3本分のボリュームと表現するのは適切ではないかもしれない。しかし話としてはリベレーションまでやってエツィオの人生にとことんまで付き合えたのは本当にいい体験だった。ファンの人たちが口を揃えて「アサシンと言えばエツィオ」と言うのを見てきたけど、キャラとしての好き嫌い以前に、これだけ長く共に過ごしたらそりゃそういう感覚になるわと思った。家族のほとんどを失ったエツィオが頼れる仲間を得て今度は弟子を育成する立場になって、最後には自分のための人生に戻っていくというストーリの流れは綺麗だし、さらにアルタイルの記憶まで見られるという豪華さ。アルタイルの操作ができるパートとか最初は感動ではしゃぎ回ってしまった。1からやって本当によかった~!

 ゲームシステムは3作通してほぼ同じで1の正当進化って感じ。やれることが増えて各ミッションの演出も大幅強化。

    私は前の感想文で「アサシン一辺倒だとダレる」とか書いちゃったんだけど、それはにわかの発言だったと思い直した。まず一回一回のミッションが短いし警戒地域の範囲も狭いのでサクサク終わる。それにクリア方法もだいたい察せられるように導線を引いてくれているので、わかりやすくて且つ達成感が得られる。オリジンズとオデッセイの、要塞を延々と単独攻略させられる仕様が悪かっただけなんだな。これだけ続編が出ているのにいつまでも2が最高ってただの懐古じゃないの?という疑問があったけどここまで方向性が違うならそういう評価もわかる気がする。

 グラフィックもPS4に慣れてる眼だとまあショボい方なんだけど、1と比べたら街並みのクオリティは爆上がりといっていいでしょ。2発売当時のファンは大興奮だっただろうな~!リベレーションまで来ると見違えるように綺麗になっていて開発の歴史を感じた。パルクール欲を存分に満たしてくれるロケーションもいっぱいあるし。

 

遠くのは荒く見えるけど、こんなに高い聖堂や鐘楼なんて1にはないからね

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ヴェネツィアは街全体が明るい白系統なのが素敵

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パンテオンとは何ぞや?と思ったら元ローマの万神殿・現キリスト教聖堂らしい

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アサシンの墓所とかいう、ギミック狂が造ったとしか思えない施設

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アミュネットの名前があってびっくりしたけど時間制限パズル4つは許さねえ

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 戦闘もカウンター最強なのは変わらなくて技術に自信がない私にはめちゃくちゃありがたかった。特に一人の敵を殺した瞬間に次の敵に向かってスティックを倒すと一撃で倒せるのがすごすぎる。ちゃんと狙う敵を見定めれば5人以上連続でズバズバ切り刻めて「ヒュウ~~!」となれる。あとダブルブレードで両側の首を突き刺すモーションが死ぬほどカッコいい。

 

・2の話

 復讐が主軸のストーリーはわかりやすくて主人公に同調しやすいから助かる。最初に兄弟が頂上に登る競争をするのはフライ姉弟もやってたけど、そこからのタイトルコールには痺れる~~!しかしこの世界の人たちにはアサシンじゃなくてもピョンピョン建造物を飛び回る人がいっぱいいるのが驚き。全員化け物かな。

 しかしエツィオ、家族が処刑されたうえいきなりアサシンの家系だと知らされ、妹と母を守らなきゃいけないなんて状況怖すぎる。叔父上とアサシンの仲間たちがいてくれなかったらどうなっていたか。余談だけどテンプル騎士団もこういう、身寄りのない人の受け皿になっている側面があるから一概に否定も出来ないんだよ。叔父上と会えて、ヴィラという安心できる居場所ができたときの安心感はとんでもなかった(そういえば「拠点を整備する」という要素はヴァルハラで新しく入れたんだと思ったけどここからだったんだね)。

 

叔父上がせっかく用意してくれたけど、暗殺した人の肖像画が飾られた自室は正気とは思えない

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 さらにレオナルド・ダ・ヴィンチとかいう稀代の天才且つ無二の親友且つ大恩人の存在。こいつがいなかったら敵に遭遇して5秒で死んでるし宝物庫にもたどり着けてない。どんなときでもエツィオの味方をしてくれる聖人でヴェネツィアに行くタイミングも偶然一緒とかいう奇跡に圧倒的感謝。彼の天才的発明品の数々には非常に助かったけど、私は飛行機械で上昇気流に乗るのに苦戦しまくって地団太踏みそうになった。欲を言えば写本の依頼だけじゃなくてただの友達としてエツィオと駄弁る時間も欲しかった。まあエツィオは個人的なことに時間を使う気はなかっただろうから仕方ないけど。

 ストーリーの流れ的には要はロドリゴ・ボルジアさえ倒せればいいということだから至ってシンプル。秘宝を守るというのは成り行きのようなものだから最初はアサシンの使命感が薄いのも後になって振り返ると感慨深い。

 ただエツィオは人を暗殺した後カッコつけた言葉を口にするんだけど、時々相手に対して独善的というか「卑しいのはお前の心だ」とか「それは本当の幸せではない」とか言い出すから、私は「何の権利があってそんな風に切って捨てるようなことを言えるんだ?」とイラつくことが若干あった。暗殺対象の誰かが言っていた「人は時に命令されることを望むものなんだよ」という言葉を私は結構理解できるから。ここまでエツィオが、殺すまではしなくても良いように見える人まで殺したこともあった(ゲーム上の見せ場を作る都合もあると思うけど)から、その「自分は違う」とでも言いたげな態度は好きにはなれなかったな。それでいてロドリゴには謎の情けを発揮して見逃してしまうから、「自分のさじ加減で人の命を左右しているくせに偉そうに説教する資格ある?」と思ってしまって、なんとなく納得がいかなかった。こういうところを見るとアサシンが狂信者と思われるのも一理あるなと思う。テンプル騎士の方がいいとはさすがに思わないけど。

 

 シナリオの途中でエツィオの記憶からアルタイルの記憶に変わる時があるんだけど、始まったときはグラが綺麗になったアッカとアルタイルに痺れて大興奮してしまったわ。

 

この後ろ姿があまりにしっくりきすぎる

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 まあ行き着く先が異性愛シーンだったから複雑な気分ではあったけど…(異性愛に興味が無さ過ぎて)。実際イスの力は遺伝子に刻まれているもので、それがデズモンドに繋がらなきゃいけないからアルタイルが異性愛するのは避けられないことなんだよね。しかし「マリアなんて女の人が1にいたかなあ?」としばらく思い出せなかったんだけど、ロベールの影武者だったあの人か!とデータベースを見てわかった。性格変わりすぎじゃないか?

 

アルタイルの像マジありがてぇ~ 

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 1では心情描写が少なくて、アルタイルがどんな気持ちでいたのかよくわからない部分があったんだけど、今回は彼自身が書いた写本なんてものがあるのですご~く助かった。特に彼にとってアル・ムアリム様がどんな存在だったのかや、秘宝に対する姿勢などがわかるのでアルタイルへの理解がかなり深まったと思う。

 彼が伝説のアサシンとか崇められている様子を見ると何故か恥ずかしいような誇らしいような不思議な気持ちになるんだけど、「アルタイルだってただの人間なのになあ」という気持ちから来るものなのかもしれない。1で「死の天使」とか呼ばれた時の心境と似ている。

 

アル・ムアリム様を父と慕ったと書きつつも「奴」と呼んでいる

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「教団の本質は形式にはない」と言いきるこの文章がかなり好き

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アサシンの存在意義に対するアルタイルの感情が直接的に書かれている貴重な文章 圧倒的な暴力の前には対話も教育も役に立たず、こちらが脅威であると教えてやる他にないという事実はあると思う

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アルタイルの家族とアル・ムアリム様の人柄について書いてある興味深い文章 自由意志を守るための集団が感情を表すことを許さないとは皮肉な話 アル・ムアリムはシステマチックな人だったらしい 子供を作ることまで教団が定めているのは人員の確保のためか?

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あのアルタイルですら死を目の前にすると秘宝の力に縋りたくなってしまうことが書かれた文章 彼の人間味が見えて結構衝撃を受けた

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 あと隠し要素?チャレンジ要素?の被検体16号のパズルは一応全部解いた。コードキーが意味不明すぎたやつはさすがに攻略を見せてもらったけど9割ぐらいは自分でできたはず。クソムズかったけどこういうの結構好き。壊れかけた16号の声がする不気味さも嫌いじゃない。彼についての情報はほとんどないのに、同じアニムス仲間の共感からなのか放っておけない気持ちが湧いてくる。パズルを解ければ解けるほど、歴史の重要人物のそばにはいつも秘宝があったということを示すものばかりが出てくるんだけど、第二次世界大戦終結させたのもテンプル騎士の予定通りとまで言われるとさすがにおったまげた。やべえなこの世界。話だけ聞くとめちゃくちゃ陰謀論っぽいけどこの世界ではこれが事実なんだから困る。 

 

ブラザーフッドの話

 ロドリゴを見逃した後のエツィオがヴィラに帰ってくつろいでいたら、今度はボルジア家の関係者たちが攻めてくるという急展開。しかも叔父上まで殺されてしまう。叔父上はエツィオの安心できる場所の象徴のような存在だったから死んでしまったときはかなりョックだった。でもその結果エツィオが教団を背負って立つ存在(全体のなのかイタリア支部のなのかはよくわからないけど)になっていく展開はすごく熱い。

 ブラザーフッドからは弟子を育成できるシステムが追加されたんだけど、この弟子たちがメーターさえあればいつでも飛んできてくれるのですごく助かるし、手塩にかけて育てた子たちが活躍する様を見るとどんどんかわいく思えてくる。それに加えて、テキスト上ではあるけど彼らをイタリア以外の支部にも派遣することができて「うわ~アサシンの長やってる~!このゲームおもしれえ~!」となった。アサシンたちがどんどん組織立っていくのがたまらない。マキャヴェリの裏切り者疑惑からの相談役になるイベントなどもあって教団にスポットが当たるシナリオだったのがすごくよかった。

 

見習いだった子たちがマスターアサシンの白い服を着ているのを見るのは感無量

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 今回の大筋はローマをボルジアの支配から解放するというもので、地域のボルジアの塔を破壊する必要があるんだけど、シンジケートはこれの延長線上なのか。まあローマは全体的に茶色くて、教団回り以外はあんまり目を見張るようなシーンはなかったかな。

 レオナルドの兵器ミッションは乗り物系の操作が難しくて(特に飛行)結構苦労したけど派手で楽しかったな。見つかったら即シンクロ解除なのが辛かったけど、そのぶん達成できたとき自信になる。

 あとラスト付近でエデンのリンゴを実際に自分で使えるのが面白かった(他の武器が一切使用不可だったのは若干困ったけど)。使えば使うほど体力減るのを最初は気づかなくて、さらにその直前に防具も破損してたから、最強の秘宝を使ってるはずなのに結構ピンチになってて笑えた。

 惜しむらくは、シークエンス9に入った後にアニムスから出るとメモリー開始地点が消えるというバグに遭遇したせいでチェーザレくんを自分で暗殺するパートが丸々できなかったこと。出ちゃいけないなら出らんないようにそっちでしてくれよ!動画で見せてもらったけど、チェーザレくんは世のためよりも結局「玉座につく自分」が大好きなだけのクズだから殺すのに躊躇が要らなくて助かるね~。

 ロドリゴお父さんの方は見逃された後どうしたのかと思ったら、単にこれ以上の権力を求めることに対して消極的になっただけで結局息子に疎まれて殺されたっていうね。こいつを見逃すのが通るなら今まで殺してきた人だって大抵見逃してよかった人たちになっちゃうでしょ!やっぱりそこだけは納得いかないな~。

 

・リベレーションの話

 これを一番楽しみにしてたし、話自体は短いんだけど実際一番楽しめた。やっぱ私はアルタイルの方が好きだわ。

    ついに50代に突入したエツィオ、その動きがとてもおじさんのそれとは思えない。速すぎるしタフすぎる。冒頭のムービーでフードが取れたとき「顔かっこよくなりすぎだろ!」となったんだけど、リベレーション以前はアニムスによる記憶の追体験という設定を加味して、アルタイルやエツィオの顔がデズモンドに置き換わっていたということを後から知った。いや〜道理で2の時とかエツィオがみんなにハンサムとか素敵とか気品があるとか言われてたわけだね。やってるときは「そんなに言うほどか!?」とか思ってしまってたけど(デズモンドには申し訳ない)。アルタイルにも「祖先だけにデズとそっくりなんだ〜」とか思ってしまってたけどそういうカラクリだったんだね。

    ストーリーはアルタイルの書物庫を目指すエツィオがマシャフで待ち構えていた敵の大軍に捕縛され、将軍を暗殺して脱出しようというところから始まるんだけど、雪降るマシャフがも〜〜〜最高で最高で!続編系のゲームで前作で過ごした場所に行けて「うわ!ここ○○じゃん!」ってなる瞬間があらゆる瞬間の中で一番好きまである。操作できるようになってすぐ目の前にアルタイルの幻影が現れるところとか、脳汁出すぎてどうにかなりそうだったもの(しかしアルタイルは何の事情があってあんなところを登る羽目になったんだよ)。マシャフは放棄されてボロボロになっているから、幻影が通る場所にあった足場が今は削れてなくなっていたりするのが細かくて超好き!ミッションの途中だと一生懸命になりすぎてなかなかスクショが撮れないのが残念。

    でも脱出のときの「馬車の迫合いに勝て(実際は迫合いよりもデコボコ道を走らないことの方が重要)」の仕様だけは許さないよ。

 

この大広間にたどり着いた時の震えは筆舌に尽くしがたい

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”あの”場所だよ”あの”場所ォ!

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無印でグイッとカメラが動くアレよ

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アルタイルの記憶でも行ける

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 今までも写本等でアルタイルの面影はちょくちょく出てきてはいたんだけど、今回は彼について知ることがエツィオの主目的なのでプレイするこちらのモチベーションもダダ上がり。書物庫に行くのはアサシン教団全体への利益になるという面ももちろんあるだろうけど、たぶん一番はエツィオ自身の知的好奇心のためだよね。あとお父さんの夢のため?とかも言っていたな。あくまで個人的な面が大きい旅だから教団との関わりも今回はそんなにはないんだけど、今まで自分の時間を削って大義のために奔走してきたのだから最後くらいは自分のために動きたいという気持ちはよくわかる(そう言いながらも弟子の育成とかバリバリやってるあたり、エツィオも筋金入りの面倒見の良さだよ)。  

 そんなわけで、エツィオは失われた書物庫の鍵を探しにイスタンブールくんだりまで出かけていくわけだけど、いいね~イスタンブール!無印がイスラム圏だったから建物の構造がどこか懐かしくて「これだよこれ!」ってなった。それでいて旧コンスタンティノープルだからローマ建築もあって、文化の混じりあう街って感じがしてよかった。あえて言うなら、歩けるのがこの街ひとつしかないってことが少し物足りなくはあったけど。

 

街全体が黄色いところがいい

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 よその国のちゃんと機能している支部の様子を見られるってのも新鮮でよかった。アサシンの仲間たちの存在を感じさせてくれる展開にはやっぱり燃える。こっちが導師だからか、わざわざそこのトップが出迎えに来てくれるんだけどそのユスフって人が若干馴れ馴れしいけど気さくでいいやつなのよ(そんないいやつが後には……)。時代が下るとともに爆弾だのフックブレードだの道具類の開発も進んでいて、老人だからって踏ん反り返ってばかりもいられないわ。

 あといきなり始まるタワーディフェンスバトル。新しい試みをやんのはいいけど別ゲーにすな!苦手なんだよタワーディフェンス!街の警戒度をこまめに下げることを心がけていればやらなくてもクリアできる仕様で本当に助かった。一般アサシンたちがずらりと屋根上に並ぶ姿とか、一度勝っただけでは安心できずに永遠にテンプル騎士団と奪い合いを繰り返すことになるリアルさとかは結構好きなんだけど。

 それと前回からさらにパワーアップした弟子育成システム!これは本当に楽しかった。今回は弟子がテキスト上で成長していくだけではなく、それぞれを手助けする具体的なストーリーが7人分も用意されているという素敵仕様。とどめを刺したりなど重要な部分を弟子に任せることもあるので「育てている」という実感が違うし、彼らへの愛着の湧き具合も段違い。やっぱりエツィオは天才だから自分が全部やった方が早いという場面もあるんだけど、そこをあえて見守ることで後続が育つように道を整えてやるというのがいつもと違って楽しい。いくら天才でもできないことはあるからやっぱり組織力って大事。

 あと現地協力者のソフィアって女の人が出てくるんだけど、エツィオ50代なのにま~~だ若い女口説いてるよって若干引いてしまった。いや恋は別にしちゃいけないことはないけど、なんで同世代のマダムじゃないんだよ!そこは世の辛酸を舐めてきた知的で妖艶な未亡人とかだろ!?エツィオが子供作らないと遺伝子が現代までつながらないというメタ的な都合もあるかもしれないけど……。ソフィアを見て「浮世離れしたことに情熱を燃やす人を見るのが好きだ」とエツィオが言うけど、私は絶対あの瞬間彼はレオナルドのことを思い出していたと思うんだよ。ソフィアにニコロ・ポーロの手がかりを渡した時の反応が、レオに写本を渡した時の反応とそっくりだったもの。クリスティーナはそういうタイプじゃなかったし……。なんでレオナルドじゃだめなんだよ!やっぱり時代的背景もさることながら、エツィオが究極の異性愛者だからってのがデカいか……くっ……!リベレにはレオナルドの影も形もないのがすごく寂しい。

 メインミッションで一番面白かったのはスレイマンの祝宴に吟遊詩人に扮して忍び込むところ。シリーズの全体の中でも上位に入るくらい気に入ったかも。風格ありすぎるせいでピチピチの服が逆に似合ってないエツィオと、海外翻訳ゲー特有のリズムガン無視歌詞詰込み歌!衛兵にはぼろくそに言われたのになぜか喜んでくれる客!でも歌詞にパッツィとかクリスティーナとかチェーザレとか懐かしい名前が出てきた時は、エツィオの歩んできた日々の思い出が蘇ってきてちょっと泣きたくなった。こんな風に、ただ殺すだけでなく工夫されたシチュエーションって本当に楽しい。

 歴史ゲーとしては、かの有名なスレイマンと知り合えたのも嬉しかった。こういう「まともな指導者」のために行動する時が一番良いことをしてる感覚になる。そのときまともに見えても実はそうでなかったとか、権力を得た瞬間に暗君に変わってしまうパターンとかあるけどそれもまたいい。教団って一歩間違えれば名声や財産等をチラつかされて権力者の私兵になれてしまいそうな位置にいるから怖く感じる時もある。

 しかしエツィオ、導師になった今でも間違えて悪人でない人を殺してしまっているのが皮肉というかなんというか……。弟子ミッションで同じようなことがあったときは厳しく叱ってたのに。どれだけ気を付けても間違う時は間違ってしまうのが人間だから、暗殺を手段とするって相当危ういことなんだろうなとしみじみ思う。

   結局スレイマンのお父さんのお兄さんが今回のラスボス枠だったわけだけど、もうテンプル騎士との話し合いは散々やってきて一生平行線だとわかりきってるから、そこに特筆すべきことは感じなかったな。

    ただ、一般アサシンを大量動員した戦いに燃えたは燃えたんだけど、「これってほぼエツィオの私情に付き合わせているのでは……?」という疑念が消えなかった。テンプルを1人殺したところで何もならないとはいえ、結局ターゲットを自分の手で殺さずに引き下がったのも(のちに弟さんが殺してくれたけど)何か腑に落ちない。というかソフィアを守ろうとしてユスフが死んだのがかなりショックだった。書物庫の在り処を知ることはアサシン全体の利益だし、協力者をむざむざ殺されることはメンツに関わることだから放っておけないという点はあるけど、正直言ってこの戦いがソフィア1人の命と釣り合い(この言い方はあんまり好きではないけど)が取れているとはとても思えなくて……。愛している女じゃなかったらそこまで必死になって助けようとしたかな?と思ってしまう。ユスフが死んだのは、作劇上の都合で教団を動員する動機付けのためでしかないように見えた。戦いで死ぬ危険があるのは一般アサシンのみんなだって同じなのに……私だったら「こんな私情全振りの導師見とうなかった」ってなる気がする。私がエツィオのことを好きというより戦友の類いに感じているのってその辺りが原因だと思う。最後の最後でパラシュートに乗りながら馬上の敵を次々殺していく展開はめっちゃ面白かった。

 

    そんなこんなでエツィオに微妙な反発心を抱いている私は、アルタイルの記憶をやっているときは興奮やら感動やらでいっぱいいっぱいだった。特にアル・ムアリム様を殺した直後自分で操作して遺体を運ぶシーンなんて終始「ウワーーーー」しか言ってなかった。遺体に思いっきり火つけて驚かれてたけどイスラムは土葬らしいから辱めの意味してはそうなるのか。アルタイルにとってのアル・ムアリムは、裏切った時点でもう慕う対象ではなくなってしまったのかな。もともと親代わりとしての愛情もあんまり示してくれなかったって写本に書いてたしね。

 大導師の死後にNo.1アサシンとして教団を率いる立場になったかと思ってたのになんかアッバスに教団乗っ取られてるし。というかここでもう前回の26歳から63歳になってることに仰天した!この間にキプロスに行ったりモンゴルに行ったりしたらしいけど、本当に苦難の道を歩んできたんだなあ。「モンゴルって遠くない?」と思って当時の地図を調べたけどモンゴル帝国でっか!これは確かに脅威。忘れかけていた世界史の知識を一生懸命掘り起こさなきゃいけないから大変だよこのゲーム。

 しかしアッバスの野郎マジ許せねえ。一度死にかけて命を救われたくせにまだリンゴリンゴって筋金入りの馬鹿か?これだから秘宝ってやつは……。アルタイルが不在の間を見計らってその息子を殺していたという事実にもエッてなったけど今度はマリアまで。いくら異性愛に興味のない私でもマリアの遺体をあのままにして一人で逃げだすのは結構嫌だったぞ。一族が受けた侮辱がどうとか嘘がどうとか最後までやってもいまいち理解できなくて調べたんだけど、「アッバスのお父さんが裏切りを悔いて自殺した」というアルタイルの証言が嘘だと思った、ってなんでアルタイルがそんな嘘を言う必要があるってことになるんだ?事実として確定しているのは「お父さんがいなくなった」という部分だけだから、確かに本当のことはわからないと言えなくもないけど、そんな悪意100%で貶めるためだけの発言をする奴だとアルタイルが思われてたってこと?どんだけ信用ないんだ……。どうやらその裏切りが原因でアルタイルのお父さんも死んだっぽいから、その責をアッバスのお父さんに押し付けるために嘘を言ってるんだろうという解釈?調べてる最中に知ったことなんだけどアッバスの野郎本編外でマリクのことも殺したんだって!?ゆ、許せねえ……!大事な親友枠を番外編で殺すか!?制作!!かつてマリクが友と呼んでくれた瞬間どれだけ嬉しかったか……教団の立て直しという重責の中で友の存在がどれだけ支えになったかなんて聞かなくてもわからぁ!許せねえ!調べたことを後悔した……。

    追放を受け入れて(ほぼ言いがかりなのにすごいな)80代になってから帰還したアルタイルだけど、こんなん80代の動きじゃない!走ることができなくてたまにゼエゼエするぐらい虚弱になってるのに、姿勢はしっかりしてるし何よりカウンターのときの流れるような動き!生涯現役じゃん!しかも体力のなさをカバーするために最新鋭の銃の扱いを学んでくるという周到さに痺れた。やっぱり変なプライドをもたないでどんどん新しいことを学んでいく精神をもたなきゃいけないよ。アッバスの配下たちが、帰還したアルタイルの味方になってくれるシーンには胸が熱くなった。教義のためとか忠誠心とか以前に、人として正しいことをするために教団があるんだという心が、何百年経とうがみんなの中に変わらず息づいているという事実……ありがとう……。バエク……アヤ……見てくれよ……。という気持ちになった。アサシンはただの殺人鬼じゃあないんだ。「失われた記録」というおまけ要素(fps視点だと私は画面酔いが激しくて断念したので動画で見せてもらった)の中でデズモンドが監禁されるまでの暮らしぶりが語られるんだけど、その点ウィリアムはダメダメだわ。教団にとって一番大事なのは形式ではなくて志なのに。何のために働くのか教えもしないで、ただ優秀な駒になれと強制するだけして部下を使い潰すなんて本末転倒すぎる。アル・ムアリム様の悪いところ完全に踏襲してるじゃないか。

 

 デズも言ってたけど、両親がアサシンだと他の世界を知る間もないまま自分もアサシンになるように外堀を埋められてしまうっぽいね

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タカの目は全員が使えるわけではないという衝撃的事実

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    最後にマシャフでエツィオとアルタイルの時間が交差する瞬間の感動は言葉にできない(できたらあちこち歩き回って呆然としたかったけどソフィアからシステムが物理的に離してくれなかった)。書物庫だと思っていた場所はとうに空で、そこにはアルタイルの遺体だけがある。当時はプレイの予定がなかったとはいえ、事前に動画で見て知ってしまっていたのがここだけは残念でならない。しかし扉の開け方がわし座(アルタイルのある星座)なのは痺れたな〜〜。彼は死ぬまで教団の同志たちのために身を捧げたんだ……本当偉かったよ……。書物庫に入った瞬間に1でのアル・ムアリムさまの言葉「知識が増えればそれだけ悲しみも増えることになる」が響く演出には本当〜〜に胸を打たれて少しの間動けなかった。あの時否定してあの人の亡骸とともに葬ったはずだった迷いが、年老いてあの人と同じになった今になって身に染みてわかるという演出!みんなのためを唱えながらもどうしようもなく自分の好奇心を満たしたくなってしまう秘宝の誘惑の恐ろしさ!「腰を下ろしゆっくりと休む」を自分の意思で動かさなければいけないとわかったときの震え!一つ一つの展開にいろんな感情が大波のように押し寄せてきた。「彼がせっかく封じた鍵を暴くようなことをしてしまって本当にいいのか?」という小さな懸念がずっとあったんだけど、彼は素質を持つ者が現れてくれることをずっと待っていたんだな。1から続けてやってきて本当に良かった……。

 

    エツィオコレクション……良いゲームだったな……。