感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

『Tales of ARISE』感想

 私は生粋のテイルズ育ちなので、本当に久々にバンナムが新作を作る気を起こしてくれたという事実が嬉しくてやったけど……う〜〜んなんというか……使い古されてるなあ……という感じ?特に最終戦付近はどこかで聞いたようなやり取りばかりで全然身が入らなかった。ヴォルラーンに対して繋がりがどうのこうのとか完全に「もう見た」すぎて……。私自身もう世界を救うとか絆とかいう話に魅力を感じなくなってきたという要因もあるとしても。

 世界観はすごく興味を惹かれる構成で、テイルズお得意の「種族間の対立」から少し変わって完全なる支配・被支配の関係を描いていたのは新鮮だった。そこからアルフィンの出自やシオンの事情、領戦王争、レナの王、星霊術の謎を追いかけていくのはとても楽しかったし、各領独特の自然や街並みや領将たちの多彩さにワクワクした。

 ただ世界観がしっかりしている一方で、パーティーメンバーが信頼し合うまでの描写が唐突に感じる時があった。「そこでそんなに感情的になる?」とか「今そこってそんなに問題かな?」というような小さな違和感が積み重なって彼らの感情についていけないことが多かった。特に光の国でのジルファ・ロウ周りと地の国でのキサラのブチギレ金切り声と風の国でのリンウェルの憎悪・復讐の話とアルフェンがシオンシオンとグイグイ行き始める辺りには「???」となってしまった。

 まず光の国でジルファが死ぬ、そこまではまあいい。シオンのいう通り、戦いなんだから誰かが死ぬことはあり得る。ただ私としてはジルファとまだそこまでの付き合いではないと思っていて(ビエゾ戦の時は別行動だったし)、「話のわかる人だしこれから仲良くなれそう」程度の気持ちだったわけ。それで死んだと言われてもなんだかな〜。「壁を壊せ」が今作のテーマっぽいからそれをジルファに言わせることで導き手としての役割をもたせたかったのはわかる。ダナの人々はレナに虐げられることが当たり前で、それを覆そうなんてほとんどの人は思いもつかないという世界だったから、「奴隷に甘んじるのではなく自分の力で戦える」という選択肢をアルフェンにとっておそらく初めて示してくれたのがジルファで、だからこそアルフェンがその死を強く悲しむのはわかる。そこまではプレイヤーの人生経験との乖離があるから仕方ないとしても、アルフェンの悲しみに対してシオンは怒りすぎじゃね?となって(まあシオンがキツイことしか言わないのは事情があるからだけど)、アルフェンがもう戦うのやめるって言ったわけでもないのにビンタするほど?という戸惑いを覚えてしまった。それが信頼エピソードということになっているみたいだけど……。というかビンタで目を覚まさせるとかいう古臭い展開が単純に好きではない……。

 それでロウの方も自分でジルファを売った結果殺されるハメになったことは間違いないのに、結構すぐに「おのれガナベルトォ!」にシフトしたように見えて、「は?間接的にはお前のせいだけど?」と脳内でハテナマークが乱舞してしまっていたわ。光の国突入時点の私にとって2人は知り合って少しのおじさんとほぼ初対面の息子さんなわけよ。その程度の関係で「親父ィィィィ!」という場面を見せられても「なんか盛り上がってんな〜」としか思えない。ロウが加入した時は新しく仲間が増えたことを喜ぶべき場面だったんだろうけど「お前のせいでもあるんだから仲間面しないで?」としか思えなかった。少なくともガナベルトを倒すまでは「申し訳ないけどケジメの為に協力してくれ」ぐらいの距離感にしてほしい。その後もちょくちょくロウが「俺のやらかし」と話題に出して反省するフェーズが挟まれるのでずっと気に病んではいるんだろうけど、そういうのは加入する前にやってくれない?決して全体の流れとして矛盾しているわけではない、ないけどなんか……速いのよ全てが……。ロウがどうのこうのよりも私は紅の鴉の人達が自分達のいないところでジルファが死んでしまった事実にどんな反応をするのかと心配したのに、こっちは誰も特に嘆き悲しむでもなく「気にするなよ」という対応だったことにも「ええっ?」と思ってしまった。ジルファの死を重くしたいのか軽くしたいのかどっちなんだよ。

 次に地の国の話。この章自体は結構好き。悪の親玉と見なされていた領将が実は権力に無頓着で人々に慕われる好人物だとわかり、倒していいのか躊躇する展開になるのも、実はその人が掲げた「共存」という高尚な理想が建前だったという展開も面白かった。突然融和政策を進められたことでレナ人の間でも水面下では分裂が起きていたというところもリアルで良かった。良かったんだけどテュオハリムが真実を告白した時のキサラさんの豹変ぶりがあまりにあまりで正直ドン引きしました。そんな「イイヤァアアアア!!エアアアア!!」みたいな金切り声出さなくてよくない?いやお兄さんが目の前でドロドロの物体になったと考えたら無理もないかもしれないけど、これもロウたちの時と同じでキサラさんともお兄さんともこっちは出会って2日ぐらいしか経ってないのよ。そんな状態で理性的な女騎士だと思ってた人が突然発狂してみなさいよ(今思えばその少しの間でも兄さんに対する反応はちょっと過剰だったけど)。彼女らがどれだけテュオハリムに心酔していたかなんて知らないからまた「なんか盛り上がってんな〜」状態。しかもたとえ実態がどうであれテュオハリムは「レナとダナの平等」を口先だけではなくちゃんと統治で結果として示していたじゃない。ただ人の苦しみを見たくないだけなら自分だけ王宮に閉じこもって見えない聞こえないを貫き通すこともできたのに実際に行動している(これは章の最後でアルフェンも言っている)。それで現実に人々の苦痛と絶望が減って豊かな暮らしができているなら内心がどうとかそんなに重要なことかな?キサラさんは目玉をギョロギョロさせながら「殺す!殺す!」と喚いていたけど、彼を殺したところで絶対に今より国が良くなるはずがないどころか、拠り所を失った民は絶望の日々に逆戻りだろうに。テュオハリムは領将なのに知らないことが多すぎたという点は悪かったけど、流石に殺されるほどの罪は犯していない。キサラさんがその発狂タイムを「二度と顔を見せないで」で締めくくった時は「あっ、この人その結果民がどうなるのかとか全然考えられないんだな……。」と私の心が完全に彼女から離れてしまった。「近衛兵まで勤めながらその程度の視野の狭さなんだ……。」って。終盤ではさすがに思い直したのか「あなたのおかげで助かった人々もたくさんいますよ」とか言うようになったけど、後悔したり謝ったりするフェーズがないのでいつのまにかシレッと鞍替えされていたように感じた。なあなあにしないで一度真剣に謝ったほうがいいと思う(テュオハリムもなんか「君にも私を殺す資格があったな」とか言うけどそれだけはない、マジでない)。彼も彼で重篤PTSDもちというか、悲鳴を聞くだけで星霊力が大暴走ってよくそれで今まで領将やれてたな!ここはゲームの構成上領将との戦闘をしなければいけないノルマがあるから無理矢理暴走させたように見えた。彼のトラウマの原因となった出来事に関しては、相手が原因を作ったとはいえ親友を殺してしまったことに対して「あいつが悪い」とは言い訳のようだしフィアリエを更なる絶望に落とすだけだから言えなかったという心理は仕方がないし、その結果悲しいすれ違いが起きてしまったのも仕方がないと思う。ただ終盤でその恨みがすべて誤解から来るものだったと知った後もフィアリエがそれまで彼を散々罵ったことを謝らなかったことに驚愕した。こいつらもしかして謝るという行為を知らんのか?

 でも領将を殺さないままでメナンシアの解放にどう決着をつけるのかなと思ったら、「もう平等の種は人々の中に根付いているから導く者がいなくても彼らだけでやっていける」という締め方になっていたのは素直に良いと思った(でも責任ある地位の人が「じゃあ俺やめるわ!」つってスッとやめるのは後の人が普通に困るだろ)。ジルファがリーダーであっても支配者にはならないために「自分で考えろ」と逐一言っていたところといい、「誰かを盲信するのもまた奴隷の一種だ」というメッセージを随所に散りばめてくるのは良かった。ただ要所要所での作りたいシーンが先に決まっていてそれにどうにか合わせているようなぎこちなさがあった。

 私が一番納得いっていないのは風の国でのリンウェル関連のこと。リンウェル自体のことはパーティーの中で2番目くらいに好きで彼女に文句があるわけではない。ただ復讐をロウが止めた理屈だけは全然理解ができなかった。実際にリンウェルが言っていたように、ガナベルトを殺した時と何が違うのかをちゃんと説明してほしい。シオンの言う「憎悪を解消するためだけに復讐を成し遂げたならその後の生きる目的を見失ってしまうから」という部分は理解できた。つまりロウがガナベルトを殺した(RPGはどう見ても殺しているのに倒したと表現する場合があるのであえて殺したと書く)のは明日へ進むためだから良いんだと。でもその後いざアウメドラを殺すか殺さないかというシーンでリンウェルが急に「生きて罪を償わせる」とか言い出した時は「は?何を言ってんの?」と思った。償わせるって何を基準に?誰がどうやって?法で?どこの法で?レナの法に「奴隷をドロドロにしてはいけない」と書いてあるとは思えないけど……。ダナの法で領将を裁くなんてもっと無理だろうし……。レナの支配が無くなって共存社会もしくはダナの社会の秩序が機能するまで生かしておく気?どうやって?いや方法なんてぶっちゃけどうでもいいけど、私が一番腑に落ちないのはなんでガナベルト(ビエゾは星霊さんの介入があったから事故と言い張るとしても)は殺して良くてアウメドラはダメなのかってことだよ。法が機能しない場合でも人として許してはいけないラインはあると思うけど、それで言うならガナベルトの方が人をドロドロにしていないだけまだ良心的な方だろ?「生きて償うのが一番の罰」とかいうお決まりの理屈をもってくるかもしれないけど、その罰が機能するのは人々の間で「犯してはいけないライン」がちゃんと共通認識になっている場所だけだろ。今更ダナから白眼視されたところでレナから何か言われない限りノーダメージだよアウメドラは。本当にここだけは意味がわからなかった。リンウェルの手を綺麗でいさせるための詭弁にしか見えない。まるでどこかからテンプレを引っ張ってきたかのような会話。なんだ「生きて償わせる」って。刑事モノか? 

 文句が多めになってしまうけど一番魅力が無いと感じたのは主人公のアルフェンかもしれない。熱くていい奴なのは確かだけどなんというか「主人公のテンプレ」という印象で引っかかるものが何もない。仲間に対してかける言葉もどこかで聞いたようなものばかりに聞こえる。例えるならSNSで誰からも大きな反感を持たれない程度に上手く立ち回りつつたまに意見っぽいことを言う人って感じ。自分でも今までの主人公と何が違うのか説明しづらいけど、彼が培ってきた経験とその熱い性格に繋がりが感じられない……のかな。奴隷だった過去から自由の大切さを知る、という理屈はわかるけど奴隷をやめる前と後で特に性格に変化があるようには見えない。まだ仮面がある頃に人に対して励ますようなことをバンバン言えていたのは、記憶が無いゆえに自分には悔やむような過去が無くて前だけ見ていればいいという一種の気楽さがあったんだろうと思う。でもいざ記憶を取り戻して「実は元被検体で大量殺人の過去がありました」とわかった後すら一時的に落ち込んだだけで特に変化が見られない(他に追うべきことが多すぎて腰を据えて考える機会がなかったのもある)。おそらく大イベントがあっても総合的には全く変化していないように見えるから軽く見えるんだろうな。私の方も300年前と数字だけ示されても実感が湧かないし、レネギスの人々がどんな様子で暮らしていたかも全く知らないので、「かつて多くの人を殺したんだ!俺の手は汚れている!」とか急に言われても全然響かなかったという点もある。言っちゃ悪いけど過去に大きな罪をおかしてしまった主人公とか今更珍しくもなんともないし……。

 一番わからないと思ったのが彼のシオンに対する過剰な情熱で、彼女がヴォルラーンにさらわれた後に彼が「シオンはいつも俺を励ましたり叱ったりしてくれた。いてくれるのが当たり前だったんだ。」とか言うんだけど、その時点ではそんなに励ましたことあったっけ?主にシオンがアルフェンの歩み寄りを悪いようにばかり解釈して「私に文句があるの?」みたいな態度でずっとギスギスしてなかった?シオンが本当は人を思いやれる子なのは治療イベントやらで私にももちろん理解できてはいたけど、そうは言っても冷血ではないというだけで一般的な優しさの範囲に見えるので、アルフェンがそこまでシオンシオンとうるさくなる理由としては弱い気がした。記憶が戻る前なら「ネウィリの面影を見ている」で説明がつけられるけど、そこも記憶が戻った後何の変化もなかった。そういう色々なな違和感のせいでシオンが荊の真実を告白してアルフェンがみんなの前で熱く抱きしめる感動シーンにもいまいちノレなくて、「ハイいつもの~私が死なないと世界が滅びるやつ~」というテンションにしかなれなかった(この点に関しては私自身が昔ほどボーイミーツガールに対して熱くなれなくなっているという要因もあると思うけど)。ネウィリのことを大切にする理由ならわかるので、彼女の救ってくれた命と託してくれた未来のために戦うと言ったところはすんなり受け入れられた。

 シオンの側も1回目のヴォルラーン戦直前まで「要らぬ気遣いは迷惑よ」とまで言っていつもの険悪な空気をさせていたわりに、ヴォルラーンの攻撃からアルフェンを庇ったときはかなりびっくりした。でも彼女の対応は生育環境のせいで人に気遣われるという経験が皆無だったからこそテンパっていたのだろうと思えばわからなくもない。日頃憎まれ口を叩いていても本当に相手の命が危なくなったら身体が動いてしまった、ということも現実的にはあるし。欲を言えばその心情のぐちゃぐちゃ具合を逐一画面上で描写してくれてもよかったけど、それが無くても違和感というほどではなかった。彼女がアルフェンに心を許したのは、どれだけ遠ざけようとしてもお構いなしに関わってやると宣言されてしまってはもうわざわざキツイ態度を取ること自体無意味になるから、ということはわかりやすかったと思う。自分のことを仲間だなんて言ってくれた人は初めてだとも言っていたし、アルフェンを好く理由は十分にある。

 

 悪いところばかり書いてしまったから良いと思ったところも書こう。ヴォルラーンを倒しに行く辺りで「終盤っぽい空気になったけどまさかこのまま終わったらどうしよう……。でもテイルズあるあるの『大きな戦いを終えて一ヶ月後』って展開にしてくれるよね?でもオープニング映像に出ていた人はもう全員登場しちゃったしな……。」なんて危惧していたのだけど、まさかオープニングを2つも作ってくるなんて度肝を抜かれたわ!まあ流石にレネギスとレナに一度も行かないで終わることはないと思ってたけど、エクシリアの前例があるので行くだけ行って中身はスカスカの街だったらどうしようかと心配しちゃった。テイルズは好きだけどそれと同じくらい過去の所業に対する信頼のなさもあるから……(結局愚痴)。 レネギス自体が侵略のための中継地点でしかなく、街が1つしかないので行けるところはそんなに多くなかったけど、ストーリー的にうろうろ歩き回るような状況でもないし街で各領将を支持する人から彼らの人物像について聞けるイベントがあったのでやばいくらいにワクワクした。ダナから見たら悪鬼のような領将たちにもそれぞれにレナとして生きてきた人生や信念があって、彼らのおかげで助かっている者たちも沢山いたということがわかるのは深みがあって良い。 

 

さながら宇宙世紀のような光景も見られたし

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 あとメニュー画面のイラストがストーリー進行に合わせてガラリと変わる仕様なのがめちゃくちゃオシャレで感動した。今までもセーブ画面でパーティーメンバーが徐々に増えていくことはあったけど、構図も色合いも丸ごと変えて状況にバッチリ合わせてくるのはすごい。

 最初にも書いたけど各領の風景や建造物が凝っていて歩くのが楽しかった。特に水の国の首都はアビスのグランコクマに似ているようで全く違う、住むための街ではなく権威を示すための街という説得力のあるデザインでよかった。

 

スクショだと色合いが変わってしまうけどプレイ画面は1.5倍くらい色鮮やかなのよ

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床下に水が流れているのが本当に綺麗

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 メニューから料理が作れなくなった代わりに野営システムになったけど、私はもともと戦闘ガチ勢じゃなくて料理はあまり使ったことがないのでこっちの方が「仲間と旅してる感」が感じられて良い。

 それとフクロウが色んなところに出てくるのが珍しくていい。猫とか犬とかはポピュラーだけどフクロウはなかなか無い。漆黒の翼のリーダーが黒いフクロウを大切にしていたというエピソードもよかった。

 

出会ったフクロウが集まってくるフクロウの杜がとっても可愛い

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 サブイベントで好きなのは「超!絶!美味大国!」

 一番好きなキャラはテュオハリム。レナ人の中で権力より音楽や美術の方が大事と言う人は相当珍しいという異端な感じもいいし、そういうズレた性格だからこそメナンシアでの統治に繋がり、さらにその経験があるからこそ新たな時代のレネギスを背負う存在になれるという流れが素晴らしかった。それでも清廉潔白というわけではなくて消極的ゆえに人との軋轢を生んでしまったり、レナ人としての当たり前を生まれた時から教え込まれているのは他の人と同じだから無意識にダナ人を下とみなした発言をしてしまったりするのがリアルでいい。あとちゃんと謝れる(これ重要)。彼とリンウェルとの絡みが好きで、リンウェルが魔法使いゆえに酷い言葉を投げかけられたら庇ってくれた話とか、いつか2人で遺物博覧会を開こうと相談している話とかがすごく良かった。

絵面が可愛すぎる

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  最初にも書いたけど世界の謎を紐解くのが一番楽しかった。真相に迫ったと思ったら次から次へと謎が増えていくので頭が忙しかったけど、その時開示されている情報を一生懸命整理して推測していくのが面白かった。「領将のそばにいつもさりげなく控えていた、リドウさんそっくりのデザインの赤い人が実は本当のレナ王説」を2割くらいの真剣さで推していたので予想がほぼ(レナ王ではなかったが)的中していたことが超嬉しかった。あと「レナ本国の星霊力は既に枯渇していて実は誰も住んでいないのではないか説」も「王に選ばれた領将は決してそのままの自分として王になれるわけではないのではないか説」も。でも我々がレナ人と思っていたのは後から作られた存在で、本当のレナ人は異形の存在だったというところは予想外だったな。ダナの星霊術師がいる時点でレナ人との遺伝子の違いの問題ではないから、2つの人種は元々同じ星で暮らしていたんじゃないかとまでは考えていたので惜しかった。

 

 戦闘面では、術技を次々と簡単に出せてブーストを挟めば連続ヒットを狙える点が前作の正当進化という感じ。SEがドパンドパンと飛び交うのは気持ちがいいがエフェクトが渋滞してどれが味方の術だかわからないという弊害もあった。しかしスピード感と言えば聞こえはいいがいくらなんでも速すぎる時がある。緩急の緩がまるで無いので常に忙しい。ブーストストライクはほぼ毎回の戦闘で使うためにスパッと終わらせたいのはわかるし実際スパッとしてくれた方がありがたいのだけど、単純にカメラが近すぎたり対象がカメラの中央にいないことが多いので何が起きているのかわかりづらい。それに秘奥義はブーストに比べて出す機会は少ないのだからあんなに速くしないでゆっくりめに見せてくれていいのにと思う。この点はベルセリアで良くなったのにゼスティリアに逆戻りしている。演出もブーストストライクの方は新鮮なものは多くて良かったが、秘奥義は「いつもの」と感じるものの方が多かった。私のお気に入りは衝破十文字とかテュオハリムの第一秘奥義とか。

   それとエネミーの種類がいつもより少ない気がした。属性ごとの色違いばかりで実際の動きは同じなので「またこいつか」と思う。設定上はレナが人為的に作ったものなので種類が少なくて当然なのかもしれないが、単純に戦っていて新鮮味が無い。星霊力の楔?で大型エネミーが出て「おおっ!」と思っても流れとしては雑魚敵を倒す→コアが無防備になるからタコ殴り、というワンパターン。イフリートさんなんてイベントシーンのワンパンで勝手に倒される始末。

   最後にまた愚痴を言ってしまうけど、パーティーが最終戦前で仲良し2人組×3になるのはいつものことだし6人としての仲間意識とは別に個々で付き合いやすい組み合わせというものもあるからそこは良い。でもその2人を全部男女の恋愛関係にするのはマジでやめてほしい。1つくらいは「ただ気が合う」という組み合わせでも良いだろ。それかせめて片想いとかさ……。ロウ→リンウェルは露骨だけどリンウェルはそんな気は無いのかなと思ったらサブイベで頬染めてるし……。キサラがテュオと愛称で呼ぶだけならまだ友情や信頼と取れなくはないのにそれにリンウェルが触れちゃいけないみたいな空気出すのもマジかよと思ったし……。全員が示し合わせたかのように綺麗に割り算されるのは気持ちが悪い。

   あと温泉イベはともかく覗き関連まだやってんのか……と呆れた。昔そういう話が軽いギャグ扱いだったことはもうどうしようもないが、未だにそれを引きずって「シリーズ伝統だから!」と必死になって守ろうとしているゴミみたいな感性が何より残念だわ。そのシーンになるとテュオハリムが急に「男のロマンが〜」とか言い始めるのキャラ的におかしいしスタッフのおっさんが乗り移ったのかな?と思った。

空知英秋『銀魂』の話

 定期的に情熱が再燃する漫画。完結した直後はあまりに胸がいっぱいで放心してしまったけど、また読み返していたら色んな感情が蘇ってきたので一度まとめてみたくなった。

 自分がいわゆるオタクであると自覚し始めた辺りにちょうどアニメ銀魂全盛期とブチ当たって、知り合いのオタクの女の子は高確率で銀魂式ツッコミを習得してるみたいな世界で育った。もはや成長期を銀魂と共に走ってきたと言っても過言ではないレベル。まああまりにしょーもなさすぎる下ネタとか、主にドラクエをやったことがない人に不親切なパロディばっかり繰り出してくるところとか、人情話が大体最後の方で「こいつは不器用なだけでそんな悪いやつじゃなかったんだよ」展開になるワンパターンなところとかには今も昔もそこまでノレなかったんだけど。

 それでもキャラクターたちがちゃんと「生活している」というか、普通なら描写しないであろう生々しさまであんなに具体的に描く漫画は私の知る中では銀魂が一番だと思う。大抵の漫画での「悪い面を描写する」っていうのは内面の話であって、ヒロインがゲロ吐いたり主人公がウンコする場面を映したりキャラが痔になったりマヨネーズまみれになったりしないでしょ。いや別にしなくていいんだけど、銀魂はかぶき町で「生きている」人たちの漫画だから、そういう間抜けな場面がわざわざ描かれていることで漫画の中であっても彼らがリアルな人間と地続きの存在だという説得力になっている。あるキャラがカッコいいシーンを見せたと思えば次のページではもう誰かからのかかと落としで地面にめり込んだりしているし、真面目キャラでもクソ真面目にパトリオット工場とかやっちゃったりする。高杉くんレベルのシリアス枠はそこまでぶっ壊すことはしないけどヤクルコ大好き話とか銀時とのしょーもない口喧嘩とかして、完全にとはいかないまでもなるべく平等に全キャラを地に落とすシーンを作っている。そんなのいざやろうと思ってもここまで徹底することはなかなかできることではないと思う。この漫画は「無様に這いつくばってでも生き続けてやる」というようなことを話の結論にすることが多いんだけど、そんなよくありそうなセリフでも数々の積み重ねがあるおかげで「無様」の説得力が違う。銀魂の場合は本当に文字通りの醜態というか、這いつくばるだけでは飽き足らず身体から出せる汁は全部出すとかそんなレベルだから……。

 空知先生が20巻ぐらいで読者から言われた「銀魂がどこに向かっているかわかりません。テーマのようなものはあるんですか?」というような質問に「今のところは僕にもわかりませんが、完結した後で『ああこんな話だったんだな』と思ってもらえるんじゃないでしょうか」と返していたのだけど、最後まで読んでみて私は「何もかも失った銀さんがもう一度自分の居場所を得る話」だと思ったかな。こう書くと単純に聞こえるけど、銀さんがいろんな人と関わって背負って背負われてきた積み重ねを75巻分読者も見ているから、彼らを守りたいと思う銀さんの気持ちを言葉以上に実感として理解することができる。そういう気持ちをもう一度抱かせてくれる人々に出会えたことにどれだけ銀さんが救われたのかがわかる。

 しかしつくづく思うのは、「もう二度と背負うまい、背負わせるまいと思っていたはずなのにいつのまにか背負っている」と言うけど、ただ流されるまま生きてぼうっと突っ立っているだけではここまで強固な絆は生まれたりしないということ。銀さんの周りに彼らのような一本芯の通った人々が集まったのは紛れもなく銀さん自身が彼らの大切なものを守るために行動してきたから。離すまいと手を伸ばし続けてきたからこそ、その手を握り返してくれる人たちと繋がってこられたんだと思う。

 そうしてみんなの大切なものを護り続けてきた銀さんが最後に自分自身の願いを叶えに行くという最終章の展開には感極まって涙が止まらなかったし何度読み返しても毎回泣いてしまう。その願いが松陽先生を解放することなのにも泣いたし、高杉くんを失いたくないという気持ちをずっと抱いていることにも泣いたし、それは俺のわがままだからとみんなを置いて行ったことにも泣いたし、最後に松陽へかけた言葉が「俺、こいつらと万事屋やってんだ」なことに銀魂の全てが詰まっていて泣いた。誇張でなく泣きすぎて目の前が全く見えなくなるくらい泣いた。松陽が「侍」を教えてくれたおかげで今の銀さんがあるのだから、そんな相手にかける言葉として「俺は元気でやってるよ」以上のものはない。あのシーンを読んだ瞬間、銀魂を好きでいて本当に良かったと心から思った。

 

 好きなキャラクターとシーンの話

・沖田くん

 中学生の頃から沖田くんがずっと好きだ。全てのフィクションキャラクターから絶対に1人を選ばないといけないとしたらおそらく彼になりそうというぐらいの好き。昔はドSをカッコいいと思っていたのと最強厨だった(今もだけど)のと顔面が好き(今もだけど)という理由が大きかったが、今は違う見方からも見られるようになって、さらに彼を好きな理由が増えている。

 一番好きなところは、人を斬ることに快感を覚えるタイプで一歩間違えれば鬼になってしまえる素質を秘めているのに、ミツバさんや近藤さんや土方さん(沖田くんは絶対に認めたがらないと思うけど)のおかげで奇跡的に警察をやれているというところ。私はダメになりそうなところをギリギリのバランスで正の側に踏みとどまれているキャラが大好き。『将軍暗殺編』で姫様を守る姿が最高にカッコよかったし、人斬りの魂が巡り巡って弱いものを守るために刀を振るうことになっているという運命のいたずら感がたまらない。それと『さらば真選組編』で真選組が解散させられた後も頑なに制服を着続けていたところは健気すぎて震えた。志というよりは近藤さんのために剣を取っていた沖田くんにとって、真選組でなくなるということは自分の存在意義がなくなるということと同義なんだよね(一応自分なりに護るべきものの基準をもってはいるんだけど)。こういうところを見ると「Sだからこそ打たれ弱いの!」の意味がじわじわとわかってくる気がする。

 土方さんに対する複雑怪奇な愛情ぶりも大好きなところ。まあミツバさん回の「大事なもんのなかに土方も入っちまってる」という言葉でもう答えは出ているんだけどさ。でも気に入らないというのも間違いなく本心で、その中には大好きな姉上を取られて悔しいという気持ちもあるし、何で姉上の気持ちを受け入れないんだという苛立ちもあるし、さらには2人がくっつかなくてほんの少しホッとしている自分への苛立ちもあると思うんだよね。あとは単純に人間としての器で勝てないとも感じているかもしれない。土方さんの正しさを理解しているからこそ、その正しさにムカついている。監禁騒動の回の殊勝な言葉の数々は、演技とは言っていたもののほぼ本心だったんじゃないかと私は勘ぐっている。あとこれも推測だけど、本当に土方さんが副長を降りるなんてことになったら誰よりも落胆するのは沖田くんだと思う(『真選組動乱編』ではあんな感じだったけど妖刀の影響にどこまで勘付いてたのかは謎だし)。もし自分が副長になれたとしてもいい気分なのは一瞬だけで、すぐに以前の真選組が恋しくなるんじゃないか。

 しかし何より度肝を抜かれたのは、『さらば真選組編』で近藤さんの命が危ういという極限の状況の中「近藤さん助けるのも見捨てるのもアイツ(土方)と行く」と言い切ったシーン!あれはヤバかった……。今まで散々命を狙ってきたのにそんなの……反則じゃん……。憎まれ口を叩いていても近藤さんと真選組を思う気持ちは完全に一緒だとわかっているからこそできる発言……。結局お前ら超仲良しじゃん……。

 あと銀さんと土方さんの入れ替わり回であっさりトシさん(中身銀さん)に懐いてたのがよかった。土方さんの「俺には全く懐かなかったのに」とかいう言葉のチョイスも何かかわいかったし。沖田くんと銀さんのゆる〜い仲良し関係が私はすごく好きなんだけど、沖田くんにとっての銀さんは土方さんと一部似てはいるもののほとんどの部分はちゃらんぽらんという存在なので、いつも土方さんに抱いている「こいつには負けられねえ」みたいな感情が湧かないから肩肘張らずに懐けるんだと思う。要は「ムカつかない土方」。でもムカつかない土方なんて土方じゃないから土方にそうなって欲しいわけじゃない、みたいな。銀さんも何だかんだ説教したがりな部分があるのに沖田くんに対してはあんまりしないのは、彼を叱るのは土方さんの役目だからという認識だからなのではないかと私は勝手に思っている。

 

・土方さん

 『バラガキ編』での姿が本っ当にカッコよくて、あれ以来私の中でこの人に対する憧れのような気持ちがデフォルトになってしまった気がする。自分のこととなると何にも言葉が浮かんでこないのに人のためとなったらあんなに丁寧で情に溢れた手紙を書いてくるなんて反則でしょうが……!

 土方さんの一番いいところは真選組を守りたいっていう気持ちに素直なところ。この漫画恒例のツンデレのくせに近藤さんへのまっすぐな想いは全然隠そうとしないのが良い。

 土方さんが銀さんに恩義を感じるのは今まで何度も何度も真選組の危機を救ってくれたからだと思うけど、銀さんから見て土方くんはどう見えてるのかな?と考えてみた。おそらくだけど、初めて斬り合ったときの理由が「近藤さんの名誉=真選組を守るため」だったのが琴線に触れたんじゃないのかなあ。土方さんに限った話ではないけど、銀さんは守りたいもののために剣を振るう奴には優しいから。自分が失ってしまった輝きだからこそ、それを未だに持ち続けている人が折られるのは見たくないという心理がはたらくのではないか。『さらば真選組編』のスナックすまいるで、副長としての責任にがんじがらめの土方さんをその想いごと守るために銀さんが自らその拳を受けるところ、あんなことされたら誰でも「超カッケェ……」ってなっちゃうよ。

 『さらば真選組編』は万事屋と真選組の絆をふんだんに見せつけてくる大好きな長編。土方さんがもう一度真選組として戦う決意をするとき銀さんが一緒に扉を開けてくれたことにも燃えたし、敵の船に突入するときに土方さんが足を踏み出した隣から銀さんが現れる演出には鳥肌が立ったし、そのとき土方さんが放った「俺はようやく真選組になれたよ」という言葉への感動は尋常じゃなかった。土方さんが守りたいのは真選組の居場所でもあり万事屋の居場所でもあるなんてことを突きつけられたらもう……胸がいっぱいで何も言えねえ……。

 土方さんも沖田くんに負けず劣らず近藤さんを己の存在の支えにしているから、近藤さんが死んでしまったかのように見えたとき何もかもが失われたような気持ちになって足が止まってしまったところに、銀さんが「戦ェェェ真選組ィィィ!」と発破をかけるのもものすごく良かった。近藤さんが喪われても動けるのは万事屋が部外者だからで、でもただの部外者でないからこそそういう言葉を届けられる。そんで近藤さんが死んでいなかったとわかったときの土方さんの顔!空知先生表情に感情込めるの上手すぎだろ……。

 

・神威くん

 個人への好きというより『洛陽決戦編』のラストの流れが好きすぎてそれ込みの好感度かな(そこでの阿伏兎の行動も含めて)。

 彼が最強にこだわっていたのは単に親父を超えるために見えて、実のところあのとき親父をねじ伏せてでもお母さんを連れ出せなかった己の弱さ(たとえそれがお母さんの意志に反するものでも)お母さんが弱っていくのに見ていることしかできなかった己の無力感を打ち払うためでいいのかな? 本当は傷ついているのに傷ついていないふりをして、あらゆるものへの執着を捨て去ってどんな喪失にも傷つかない心をもてるようになれば最強になれると信じたということ?そりゃあ銀魂における「強さ」とは真逆の理屈だわ。それを叩っ斬って「最後までお母さんの死から逃げなかった神楽の方が強い」という結論に行くのがめちゃくちゃ銀魂らしい。

 私は「全てを捨ててしまいたいと投げやりになった人が最後まで捨てられなかった一欠片の想い」が昔から好きなんだけど、『洛陽決戦編』はこのテーマど真ん中に切り込んで来てくれたところがめちゃくちゃ好き。極限の状態の中で生まれた一瞬の迷い、どれだけ言葉や態度で取り繕おうとその「迷った」という事実だけが本当の気持ちを映し出している。自分の本心を正しく理解することは本当はすごく難しいことなのかもしれないと私は日頃から思っているから、こういう風に無意識の現象が先に発生して「ああ、自分ってこう思っていたんだ」と気づく展開が何よりも好き。

 心がとっくに離れているのに家族家族と表面上の体裁だけを整えたがるのは好きではないけど、神威くんの心には家族への想いがちゃんとあったってことだから、彼が余計な強がりを捨てて自分の怖れを認める勇気をもてて本当に良かった。

 それだけでも十分良い話なのに、さらに好きな部分は阿伏兎が「たとえ空っぽでもあんたは俺たちの誇りだった」というシーンね。神威くんあなた全然空っぽなんかじゃないじゃん……!めちゃくちゃ愛されてるじゃん……!阿伏兎が腕もがれるまでされてるのに、文句言うだけでずっと付いてきてくれてたのってそういうことかあ〜〜。最強に向かってひた走るという夢を見せてくれたからかあ〜。家族の話題には一切干渉してこなかった阿伏兎が、神威くんの夜兎としての誇りが損なわれそうになった途端に割り込んでくるのがものすごく良い。神威くんは家族からは逃げてたかもしれないけど、新しい関係をちゃんと築けている時点でもう十分居場所はできちゃってるじゃないか。『洛陽決戦編』は「兄の自分も海賊の自分もどっちも本当の自分」という結論までがあまりにも美しくて……良すぎる。

 しかし今更だけど神楽ちゃんにとっての万事屋がもうひとつの家族だということがもはや誰にとっても共通認識になっているのがめちゃくちゃいい。それも露骨に銀さんが父親で新八が兄とかではなく、ただただ家族っていうのが本当にいい。新八と神楽ちゃんの間に優劣がなくて運命共同体って感じなのもしみじみと良い。

 

・高杉くん

 銀魂を語る上で絶対に外せない存在。これも彼個人への好きというよりは銀さんとの関係性があまりに良すぎるせい。長いことラスボス枠でキャラを壊せないから銀さんとはニアミス以上のことは起こらなかったんだけど、『将軍暗殺編』から最終回まで怒涛の絆エピソードを叩きつけられたせいで私はもはや息もできないくらいだった。「俺はまだ破門されてなかったんだな」のシーンを初めて見たときは泣きすぎて大変だったもの。高杉くんの失った左目に最後に映したのが銀さんの泣き顔で!?その光景がずっと頭から離れなくて!?互いに自分を切るよりももっと痛い相手を斬ることで先生の仇を取ろうとしていて!?銀さんが「この世でこいつの気持ちを誰よりも知っているのがこの俺」「こいつを斬るのも護るのもこの俺」って言って!?「俺にはお前が、お前には俺がいる」ってもう男2人としての究極の答えがここにあるんだけど……。

 高杉が銀時を斬る理由は何も銀時が憎いからではなくてむしろその逆、銀時に先生を斬るなんてことを選択させてしまった己へのどうしようもない憤りだったなんて……。実際に先生の命を絶ったのは銀時だけど、そうさせたのは自分が弱かったせいだと。自分たちなんかを護ることを「選ばせてしまった」と高杉はずっと思い続けてきたのか……。そりゃあそんな銀時を恨めるわけがないじゃないか。「なぜ俺たちを選んだ」と問いながらも彼がそうする理由なんて手に取るようにわかるから、責めたい気持ちと責められない気持ちとの板挟みでただ悲しみと怒りと無力感だけが暴れ狂っている状態だったんだ。仕方がなかったのだとわかっているからこそ「もし」を夢想せずにはいられなかった。「お前一人なら先生と共に逃げられたはずだろう」という言葉にどれだけ銀時を買っていたのかが現れているもの。

 2人にとって互いを斬るということはその死までもまるごと背負うということで、「お前を斬った」という罪も含めて全部俺が請け負うからお前は楽になれという意味でもあったと私は思う。憎み合うどころかお互いが大切でしかたないくせに、相手の存在そのものが過去の無力の象徴でもあるから今まで通りの仲間ではいられない、だったらせめて自分の手で斬ることが相手にしてやれる精一杯のことだと思っていたんじゃないか。

 銀魂は2つの勢力が争ってると思ったらもっと大きくて外道な第三勢力が漁夫の利を狙ってきて結果的に最初の2つが共闘する展開が多いから「またそれかい!」と思うこともあったんだけど、一橋公が鬼兵隊を見捨ててくれたことには「本当にありがとう……」と思ってしまった。ぶっちゃけ銀さんと高杉くんが共闘するにはそれしかないからね。

 数ページとはいえ攘夷四天王の共闘も見られたし、虚との総力戦では地上と宇宙で別れて戦っていたので2人の立場を考えたらこれ以上を望むのは贅沢なのかなと考えていたら最終章でまさかの高杉くんの方から共闘の誘いがあって、あまりに私の望んだ光景すぎて夢見てんのかな?と思ったくらい。憎くて別れたのではないからこそ「ただ、救いに行こうぜ」という単純な言葉が高杉の口から聞ける瞬間をもしかしたら銀さんもずっと待ち望んでいたのではないか。高杉と対峙するのではなく、同じ方向を向いてもう一度共に歩けるという瞬間を。

 それでも高杉くんは事あるごとに銀さんに向かって「お前のあるべき場所はここじゃねえ」みたいなことを言ってくるんだけど、それってつまり銀時が新しい仲間たちと幸せに暮らせることを望んでいるって意味だからね。もう銀時に辛いことは背負わせたくないって言ってるのと同じだから。この漫画ホントにツンデレばっかりだな。それに対する銀さんの「取り戻さなきゃならねえもんなんてもう何もねえよ」という返しに万感の想いが込められていて、もうウワアア〜〜〜!としか言えない。サクラミツツキで言う「欠けた月の半分」って銀さんにとっては高杉くんだったんじゃないのかな。その欠乏を埋められた銀さんはもう……無敵よ。高杉くんが敵を葬るために自分ごとアルタナの渦に飲まれるのを阻止した後の銀さんのまっすぐな目を見たら、「本気で"全部"を守る気なんだな」とわかってしまった。ただ銀さんもそこまでやっておきながら「お前が大事なんだ」とまでは明言できないツンデレだから、新八と神楽がたどり着いたのを見届けた高杉くんは本当に満足そうな顔をしながら1人で行ってしまうんだものな。銀さんの守りたい世界は高杉くんがいる所も含めての世界なんだってちゃんと伝わってた!?まあ伝わってたとしても行ってしまうんだろうけどね!?

 しかし虚に変わった高杉を斬る直前に、痛みを堪えるような銀さんの口元を映すのズルすぎるだろォ!?互いを斬るのが一番痛えって言ってんだからそりゃ辛いだろう悲しいだろう……やりたくないだろう……それでも互いに信じるもののため斬らなきゃならねえ、ってもうどんだけ読者を泣かせれば気がすむのかな!?やっぱ空知先生ってすごすぎる……。

 左目だけでは飽き足らず右目まで銀時のツラを焼き付けて終わるってそんな……そんなの……ありがとうって言いたい気持ちと言いたくない気持ちで引き裂かれそうになるわ!銀さんが泣きたいほど辛いくせに頑なにそれを気取らせまいとしたのも、高杉が「シケた面してんなよ」と言ったのも全部お互いのためだし……!もうホントお前らというやつは……!いろいろな感情が混ざり合ってめちゃくちゃだけどやっぱ言うわ!ありがとう!

    

『FINAL FANTASY VII REMAKE』感想

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 私は生粋のテイルズ育ちで、日本のRPGとしてはおそらくその一段階上の知名度であろうドラクエやらFFには一切触れてこなかった人間なんだけど(主にキャラデザがピンと来ないという理由で)、好きなゲーム実況者さんがプレイしている動画を見ていたら自分でもやりたくなってしまった。一応いつか自分でもやる可能性があるゲームの動画は見ないようにしてるんだけど、これに関しては本当に興味の射程外だったから初見の衝撃を逃してしまったのは残念だけど仕方がない。それに最近はネタバレを許せない気持ちよりも、期待に叶うだけの物が確実に待っているという保証が欲しいという気持ちが強くなってきているから、知識が先に来て後から体験で補強するというような遊び方もアリなのかなと思うようになった。

 それからこのリメイクはどうやら原作とは異なるストーリー展開に進むような匂わせをしているんだけど、テイルズではその手の新展開を入れたことで元作品の魅力を担っていた重大な部分を捨てるような惨状になることが多くて辟易していたのでFFはその辺りをどう料理してくるのかという興味があった。もし仮にファンから見て改悪と呼べるようなことになったとしても原作に思入れのない私ならノーダメージなのではないかと考えたのもある。

 先があまりに気になったので原作のプレイ動画も見てしまったのだけど、PSのグラフィックと比べると現行機のクオリティはまさに天と地ほどの差があるので「このシーンがリメイクだとどうなるのかめちゃくちゃ見たい」という気持ちがふつふつと湧いてきて、むしろこの衝動が購入に踏み切る決定打になったと言ってもいい。「この時のクラウドはどんな表情なんだろう?」とか「どんな声色でこれを言うんだろう?」とか「他の都市のグラフィックは?」とかが気になってしょうがない。

 それからティファとエアリスだけでなくバレットともデートイベントがあると知ったのがトドメになったね。「クラウドの女装イベントにあれだけ本気だったなら……もしかしてこれもちゃんとやってくれるんじゃないか!?」という期待を抱かずにはいられない。いや個人的には2人の間にそういう感情は発生しないだろと思うけど、現代ゲームなら恋愛イベントだけでなく同性の友達と気兼ねなく遊ぶのも同じくらいイイと言ってくれよという願望がある。まあ日本のゲームにその手の期待をするのは8割くらい見えている地雷なんだけど……。

 

 ここからはゲーム本編の感想

 このゲームのいいところはたくさんあるけど私が一番推せると思うのはやっぱりグラフィックかなあ。特に施設内とか街並みのクオリティが信じられないほど高い。古びた金属の質感がリアルすぎるし、あらゆる物への光の当たり方の再現度がす〜〜ごい。後はキャラクターのモデリングへの気合の入り方が尋常ではなくて、主要キャラクターに100年に一度の超絶美形しかいない。バレットとかビッグスとか非イケメンみたいに言われてるけどクラウドたちが飛び抜けてるだけでそれ以外もほぼハリウッドスターなのよ。まあ一人二人ならともかくあまりに全員が美麗すぎると「そうはならんやろ」と思ってしまって若干引いちゃうところがあるけど……。

 システム面を一言で言うなら、す〜〜ごくプレイヤーに対して親切なゲーム。まさに至れり尽くせりという感じ。チュートリアルも丁寧だしプレイヤーにとって何が快適なのかをしっかり考えて作られている。こんなに優しくしていただいてよろしいんですか!?オートセーブと任意セーブが両方できることに始まり、ボス戦の前にHPMP全回復+買い物スポットを必ず置いてくれていることや、「音を立てずに家を出る」とか「ポンプを2人で操作する」などのミニゲームも3回ほど失敗するほどクリアしやすくしてくれるという風に細かい気遣いが行き届いている。クエストを達成すると依頼主まで瞬時に飛ばしてくれたり、L1長押しで地下通路から地上に一瞬で帰らせてくれることにはかなり感動した。最近アサクリの旧作ばっかりやってたからわからないけど今のゲームってみんなこうなの? ただサムルートとマムルートの差分を回収したいのにチャプターセレクトするとまさかの陥没道路からなのは「マジかこいつ」と思った。結果を見るのに闘技場イベを挟まなきゃならないところも「マジかこいつ」だった。

 後は戦闘がとにかく面白い!私は戦闘苦手なんで当たり前のようにEasyなんだけど、ガチャガチャやっているだけでも楽しくてちゃんと理解できるともっと楽しい。楽に勝てる条件が敵ごとに細かく設定されていて、チャンスをしっかりモノにできたときの爽快感が大きい。でもEasyだと流石にサッサと終わりすぎるかなーと調子に乗ってNormalにしてみたら、一度に考えることが多くてあたふたしてる間にダメージ受けまくり死にまくりで全滅はなんとか免れるけど常に満身創痍状態に陥ることになり、泣く泣くEasyにとんぼ返りした。ATBゲージが無いとアイテムすら使えないので逃げ回っているだけでは追い詰められるばかりなのが難しい。でもそんなゲーム下手人間のために、アクション自動でコマンドだけ選べばいいというClassicモードまで搭載する圧倒的親切。こんなに優しくしていただいてよろしいんですか!?

 

 次にストーリーの話をすると、中盤ぐらいまではアバランチの作戦にクラウドが付いていっている状態だから、主人公とは言うものの微妙に当事者ではないような雰囲気があった。星の命がウンタラとかバレットが度々熱くなってるけどクラウドさんは金がもらえればそれでいいからね。まあ星の命が終わるとか言われてもあんまり想像できないというか我が事としては捉えにくいから、それよりも日々の生活の方が大事と思ってしまうのはわかる。電車の中のシーンで、神羅の社員とはいえ一般人に執拗に絡んで脅す右腕ガトリングでグラサンの男とかいう絵面があまりに悪くて苦笑いするしかなかった。バレットたちもたまに「街より星だろ」とか「犠牲は仕方ない」とか言うけど、それでも自分たちの家族や仲間がその犠牲に含まれていたら憤慨するんだから神羅もそういう感覚でやっているんだろうなと思う。ただバレットが「お前らの不安や悩みは全部俺が背負ってやる」と宣言するところは素直にカッコいいと思った。

 最初は完全なる他人だったクラウドがみんなと共に死線を潜り抜けることでだんだんと仲間としての意識を目覚めさせていくまでの描写が細かくていい。最近のゲームはパーティトップ以外のキャラクターも一緒に歩いてくれて頻繁におしゃべりしてくれるから、困難を共に乗り越えた仲間という説得力が増し増しになっている。

 クラウドはソルジャー自慢をちょいちょい挟んできて基本的にスカしてる態度なんだけど、単に適切な接し方がわからないだけで本当は心優しい奴だとわかる描写が随所に出てくるのでどんどん彼が可愛く見えてくる。「いくつだ?」と聞かれて歳ではなく「クラスファーストだ」とドヤ顔で言い切るシーンには爆笑した。強くお願いされたら断れないところもいい。ハイタッチを嫌ってるのではなくわかってない?っぽくてだんだんと出来るようになっていくのが良すぎる。

 あと外せないのはエアリスとティファに関してか。私はエアリスの見た目は好きだけどあの接続詞のない話し方が結構苦手。なんかスタッフが言葉を覚えたての姪の話し方を参考にしたとか聞いたけど、エアリスの歳は10代後半から20代前半だろうに女児の話し方採用すな。アホに見える。彼女が列車墓場のゴースト騒ぎの時、敵対的ではなさそうとはいえ縁もゆかりもないゴーストに親身になりすぎていて「のんきやな〜〜」とか思ってしまった。この手の博愛キャラって苦手なんだよなあ……。それに加えてストーリー後半になるとパーティー内でエアリスしか知らないことが多すぎるせいで、発する言葉の8割ぐらいが思わせぶりの何を言いたいのかわからないものばかりなことに正直イラついた。暗くなりがちなクラウドやティファを明るく元気づけられるのはいいキャラしてると思うけど……。

 清廉潔白な人よりも内心に弱さを抱えている人の方が私は好き。そういう意味ではティファが予想以上に可愛く見えた。肉体的にはそこらの人より圧倒的にタフだけど精神面では結構ネガティブっていうキャラ付けがいい。戦う時の「邪魔だ!」がありえないほどカッコいいし。バレットとのやり取りも気心の知れた間柄という感じでよかった。内臓入ってんのかな?ってくらい腹が凹んでるのは見るたびにワ〜オと思うし、筋肉ついてるとはいえ腕も細い(それはクラウドもか?)のはやっぱり"ヒロイン"だからなんだろうな〜とか思ってしまう。

 そういう個人的な好みを差っ引いても、クラウドさんがティファを大事に思っているオーラを事あるごとに出してくるから、この2人をくっつけてあげたいという気持ちが湧いてきてしまう。クラウドさん、ティファに対する声だけが他に比べて明らかに優しいもの。ティファが危険なときは一瞬も迷わずにサッと助けて(ついでにバレットも)「大丈夫か?」と言ってしまえるところがあまりにカッコよくて失神するレベル。

 神羅ビル脱出までの流れはほとんど文句という文句が浮かばないくらい楽しかったんだけど、録画禁止区域に入ってから以降の展開にはあんまりノレなかったというか、「未来は自分たちで切り開く!」みたいなセリフにもう食傷すぎて「なんでRPGって毎度毎度こういう感じになってしまうん?」と若干白けてしまった。似たように見えるゲームタイトルたちにも中身にはそれぞれの個性があるのに、なんで終わり方は大抵どこかで見たような感じになってしまうのかな?

 運命の壁を超える動機も、クラウドは本能的?にセフィロスを打ち負かしたいという衝動がありそうだけど、バレットもティファもほぼエアリスに言われるがまま流れで来たみたいな感じだったし……(というか未来云々言ってるのがほぼエアリスを通してしかわからない情報だから)。

    しかも運命が変わった結果、原作では死ぬことになった人たちが軒並み生存する(最後のムービーを適当に見ちゃったから気づかなかったけど、他の人の感想を見るにザックスが生存したのは別の世界線?だったっぽい)というのはなんだかな〜〜。個人的に「奇跡が起こって全員生存みんな仲良しハッピーエンド!良かったね〜」的な展開はあんまり好きではないから……。精一杯生きた結果死ぬのはそんなに悪いことかな?好きなキャラが死ぬことにショックを受けるのはあくまでファンの視点であって、お話を作る側の人はストーリー上必要だと思ったから死ぬことにしたんじゃないの?それを覆して尚それより面白くする自信があるの?と疑いを抱いてしまう。

    それとセフィロスクラウド個人に対して何かアドバイスをするような言葉をかけてくるから、ひょっとして今後共闘する展開とかもあり得るのかなあ?と気になった。私は所詮動画で見た程度の知識しかないけど、クラウドに対して「お前を失いたくない」とかそんなこと言うキャラだっけ?「星の真の敵はセフィロス」ってエアリスが言うけど、セフィロスの方も運命の壁を壊したがっているようなそぶりを見せるから敵対する理由がわからなくなる。星を生存させるためならどんな手段でも使う(多くの人間の人生をぶっ壊すことになっても)、みたいな感じなのかな?セフィロスも思わせぶり2号だからほぼ匂わせしか喋らないし。

    もし本当にこの先の展開が原作と全く違うものになるのなら、「あのシーンが今のグラフィックでどんな演出になるか見たい」という私の購入動機は満たされない可能性がある気がしてきた。まあセフィロスの言う通り本当にこの先はわからないのでほどほどに期待しながら待とうと思う。

『Assassin's Creed IV Black Flag』感想

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 ハァ~~終わっちまったなあ!アサシンクリードってやっぱり……いいゲームだな……。流石にここまで短期間に連続でやると飽きが来る部分もあるけど、最後にスタッフロールが流れたときに胸がいっぱいになれるともう細かいこととかどうでもよくなってくる。

 特に海戦は既にローグでまあまあやってしまっていたのもあって飽きが来るのも早かったんだけど、ストーリーを終わらせるだけなら最上級外殻の設計図は要らない程度の難易度調整で本当に助かった。船乗りの歌が上手すぎて心地良すぎるから船旅自体はいつものびのびとした気分で出来たし。シェイがわざわざ海戦をする理由って正直無かったと思うけど、エドワードはそれが生業だから没入感もローグより大きかった。

 その一方でアサシンになったのがゲーム中でもかなり後半だったからか、アサシンとしてのミッションは尾行!尾行!尾行!の嵐であまり面白味はなかったかもしれない。まず街に長居することがないからパルクールの出番がほとんど無かったし。

 

・ストーリーの話

 エドワードはヘイザムにもコナーにも全く似ていない荒くれ者で、やっぱり人格を作るのは血筋より育ち方の面が大きいよな~と思った(モーションが同じところが多いのは制作のリソース上の都合だと思う)。

 彼の行動原理の9割は金のためなので非常にわかりやすい。でもただ豪遊できればいいのではなく、すべては愛するキャロラインに良い暮らしをさせてやりたいからというところが憎めないポイント。女に対しては全体的に妙に優しいし。しかし一獲千金でどうにかしようと思っているところとか、2年経ったら帰るという約束をすっぽかしてもまだ妻をここに呼べるかもとか淡い期待を抱いている一途なところがまあ……言いにくいけど「夢見てんな~」ってなるよね。キャロラインはそんなのいらないって言ってるのにまだ「お前のためだ」と譲らないから、そりゃあ別居にもなりますわ。彼女も愛していないわけではないのにこの……すれ違いっぷりね。ヘイザムは父の素質が無かったけどエドは夫の素質が無かったね……。帰郷後は逆に父の才能に芽生えたのかもしれないな。 

 彼、ストーリーの始めからまさかの追い剥ぎする側ですからね(殺る気になったのはさすがに向こうが殺意を向けてきてからだったから正当防衛?なんだけど)。一方でアサシンとしての教育を一切受けていないのにアドリブでアサシンのふりをやり切るという規格外の才能の持ち主。<観測所>というトンデモパワーの存在を知っても自分が利用しようとか一切考えず「金になるぞ!」まっしぐらなのでいっそ清々しい。嘘がばれてとっ捕まった後もその船を奪って自分の物にしてしまうほどのタフさ。コツコツ金をためて正規法で買うよりもこっちの方が遥かに手っ取り早いもんな!

 奪いたいときに奪って飲みたいときに飲んで好きなように面白おかしく暮らせればいいというナッソーの理想も、大国イギリスの圧倒的武力の前では泡のように消えてしまうものでしかないというのがやるせないね。というかあれだけ商船を好き勝手沈めてりゃあね……。そりゃ取り締まられますわ。”理想郷”も結局人間社会からは逃れられないという……。ホーニゴールドなんかは時勢を読んだ結果イギリスに付いた方がいいと踏んで裏切り者と化してしまったわけだけど、正直それが英断なのはわかるというか、歯向かったところで絞首刑になる未来しかないならそういう奴も出てくるよなあと思って、私はあんまり憎む気持ちにもなれなかったなあ。サッチもヴェインもラカムもメアリーもその通りに無残に死んでいったし……。散々奪って殺しまくって置きながら自分だけ穏やかな死に方を求めるのは図々しいのもわかるし、思いっきり生きた結果がそれなら仕方ないと思えるのが理想なんだろうけど、実際の惨たらしい死に直面してなおそんな風に吹っ切れるかはまた別の話だよ。サッチは最後に戦って死ねたから本望かもしれないけど、それでも「これからは静かな航海をしたい」と心変わりを語った直後だったから、「あれで本当によかったのか?」とどうしても思ってしまうよ。でもナッソーをほとんど見捨てた形のサッチに対して、エドワードは怒るでもなくただただ残念だという態度だったことに驚いた。「好き勝手生きる」がモットーである以上、去る者に必死になって追いすがろうとは思えなかったのかな。ホーニゴールドはエドワード自身が始末したわけだけど、それはイギリスに仲間たちを売ったからだしちゃっかりテンプル騎士になってやがったせいだからね。裏切りに烈火のごとく怒るのは仲間として信頼していたことの裏返しだと思う。実際私、エドが狂ってしまったヴェインをぶちのめしただけで殺していなかったことに相当驚いたもの。海賊なんて危険な生活をしていたら拠り所になるのなんて仲間くらいだろうから、それを根こそぎ失ってしまったら何のために戦っていたのか見失うのも仕方がない。

 しかしナッソーの代表者が総督に呼びつけられたときにエドワードの名前だけ呼ばれなかったのはなんで!?やっぱ観測所観測所ばっかり言って変わったやつだと思われてたから!?それか影響力のある黒髭たちと親しくしていても本人が統治に一切興味が無かったから、立場としては大したことなかったのかな。観測所にこだわり続けたせいでアドたち船員の心も離れていたみたいな描写が多くあるし。というかアド!いくら呆れていても置いてくって何!?そんなに嫌いだった!?と思ってネットで調べたら「ロバーツの手下に襲われてやむなく」みたいなことが書いてあってなるほどそういうことなら……となったけど、それならそうと言えー!「置いて行ってゴメン」ぐらい言えー!何を爽やかに去って行ってんだ!

 アドには捨てられるわロバーツには売られるわ監獄にはぶち込まれるわ一番信頼していたと言っていいメアリーも失うわで、ホーニゴールドが死に際に残した言葉「このままだとお前は孤独になる」が実現してしまって、結局どんなに財宝を手に入れてもそれを分かち合う人がいなければ意味がないとエドワードは気づいたんじゃないかなあ。泥酔した彼が見た、おびただしい数の屍が浮いている海の絵面!。あれだけ戦って戦って得た物がこれですか?という説得力が尋常じゃなかった。共に過ごした仲間たちがみんないなくなって打ちひしがれているアンとエドワードが寄り添うシーンはすごくよかった。アサシンたちという頼もしい仲間を得たのはよかったけど、愛した海賊たちと生きた記憶と喪失の悲しみはこの2人にしかわからないことだから。余談だけどこの時のアンは目の保養要員とか”俺の女”枠ではなくて人格のあるただの「海賊仲間」だったことが私にとってはすごく嬉しかった。こういうのが多いから私は海外ゲーが好き。

 このゲーム何といってもエピローグが最高でさあ……アンの歌……あんなんダメだよ……泣いちゃうよ……。もうここにいない仲間たちの幻影を見せながら「さらば愛しき仲間たち」て……。しかもその歌に載せてエドが娘さんのために花を摘むシーン!あのクソ雑荒くれおじさんが!娘さんと上手くやれなかったらどうしようとソワソワしている姿を見せられたらもう!滂沱の涙よ!母と自分をずっとほったらかして好き勝手やってた親父が今更父親面してくるのはジェニー的にはどうなんだと思うけどもう頑張れしか言えない。

 今作はアサシンもテンプル騎士も賢者もほぼおまけレベルの関わり方だったけど、ストーリー上しっかりと要点にはなっていて「アサクリらしくはないけどアサクリ」という不思議な塩梅だったな。それもたぶん4まで続いてきたからこそ「たまにはこういうのも良いよね!」となれるんだろうな。アサクリ初心者に4を薦める人は多いけど、いきなり4からだったらたぶんこうは思えないよ。まあゲーム的面白さを求めている人に1からやれと言うのも酷な話だけど。

 いや~~いいゲームだったなあ。

『Assassin's Creed Rogue Remaster』感想

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    3をやったらアキレスとヘイザムの全盛期についてもっと知りたくなったから、4を飛ばしてローグをやってみたわけだけど、う〜〜〜〜~~~ん、正直言って微妙!UIもクエストの導線も確実に親切になっていて遊びやすくはなっていたんだけど、やっぱストーリーが薄味すぎる。   

    主人公が教団から寝返ってアサシンキラーになるのが売りだったけど、リアムたちと暮らした頃のエピソードがほとんどないから感情移入しづらい。リアムとの付き合いがアサシンになる以前の子供の頃からという事実も、データベースの文章上でちょろっと言われるだけだし。プレイヤーがホームステッドで暮らしたのはコナーとしてだから、それを失う悲しみと言ってもニュアンスが違うんだよ。その代わりにテンプル騎士たちとのエピソードが豊富というわけでもないし。ヘイザムともうちょい仲間っぽいやりとりが見たかったな〜。

 

このアサシンの紋章が

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回転してテンプル騎士団の紋章に変わる演出には痺れた

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ヘイザムが舟に乗ってくれるのは楽しかった

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    そもそもシェイが教団を捨てた理由は「先駆者の秘宝を抜き取れば大地震が起こることをアキレスは知っていてそうしたんだ」というものだったけど、ハイチの時点だと一度目だから地震との関連性にまだ半信半疑でも仕方なくないか?と思ってしまった。2回連続で地震が起こった後もまだ秘宝を求め続けるようならそりゃあおかしいと思うけど……。それだけでシェイがいきなりアサシン全否定に走るのは早合点すぎるというか、そこに至る前に「あのアキレスがそんなまさか……」みたいに悩むシーンがないと彼の感情の変化に着いていけないわ。もう一回話し合った方がいいんじゃない?という疑念が消えなかった。実際ラストシークエンスでのアキレスはシェイの考えを理解してくれていたし。でもリアムが、主張の正しさよりも自分たちを裏切ったかどうかしか見なかったことにはガッカリしたわ。頭がいい奴だと思ってたのに!頭が固いだけかよ!シェイとは幼馴染で親友かもしれないけど私は彼を殺したことでむしろせいせいしてしまったわ。

    しかし教団に対して何の疑いを持っていない頃のシェイはテンプル騎士を犬呼ばわりするぐらい見下していたのに、今度は自分がその忠犬になるなんて変わり身が早すぎないか?と思ってしまうところがあった。一番最初に出会った騎士がジョージ・モンローさんという非の打ち所のない聖人だったせいもあるかもしれないけど。ヘイザムだって決して"良い人"ではないし、チャールズ・リーとか見てもなおソレを言えますか?みたいなことを思ってしまったね。「アサシンの迎撃」ミッションとかどう考えても秘宝に関係ない一般の任務まで邪魔するほど、シェイがアサシン全体を憎む理由にはあの決別は弱すぎたと思うし、それで今度は騎士団に全幅の信頼を置いてしまったら0か100でしかないじゃない。なんか納得できねえな〜という気持ちが最後まで晴れなかった。

    あとギャングの旗にアサシンマークが入っているってことの説明がなくて、街を荒廃させ市民の家に押し入って暴力を振るうことを教団が容認していることになるけどそれはいいの!?という疑念もあり続けたし、結局アサシンが毒ガスを市民に使うつもりだった疑惑はどうなったの!?とかいろいろ描写が足らなくて不完全燃焼なことばかりだったし。

 海戦にはそこまで興味ないと思っていたけどいざ始めてみると意外に楽しんでる自分がいたから、4も好き嫌いせずにやってみようかな。   

 

ファッションとインテリアのセンスは間違いなくテンプルの方が上

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何だかんだ騎士のレリックとか

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ジェームズ・ガンの十字架とかコンプするほどは遊んだんだけどね

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『Assassin's Creed III Remaster』感想

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 3は駄作という評価があちこちで聞こえてきていたからやるかどうかは迷ったんだけど、やっぱりまだ見ぬ土地でのパルクール欲はどうにも抑えらんないよ……!独立前の北アメリカに高い建物はあんまりないし目を見張るような美しさとかも特にないんだけど、もはやそういう問題じゃあないんだ。街の空気を肌で感じるというか溶け込むというか”世界”に自己が繋がっている感じがいいんだよね。というかヴァルハラの後だとボストンなんかもう大都会だし。むしろこのぐらいの文明レベルの方が落ち着くまである。個人的には色が多くて派手派手の街があんまり趣味じゃなくて、若干薄汚れたり色あせた建物の方が好きなんだよ。それに木の間を縦横無尽に飛び回るのもなかなか楽しい。

 

この休み方超好き

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    システム面に関してはUIがさらにわかりづらくなったとか、クエストの導線も前より不親切だとか、日本語音声の抑揚が不自然に感じるときが多いとか、カメラが向けたいところに向けられないことが多くてイラつくとか、弟子回りが揃うのが遅すぎる上に使いづらいとかいろいろ不満はある。でも私はストーリーにさえある程度満足できればそれでいいので結果的には十分に良い体験だったと思えた。

 

・ストーリーの話

 例の如く動画視聴済みだったせいでヘイザムお父さんの正体を事前に知っちゃってたのが我ながらホントもったいないわ~~。「な、なんだってぇ~~!?テンプル騎士団だったのかぁ~~!?」ってなりたかったなあ。と言ってもチャールズが出迎えの時に思いっきり「騎士団のために~」とか発言しちゃってたからバレバレだったけどね。これ英語だと教団と騎士団をあらわす単語が同じだからミスリードになっていたということをアサクリスレで聞いた気がする。ガバガバじゃねーの。

 しかしアサシンの元に生まれたら問答無用でアサシンにならなきゃいけない方がおかしいんだし、長い歴史の中で離反する人が出てくるのは当然だよね。プレイヤー的には知らない人間を殺す分には大して心が痛まないけど、一度仲間として触れ合ったエピソードのある人達を殺す側になる展開は悲壮感があって新鮮だった。

   しかし当たり前と言えば当たり前だけど、騎士たちは身内(ヘイザム)にはものすごく友好的なんだよね。共に世界を変革する資格があると認めた同志だから。そして身内以外の有象無象の人間には死ぬほど厳しい。コナー編になって初めて会ったチャールズ・リーたちの血も涙も無さにびっくりしちゃったもの。ヘイザム視点だとチャールズは真面目で忠誠心にあふれていて面倒見がいのある後輩ポジションだったのに!確かに思い返してみると、ドアを蹴破って侵入したり身分の低そうと見た人に高圧的だったりしたなあとかいろいろ合点が行った。

 ヘイザムおじさんはその点、効率の面からかもしれないけど先住民の奴隷化にも反対してたし、交渉のためとはいえ彼女らと対等に話していたから、必要のない殺害は好まないタイプに見えた(効率的だと思えば思えばガンガンする)。だからガジージーオたちのいる村を焼くように支持したのがヘイザムじゃないとわかったときはホッとしたけど、見方によってはそこが彼の厄介なところと言えなくもない。いちいちムカつくことを言ってくるしドン引きする要素があるんだけど、時々優しさのようなものを見せてくるから完全に憎むこともできないあの感じ。ガジージーオの独白にあったように、妻子に対する彼なりの愛情があったことは確かだと思うんだよね。その事実と「親父としての素質が無さすぎる」という事実は同時に存在できるというだけで。

 しかしテンプル騎士団内にもいろんな派閥があるとはいえ、チャールズたちは自分たちの基準に沿わない人たちを野蛮と切り捨てて「我々の正しき文明の光であなた方を導いてあげましょう」とかマジで大きなお世話すぎる。独立の後押しをしたのだって「愚か者に世界を牛耳られては困る」という理由だろうし。そう考えるとテンプル騎士団の理念そのものが植民地主義とほぼ同じだなあと思った。白人たちだって「我々はもっとも賢く優れた者たちなのだから世界を手中に収める権利がある」と思っていたわけでしょう。まあ”世界の真実”に気付いてしまった賢き方々から見たら「ただ生きている」人たちが愚かで無能で無意味に見えるでしょうね。でも私からしたら「お前らが”意味”と思っていることもお前らの中の”そういう設定”であって誰のやることにも”意味”なんか無いよ~。全部嘘だよ~。」みたいなことを言いたくなってしまうよ。テンプル騎士団の選民意識には鳥肌が立ちますわ。

 主人公交代以降は動画で見るのは止めていたから見ることすべてが新鮮でよかった。コナー編は「先住民の仲間たちのため」が主な動機になるんだけど、リンゴから接触してきたジュノーさんを精霊のお導きだと認識してしまうことに「絶対間違ってるよ!利用されてるよ!」といたたまれない気持ちだった。確かにテンプル騎士を阻止しないと村どころか世界を支配されてしまうから結果的に村も守ることには繋がるんだけど、「白人の侵略から村の人たちを守りたい」という限定的な願い以上の重荷を成り行きで背負わされているように思えてならなかった。ミネルヴァとかは結構真面目に人類の助けになりたいと思ってくれているけど、ジュノーはそんないいもんじゃないんだよ!それが判明するのが今作なんだけど(しかし今更だけど「お前らが神様と思ってるやつらは全部イス人だよ♪」ってされるとなかなかに夢がないな)。コナーが必死で頑張ったのに結局村のみんなは棲家を追われてしまって、完全に利用された形で終わってしまったのが悲しい。コナーが守りたかったのはみんなの生活を含めてだったのに、ジュノーにとっては土地さえ守れればそれでいいから人々のことなんて取るに足らないことなんだよな。「必要な代償だ。諦めろ。」とか平然と言ってのけてくるし。私はイス人がどれだけ人間に親身(?)になってくれてもイマイチ気を許せないというか「お前らの都合ですよね?」と思ってしまうところがある。エツィオもそうだったけど、自分で選んでいるように見えて実は大いなる力によって選ばされているだけなんだとか言われてしまうと悲しいよ。結局駒扱いかって。 コナーはイス人の願いと愛国派の願いとアサシン教団の願いを叶えてしまえたわけだけど、全部終わってから冷静に考えてみると村焼きの首謀者はワシントンだったしチャールズたちの目的は効率的に戦争を収めることだったわけだから、今回の騒動はコナー自身のためにはほとんどなっていなかったのでは?と思えてくる。白人たちの内ゲバを手助けしてやる義理は全くなかったわけだし…。教団の一員としては多くの人々のためになれてよかったと言うべきなんだろうけど……なんだかやりきれないな。

 まあ私は歴史の大きな流れに埋め込まれた個々の人生の中にどんな気持ちや思い出があったかということを見る方が好きだから別にいいんだけどさ。アサシン教団も、もちろんテンプル騎士団も結局個人の集合体だから、そこに生きて死んでいった人たちの個人的感情を無視してはいけないと思うんだよ。イス人の思惑とか人類の存続とかぶっちゃけそこまで興味がないわ。

    今作はウィリアムとデズモンド、ヘイザムとラドンハゲードン、アキレスとコナーら父子たちにスポットが当たる話だったね(もっと言えばイギリスとアメリカも親子関係のようなものだし)。このあたりの三者三様の描き方はすごく丁寧でよかった。

 ウィリアムのことはリベレーションまででちらほら出てきた情報だけで、「すべての原因を相手の心が弱いせいと決めつけて自分が悪かった可能性を一ミリも考えようとしないクソおじさん」すぎて超嫌いだった。でも現代パートで話しかけたときのウィリアムは、最初は取りつく島もない感じだったのに3回目あたりで急に謝ってきて本当にびっくりした。自分を省みるって選択肢が芽生えたんだ……!?どういう心境の変化!? ジェイコブのときもアルタイルのときもそうなんだけど、「自分が悪かった」とちゃんと言葉と態度に出して伝えるのは本当に勇気がいるし気高いことだよ。いざやろうとするとつい照れたり斜に構えたりして「でも」とか「だって」とか言ってしまいがちだけど。

 デズモンドの方もずっと強がっていたけど言葉の端々から"普通の家族"みたいに「愛している」と表明してほしかったという気持ちが現れていたから、今回それが叶って本当に良かった……。捕まったウィリアムを助けに行く展開で、親父がいつも通り皮肉を浴びせようとしたらデズが思いのほか素直だったから黙っちゃって静かにハグするのも良かった。私はデズが死ぬことは知っていたから「これが無事に終わったら家に帰っていいかな?」のシーンには泣きそうだった。これからだったのになあ……。ウィリアム達はデズを行かせたら死ぬことになるってわかっていたのかなあ?

    次はヘイザムとラドンハゲードンのことだけど、まさか2人の共闘展開を途中で挟んでくるとはね〜!こんな風な陣営間の腹の探り合い的展開は、世界は敵と味方だけで構成されているわけではないという感じがリアルで好き。村を脅かす悪党だと思っていたテンプル騎士たちが、実際は非効率なだけの戦争を最小限の犠牲で留めるために動いていたのだと判明したり(人道的な意味では決してないんだけど)、自由や平等を謳う"愛国派"だけが清廉潔白なわけではないと理解したりして、世界に対するラドンハゲードンの解像度が急激に上がっていく過程も面白い。

    ラドンハゲードンからヘイザムへの感情も複雑すぎて一言では表せないんだけど、子からすればそりゃ息子だって認めてもらえたら嬉しいし、「もしかしたらいがみ合わずに済むんじゃないか?」って期待はもってしまうよ(これはハートフルというより呪いのニュアンス)。でも一緒に行動してるときのヘイザムはネチネチネチネチうるさくてムカついた♪船に乗せてやってるときに「その程度の操船でよく船長などと名乗れたものだな!」とか言われた時は海に落としてやりたかった♪野営地偵察のときも、捕まったのはわざとかと思ったらわりと本気のミスだったくさいのも腹立つし、その後自分1人だけ先に逃げたのもムカつく♪でもガジージーオが亡くなったことを知って「聞いてすまない」とかしょげた顔してくるのが憎めなくて一層ムカつく♪

 

いつ決別するかヒヤヒヤしながらも二人が揃ってるとちょっと嬉しいのが複雑

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 コナーの祈りも空しく、結局自らの手でヘイザムを殺すことになってしまったんだけど、その最後のやり取りがすご~~くよかった。ヘイザムの「私は泣かん。過去を振り返りもせん。」って台詞も、息子に向ける最後の言葉が「さっさと殺すべきだった。」なのも本当に彼らしくてよかった。コナーの実力と精神性を最大限に評価してくれているからこその賛辞だとわかるから。散々好き勝手して今更後悔なんてされたらそっちの方が裏切りだよ。コナーに対してまったく情がなかったわけではなくて多少なりとも愛があったんたんだと知って、それを捨ててでも手に入れたいものがあるという彼の覚悟を見せられたらもうどんな言葉も無意味だと悟ってしまう。一つの信念をもって突き進める人も好きだけど、私はこんな風に心に揺らぎを抱えながらなんとか立っているような人が好きで、認めるのはものすごく癪なんだけど結果的にヘイザムをものすご~~く好きになってしまった。

 

ヘイザムの思い出としてアサシンの篭手を見せられてもう「ウワーーーーー」よ

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    アキレスとコナーの関係は一番健全な親子関係だったんじゃないかと思う。中盤ぐらいまではずっと喧嘩ばっかりしていたんだけど、まあ出会い方が出会い方だし(コナーの非常識・傍迷惑な押しかけっぷりが)、コナーとしても”精霊のお導き”で半強制的に収まったようなところがあるし、アキレスの方も露骨に愛を態度に出すような性格ではなかったから仕方ないね。でもアキレス爺は厳しい言葉を使いながらも最初から本気でコナーを心配している様子が見え隠れするから全く嫌な感じはしなかった。それに対してコナーの方は血気盛んすぎて後先考えずに暴走してしまう危うさがあるのは確か。まあ村という限定的なコミュニティの中では正直であればあるほど美徳だし、助け合いの精神で大抵のことはうまく収められるという価値観になるのもわかる。老人から言葉で聞かされても身をもって体験しなければ若者はなかなか納得できないものだしね。でも社会が大きくなればなるほど物事の周縁にいる人たちも増えて、そういう人たちにとっては「本当のこと」と「本当っぽい嘘」のどちらも大差はなくなっていって、真実が必ずしも良い事に繋がるとは限らないどころかもっと悪いことを引き寄せてしまうことすらある。人間社会が発展すればするほど新たな苦しみも増えるってなんなんだろうね。

    コナーはストーリー上で何度も何度も「英雄気取り」とか「理想を追いかけているだけの子供」とか言われたりするんだけど、みんながみんな「世界はそんなに甘くない」を唱え続ける世界なら、じゃあいつ誰がどうやって世界をよくしてくれるんだ?という気持ちにもなるから、私はコナーの言い分を聞いてなんとなくスッとした気持ちになったんだよ。時代が下るほど世界は複雑化して、ただ邪魔者を殺せばいいだけの単純な理屈は通用しなくなっていく中でアサシン教団はどうすべきか?という葛藤がアキレスとコナーの問答に現れているのがよかった。ヘイザムとの関わりで世界に対するコナーの見方が変化して2人が譲歩し合ってからは、互いに対する態度が柔らかくなって本当に良い親子関係を築けていたと思う。アキレスの諦めていた世界にコナーが希望をくれて、ホームステッドに仲間がどんどん増えて「帰る場所」になっていくんだなあと思ったら感慨深かった。だからアキレスが死んでしまったときは本当に悲しかったけど、それ以上に「ありがとう……」という気持ちの方が大きかった。それに何よりあの手紙!あれは反則でしょ!泣きそうとかでなく本当に泣いたわ。コナーに対する愛情に溢れている超いい手紙……。アキレスがコナーを助けたのと同じくらい、コナーの存在がアキレスの救いだったとわかるくだりは涙なしでは見られないよ……。実の父親との関係がああいう感じだっただけに、血のつながらないお父さんがここまでまっすぐに愛してくれて本当によかったな。このエピソードが良すぎて胸がいっぱいになったから終わり良ければすべて良しになってしまったわ。

 

アキレスの旧衣装一生着倒したい

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 DLCの『ワシントン王の圧政』には大して期待してなかったんだけど、闇落ちしたワシントン王のあまりにテンプレ的暴君っぷりに笑っちゃったし、なぜかクソダサ彫像とピラミッドを建設し始めるところにも笑っちゃったし、コナーがドーピングで手に入れた超絶人間離れした能力も楽しかった(システムは相変わらず不親切だったけど)から結構満足できちゃったわ。タカの翼とか何アレ?どういう原理なの?イーグルアサシンとかあんなんもう無敵じゃん。めっちゃ楽しかった。

 ワシントンとコナーの関係も一筋縄ではいかないんだけど、コナーが徹頭徹尾「ワシントンが邪悪なのではなくリンゴに魅入られて血迷っているだけなんだ」というスタンスなのが良かった。ワシントンは良くも悪くも流されやすいというか状況によって残酷にも賢明にも慣れてしまう人だと思うんだけど、それって大抵の人がそうだと思うんだよ。どれほど高潔でいようと努力しても秘宝ひとつで堕落してしまうし、そんな風にふるまえてしまう自分自身に慄いてしまう感じに親しみを感じるというか……。そういう自分をリンゴが見せたビジョン?で身に染みて理解してしまったからこそテンプル騎士?の誘惑を跳ね除けることができたというラストも良かったね。

 何だかんだしっかり楽しんじゃったな~。やってよかった。

 

『Assassin's Creed Ezio Collection』感想

 ゲーム3本と映像2本(映像はまだ見てないけど)がセットになってなんと5800円!破格~!アサクリ2をやりたいなら当然エツィオコレクションだとどこのサイトを見ても書いてあるので従ってみた。まあリベレーションとかは短かったので単純に3本分のボリュームと表現するのは適切ではないかもしれない。しかし話としてはリベレーションまでやってエツィオの人生にとことんまで付き合えたのは本当にいい体験だった。ファンの人たちが口を揃えて「アサシンと言えばエツィオ」と言うのを見てきたけど、キャラとしての好き嫌い以前にこれだけ長く共に過ごしたらそりゃそういう感覚になるわと思った。

    家族のほとんどを失ったエツィオが頼れる仲間を得て今度は弟子を育成する立場になって、最後には自分のための人生に戻っていくというストーリの流れは綺麗だし、さらにアルタイルの記憶まで見られるという豪華さ。アルタイルの操作ができるパートとか最初は感動ではしゃぎ回ってしまった。1からやって本当によかった~!

 ゲームシステムは3作通してほぼ同じで1の正当進化って感じ。やれることが増えて各ミッションの演出も大幅強化。

    私は前の感想文で「アサシン一辺倒だとダレる」とか書いちゃったんだけど、それはにわかの発言だったと思い直した。まず一回一回のミッションが短いし警戒地域の範囲も狭いのでサクサク終わる。それにクリア方法もだいたい察せられるように導線を引いてくれているので、わかりやすくて且つ達成感が得られる。オリジンズとオデッセイの、要塞を延々と単独攻略させられる仕様が悪かっただけなんだな。これだけ続編が出ているのにいつまでも2が最高ってただの懐古じゃないの?という疑問があったけどここまで方向性が違うならそういう評価もわかる気がする。

 グラフィックもPS4に慣れてる眼だとまあショボい方なんだけど、1と比べたら街並みのクオリティは爆上がりといっていいでしょ。2発売当時のファンは大興奮だっただろうな~!リベレーションまで来ると見違えるように綺麗になっていて開発の歴史を感じた。パルクール欲を存分に満たしてくれるロケーションもいっぱいあるし。

 

遠くのは荒く見えるけど、こんなに高い聖堂や鐘楼なんて1にはないからね

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ヴェネツィアは街全体が明るい白系統なのが素敵

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パンテオンとは何ぞや?と思ったら元ローマの万神殿・現キリスト教聖堂らしい

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アサシンの墓所とかいう、ギミック狂が造ったとしか思えない施設

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アミュネットの名前があってびっくりしたけど時間制限パズル4つは許さねえ

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 戦闘もカウンター最強なのは変わらなくて技術に自信がない私にはめちゃくちゃありがたかった。特に一人の敵を殺した瞬間に次の敵に向かってスティックを倒すと一撃で倒せるのがすごすぎる。ちゃんと狙う敵を見定めれば5人以上連続でズバズバ切り刻めて「ヒュウ~~!」となれる。あとダブルブレードで両側の首を突き刺すモーションが死ぬほどカッコいい。

 

・2の話

 復讐が主軸のストーリーはわかりやすくて主人公に同調しやすいから助かる。最初に兄弟が頂上に登る競争をするのはフライ姉弟もやってたけど、そこからのタイトルコールには痺れる~~!しかしこの世界の人たちにはアサシンじゃなくてもピョンピョン建造物を飛び回る人がいっぱいいるのが驚き。全員化け物かな。

 しかしエツィオ、家族が処刑されたうえいきなりアサシンの家系だと知らされ、妹と母を守らなきゃいけないなんて状況怖すぎる。叔父上とアサシンの仲間たちがいてくれなかったらどうなっていたか。余談だけどテンプル騎士団もこういう、身寄りのない人の受け皿になっている側面があるから一概に否定も出来ないんだよ。叔父上と会えて、ヴィラという安心できる居場所ができたときの安心感はとんでもなかった(そういえば「拠点を整備する」という要素はヴァルハラで新しく入れたんだと思ったけどここからだったんだね)。

 

叔父上がせっかく用意してくれたけど、暗殺した人の肖像画が飾られた自室は正気とは思えない

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 さらにレオナルド・ダ・ヴィンチとかいう稀代の天才且つ無二の親友且つ大恩人の存在。こいつがいなかったら敵に遭遇して5秒で死んでるし宝物庫にもたどり着けてない。どんなときでもエツィオの味方をしてくれる聖人でヴェネツィアに行くタイミングも偶然一緒とかいう奇跡に圧倒的感謝。彼の天才的発明品の数々には非常に助かったけど、私は飛行機械で上昇気流に乗るのに苦戦しまくって地団太踏みそうになった。欲を言えば写本の依頼だけじゃなくてただの友達としてエツィオと駄弁る時間も欲しかった。まあエツィオは個人的なことに時間を使う気はなかっただろうから仕方ないけど。

 ストーリーの流れ的には要はロドリゴ・ボルジアさえ倒せればいいということだから至ってシンプルだよな。秘宝を守るというのは成り行きのようなものだから最初はアサシンの使命感が薄いのも後になって振り返ると感慨深い。

 ただエツィオは人を暗殺した後カッコつけた言葉を口にするんだけど、時々相手に対して独善的というか「卑しいのはお前の心だ」とか「それは本当の幸せではない」とか言い出すから、私は「何の権利があってそんな風に切って捨てるようなことを言えるんだ?」とイラつくことが若干あった。暗殺対象の誰かが言っていた「人は時に命令されることを望むものなんだよ」という言葉を私は結構理解できるから。ここまでエツィオが、殺すまではしなくても良いように見える人まで殺したこともあった(ゲーム上の見せ場を作る都合もあると思うけど)から、その「自分は違う」とでも言いたげな態度は好きにはなれなかったな。それでいてロドリゴには謎の情けを発揮して見逃してしまうから、「自分のさじ加減で人の命を左右しているくせに偉そうに説教する資格ある?」と思ってしまって、なんとなく納得がいかなかった。こういうところを見るとアサシンが狂信者と思われるのも一理あるなと思う。テンプル騎士の方がいいとはさすがに思わないけど。

 ロドリゴ戦1回目でエツィオがアル・ムアリム様がやったように分身するシーンはめちゃくちゃ好き。

 

 シナリオの途中でエツィオの記憶からアルタイルの記憶に変わる時があるんだけど、始まったときはグラが綺麗になったアッカとアルタイルに痺れて大興奮してしまったわ。

 

この後ろ姿があまりにしっくりきすぎる

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 まあ行き着く先が異性愛シーンだったから複雑な気分ではあったけど…(異性愛に興味が無さ過ぎて)。実際イスの力は遺伝子に刻まれているもので、それがデズモンドに繋がらなきゃいけないからアルタイルが異性愛するのは避けられないことなんだよね。しかし「マリアなんて女の人が1にいたかなあ?」としばらく思い出せなかったんだけど、ロベールの影武者だったあの人か!とデータベースを見てわかった。性格変わりすぎじゃないか?

 

アルタイルの像マジありがてぇ~ 

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 1では心情描写が少なくて、アルタイルがどんな気持ちでいたのかよくわからない部分があったんだけど、今回は彼自身が書いた写本なんてものがあるのですご~く助かった。特に彼にとってアル・ムアリム様がどんな存在だったのかや、秘宝に対する姿勢などがわかるのでアルタイルへの理解がかなり深まったと思う。

 彼が伝説のアサシンとか崇められている様子を見ると何故か恥ずかしいような誇らしいような不思議な気持ちになるんだけど、「アルタイルだってただの人間なのになあ」という気持ちから来るものなのかもしれない。1で「死の天使」とか呼ばれた時の心境と似ている。

 

アル・ムアリム様を父と慕ったと書きつつも「奴」と呼んでいる

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「教団の本質は形式にはない」と言いきるこの文章がかなり好き

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アサシンの存在意義に対するアルタイルの感情が直接的に書かれている貴重な文章 圧倒的な暴力の前には対話も教育も役に立たず、こちらが脅威であると教えてやる他にないという事実はあると思う

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アルタイルの家族とアル・ムアリム様の人柄について書いてある興味深い文章 自由意志を守るための集団が感情を表すことを許さないとは皮肉な話 アル・ムアリムはシステマチックな人だったらしい 子供を作ることまで教団が定めているのは人員の確保のためか?

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あのアルタイルですら死を目の前にすると秘宝の力に縋りたくなってしまうことが書かれた文章 彼の人間味が見えて結構衝撃を受けた

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 あと隠し要素?チャレンジ要素?の被検体16号のパズルは一応全部解いた。コードキーが意味不明すぎたやつはさすがに攻略を見せてもらったけど9割ぐらいは自分でできたはず。クソムズかったけどこういうの結構好き。壊れかけた16号の声がする不気味さも嫌いじゃない。彼についての情報はほとんどないのに、同じアニムス仲間の共感からなのか放っておけない気持ちが湧いてくる。

 パズルを解ければ解けるほど、歴史のキーパーソンのそばにはいつも秘宝があったということを示すものばかりが出てくるんだけど、第二次世界大戦終結させたのもテンプル騎士の予定通りとまで言われるとさすがにおったまげた。やべえなこの世界。話だけ聞くとめちゃくちゃ陰謀論っぽいけどこの世界ではこれが事実なんだから困る。 

 

ブラザーフッドの話

 ロドリゴを見逃した後のエツィオがヴィラに帰ってくつろいでいたら今度はボルジア家の関係者たちが攻めてくるという急展開。しかも叔父上まで殺されてしまう。叔父上はエツィオの安心できる場所の象徴のような存在だったから死んでしまったときはかなりョックだった。でもその結果エツィオが教団を背負って立つ存在(全体のなのかイタリア支部のなのかはよくわからないけど)になっていく展開はすごく熱い。

 ブラザーフッドからは弟子を育成できるシステムが追加されたんだけど、この弟子たちがメーターさえあればいつでも飛んできてくれるのですごく助かるし、手塩にかけて育てた子たちが活躍する様を見るとどんどんかわいく思えてくる。それに加えて、テキスト上ではあるけど彼らをイタリア以外の支部にも派遣することができて「うわ~アサシンの長やってる~!このゲームおもしれえ~!」となった。アサシンたちがどんどん組織立っていくのがたまらない。マキャヴェリの裏切り者疑惑からの相談役になるイベントなどもあって教団にスポットが当たるシナリオだったのがすごくよかった。

 

見習いだった子たちがマスターアサシンの白い服を着ているのを見るのは感無量

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 今回の大筋はローマをボルジアの支配から解放するというもので、地域のボルジアの塔を破壊する必要があるんだけど、シンジケートはこれの延長線上なのか。まあローマは全体的に茶色くて、教団回り以外はあんまり目を見張るようなシーンはなかったかなあ。

 レオナルドの兵器ミッションは乗り物系の操作が難しくて(特に飛行)結構苦労したけど派手で楽しかったな。見つかったら即シンクロ解除なのが辛かったけど、そのぶん達成できたとき自信になる。

 あとラスト付近でエデンのリンゴを実際に自分で使えるのが面白かった(他の武器が一切使用不可だったのは若干困ったけど)。使えば使うほど体力減るのを最初は気づかなくて、さらにその直前に防具も破損してたから、最強の秘宝を使ってるはずなのに結構ピンチになってて笑えた。

 惜しむらくは、シークエンス9に入った後にアニムスから出るとメモリー開始地点が消えるというバグに遭遇したせいでチェーザレくんを自分で暗殺するパートが丸々できなかったこと。出ちゃいけないなら出らんないようにそっちでしてくれよ!動画で見せてもらったけど、チェーザレくんは世のためよりも結局「玉座につく自分」が大好きなだけのクズだから殺すのに躊躇が要らなくて助かるね~。

 ロドリゴお父さんの方は見逃された後どうしたのかと思ったら、単にこれ以上の権力を求めることに対して消極的になっただけで結局息子に疎まれて殺されたっていうね。こいつを見逃すのが通るなら今まで殺してきた人だって大抵見逃してよかった人たちになっちゃうでしょ!やっぱりそこだけは納得いかないな~。

 

・リベレーションの話

 これを一番楽しみにしてたし、話自体は短いんだけど実際一番楽しめた。やっぱ私はアルタイルの方が好きだわ。

    ついに50代に突入したエツィオ、その動きがとてもおじさんのそれとは思えない。速すぎるしタフすぎる。冒頭のムービーでフードが取れたとき「顔かっこよくなりすぎだろ!」となったんだけど、リベレーション以前はアニムスによる記憶の追体験という設定を加味して、プレイヤーキャラクターの顔がデズモンドに置き換わっていたということを後から知った。いや〜道理で2の時とかエツィオがみんなにハンサムとか素敵とか気品があるとか言われてたわけだね。やってるときは「そんなに言うほどか!?」とか思ってしまってたけど(デズモンドには申し訳ない)。アルタイルにも「祖先だけにデズとそっくりなんだ〜」とか思ってしまってたけどそういうカラクリだったんだね。

    ストーリーはアルタイルの書物庫を目指すエツィオがマシャフで待ち構えていた敵の大軍に捕縛され、将軍を暗殺して脱出しようというところから始まるんだけど、雪降るマシャフがも〜〜〜最高で最高で!続編系のゲームで前作で過ごした場所に行けて「うわ!ここ○○じゃん!」ってなる瞬間があらゆる瞬間の中で一番好きまである。操作できるようになってすぐ目の前にアルタイルの幻影が現れるところとか、脳汁出すぎてどうにかなりそうだったもの(しかしアルタイルは何の事情があってあんなところを登る羽目になったんだよ)。マシャフは放棄されてボロボロになっているから、幻影が通る場所にあった足場が今は削れてなくなっていたりするのが細かくて超好き!ミッションの途中だと一生懸命になりすぎてなかなかスクショが撮れないのが残念。

    でも脱出のときの「馬車の迫合いに勝て(実際は迫合いよりもデコボコ道を走らないことの方が重要)」の仕様だけは許さないよ。

 

この大広間にたどり着いた時の震えは筆舌に尽くしがたい

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”あの”場所だよ”あの”場所ォ!

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無印でグイッとカメラが動くアレよ

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アルタイルの記憶でも行ける

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 今までも写本等でアルタイルの面影はちょくちょく出てきてはいたんだけど、今回は彼について知ることがエツィオの主目的なのでプレイするこちらのモチベーションもダダ上がり。

 書物庫に行くのはアサシン教団全体への利益になるという面ももちろんあるだろうけど、たぶん一番はエツィオ自身の知的好奇心のためだよね。あとお父さんの夢のため?とかも言っていたな。あくまで個人的な面が大きい旅だから教団との関わりも今回はそんなにはないんだけど、今まで自分の時間を削って大義のために奔走してきたのだから最後くらいは自分のために動きたいという気持ちはよくわかる(そう言いながらも弟子の育成とかバリバリやってるあたり、エツィオも筋金入りの面倒見の良さだよ)。  

 そんなわけで、エツィオは失われた書物庫の鍵を探しにイスタンブールくんだりまで出かけていくわけだけど、いいね~イスタンブール!無印がイスラム圏だったから建物の構造がどこか懐かしくて「これだよこれ!」ってなった。それでいて旧コンスタンティノープルだからローマ建築もあって、文化の混じりあう街って感じがしてよかった。あえて言うなら、歩けるのがこの街ひとつしかないってことが少し物足りなくはあったけど。

 

街全体が黄色いところがいい

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 よその国のちゃんと機能している支部の様子を見られるってのも新鮮でよかった。アサシンの仲間たちの存在を感じさせてくれる展開にはやっぱり燃える。こっちが導師だからか、わざわざそこのトップが出迎えに来てくれるんだけどそのユスフって人が若干馴れ馴れしいけど気さくでいいやつなのよ(そんないいやつが後には……)。時代が下るとともに爆弾だのフックブレードだの道具類の開発も進んでいて、老人だからって踏ん反り返ってばかりもいられないわ。

 あといきなり始まるタワーディフェンスバトル。新しい試みをやんのはいいけど別ゲーにすな!苦手なんだよタワーディフェンス!街の警戒度をこまめに下げることを心がけていればやらなくてもクリアできる仕様で本当に助かった。一般アサシンたちがずらりと屋根上に並ぶ姿とか、一度勝っただけでは安心できずに永遠にテンプル騎士団と奪い合いを繰り返すことになるリアルさとかは結構好きなんだけど。

 それと前回からさらにパワーアップした弟子育成システム!これは本当に楽しかった。今回は弟子がテキスト上で成長していくだけではなく、それぞれを手助けする具体的なストーリーが7人分も用意されているという素敵仕様。とどめを刺したりなど重要な部分を弟子に任せることもあるので「育てている」という実感が違うし、彼らへの愛着の湧き具合も段違い。やっぱりエツィオは天才だから自分が全部やった方が早いという場面もあるんだけど、そこをあえて見守ることで後続が育つように道を整えてやるというのがいつもと違って楽しい。いくら天才でもできないことはあるからやっぱり組織力って大事。

 あと現地協力者のソフィアって女の人が出てくるんだけど、エツィオ50代なのにま~~だ若い女口説いてるよって若干引いてしまった(異性愛に興味がないので)。いや恋は別にしちゃいけないことはないけど、なんで同世代のマダムじゃないんだよ!そこは世の辛酸を舐めてきた知的な未亡人とかだろ!?エツィオが子供作らんと遺伝子が現代までつながらんというメタ的な都合もあるかもしれないけど……。

    ソフィアを見て「浮世離れしたことに情熱を燃やす人を見るのが好きだ」とエツィオが言うけど、私は絶対あの瞬間彼はレオナルドのことを思い出していたと思うんだよ。ソフィアにニコロ・ポーロの手がかりを渡した時の反応が、レオに写本を渡した時の反応とそっくりだったもの。クリスティーナはそういうタイプじゃなかったし……。なんでレオナルドじゃだめなんだよ!やっぱり時代的背景もさることながら、エツィオが究極の異性愛者だからってのがデカいか……くっ……!リベレにはレオナルドの影も形もないのがすごく寂しい。

 メインミッションで一番面白かったのはスレイマンの祝宴に吟遊詩人に扮して忍び込むところ。シリーズの全体の中でも上位に入るくらい気に入ったかも。風格ありすぎるせいでピチピチの服が逆に似合ってないエツィオ、海外翻訳ゲー特有のリズムガン無視歌詞詰込み歌!衛兵にはぼろくそに言われたのになぜか喜んでくれる客!でも歌詞にパッツィとかクリスティーナとかチェーザレとか懐かしい名前が出てきた時は、エツィオの歩んできた日々の思い出が蘇ってきてちょっと泣きたくなった。こんな風に、ただ殺すだけでなく工夫されたシチュエーションって本当に楽しい。

 歴史ゲーとしては、かの有名なスレイマンと知り合えたのも嬉しかった。こういう「まともな指導者」のために行動する時が一番良いことをしてる感覚になる。そのときまともに見えても実はそうでなかったとか、権力を得た瞬間に暗君に変わってしまうパターンとかあるけどそれもまたいい。教団って一歩間違えれば名声や財産等をチラつかされて権力者の私兵になれてしまいそうな位置にいるから怖く感じる時もある。

 しかしエツィオ、導師になった今でも間違えて悪人でない人を殺してしまっているのが皮肉というかなんというか……。弟子ミッションで同じようなことがあったときは厳しく叱ってたのに。どれだけ気を付けても間違う時は間違ってしまうのが人間だから、暗殺を手段とするって相当危ういことなんだろうなとしみじみ思う。

   結局スレイマンのお父さんのお兄さんが今回のラスボス枠だったわけだけど、もうテンプル騎士との話し合いは散々やってきて一生平行線だとわかりきってるから、そこに特筆すべきことは感じなかったな。

    ただ、一般アサシンを大量動員した戦いに燃えたは燃えたんだけど、「これってほぼエツィオの私情に付き合わせているのでは……?」という疑念が消えなかった。テンプルを1人殺したところで何もならないとはいえ、結局自分の手で殺さずに引き下がったのも(のちに弟さんが殺してくれたけど)何か腑に落ちない。というかソフィアを守ろうとしてユスフが死んだのがかなりショックだった。書物庫の在り処を知ることはアサシン全体の利益だし、協力者をむざむざ殺されることはメンツに関わることだから放っておけないという点はあるけど、正直言ってこの戦いがソフィア1人の命と釣り合い(この言い方はあんまり好きではないけど)が取れているとはとても思えなくて……。愛している女じゃなかったらそこまで必死になって助けようとしたかな?と思ってしまう。ユスフが死んだのは、作劇上の都合で教団を動員する動機付けのためでしかないように見えた。死ぬ危険があるのはアサシンのみんなだって同じなのに……私だったら「こんな私情全振りの導師見とうなかった」ってなる気がする。私がエツィオのことを好きというより戦友の類いに感じているのってその辺りが原因だと思う。最後の最後でパラシュートに乗りながら馬上の敵を次々殺していく展開はめっちゃ面白かった。

 

    そんなこんなでエツィオに微妙な反発心を抱いている私は、アルタイルの記憶をやっているときは興奮やら感動やらでいっぱいいっぱいだった。特にアル・ムアリム様を殺した直後自分で操作して遺体を運ぶシーンなんて終始「ウワーーーー」しか言ってなかった。

 遺体に思いっきり火つけて驚かれてたけどイスラムは土葬らしいからそうなるのか。アルタイルにとってのアル・ムアリムは、裏切った時点でもう慕う対象ではなくなってしまったのかな。もともと親代わりとしての愛情もあんまり示してくれなかったって写本に書いてたしね。

 大導師の死後にNo.1アサシンとして教団を率いる立場になったかと思ってたのになんかアッバスに教団乗っ取られてるし。というかここでもう前回の26歳から63歳になってることに仰天した!この間にキプロスに行ったりモンゴルに行ったりしたらしいけど、本当に苦難の道を歩んできたんだなあ。

    「モンゴルって遠くない?」と思って当時の地図を調べたけどモンゴル帝国でっか!これは確かに脅威。忘れかけていた世界史の知識を一生懸命掘り起こさなきゃいけないから大変だよこのゲーム。

 しかしアッバスの野郎マジ許せねえ。一度死にかけて命を救われたくせにまだリンゴリンゴって筋金入りの馬鹿か?これだから秘宝ってやつは……。アルタイルが不在の間を見計らって息子を殺していたという事実にもエッてなったけど今度はマリアまで。いくら異性愛に興味のない私でもマリアの遺体をあのままにして一人で逃げだすのは結構嫌だったぞ。

    一族が受けた侮辱がどうとか嘘がどうとか最後までやってもいまいち理解できなくて調べたんだけど、「アッバスのお父さんが裏切りを悔いて自殺した」というアルタイルの証言が嘘だと思った、ってなんでアルタイルがそんな嘘を言う必要があるってことになるんだ?事実として確定しているのは「お父さんがいなくなった」という部分だけだから、確かに本当のことはわからないと言えなくもないけど、そんな悪意100%で貶めるためだけの発言をする奴だとアルタイルが思われてたってこと?どんだけ信用ないんだ……。どうやらその裏切りが原因でアルタイルのお父さんも死んだっぽいから、その責を押し付けるために言ってるんだろうという解釈?

 喪失感とかやるせなさのようなものをぶつける明確な対象が欲しかったってことなのかなあ。アルタイルの嘘だってことにしておけばお父さんは高潔な人物ということにしておけるし。それにしてもアルタイルからしたらいい迷惑だよ……。

    調べてる最中に知ったことなんだけどアッバスの野郎本編外でマリクのことも殺したんだって!?ゆ、許せねえ……!大事な親友枠を番外編で殺すか!?制作!!かつてマリクが友と呼んでくれた瞬間どれだけ嬉しかったか……教団の立て直しという重責の中で友の存在がどれだけ支えになったかなんて聞かなくてもわからぁ!許せねえ!調べたことを後悔した……。

    追放を受け入れて(ほぼ言いがかりなのにすごいな)80代になってから帰還したアルタイルだけど、こんなん80代の動きじゃない!走ることができなくてたまにゼエゼエするぐらい虚弱になってるのに、姿勢はしっかりしてるし何よりカウンターのときの流れるような動き!生涯現役じゃん!しかも体力のなさをカバーするために最新鋭の銃の扱いを学んでくるという周到さに痺れた。やっぱり変なプライドをもたないでどんどん新しいことを学んでいく精神をもたなきゃいけないよ。

    アッバスの配下たちが、帰還したアルタイルの味方になってくれるシーンには胸が熱くなった。教義のためとか忠誠心とか以前に、人として正しいことをするために教団があるんだという心が、何百年経とうがみんなの中に変わらず息づいているという事実……ありがとう……。バエク……アヤ……見てくれよ……。という気持ちになった。アサシンはただの殺人鬼じゃあないんだ。

    「失われた記録」というおまけ要素(fps視点だと私は画面酔いが激しくて断念したので動画で見せてもらった)の中でデズモンドが監禁されるまでの暮らしぶりが語られるんだけど、その点ウィリアムはダメダメだわ。教団にとって一番大事なのは形式ではなくて志なのに。何のために働くのか教えもしないで、ただ優秀な駒になれと強制するだけして部下を使い潰すなんて本末転倒すぎる。アル・ムアリム様の悪いところ完全に踏襲してるじゃないか。

 

 デズも言ってたけど、両親がアサシンだと他の世界を知る間もないまま自分もアサシンになるように外堀を埋められてしまうっぽいね

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タカの目は全員が使えるわけではないという衝撃的事実

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    最後にマシャフでエツィオとアルタイルの時間が交差する瞬間の感動は言葉にできない(できたらあちこち歩き回って呆然としたかったけどソフィアからシステムが物理的に離してくれなかった)。書物庫だと思っていた場所はとうに空で、そこにはアルタイルの遺体だけがある。当時はプレイの予定がなかったとはいえ、事前に動画で見て知ってしまっていたのがここだけは残念でならない。しかし扉の開け方がわし座(アルタイルのある星座)なのは痺れたな〜〜。

    彼は死ぬまで教団の同志たちのために身を捧げたんだ……本当偉かったよ……。書物庫に入った瞬間に1でのアル・ムアリムさまの言葉「知識が増えればそれだけ悲しみも増えることになる」が響く演出には本当〜〜に胸を打たれて少しの間動けなかった。あの時否定してあの人の亡骸とともに葬ったはずだった迷いが、年老いてあの人と同じになった今になって身に染みてわかるという演出!みんなのためを唱えながらもどうしようもなく自分の好奇心を満たしたくなってしまう秘宝の誘惑の恐ろしさ!「腰を下ろしゆっくりと休む」を自分の意思で動かさなければいけないとわかったときの震え!一つ一つの展開にいろんな感情が大波のように押し寄せてきた。

    「彼がせっかく封じた鍵を暴くようなことをしてしまって本当にいいのか?」という小さな懸念がずっとあったんだけど、彼は素質を持つ者が現れてくれることをずっと待っていたんだな。1から続けてやってきて本当に良かった……。

 

    エツィオコレクション……良いゲームだったな……。