感想置き場

BLとアサシンクリードが好き

『Grand Theft Auto V』感想

 3月にRDR2にドハマりしてもう4ヶ月ぐらいそのことばっかり考えてて、二次創作小説も10万字ぐらい書いちゃったし、逆に感情がありすぎて感想文にまとめられないみたいな状況になってるんだけど、RDR(1もやった)がこんなに面白いならロックスターの他のゲームもやってみようかなと調べたら、あの有名なグランドセフトオートもその会社だって知って、そしてやってみたらトレバーとマイケルに狂うことになった 今そんな感じ

 

 車にも運転にも興味が無いから最初は運転操作が難しすぎてかなり辛かったんだけど、終わってみたら良いゲームだなと思った 

 乗り物に本気ということは本当に伝わってきた 普通の乗用車やスポーツカーやバイクだけじゃなくて、トラックとかレッカー車とかゴミ収集車とか列車とか、ヘリとか飛行機とか、乗り物と名のつくものは何でも運転できるのがすごい

 車内からの銃撃でもオートエイム使わせてほしいのと、ヘリと飛行機の操縦が鬼難しいところ以外はほぼ良かった めっちゃふらふらしてホバリングが難しすぎるヘリと、上下左右だけじゃなく機体を水平に保つまで入っててアクセルとブレーキもあって、考えることが多すぎる飛行機はかなり試練だった めちゃくちゃ酔うし まあでもそれは乗り物に本気というこのゲームの表裏みたいなものだろうけど

 プレイ時間のほとんどが運転してる時間だから運転自体が好きじゃないと辛いかもと思ってたけど、終盤で操作に慣れてきて景色を見る余裕が出てくるとドライブも楽しくなってた 

 でも市内は行き交う車が多すぎてずっとぶつからないことを気にしないといけないし、気にするべきことが多すぎて周りを見ている余裕が無いからしんどかった 北の方の郊外だと対向車も信号も少ないから結構余裕がもてる でもやっぱり馬の方が好きかな 馬には交通ルールが無い 都会も交通ルールもクソだ 

 

 あと家にガソリンを撒いて火をつけるのを全部自分の手でやらせてもらえるところとか、他のゲームでは味わえない体験をさせてくれたし

 メインストーリーでヨガの全ての動作をプレイヤー自身でやらせる神経には一周回って感心したよ 他のゲームでこんなことさせない(ミニゲームではあるけどメインストーリーではさせない) 変なゲーム 流石ロックスター 体験の変態すぎる しかも操作を途中でミスるとマイケルが転んで最初からになるの細かすぎるだろ 変なゲーム

 

 サブイベントにあんまり面白いと感じるものが無かったのは残念だったな 人ん家のアンテナを撃ったり観光客の車のタイヤを売ったり、芸能人の下世話な写真を撮りたいパパラッチを助けたり、薬中のためにハッパを調達するとか、不動産の看板を破壊するとかの何が面白いのかわからなかったから

 マイケルが道で運動してる女性に急に話しかけたからナンパでも始めたのかと思ったら、なぜか走りで競争する展開になって、女性はキレながらなんかよくわからないけど「前立腺はどう?」とか言ってたし、マイケルもなぜか付き合っててなんか楽しそうだったし、最後なんか連絡先交換して友達になってたのはクレイジーでめっちゃ良いイベントだった こういうわけのわからないサブイベントを見られた時最高にオープンワールドの醍醐味を感じる

 

 あとはミッション中の操作キャラスイッチシステムがかなり良くて、主人公が複数いるゲームはたまにあるけど、だいたいは章が完全に分かれてるとかで途中でスイッチってのはあんまり無いから
 3人が揃って銃撃戦してスイッチしてお互いを助け合う時が一番熱かったね

 マイケルと関わる前は盗んだ車でレースやってたっていうフランクリンが走行中に使うスキルなのも、マイケルが銃撃戦で精密射撃するのに使えるスキルなのも、トレバーが撃たれても耐えられるようになるスキルなのもキャラに合ってたし
 トレバーは特に武装した複数人が守る場所に単身で突撃することが多かったし、慎重に計画を立てて自分を守るよりも、突っ込んで行ってめちゃくちゃに掻き回すのが好きなタイプなんだろうなってことに繋がっててよかった 薬物でハイになってるのか、もともと激情家な性格の現れなのかはわからないけど

 マイケルとトレバーが最初から射撃スキルがある程度高くてフランクリンは低めなのも渋い

 

 正直フランクリンとマイケルだけの段階ではイマイチ面白さを感じられてなかったんだけど、トレバーが出てきてから一気に面白くなった

 まず冒頭でトレバーがジョニーに「お前とやってもいいんだぞ?」とか言い出した時、ありがちなホモ呼ばわり侮辱系ジョークかと思ったら、本当に過去に付き合ってたっぽい空気で「マジ!?」ってスタンディングしそうになって、でも直後にトレバーがジョニーを頭踏みつけて殺しちゃって秒で希望立たれて草だった 「これ主人公なのかよ 今までやったことのある全てのゲームの中で一番ヤベーの来ちゃった」となった

 でも「男と寝られる」という実績があって、さらになんかマイケルに対して巨大感情ありそうな空気で無二の親友とか言い出したから希望をもち始めて、そして最後までやったらまあトレバーの輝きはそんなものじゃなかったね 作中の男男の愛憎の才能をほぼ一人で担ってた ロックスターBL界の星だよあいつは

 

 マイケルとトレバーの関係性としては、マイケルがトレバーを強盗の道に引き込んでずっと上手くやってきたのに、マイケルが女(アマンダ)と恋愛して子供産ませて、家族で落ち着くために自分の死を偽装して逃げてトレバーを捨てたから恨んでるって話。でもそれで本当は生きていたのがわかったマイケルの自宅にトレバーが上がり込んでマイケルを殺そうとするのかなと思ったら、娘のトレイシーがオーディション番組で恥かかされるのを一緒に止めに行くべきだろ!とか急にまともなことを言い出して「この流れでマイケルと一緒に行くの!!??」ってなった もうこの時点で超面白かった

 一回憎んだらとことん全てを憎むとかでもなくて、必要なら同じ車に乗れるし共闘もできるとかトレバーマジでBLの才能あるよ 憎い男はその娘も憎いから一緒に台無しにしてやろうみたいな価値観じゃなくてむしろ見直したし マイケルへの「どうやって俺無しで9年もやってきたんだ?」って台詞もBL力が高すぎて感動したレベル

 

 マイケルが手も足も出なかったメキシコ系マフィアのおじさんが報酬をくれなさそうだからって奥さんを誘拐するトレバーも最強すぎて正直好き トレバーのぶっ飛び行動にわりと慎重派のマイケルが困らされてるのもかなり萌えだったわ しかもマフィアおじさんから隠れるためにマイケルがトレバーの家来ててヤバかった 既成事実すぎる

 マイケル自身がが自分を「元々クソ野郎だった」って言ってるのに、トレバーは同調するんじゃなくて「お前は大した野郎だった」って言ってて愛憎を感じた 本人よりも本人に対する評価が高いのが

 マイケルがトレバーに「お前が来たせいで悠々自適の引退生活が終わった」とか言ってたけど、自分が完全に自主的にやった宝石店強盗のこと棚に上げてて草だった
 あれがバレたらヤバい(死んでなかったことがバレるし)からデイブに庇ってもらわないといけなくて、FIBに頭が上がらなくなったのに

 

 強盗前の会議でさっきまで殴り合いそうだったのに次の瞬間には同じ車に乗ってる流れがマジでBLすぎる

 トレバーが言ってた「フランクリンは仲間がピンチだと聞けば飛んできてくれる」は本当にそう思う フランクリンは優しいから 終わった後も送ってくれるし マイケルは送らない
 トレバーがフランクリンを引き合いに出したのはまあ本当にそう思ってるのもあるだろうけど、マイケルへの当てつけなんだろう感もBL力がなかなか高かった

 

 トレバーの家(トレーラー)から出る時にトレバーがマイケルを抱き上げた時、気絶するかと思った(私が) 証拠しか出してこないんだけどこいつら とんでもねえな 身体接触にも抵抗が無いとなるとマジで一段階証拠の確度が上がるぞ 大変だ アーサーとジョンですらやらなかったぞあんなの

 マイケルが自分から「ガキの頃からの夢だったろ」とか「俺とお前のコンビが復活したんだ」とか言い出したとき、トレバーめちゃくちゃ揺らいでて、戦利品も渡しちゃうしパトリシア(マフィアの奥さん)も諦めてやるとか言っちゃって、こいつマジでマイケルのことが好きなんだな……と思った。

 トレバーが来るなって言ってる時に「俺が付いてないとな」って言って来るマイケルも才能あると思うんだけどな

 

 トレバーはパトリシアに泣くほど本気で惚れてるっぽくて、しかも「俺の愛する人はみんな離れてくんだ」って言ってたけど、これたぶんマイケルのことじゃん(まあブラッドもか?) でも57歳の女性でも本気で愛するって好感度上がっちゃうだろうが パトリシアを送り返した後に電話がかかってきた時もトレバーが本当に嬉しそうで、パトリシア・ミセスマドラッゾってちゃんと敬意をもって呼ぶところとかも ガソリン嗅いでる顔をパトリシアにはたかれたのに「オーウ参ったぜ」みたいな反応しかしてなくて、顔叩かれるなんて他のやつなら憤慨してそうなのにそれ許すって意外と器デカいなと思ったし いつも相手に暴言吐いてピンチの時だけ思い出したように愛してるとか言う人間より、素直に愛情を示せる人間の方が五万倍カッコいいと思うけど

 でもマイケルも結構酷くないか? 直前にトレバーに「もうお前とのコンビは解消する」って自分で言ったばっかりなのに、トレバーが「俺には誰もいない」って言ったら「俺がいる」とか言ってきて いや二秒で矛盾すなってなったわ いないじゃん その場で聞こえのいいことを言ってるだけ感 完全に突き放すのではなく希望をチラつかせる方がむしろ酷い 結構残酷な野郎だなマイケルって

 

 でもマイケルが自分の代わりにブラッドを埋葬したことがバレて決裂して、お互いに銃を構えはしたけどどっちも先に撃てなかったのが 声もなんか弱々しかったし 邪魔が入った時もトレバーは銃を投げつけるだけで撃たなかったから、こいつ本当にマイケルが好きなんだな……となった(逆に、当てる気は無かったかもしれないけどマイケルは撃った そういうとこだぞマジで)
 でもそれでもう二人の協力関係も終わったかと思ってたのに、FIBとIAAとメリーウェザーに包囲されて絶体絶命って時に、まさかトレバーが助けに来てくれるとは思わなかったよ 助ける義理なんて無かったのに

 それに連邦保管庫の強盗が成功したらマイケルを放っておいてくれるってのが驚き 殺すかと思ってたのに それに「失敗したら2人とも死ぬだけだからあの世で永遠に一緒だ」みたいなこと言い出して BLの才能が極限に至ってた

 フランクリンのためという理屈でマイケルとトレバーが集まって、一緒にいるのにそれぞれが道路の反対側で陣取ってる距離感がマジで最高だったし、フランクリンを仲介者にしてお互いの悪口を伝え合い始めるのも最高だった

 

 しかしトレバーが度々「子供の頃に色々あったんだ」とか「親父に酷い目に遭わされた」とか悲しげに言ってたのは、相手を威圧するための演技というか大袈裟に言って見せてるのかと最初は思ってたけど、結構本気で言ってた?
 マイケルと墓で別れた後デボラとフロイドに「お前たちは家族だ」とか言ってたのも実は本気で、つまりはずっと家族的な繋がりを求めてるってことなのかな
 トレバーがこういう依存体質的な感じだってこと、ずっと一緒に居たマイケルなら当然見たことあるだろうに、気安く「俺がいる」とか言っちゃうのやっぱまあまあ酷いなマイケルも

 

 前情報を一切入れずにやったから、最後にフランクリンでトレバーを殺すかマイケルを殺すか二人とも助けるかの選択をさせられるのは本当にびっくりした でもトレバーは元々殺したくないし、だからってマイケルも家族を理想化してるところは嫌いだけどそれでも自分の手で殺したいか、死んでるところを見たいかと言われると流石にだし、それにフランクリンにやらせるのは可哀想だしということで最初はCルートを選んだ 

 工場での銃撃戦で、トレバーから応答が無いから死んだかと思って心配して駆けつけちゃうマイケルもやっぱBLの才能あるじゃねーか その才能を発揮してくれてりゃ……

 結局ヘインズ、チェン、ストレッチ(はなんかついで感あるけど)、デビンという、三人の誰かの命を狙ってくる奴らを全員殺して、マイケルとトレバーもクソッタレの友達のままで生きてこうってこと?意外なほどハッピーエンドだったな いいのかトレバーはそれで RDR1と2に比べたらびっくりするほど平和な終わり方だ 

 

 しかしRDR1と2通してもそうだったし、ロックスターの性癖って元悪の夫が昔の癖を捨てられなくてヤンチャを続けた結果妻子に捨てられて、更生するからって情けなく泣きつくことなんだろうけど、マニアックすぎるだろ

 マイケルとジミーの会話がジョンとジャックの会話とほとんど同じだったし 元ヤクザの親父にトラウマでもあんの?
 それで「ろくでなしのクソ親父でもまったく会えないなんておかしいよ」ってジミーに言わせたみたいに、文句垂れつつもなんやかんや決定的には別れないみたいな

 夫婦像も常に罵り合ってるのがデフォなのなんなの?円満な家庭とか見たことない感じ?それでもピンチの時には愛があるのみたいな感じで誤魔化してるけど、そこだけなんかファンタジーっぽい 暴言吐き続けてもその場のノリだから許してねとか、私だったら言われたことは忘れないし普通に憎悪が募っていくだけだと思うけど 常に喧嘩してる両親になんかトラウマでもあんの?

 しかしアマンダはマイケルに「まともになれ!」って言うけど、マイケルが強盗と殺人で稼いだ金で豊胸したのも家建てたのも車買ったのもお前じゃんってなって、全然彼女の主張に同意できないんだよな アビゲイルと同じすぎる
 アビゲイルも強盗の金で養われておいて(エピローグの農場の借金返したのも、元はと言えばブラックウォーターの金だし)自分は関係ないみたいなツラしてるのずっと意味わからなかったし
 ロックスターの倫理観はよくわからないな 実行犯はクズだけどその金で暮らすのはノーカンなのか?

 ジミーもお父さん(しかも運転中)に薬盛って車奪って銀行口座もらって家出るとか、ヘタレそうな顔してとんでもないことするなってびっくりしたわ フィクションの中で非行少年何回か見てきたけど今までで一番やばいぞ 麻薬が当たり前の存在すぎて怖いんだけどアメリカ社会

 マジでアマンダもアビゲイルと全く同じなんだけど、付き合った時から既に強盗で殺人犯なのに急に真っ当になれとか何言ってんだすぎる 甲斐性無しなのわかりきってるのに子供作んなよ  

 後半では家族が元通りになったとか言ってるけど、マイケルは全然足洗ってなんかなくて、これからFIBのビルを爆破しようとしてるし、連邦保管庫に押し入ろうとしてるのに、何が改善されたんだ?セラピーに行ったから何なの?セラピーのところで直前にマイケルが「俺のコックをしゃぶれはお前も芯が出来るだろ!」とか、「お前も死んだやつらと一緒に土に埋めてやればよかった」とか言ってたのに、出てきたら「一緒に家に帰ってくれるか?」とか言い出すのも意味わかんなすぎる

 FIBが逃してくれるわけないって、ジョンとは違ってマイケルもちゃんとわかってたっぽい(最終的にはスティーブを消したことでなんかどうにかなったけど)のに、どういうつもりで家族を修復した面をしてたんだろ FIBと連邦保管庫への強盗が成功するかどうか、その時点ではわからなかったのに

 マイケルは映画監督の仕事に強盗以外の生きがいを見出して家族との関係が改善したとか言うけど、それって金が稼げるからとか有名人になったからってだけじゃないのか? 特に息子に「これで働かずに生きられる!やった!」って思われてるっぽいのに、それって本当に愛か?真の愛っていうのは、「お前はどうしようもない馬鹿でクズだけどそれでも愛してる」ってことではないのか?「お前には〇〇という価値があるから慕ってやるよ」って、幸せか? 自分が見栄を張れる部分だけ受け取って、相手の弱い部分は価値が無いからと捨てさせようとするのは愛なのか?RDRの時、ジョンが一番辛い時にそばに居なかったのに、牧場の全部が整ってからしれっと戻ってきたアビゲイルに、「その家を一緒に苦労して建ててくれたのはお前ではなくてチャールズ(とおじさん)なんだが?お前はお前の"理想の生活"を手に入れるために何かしたのか?」となったのと全く同じ

 家族のためにどんな価値を提供出来るかっていうのが愛だってことなら、やっぱロックスターの価値観とは合わないな
 まあ仲間のピンチに命をかけて助けに来てくれるというのも結局は価値の提供ということなのかもしれないけど 

 

 Cエンドの後にトレバーのトレーラーに行くと彼の母ちゃんに会えたけど、母ちゃん生きてたんかい!しかしトレバーのあの弱々しい態度、母ちゃんに対して絶対服従みたいなやつ、もしかしてガチの虐待家庭というか、幼少期に心に傷を負って精神不安定なままで成長した的なやつなのか? だから家族的な愛をいつも求めてるってことなのか?

 

 トレバーは結局どれだけムカついててもマイケルが「助けてくれ……頼む……」って弱った声で電話してきたら行っちゃうんだろうなと考えられて辛えわ
 だってマイケルのことは憎くても子供達のことを考えてあげてるし、謝られただけで「いや……よく考えたらブラッドはクソ野郎だったし……」とか譲っちゃうんだぜ
 憎しみに飲まれずに子供たちのことはちゃんと愛してて、分けて考えられるのも本当にすごいと思うわ

 でもフランクリンに対して「ある意味、お前もあいつの子供の一人だ」はまだわかるとしても「俺と共通する子供だ」はマジで何言ってんの!!??となったわ
 お前もしかして、BL者の願望ではなく本当にマイケルのことがそういう意味で好きなんじゃ……!?自分はゲイではないって母ちゃんに言ってたけどそんなんありがちすぎる自己否定じゃん
 ラマーに「マイケルとヤッたんだろ?」って言われて「本当にやめろ 俺はそういうことはしねえ」って言ってた声が本気っぽかったから、仲間はむしろ聖域化するタイプなのかなとか思ってたのに 実は本当に内心ではマイケルのことが好きなんだけど自己否認で違うと思い込もうとしてるみたいなことが、その発言のせいで一気に現実味を帯びてきたぞ

 しかもトレバーは「まあヤツは今でもクズだが、そこが好きでもある あれだけ自分を憎むところが最高だ それで世界がすべて正しく感じられる」みたいなことも言ってたし、マジでマイケルが好きなんだな 愛がデカすぎてビビる しかし「自己嫌悪的なところも好き」って言えるの本当にすごいな 全部知ってる上で愛してるってことじゃん

 「今のお前はクソカスだから駄目、まともになれなければ愛さない(でもそのカスのやり方で稼いだ金は頂く)」とかいう連中よりよほど深い愛だと思うんだけど ほんとロックスターの価値観は理解できないわ

 

 マイケルを殺すBルートを選択したらフランクリンがトレバーを呼んで、「まあそうなるか」と思ってたのに、トレバーは「あいつを裏切るのか!?裏切りはもうたくさんだ」って言って、トレバー……!!マジかトレバー!!あんなに罵ってたのにお前……!!マイケルに裏切られても自分は裏切らないなんて……!!マジかお前!!ってなって、すっごい見直してしまった 「お前を殺すのは俺だ」とかいう典型的なライバル愛憎ケンカップル男みたいなことを言い出した時もビビったけど、まさか本当にマイケルを殺す時には参加しないとは思わなかったよ 愛が予想の一段上を行ってた

 それで、「これもしかしてトレバー殺すルートでマイキーも来ないのか!?」と思ったら、Aルートではマイケルはトレバー殺しに来んのかい!お前そういうとこだぞ!この脈無し思わせぶり野郎!になった

 

 しかしBルートを見て思ったけど、あれの中のフランクリンは全然彼っぽくないな 一番若いのにトレバーとマイケルの喧嘩をやれやれって仲裁してた冷静で仲間想いのやつらしくなかったわ
 マイケルが死ぬとしてもフランクリンに殺されるってのはちょっと無理矢理感があったというか、フランクリンの性格的に自己保存のためにまあまあ仲良かったマイケルを殺すってのが、本当にそんなことするか?ってどうしてもなるから
 フランクリンに冷たい扱いをしていたから絆を育めなくて殺されたって言うのなら因果応報感出るけどね 金があっても結局絆が無ければ終わりみたいな感じで
 そういう意味では法を破って生きてきたからこそ法を司る警察的なものに殺されるっていうRDR1のエンドの方が綺麗かな

 

 Cエンド後にマイケルはトレバーに「お前に幸せになってほしい」とか言うけど、当初の計画ではブラッドじゃなくトレバーを殺す予定だったことを考えるとどの口が言うになってしまうんだよな
 まあ「どんなこともいずれ償うことになる」って言ってたのが、仲間を売ったことで平穏を得たと思ったのに結局トレバーが生き残って過去を持ってきてしまったみたいな話なのかもだけど
 でも「いずれ償うことになる」って言うのなら、やっぱり自分の犯罪記録も脅威になる相手も全部消して「俺は更生するよ」とか言ってるのは筋が通らないと思うんだよな
 そう考えるとBルートがマイケルに限って言えば一番筋が通ってるような気がするけど、フランクリンがらしくない問題があるから ちょっとその辺りの完成度は弱いと思う
 このルートのフランクリンが「お前は俺を利用してた」って言ってたけど、そうは見えなかったからな むしろFIBから守ろうとしてたし

 マイケルは謝罪はするけど、仲間を売って得た金で保った家も車も家族も別に失ってないからな 反省してるとか言いながらもそれで得たものはちゃっかりもらってるじゃんって

 

 Aルートでトレバーが自分を殺しに来たフランクリンに「俺はお前にずっと誠実だったろ!」って言ってたけど、本当にそう ずっとフランクリンには優しかったしいつも助けてくれてたよ 一度対等な仲間と見なした人間には全力で尽くす人間だったよ
 でもフランクリンが来たのを「マイケルに頼まれて仲裁に来た」と思ってたし、「ほとぼりが冷めたらな……だが今は無理だ」とか言ってて、やっぱ時間が経てば仲直りする気はあったんだな

 最後にトレバーが燃料タンクに突っ込んだところを撃って燃やすことになるんだけど、その時はフランクリン操作でプレイヤーが撃たないでいるとマイケルが代わりに撃つらしいと聞いて、お前マジそういうとこだぞと思った

 でも私はジョンが結局は死んで終わったことを評価してたから、マイケルがこの後映画監督としても成功してのうのうと生きてくのはなんか納得行かない

 AとCはマイケルに都合が良すぎる気がするんだよな トレバーを殺して生きていくAルートはCよりももっと筋が通ってないと思うし だってトレバーは過去のマイケルの負債そのものなんだから それを殺して全てを無かったことに出来ると思うなんて一番最悪

 

 どのルートでもマイケルがトレバーに殺されずに済んだのは別にマイケルが強いからじゃなくて(いや強いけど、鈍ってることとか、それ抜きでも根本的な身体能力でもトレバーの方が強いと思う)、ただトレバーがマイケルを殺したくないからってだけなのが
 既に感情的にマイケルがトレバーに完全勝利してるからこうなったんだよ
 

 マイケルはジョンとアーサーの両方の要素を持ってるけど、結局こいつも自分のことがめちゃくちゃ嫌いなんだよな
 強盗のスリルと一度に大金を得られる達成感を楽しんでいる自分が嫌いで、真っ当になろうとしてなれないから苦しんでいる
 でもむしろ、だからこそ不幸なんだと思うんだよな 自分以外の何かになろうとするから 人は自分以外のものにはなれないのに 

 強盗を好んでいるのなら、実際にやるのはまあ捕まるし被害者が気の毒だからやめたほうがいいと思うけど、自分はそういう人間なんだと認めた方が楽になれると思うけどね

 それしか出来ないから金銭を得るための手段として仕方なく強盗を選んでたとかではなくて、普通に楽しんでた自分がいるんだろうにそれを無理に消そうとしてる
 変えられないものを「あるべきではない」とか言って変えようとするから苦しい

 

 まあトレバーも暴力が好きというよりも、根本的に愛情とか自分の存在に対する満足感が欠如してるから、その欠乏感とか孤独からの痛みとかが怒りとか破滅的な行動に出てるみたいな感じなんだろうけど
 だからトレバーが本当に欲しいのは暴力じゃなくて、自分が心から信頼できて向こうも自分を信頼してくれる家族なんだと思うけど 結局シリアルキラーは大体親との関係が悪いみたいなやつ

 

 ストーリーを終えた後にトレバーの左肩のタトゥーはRIP Michaelって書いてあることを知ってマジ!!??になった マイケルを愛しすぎだろ

 トレバーの存在が私にとってこのゲームの面白さに半分を占めていたと言っても過言じゃない

 

 

『Devil May Cry 5』感想(『Vision of V』も)

 名前くらいは知ってたけど、始める前はまさかここまでハマるとは思わなかった。アクション苦手だし、操作できるのは戦闘フィールドだけで探索とか街を歩けるとかは無いし、ストーリーもムービーで進むタイプのゲームだから向いてなさそうとか思ってたんだけど……。

 まあ一番はキャラクターが良いのと、シナリオに兄弟愛(憎)と家族愛の才能がありすぎる。

 特にバージルがド好み過ぎて気が狂ってた。ああいうドS力高くて理不尽で狭量で倫理観無くて執着強くて我が道を行く男大好きすぎる(あくまでフィクションのみ)。

 あと何より戦闘スタイル。静と動の緩急、ストイック、無駄の無い動き、その中に込められた鋭利な殺意、集中ゲージの概念、次元斬、幻影剣、そして納刀!全てがカッコいい。そしてそれを見た後に魔人化時の圧倒的な力の奔流を見ると、そのギャップがまた鬼カッコいい。こんなにド好みなキャラこの先出てくるのかなってくらい。

 それと敵の時だけ使ってくる「昔を思い出すなあ」が一番ドS力高い。後でやったけど、3のあれはどう見ても微笑ましいシーンではないし誇るようなところではないのに、「思い出すなあ」って笑ってるのが一番やばい。バージルの考える「アットホームな会話」がこれだと思うと笑える。

 Vもあのザ・ヴィジュアル系の中二病みたいな突き抜けた外見と、意外と俺様な性格と、真相を知った後にもう一回シナリオを読んで「あの時こう感じてたのかな」とか考えるのが超楽しい。まあ私は正体に関しては一回動画見て知ってたんだけど(期待するだけの結果が待っているとわかっている物しか最近出来なくなってるから)

 ネロも表面的にはクソイキリガキだけど、急に訪ねて来た誰だかわからないうえにちょっと様子のおかしい人を普通に夕食に誘ったり(施すだけでなく同席まで)、Vが崩れ落ちた時に反射で支えようとしたり、ダンテにもバージルにも死んでほしくないと思うところで根の優しさが垣間見えてすごく良かった。

 ダンテは正直5だけだと魅力はわかりにくかったんだけど、そこから4321と発売とは逆順で辿って行ったらどんどん好きになっていった。たぶん4までで描き切ってしまってたからだと思う。

 

 バージルは「母さんはダンテは助けに来たのに自分のことは助けに来なかったから、自分は愛されてなかったんだ」と思って、それ以前からもダンテの方が目をかけられてた(と感じていた)みたいな話だった。
 さすがに早とちりすぎるべと思ったけど、幼少期に天涯孤独になって以来ずっとそのままじゃ、昔の思い込みを引きずったままにもなるか。それにそういう感覚って一度埋め込まれると冷静に見ようと思っても無理なものだからな。

 それにVision of V(以下VoV)の過去回想でエヴァが「ダンテが悪いのに喧嘩両成敗」という、親の適当対処あるあるみたいなことやってたし。あれでだいぶエヴァの株下がったもん。ああいう下の子優遇で病んでる長子って現実にも結構いる。ダンテも割と擁護不可のクソガキだった(自分が読みたいわけじゃないのに人の物ねだるとか、物隠して自分の要求を通そうとするとか)からバージルが恨み抱くのもまあまあわかる。

 

 Vは「兄の存在、弟の存在が互いの戦う理由なんだ」と言ってたけど、ダンテの方はあんまりそういう感じはしなくて、バージルが魔王になって人間界滅ぼすとか言うから俺が止めないとと思ったという感じがした(バージルを殺せるのはダンテしかいないだろうし)。3もそんな感じだったし。

 でもVが「スパーダの血族……殺し合いにしかならない」とか言ってたけど、それ九割お前のせいだからな!?と思った

  

 これもVoVだけど、Vが「自分が勝てなくてもダンテなら」と考えるところまではまだわかるけど、「ダンテでも勝てない場合は考えてなかった」というのが、無意識の……!信頼っ……!となった。やっぱり認めたくないだけで深層心理では評価高いんだろうなあ。意識的にも「あいつは負けないさ」と言い切ってるし、ダンテの評価たっけえ……と思った。

 

 VoVでダンテが出るところ、V視点だとダンテってこんなに自信満々に見えてるんだと思うと興味深いけど複雑でもあるな。3のEDとか歌詞とか見た後だと、あいつ結構心の中で泣いてるぞってなる。「お前はいつも俺の先を行く」とか言ってるけど、実際置いて行ってるのはバージルの方なんだよなあ。

 

 Vが出した「恐怖に蓋をして力で上塗りしても、それは強くなったのではなくて逃げているだけ」という結論は結構ベタというか、銀魂みたいな理論だと思った。
 「弱さと向き合え」と書くと急にチープな響きだけど要はそういうことで、Vの「俺も全部言いたかった」という発言も、つまりは自分の感情を認めるということ。感情を捨てたということは強くなったということではなく、思考を放棄しただけだと。怖いとか寂しいとか辛いとかを感じている自分を認めてこそ本当の意味で強くなれると。あれなんかこれすごく銀魂で見たな。

 まあバージルも泣きたかったんだろうなと思った。泣くことを許されずに強制的に大人になるしかなかった。 
 でも母さんはあの時死んだわけだから、ダンテも身寄りが無くて子供一人という点ではそんなに変わらないと思うんだけど。 

 しかしやっぱり「あの時自分は泣きたかったんだ」と気づくことは大事なことだよな。 それを知ることがたとえ苦しくても。自分の感情がわからないと、どうすれば自分が幸せになれるのかもわからないし。

 1とか3とかの「悪魔は泣かない」を見た後に戻ってきて気づいたんだけど、「人の心を捨てて生きるということ=泣かなくなる」ということだから、バージルは悪魔として生きることを決めたあの日からずっと泣けないまま生きてきて、「人としての心を取り戻す=自分は本当は泣きたかったんだと理解する」ということなんだろうな。このゲームすごく一貫してるなテーマが。

 

 グリフォンたちはバージルの悪夢から生まれたけど、これからのバージルに悪夢の記憶は無い方がいいから復活した時に戻ろうとはしなかったというのが、上辺だけじゃなくてちゃんとVのことが好きだったんだなあ仲良かったんだなあと思ってめちゃくちゃ泣いてしまった。

 VoVは、ずっと一人で生きてきた(アーカムは断じてお友達ではない)バージルが、自分の感情を知って「誰かと一緒にいること」を覚えるという流れがあまりに良すぎた。

 特にグリフォンがただの賑やかしかと思わせて「お前のことが好きなんだ」とか堂々と言ってくれるし、Vがトリッシュ(母さん顔)とダンテのことで取り乱してる時に励ましてくれて、めっちゃ優しいじゃん……と感動してしまった。戦闘中の「俺がいないとダメねえ」ボイスは割と真剣に当たってると思う。

 それとグリフォンたちの最後の言葉が「良い朝だぜ」なのが本っっ当に良すぎて死ぬほど泣けた。青空の元に送り出してやるというのが……。振り返ったらもういないのも激渋すぎる。愛じゃなきゃできねえ。Vちゃんの幸せを本気で願ってないと出来ねえ。 全部読んだら「バージル……幸せであれ……」という感情しか抱けなかった。笑顔であれ……健康でいろ……。

 

 Vの言う「捨ててきた大切なもの」が主に恐れとかその他の感情とかだというのはわかったけど、「その中に"ダンテ"は入ってますか?そこが一番知りたいんだけど?」とやきもきしていたんだけど、最後の「この手に残ったもの」でダンテが出てきて(しかも3のあのシーン)もうなんか………成仏した……。 
 しかも「もし選べるならあいつはまた双子を選ぶと思うね」って!!わかっってんじゃねえかVちゃん!!ダンテの気持ちがちゃんと伝わってて、マジで我が人生に悔い無しだった。この「成仏」の瞬間を味わうために生きてる。

 

 しかし合体後に戦う時の第一声が「兄は俺だ」なのがマジでバージルすぎるし、Bury the lightの歌詞ってたぶんユリゼン寄りの心境だと思うのに「我が家紋は」とか入ってるのもバージルすぎる。あんな姿にまでなったのに良くも悪くもスパーダありきというか、スパーダの息子という枠から出られてないんだよなあ。 

 

 VoVの中で、Vはネロがダンテの息子なのか自分の息子なのかの部分はどっちでもいいと思ってるしガチで興味無さそうで笑った。その後も明確にここで気づいたってシーンは無かったから、本編のMission19でバージルが「ネロは俺の子か?」って言ったところまで、マジでどっちでもいいと思ってたってことでいいのかな?

 バージルモードをクリアした後のムービーはVの記憶もあるはずなのに、「我が子に会った感想は?」に対して「語るべきことなど何も無い」とか、結局ネロに全然興味なくて草なんだ(Vの時に命を助けてもらったくせに)。バージルって父親失格という所だけは全く揺らがないな。 クレドとキリエがいなかったらネロは絶対グレてたからもっと感謝した方がいいと思う。
 ネロも一応Mission20でバージルに勝っている(バージルはまだやれるとか言ってたけど)のに、ダンテに対するような対抗心が他の親族には発動しないのか?やっぱり双子で生まれた時から一緒で完全に同格ってところが反発の理由なのかな。近すぎるからこそ反発するというか。自分の立場を脅かす者として。
 まあネロがクオーターなのもあるかもだけど。クオーターの方がやっぱり弱いのか?でも人の心が強さの源というのがこのゲームの価値観だから悪魔の血が薄いから弱いとはしなさそう。

 

 バージルって一つの都市を滅ぼして何千人?何万人の人々を殺して蘇ったわけだから、人間界を守るという意味では普通に戦犯(しかも3に続いて2回目)なわけだけど、これでダンテがバージルを殺してしまったらダンテが可哀想すぎるというか、他人の為に働くのに自分の望んでいるものは何一つ掴めないみたいになってしまうから、これでダンテが幸せになれるなら全然構わないと思った。

 1まで逆走してから戻ってくると、最後に”あの”バージルがごく自然に笑ってるのもダンテが心の底から嬉しそうなのもめちゃくちゃ泣ける。

 

 しかしよく考えたらダンテはVがグリフォンたちといた時に悟った内容も聞いてないし、Vがユリゼンと合体した時の体内での対話も聞いてないし、Vがトリッシュに話した「人として大切なもの」とか「あいつなら過ちを正せると」の話も聞いてないから、バージルがどういう気持ちで戻ってきたのか全然知らないんだよな。実際バージルに戻った時すぐに切りかかってるし。 
 戦ってる間に察しろってこと?くっこのバージル……。

 

 道中の景色が単調(特にクリフォトの中に入ってから)なのだけが不満だったけど、どこ行けばいいのか、何をすればいいのかわからないと言うのが全然無かったのが良かった。4とか3はマジでずっと何すればいいのかわからなかったから。

 

 戦闘という行為そのものを面白いと思うことってあまり無いんだけど、このゲームは知れば知るほど、慣れれば慣れるほどに面白くなっていくから「もう少しやれるかも!もう少し上手くなりたい!」と思わせてくれる本当に良いゲームだと思った(実際SON OF SPADAをクリアするまでやった)。アクションゲームでこんなに充実した気持ちになったのは人生で初めてかもしれない。
 それでいて難易度を下げればクソ雑魚初心者が適当に剣を振っててもクリアできるようになっている。  
 そして極めた人にはブラッディパレスのバージルをVで倒すと特殊演出とか、バージルの髪型を真似るダンテとか、好きだからこそ遊びつくしたという人に嬉しいものが用意されている(私は当然出来ないけど)。本当に良いゲームだと思う。

 

 良いゲームというのはプレイヤーのことをちゃんと信用して任せてくれるんだよ。 自由を尊重してくれるというか。何通りも攻略法があって、自分で考える楽しさを認めてくれる。「やるならこれを使え、こうでなきゃ許さない」という押しつけが無い。色んなプレイヤーがいるということをわかってくれている。
 ただ制作の考えたストーリーを見せつけるだけなんだったらアニメや映画、漫画でいい。プレイヤーが自身の操作によって世界に関われるからこそ、その人だけの道のり、体験、思い出があるというのがゲームである意味だと思う。

 

バージルモードをちょっと触って戻ってきたら「うお居る!?」ってリアルに声出た

 



 

『RAIDOU Remastered_ 超力兵団奇譚』感想

 アトラスのゲームには何度も難易度的な意味で泣かされてきたのに、ついやりたくなってしまうのは何でなんだろうね まあ最近は親切にも難易度設定が四段階ぐらいあるのが普通になってきたから、詰んで投げ出すということはまず無くなっててめちゃくちゃありがたいんだけど

 

 このゲームのオリジナルの存在を初めて知った頃にはもうPS2の時代はとっくに終わってたから動画でぼんやりと見た程度だったんだけど、その時にもう「このゲームの通常戦闘BGM以上にかっこいいBGMは後にも先にも聞いたことが無い!」って衝撃を受けた そしてその感覚は今になっても全く変わってない このBGM(バトル-ライドウ-)が古今東西のあらゆるゲームBGMの中で一番好き やっぱりゲーム音楽は、自分でプレイした記憶があって聞いた時にあんなことがあったなこんなことがあったなと思い返せるのが一番充実した楽しみ方だと感じる 

 あとメガテン系って基本的に暗いゲーム(特に後半になるにつれて)だけど、ライドウは曲が明るいことが多くて(シリアスな局面では当然暗くなるしそれももちろん良い)気持ち的に助けられたというか、明るい気持ちでプレイできた

 

 戦闘はアトラスの悪魔使役ゲーだからってターン制だと思い込んでたけど、実際はかなりアクション性が強かった バトルの進行スピードも速いからEasyでも結構難しかったけど、一度劣勢になると覆しにくい従来のプレスターン制より面白かった 回避やら防御やら印術やら召喚し直しやら主人公のやれることが多いのは大変だけど、それが刺激的でもある ターン制はどうしても敵の攻撃をぼんやり見ている時間とかがあってダレるから 仲魔と入り乱れてライドウ自身が刀で切りかかっていくっていうのにも一体感を感じた 戦闘中に仲魔を隠して自分だけで対応する時なんてものがあるのは従来では見たことが無かったけど、それも新鮮で良かった 

 基本的には相手の弱点を突いて硬直させている間に攻撃してMAGを回復してリソースにするというシステムだけど、ライドウの属性攻撃はMAGを消費しないからMAGが空の状態からでもリカバリーできるというのが、MPが尽きたら終わりの従来システムよりも爽快感があった 硬直してなくてもマグネタイズという技で回復できるし ディア系を覚えている仲魔がいてMAGがあれば勝手に回復してくれるのも助かった 私は斬るのに夢中になって回復まで気が回らないことが多いから それと有利な行動を取っていくとエネルギーが溜まって発動できる大ダメージの必殺技やジャスト回避で発動できる反撃技なんてものもあるから、状況を自分の行動によって覆せるというアクションゲーの面白さを感じられた(オリジナル版にはどちらも無かったらしい) 

 あと戦闘中は相棒の猫ちゃんが常に声をかけてくれて、回避反撃時とかは視覚で捉えるよりもむしろその声を頼りにボタンを押した方が成功するぐらい(まさかラスボス第一形態でまでそれを活用することになるとは思わなかった) 何かするたびに猫ちゃんが「成長したな」とか「やったな」とか言ってくれるのがすごく良かった

  あと仲魔を集める時に使う封印術がすごく簡単だった(Easyだったからかもしれないけど)のも助かった

 それと今作の特徴は戦闘以外の街歩きでも仲魔の存在感があるところで、捜査に仲魔の力を使うのも連れ歩きが出来るのも従来とは味わいが違って良かった 彼らが嬉しそうにライドウ!って呼んでくれるのも良かった 単独捜査の後も「嬉しそうに報告した」とかライドウ側からもアイテムを取らせる時に「ありがとう」とか言ってて、ただパーティーにいるだけよりも本当の意味での仲間感があった メガテンは割とビジネスライクというか、並んで戦ってはいるけど会話とかは別に無いし ストレンジジャーニーやデビルサバイバーは仲間にする前の方がむしろ個性があって、した後はもうほぼデバイス内のデータにすぎないみたいな感触だったし 悪魔とそんな友達みたいな関わり方をして良いのかと思わなくはないけど、正直こっちの方が好き

 

 システム面ではクイックセーブがあることが最高すぎてもはや泣けた 昔のゲームの一番悪い所は簡単にセーブさせない所だから ダンジョンの中でもできるのが神過ぎた クイックセーブは一回分しか出来ないけど、ファストトラベルも充実してるから本格的なセーブがしたければ探偵社に飛べばすぐだし(流石にダンジョン内からファストトラベルはさせてくれなかったけど) でもダンジョン自体もアトラスにしては驚くほど短くて迷うところも無いし(目的地への道がマークされるし)、かつシンボルエンカウントで敵の感知もそんなに厳しくないから戦いを避けることも余裕ですごく楽だった オリジナル版にはファストトラベルも無いしランダムエンカウントだったらしいから、ユーザーのことを考えてくれて本当にありがとう まあ流石にラスダンはもう少し長くても良かった気がするし、裏ダンとかも無いのは流石にボリューム少なくないかと思わなくもないけど

 

 ストーリーは良く言えば渋めで悪く言えば地味かもしれない でも簡潔に纏まっていて良い話だった 時間旅行とか言い出した時は急に複雑になった気がしてどうしようかと思ったけど、下手に話を広げすぎずあくまでライドウの周りに留まっていたのが堅実でよかったかも 違う時空のライドウと会えるという展開も面白かったし

 3の時もSJの時も基本的に周りは崩壊してるか魔界化してるかで会う人の精神も大体荒んでるから、やっていてどうにも気持ちが塞いでしまうんだけど、ライドウは街で普通に生活してる人とか鳴海とかヴィクトルとか科学研究所のおっさんとかがいて根本的に明るいからその辺りは全く不安は無かったね

 特におっさんと協力してロケットを打ち上げるシーンには、彼が独学で長年やっていた夢が叶ったとか、「帝都の危機って時に本気で何とかしようとしてくれたのは俺の他にはお前だけだった」って台詞とかに、未来に対するポジティブな気持ちというか熱い気持ちが感じられて他の同社作品にはあまり無い明るい空気があって今作の特色って感じがした 業魔殿とかは流石に見た目もやってることも完全にヤバいしヴィクトルもだいぶ外見はおどろおどろしいけど、ストーリー進行に応じた雑談が結構豊富に用意されてて話すと結構楽しい人だったし

 天津神と国津神の争いがどうとかには正直そこまで興味もてなかったんだけど(まつろわぬ民の恨みがとか言われても自分はまつろわぬ民じゃないし)、ヤタガラスのことも情報が少なすぎて信じていい相手なのかはわからないし でもそういう派閥争いとか力関係とか誰かの思惑とかとは関係なく、ライドウは帝都とその市民を守るために危険に身を投じていて、デビルサマナーは悪魔を操るだけの存在ではなくて何かのためにやるものなんだよなあということに改めて気づかされた気がする 3とか4Fとかは正直自分が何のために戦ってるのかよくわからないままやってたかもしれない SJは思い返せば人類を守るためだったけど、それよりあの地獄でどうやって生き残るかみたいなところで頭がいっぱいだったというか、大義とかよりもかつては普通の人間で仲間だった人たちがどんどんそれぞれの派閥に染まって変わっていってしまう混乱の方に気を取られてたかも 

 ラスボスへの回答が未来を選択するのは自分や主義ではなくて民だから、自分はただ民を守るだけ」という形だったのは結構渋いというかライドウっぽいと思った 鳴海も「全てを知った気になって悲観していたけど、君のひたむきさを見てこういう人たちもいるんだということを思い出せた」みたいなことを言ってたし、それがこの作品の根底なのかも うちの業斗と別世界の業徒が全く同じ回答をするのもすごくよかった 二性格は若干違ってもやっぱり二人共初代ライドウなんだなと感じられた

 でも四十代目の時代である神とその僕によってがんじがらめに統治されて人間同士が蹴落とし合う社会での「民を守る」ってどうするのが最適解なんだろうな どんな愚行でも民の選択だからと受け入れる? 四十代目が言っていた「反乱分子の鎮圧」っていうのも、たぶん悪魔だけじゃなくてそれに協力する人間とか単に神に従わない人間とかも含まれてるだろうけど、自分が神側に使われている立場からそいつらをどう守る?って話にならないか?なるべく犠牲者が少なくなるように収める?そいつらを密かに援助する?まあそこがライドウの腕の見せ所ってことなのかな まあ少なくとも過去の人間たちを虐殺する以外の方法を探せって話か

 

 後はキャラの話だけど、今回は無口主人公の理由としてライドウが恥ずかしがり屋だからってことになってたんだけど、最後の「た、ただいま戻りました」がまさにシャイなやつのそれって感じでめちゃくちゃよかった あと猫ちゃんがライドウのことめっちゃ好きでつい過保護になってしまうところもすごくよかったね ラスボスに対して「ライドウを背負う覚悟の違いだ」とか言うのがライドウ自身じゃなくて業斗なところとか「お前十四代目のことめちゃくちゃ買ってんじゃん……!」と感動してしまった ついアドバイスしすぎて別時空の自分に怒られたりとか シャイなライドウの場合は猫ちゃんが過保護になって、逆に自主性を伸ばすタイプの猫ちゃんだとオラオラ系の雷堂になるということなのかも

 本当に完成度が高くていいゲームだった

 

 

ホン・トク『狐艶伝』感想

 このブログのヘッダーに「BLが好き」と書いてある割に商業BLについて書くのは初か?商業BLは読むだけで満足してしまって、感想をまとめようという気持ちがなかなか起こらなかったのだけど、今回はこの衝撃を自分の中で整理しておきたかった。

 墨香銅臭先生の『魔道祖師』が個人的に大当たりで、同作者の『天官賜福』も今日本語訳が出ている分までは読んだらそれもまた素晴らしかったので、もう中華BLに骨を埋めようかなと最近は思い始めていた。それで何か良いのがないかなと探していたらこの『狐艶伝』の表紙のものすごく上手い絵が目に留まって、アマゾンレビューを見たら「とにかく雄っぱいがすごい」「雄っぱいのデカい父親が出てきてこんなのもう乳上やんと思ったら本当に言われてた」等の文言が出てきて即購入を決めた。普段の記事でこういう話はあんまりしないし、我ながら「衝撃」とか言って深い話がしたいのかと思いきや結局エロ目的やんという感じなんだけど、個人的に令和のBLは男の雄っぱいに本気出してなんぼと思っているので、もうしばらくは雄っぱいに本気の作家の本しか買いたくない。絵が綺麗なだけだったら買わなかった。絵がものすごく綺麗な作品って確かに絵は上手いんだけど、コマの中の動きが完全に止まっていたり、人物ばかりに力が入って背景が真っ白だったり、単純にストーリーに興味が惹かれなかったりして、漫画としての上手さで考えたらそんなにでもないなと思うことがたまにある。ただこの漫画はその点でもしっかりしていて、どんどん続きが読みたくなった。

 そして肝心の(?)雄っぱいの話をするのだけど、ま~~すごかった。想像の1.5倍くらいすごかった。その「乳上」というのが表紙に描かれているメインカプとは少し離れた脇役のキャラのお父さんなのだけど、とにかく登場シーンから雄っぱいがすごい。なんだその服は!?ソシャゲの女かよ!?いや女はある程度隠さなきゃいけないからそんなすべてが丸出しの服は着ねーわ!ってくらいもうそこにしか目が行かない。それを読者が勝手に思っているわけではなくて、作者が描いている画角がもう、お父さんの雄っぱいが前面に出てその後ろに発言している人物の顔が描かれているという感じで、しかもそんなコマが一つや二つじゃない。作者が完全にこの人をエロ要因扱いしている。やべーよ令和。進みすぎだろ。しかもなんとそれだけでは飽き足らず、そのお父さんは実子(成人男性)に「甘えさせる」という名目でエロいことをさせている。やべーよ令和。巻末の相関図にその息子からお父さんに向かって「甘える」とかいう矢印が出てるんだけど、それは「甘える」とかいう次元じゃねーだろ!定義が壊れる!しかも更にやべーのが、そのお父さんの子供は一人ではなくてまだ兄がいて、その兄が二人の情事を目撃してしまうのだけど、その時抱いた感情が「敗北感」だからね。敗北感!?そこで感じるのは敗北感なのか!?普通はドン引きするところだろ!?いやーさすがBL、常識をぶち抜いてくる。どう考えても非常識なことでもあたかも常識かのように堂々と展開してくるその胆力。これだからBLはやめられない。その兄自体もまた面白くて、弟に父上を独占されているという思いから従者に父親そっくりの者を選んでしまったりとか、もう複雑で最高。しかも従者側もそのことをわかっていて彼に命を捧げている。この本、好きなタイプの男しか出てこない。

 中華BLの良い所は登場人物の多さとそこから生まれる多様な人間関係だな。登場人物が多いからこそキャラ分けのためにいろいろな性格や境遇の人間が出てくるし、それらの人々の感情が複雑に絡み合うのが面白い。『魔道祖師』もそこが素晴らしかった。あとはやっぱり知らない文化を知れることの楽しさ。天界と人間界と魔界の設定は向こうではお約束なのか?仙人やら修行やら、神から人間に生まれ変わるやらの設定は初見だったら難しかったと思うが、『魔道祖師』で散々慣らしておいたおかげで難なく理解できてよかった。

 最初に乳上の話をしてしまったのでメインカプの話もしておく。ここは割とよくある、男と女の良いとこ取りのような、美人で世話焼きの年上受けと、彼に拾われて恩義を感じている献身系年下攻めなのだけど、面白いのは受け(名前は高春)には攻め(斐進)の他に九百年前から愛し続けている男(シュイ)がいるところ。シュイはその九百年前に天界の神によって封印されたのだけど、高春は彼の復活を待ち続けているらしい。いや~好きだぜそういうの。今はもういない男を何百年も健気に愛し続けるとかそういうの。でもそんな男がいる割に斐進くんのこともまんざらでもなさそうで、コイツはどういうつもりなんだ?と気になる。単にシュイに対する当てつけに利用していると言い切るには斐進くんに対する表情が優しすぎるし。

 そして斐進の方にも面白いというか気になるところがある。高春はなんやかんやで人間界に落とされることになって、その時に多すぎる霊力を分割して送られた、つまり二人に分かれた状態(兄弟)で人間に生まれ変わったのだけど、その高春を追って斐進も人間界に降り立つことになる。そうなると人間界に存在する高春の魂を持つ者は二人いるわけで、つまり斐進は兄弟丼をすることになるわけだ。いいんだ、BLで兄弟丼って……。いやなんか、BL好きってロマンチストが多いから運命の存在とか唯一無二とか好きじゃん?真の愛によって救われるみたいな……。そういうのって一人じゃないといけないのかなと勝手に思っていた……。私も常識に囚われていたということか。いや同じ魂だから一人といえば一人なのだけど、弟側の人格が元の高春と違いすぎて普通に見てたら他人に見えるから「そういうの許されるんだ!?」とびっくりした。

 まだ一巻なのでこの先どうなるのかは全く未知数なのだけど非常に続きが楽しみ。

 

『SUPERNATURAL』Season13~15 感想

-Season13-

 一話二話が文句なしに面白い。見たいもの全部見せてくれた。ジャック周りも面白いけど、特にミカエルとルシファーの邂逅と格闘があるのが最高。この光景を見られただけでも見た価値あった。
 ジャックを導こうとする今のサムが全シーズンで一番好きかもしれない。人を救うために奔走しながらもずっとどこかで自分を汚れた存在と感じていたという経験から来た、サムというキャラクターの集大成という感じがする。今までもサムは「真の怪物になるかどうかは自分の意志で選べる」と自分のことも他人のことも信じようとしてきて、時には成功もしたけど失敗の方が多かったから、今度こそその願いが実を結んでほしい。実際サムは誰かを導くことに向いてると思う。頭は良いし、礼儀正しいし、相手に寄り添う説得ができるし、忍耐強いし(これはディーンが絡むとたまに無くなるけど)。
 サムとディーンがジャックの教育方針で揉めるの両親かな?おまけに「最後に二人で(狩りに)出かけたのはいつ?」って両親かな?
 前シーズンのつまらなさが嘘のようにめちゃくちゃ面白い。ジャックの「人を傷つけても何も感じない僕は怪物かも」に「何者でもいい。何をするかが大事」って回答が来るのは痺れた。いやでも「何も感じない」のは問題かもしれない。内心では思っていないのに「善い人間になれ」という指示に従っているだけだとすると……。
 虚無に「安らかに眠れ。自分を救え」と言われて「私はもう救われてる」って返すキャス最高にかっこよかった。それがウィンチェスターになのかジャックの存在になのかはわからないけど。
 カスティエルがジャックという最強のカードを手に入れたおかげで、あのルシファーに対して言葉責めで完全な勝利を収める日が来るなんて夢にも思わなかった。
 ガブリエルが再登場してなぜだかわからないけどめちゃくちゃ嬉しい。でもそうなるとS5ではルシファーと生身での命のやり取りをしないで、騙くらかす方を選んだということになるからちょっと複雑かもしれない。
 ルシファーの方も子供には好かれたいという気持ちがあることに驚き。かつての自分は父親に認められたくて頑張ったけど結局上手く行かなくて、今度は自分が父親になっても神と同じような振る舞いしかできないかもしれない可能性に怯えるような心があるというのは意外だった。ジャックにとっては母の遺言とカスティエルへの信頼が勝って、ルシファーはいらないと思っているところが皮肉というか因果というかで興味深い。
 ルシファー、天使を増やせるというのも翼を戻せるというのも嘘で、新しい神を気取るかと思えば具体案は無くてふんぞり返るだけって正直メタトロンといい勝負だぞ。彼が女性との関係で真心に目覚める展開になったら残念過ぎて推せなくなると思って怯えてた(一応恩寵がほとんど底を尽いたことによって生まれた孤独感があったからみたいだけど)。でもアナエルの方は最初、夫や息子が好きすぎて何でも許してしまう系の女性に見えたけど、ルシファーのクソガキっぷりにハッキリ意見を言えたり天界の修復の方を真面目に憂慮していたりして意外なほどまともで、侮ってしまったことが申し訳なかった。しかもその後、他の天使にも見限られたのかルシファーの方が飽きたのか不明だけど彼が新しい神になることもやめてただの飲んだくれになってたから、少なくとも恋愛堕ちが無くなったという意味では助かった……のかな?
 ウィンチェスターのためなら命張れるキャスがやけにあっさりサムの命を諦めるなと思ったら、脚本的にルシファーに生き返させられるという展開がやりたかったからか。ルシファーとしては息子に恩を売って良い印象を与えるためにやったわけね。カスティエルのスペックって脚本の都合にかなり左右されてる気がする。S6でイヴとダイナーで話した時は、キャス一人の光で店内のスターシップを全滅させてたのに、今回はそこに大天使を戦力に加えておきながらヴァンパイアの群れ程度にこの体たらく……。
 ロウィーナがサムディンキャスのことを「三人の父」とか言ってたけど全員父なんだ。多いな。兄弟は年齢的に兄かと思ってた。そこからさらに実の父までいるのは多すぎる。
 ルシファーが檻に入った後に発生した悪事がルシファーのせいではないのは一理ある(ルシファーが生み出した悪魔のせいなのは何割かあるはずだけど)し、神が人間を最優先してルシファーの言い分は一切聞かなかったのも事実だけど、ジャックにはそこら辺じゃなくてアポカリプスとかサムを腹いせに拷問したこととかを言った方がいいと思う。しかしルシファーの言葉だけを聞いてるとルシファーは悪くないみたいな印象を抱きそうになって怖い。物は言い様。
 しかしケリーもみんなも100%善意で言ってるんだけどジャックへの「お前が世界を良い方向に導け」ってやっぱ重すぎるよ期待が。「どう生きるかは選べる」って言っても生まれた時から「善になれ」って言われ続けてるからそうしなきゃいけないのかなと思うし、困難なのがわかっててその形に産み落としたのは誰よって話だし。生後半年でそんなことを考えなきゃいけないのは重過ぎるって。
 あのルシファーが泣いたシーンには心底びっくりした。カスティエルですらまだ泣いたことはないのに!?ガブリエルの癌呼ばわりがそんなに効いた!? 前シーズンの感想に「ルシファーは崇拝されてるだろ」と書いたけど、ガブリエルの言う通り崇拝と愛は違うか。でもガブリエル、人間を言い表すのに「純粋で美しい」しか言わないのは夢見すぎじゃないか。悪意も含めて人間だから、別に何も無いところからルシファーが植え付けたわけじゃないんだし。それともこの世界観ではそうなのか?
 ガブリエルとミカエルの戦いまで見られるなんて……ありがとう……。本当に見たいもの全部見せてくれた。「今までずっと逃げてきたけどもう逃げない」ってドベタだけどやっぱり良い。
 まさかのミカエルディーンまで見せてくれて超びっくり。実は見てみたかったんだよ!でも飛びながら戦う姿はダサすぎるから金輪際やめてくれないかな。これじゃ翼じゃなくてワイヤーで釣ってる飛び方だし……。空中でジタバタしてるだけでカッコよさの欠片もない。あとかめはめ波とかも……。
 ルシファーついに退場か……長かったような短かったような……。地球はミカエルにあげてしまって自分は息子と宇宙へ逃げる気だったとは……。過去を捨ててやり直すって絶対それ、ルシファーの人格が何も変わってないからまた同じように癇癪を起して終わる未来しか見えない。しかし力が欲しいだけなら恩寵を抜き取るという手段があったのにもかかわらず、最後まで「息子と二人で」に拘ってたし、最後なんてジャックに拒絶されて半泣きだったから、結局は寂しかったんだろうなあとは思った。親との関係が悪かった人が自分の子供を持って「今度こそ違う形に」と期待することは現実でも珍しくないけど、問題はそこじゃないんだよ。「子供ならわかってくれるかも・一緒にいてくれるかも」という期待そのものが命取り。ルシファーも結局は「息子に愛される父」になると同時に、息子にかつての自分を投影して「正しく父を愛する息子」となって過去の自分を癒したかったんだろうけどね。でも自分で宇宙を創り直すって出した例が火を吹く竜とか喋るロボットとかだった辺り発想がガキだわ貧困だわで、これは神の足元にも及ばないわ。
 このシーズンでビジュアル的に見たかったものは全部見られたけど、心理描写の面では正直物足りないな。ミカエルとルシファーとガブリエルの間の愛憎をもっと見たかった。ミカエルは自分の世界のルシファー、つまり自ら愛して育てた末に裏切られた弟を殺した時どんな気持ちがしたのか教えてほしかったし、S5でルシファーがガブリエルと戦った時に「俺にこんなことさせるな」と悲しそうだったところがすごく好きだったから、そういう葛藤や矛盾をもう少し見たかった。ただガブリエルがルシファーのことを癌呼ばわりして「もう遅すぎるんだよ」と徹底して辛辣だったところは悲しいけど、誕生から百億年だか数十億年だかが経っていて、ルシファーがアポカリプス後でも一切反省せずこの様だから……億単位まで行くと規模が大きすぎて、ここ数年の出来事で変わったとか言われても説得力が無いのはわかる。たぶん天界も地獄も人間も思う通りに支配できないことがわかった後のこの「手遅れ」呼ばわりがトドメになって、ルシファーは宇宙に行くことを決めたんだろうな。

-Season14-

 日本語字幕で、キャスが恩寵を失っていた時の「何も無い状態」をディーンなら「オマケ無しの」と言うって話めちゃくちゃ良い。特別な能力の方をオマケ呼ばわりするところがマジでディーン。 「君には俺の気持ちはわからない」って言うニックにキャスが「いやわかる」って言うから何かと思えば「自分も乗っ取ったんだ」って話をしだして、いや何でそれで行けると思った?人生を奪われた話をしてるのに自分が奪った側ですって暴露してどうする?共感で攻めるの下手か?そりゃルシファーくんも「あんたもあいつと同類ってことだな」ってなるよ!マジで何でそれで行けると思った?
 キャスとの会話で向こうのミカエルが心情を話してくれたけど、向こうのミカエルはもう良い息子でいるのはやめたのか?望みは普通に「人間のいない世界」?それは天使の発想してはかなり普通というか、最終的にルシファーと同じところに辿り着いてるけど……。言われてみればミカエルにとって大事なのは父の側に立つということだけで、「人間を愛せ」という命令は別に守ってなかったわ。そしてアポカリプスが終わったらもう目的を見失ってしまった?結局良い息子になったところで得られるものは何も無かったという……。
 ルシファーの役目は終わってもまだニックとしてのシナリオがあるのは嬉しい。単純にマークの見た目が好きだから。自分の身体で行われた罪の数々に慄いて泣いてるところがルシファーとの明確な違いを感じられて良い。しかもまだルシファーだった頃の癖が残っていて、殺しに対する抵抗が無くなっているみたいな描写があるし。今後の展開が楽しみ。
 ジャックからの「もし助けられなかったら世界とディーンのどっちを取る?」みたいな問答がまた始まったけど完全に「いつもの」だな。昔ならともかく今のサムとキャスは……決断までにも後にも死ぬほど葛藤するだろうけど……やっぱりディーンかな。でもダークネスへの魂爆弾の時は受け入れたんだっけ?じゃあもうわからないわ!結局「どちらも助かる未来」はうやむやなままだな。
 ミカエルのやりたいことが「自分が神に追いついて殺すこと」だったのは、もはや行動原理が癇癪だったルシファーよりは高次元だった。「最初は自分が神よりも良い世界を作って見せつけようと考えた」と言ってたけど、メタトロンに始まってみんな通る道だなあ……。そして自分では神以上の創造性は発揮できないし、そんなことでは神の気を引くこともできないとわかって同じように絶望する。
 ディーンのトラウマに比べて良い記憶が少ない!しかもストリップバーと西部劇ごっことパイとかいうあんまりコアじゃない所なの悲しい!もうちょい何かあれよ!でもたぶんそうなる理由は、ハンターに「完全な勝利」がほとんど訪れないせいなのは大前提として、さらにディーンにとっての一番の幸せが「穏やかな時間」だから、そういう何でもない日は本編ではあまり映さないせいもあると思う。私はS5で言ってた「兄弟で星空を眺めながら無言で何時間も過ごした」って話がすごく好きなんだけど、それを楽しめるのは2人が根本的に穏やかな時間を愛する性格だからだと思う。ディーンの普段の言動はチンピラかクソガキの要素がほとんどだけど、奥深くではそういう繊細さとか愛情深さとか優しさとかをもっているのが最大の魅力。
 ミカエルがディーンのキャスに対する恩に「地獄から救ってくれた」の方を挙げてたけどそっちじゃないと思う。だってそれもアポカリプスの計画の内だし。それを言うならS4ラストの天界を捨ててディーンを選んでくれたことの方だろう。どう考えても不利や非合理な状況なのに、それでも自分と共に来てくれたという事実があるからこうなってるんだと思う。
 ジャックを連れて病院に三人で押しかけて、三人揃って看護師に追い出されてうろうろしてる絵面が最高に良かった。今までキャスはともかくサムディーンが父親って実感があんまり無かったけど、この光景を見たら確かに「父親が三人」だと思えた。
 ニック、殺人の快感に目覚めちゃってるだけでもやべーのに、関係ない人でも見ただけで殺したい欲求が膨れ上がるとか完全にイッちゃってるじゃん!?一人だけ世界観が普通の人間の普通の殺人鬼が出る別のドラマみたいになってる。ルシファーのせいにするとか、家族の死の真相を隠そうとする者への憎しみが暴走したとかいう擁護の余地も自ら無くしてるし。確かにこれまでの魂を無くした人たちは「その方が合理的だから」殺人を厭わなかっただけで、快感を覚えてはいなかったかもしれない。思えば初めてルシファーが憑依したときも引き金は共感だったから、もともと2人の精神性は近い所にあったということなのか?もちろん今は憑依の影響でニックの魂が壊れたせいなのは前提として……。良心との葛藤で苦しむよりも、いっそ何もかも委ねて感じなくなりたいというニックの気持ちはわからなくもない。でもこれで前シーズンまで地に落ちかけてたルシファーの威厳一気に取り戻したわ。わざわざ自分から求めなくても向こうから勝手に求められるのが真のカリスマってものよ。ルシファーくんの出番は終わったと思ってたけど、また出てきてくれそうで実際めちゃくちゃ嬉しい。
 ジェンセン・アクレスの演技力ほんとすっごい。表情だけで全部伝わる。サムの後ろを通り過ぎるかと思わせて、やっぱり愛しさが溢れて寄り添うようなあのハグが良すぎて何回も巻き戻してしまった。
 あれだけニックが真相真相ってこだわった割には素直にルシファーのせいで予想通りだった。しかも実行犯のアブラクサスもあっさり殺せてしまうし。でも憑依する作戦のためにニックの家族を自分で殺したということは、あの時のルシファーの一連の言葉も演技だったってことになってしまうから微妙だな……。いや「理不尽に抗う」という部分は変わってないから同じことか?でもな~神への問いかけという点が重要だと思うんだよな~。私としては、自身と似た境遇の者のもつ「理不尽な世界を問い正す痛切な怒り」へのルシファーの共感は本物であってほしい(それが結局は自己愛から来るものでも)。
 ディーン「お前といると決心が鈍る」ですって……。サムのことをどれだけ愛してるのかがこの言葉だけで痛いほど伝わってくる。少ない言葉や動作に万感の思いを乗せるのが上手すぎる。
 ミカエルを自分ごと閉じ込めるためにディーンが死に際の告解みたいなことばかりいうのがすごく辛い。でもあんたが良い兄じゃなかったら逆に誰が良い兄なんだよ!というか「俺が家を飛び出したんじゃなくて親父が追い出した時があった」!?普通に虐待じゃないか!これ以上株下げんな親父!
 ザカリア出るの知らなかったから本当にびっくりした!異世界編では同じ役名だけど別の人が出てて、あの役者さんが好きだったから残念に思ってたのに今度は本人で超嬉しい!私は親父に興味無いけど(S2から瘦せすぎて言われないと誰だかわかんなかったし、サムが出て行って間もなくならもっと性格尖ってるだろと思うし)、記念すべき300話でディーンとサムが幸せそうでよかったねと思ってたぐらいだったのに、嬉しすぎるサプライズ。出てた時間は少なかったけど本当に助かる……ありがとう……。
 しかし「何でも欲しいものを与えてくれる真珠」なのにディーンが心から望むのは今も昔も「家族が揃って幸せでいること」なのが最高に推せるところ。しかも親父の「出来ればお前には家族を持ち普通に生きてほしかった」にディーンが「家族ならいる」って返すのめちゃくちゃいい~。「普通の家族」にこだわった頃もあったけど、たとえ普通じゃなくてもディーンが自分で選んだ道で、守ってきた家族が今ここにいてくれることが何よりも大事だから、何も悪いことなんてない。ディーン・ウィンチェスターってやっぱり最高。
 キャスと虚無の取引で、単純な「私を代わりに連れていけ」だったら話の流れ的に回避されそうな確率は高いけど、「いつかお前が心から幸せになった時」とか言われると急激に真実っぽくなる。そういうシナリオが具体的に用意されてるんだろうなと。キャスがS15で死ぬことは知ってるけど、これが収束してそうなるのかな。存続すること自体が理由になってダラダラ生き続けるよりもどうやって死ぬかの方が大事だから話の内容次第だけど、何であっても見たらめちゃくちゃ泣くんだろうなあ……。でも心底幸せな状態から虚無に突き落とされる絶望を狙ってるんだろうけど、その幸せを最後の瞬間にして死ねるならある意味幸せなのではないか?
 キャスはもうとっくにウィンチェスターたちを見送る覚悟はしてるんだな。そこら辺は深く考えたことなかったけど、何千年も生きてるならそりゃそうか。サムやディーンのために身を粉にして尽くしても、人間はすぐに死ぬし、彼らが死んだ後に自分だけは生き続けるということをキャスは経験で知っている。S4のときも、天使が天界を捨てるということがどういうことなのかディーンも視聴者も本当には理解していなかったのと同じように、天使が人間に肩入れした先に待っている結末の重みも究極的には人間には理解できないのかもしれない。刻印の時もだけど、表に出さないだけでキャスがそういうことをずっと前から考えていたのかと思うと、グッとくるものがある。
 いつの間にかサムが洗脳で他人の旦那役として吸収されてる回が申し訳ないけどめちゃくちゃおもしろい。今期で一番かも。サムにも似合わない髪型ってあるんだ。それに地獄の犬を殺す回でも思ったけど、眼鏡をかけると感動的なほどオタクっぽくなる。全然似合ってないのに「何か?」みたいな顔で出てくるのがめちゃくちゃおもろい。S14は20話しかないからギャグ回が少ないのかな?
 せっかくサムたちがジャックの情操教育を頑張ってたのに恩寵と魂無しが同時に来たせいですべてがめちゃくちゃに……。ジャックは素直で優しい人柄のおかげでここまで味方を増やしてきたのにこれじゃあ長所が無になってしまったじゃないか。
 キャスまた相談無しで悪化するパターンかよと思いはするけど、信じてきたものがもはや叶わなくなったことを認めるのは怖いし、今まで上手くやれてたからまだ何とかなると思いたかったって気持ちはすごくわかる。二人を煩わせることなく解決したかったのも。サムディーンの心に負担になるからってのも事実だし、そんな二人を見る自分も辛いからってのもあるし、単純に自分の至らなさを詰られるのは嫌なものだし。でも冷静に考えたらこれS6から成長してないんじゃないか?
 ニックの最後「僕を強くしてくれ!」のところで、あ~これ無理なんだろうな~って悟ったけど、死に方は流石に哀れだったな。サラの幽霊にもせっかく会えたのに、その喜びよりもルシファーじゃなかったことにがっかりする方が大きくなる日が来るなんて……。一度憑依されるとその存在が焼き付いてしまってもう以前には戻れなくなるというのは大天使の超常性を感じて好きだな。
 ボビーがまた出てくれて最初は嬉しかったけど、同じ顔なだけでもう二人のことをぶっきらぼうかつ愛情たっぷりの声でBoysとかSonとか呼んでくれないし、抱きしめてもくれないのかあとか思ってしまう。
 ジャックが生まれたばかりの時はどこの勢力も彼を利用したがってたけど、彼が魂を失ったことでまたその状態に逆戻りしたってわけね。自分の基準を持たない、世間知らずの、力だけはある存在なんて利用し放題・恰好のカモじゃん!ドナテロの「周囲に溶け込みたい時は、大切な人だったらどうするかを考えろ」というアドバイスはものすごくためになるけど、ジャックはサムやディーンのことをそこまでよく知らないというのが一番の問題かもしれない。「サムとディーンも喜ぶ」なんてデュマの言葉を信じちゃう辺り、全然二人のことわかってない。というか単純にあいつらの真似しただけだとむしろやらかす確率の方が高いんじゃ?
 しかしルシファーの幻覚がジャックの脳内の一意見の現れでしかないとしたら「彼らは本当は愛してない」とジャックが思ってるということになってしまうけど、節穴かな?所詮二歳か……。しかし「本当の愛じゃない」とかルシファー(ジャックの意見の代弁だったら濡れ衣で申し訳ないけど)にだけは言われたくないわ。お前も自分の過去の投影でしかなかったろうが!別にお前なりの愛なのは否定しないけど、それでもお前にだけは言われたくないわ!
「学習しろよ」とキャスに対して思うことは多々あるんだけど、兄弟のためにめちゃくちゃやってしまってもう戻れないって時のキャスが正直一番好きなんだ。特に兄弟のために半分衝動というか使命感と言うか危機感と言うかに駆られて同族を殺した時の、「あーあやってしまった」って途方に暮れた感じが申し訳ないけど最高。
 二人がジャックの信頼を裏切ったと言ってもなー、彼が魂無しでもサムディーンのことは変わらずに信じてたのは本当だけど、先にジャックがメアリーを殺したのがやっぱり……。しかもそれを事故だったで流そうとして、本心では全く悪いと思ってない(魂無いから)のが態度に出てるし……。ディーンがジャックを殺すことに関してやたら決断が早いのは尺の都合か?というのは置いておいて、もしサムが相手なら何があっても最後まで粘るだろうからやっぱ家族と言っても温度差はあるよな。ぶっちゃけ私としてもまだ二年だから思入れがそんなに……。いやでもキャスは二年も経てばもう欠かせない存在になってたからやっぱキャラ立ちか……。三人の中ではディーンは一番ジャックに対して心の距離的に遠いかな。正直ケビンと似たような位置に見える。逆にメアリーに一番近いのがディーンで一番遠いのがキャス。だから今の状況で天秤が傾く方向が違うのは当然と言える。
 最愛のディーンとジャックの間に立ってキャスはどうするんだ!?どっちを取るんだ!?って気になりすぎて前のめりで見てしまったけど、結論が出る前にジャックが吹っ飛ばしてくれて安心したようながっかりしたような……。
 神ってこんなんだったっけ?真剣な時に「名場面じゃないか!」みたいなことを言う嫌味な奴だっけ?サムに「作家だから僕らの人生で遊んでる」とか言われてるけど、今までのチャックからそんな印象は抱いたことないな。作家は確かにキャラクターを動かしてエンタメを提供する存在かもしれないけど、チャックは創造者だからこそ登場人物の選択に口を出さないしどんな結果になっても尊重するという真摯さはあったと思う。あくまで見物人の姿勢だとしても彼らの痛みや苦しみや喜びを軽いものだとは思ってなかった感じがしてたんだけど、地上にいない間に意地が悪くなった?

-Season15-

 ロウィーナの死の後ディーンとキャスが対面して、仲直りと喧嘩のどっちが出るかなと思ったらやっぱり喧嘩かい!いつも後手に回ってるんだから強敵が出現する前に止めたのは英断かもしれないだろ!?ディーンの塩対応が今までの最高値でこれからキャスがどう最高の幸福を得るのか見当もつかない。キャスが去る時の「君にはサムがいる」って発言はこれまでのディーンによるサムとキャスの扱いの差を考えれば残当でしかない。 
 ミカエルだ~~!やった~~!ずっとこの時を待っていた!最終章だから今までの心残りを解消してくれて嬉しい!特にミカエルの出番少なかったから。10年の間にアダムと結構良い関係築けてそうで、もしかしたら器と天使で一番の成功例の可能性ある?「神が会いたがってる」と言われてまず嘘と認定するのも、「あの方が直接出向けばいい」と返すのも、リリスに触られて不愉快そうに焼き殺すのも完全に期待通りの対応!しかしアダムが言い方次第で兄弟の味方に付いてくれそうな雰囲気で意外。拷問されてたわけじゃないからか?ミカエルとアダムの関係が良好で、精神の部屋で普通に意見を交わし合える程度なのがものすごくいい。今まで居そうで居なかったパターンだ。ミカエルにとっては神は服従すべきものという認識から全く更新されてないから二人に「神は敵だ」と言われても反応が悪いのか。しかしミカエルの振る舞いは完璧だった。ウィンチェスターの言葉を否定して神を信じようとするけど、証拠を突きつけられてしまったから協力はしてくれて、でも二人と一緒には来ない、この距離感が素晴らしい!そしてこの10年で培われたアダムとの関係も違和感なく組み込まれている!文句のつけどころがない。
 神、他の結末いくらだって書けるのに、何を描いても兄弟殺し合いからの残った方自殺エンドしか書けないって闇の性癖に目覚めすぎだろ。
 ディーンお前キャスに対して見つめ合うと素直におしゃべりできないかよ。別に喧嘩してていいから一緒に居ろ!もう置いていくな!とハラハラしていたけど二人が仲直り出来て本当によかった!ディーンにとってもキャスにとっても祈りって特別なことだからそれが届いたってのが……ああ~~安心した……。敵に捕まっても隙を見て戦って逃げおおせた上に花までしっかりゲットなんて近年稀にみる有能天使。キャスディンが喧嘩するのは心苦しいけど、ディーンが顔を向けた時にキャスが顔をつい逸らしてしまうのも、ディーンの方がそれに気付いて気まずそうなのも、ロウィーナに心配されて同時に「平気だ」って返すのも悪くはない。離れ離れになるよりはいい。しかしキャスが電話に出ないって時、祈ればいいんじゃないんだろうか……?特に留守電聞いてないって時に祈りなら自動的に届くのでは……?
 やっぱり被造物には無責任と取られるけどチャックの創作者としてのドライさ、言い換えれば誠実さのようなものは好きだったから、ラスボスにするために無理矢理闇堕ちさせられたみたいなのは何だかなー。というかウィンチェスター兄弟の功績の全てが神の加護の元だから出来たことだったみたいな設定は正直不快だな。だってS5で運命を覆したことまで神が「その方が盛り上がるから」と用意した筋書きだったってことでしょう。後から「今までのはフィクションだったんだよ~」とか言われたらあの時一喜一憂したのが無意味だったみたいな……。だからディーンは怒ってるんだろうけど、私はメタ的に考えて神をラスボスにするための都合じゃないかと思ってしまう。そういえばS5時点のチャックが原稿を書いてたのが、出来事が起こる前だったのか後だったのかって考えたこと無かったな。事前に書いてたとしたら今シーズンで問題になってることくらいとっくに作中の誰かが気づいてても良い気がする……と思ったけど原稿の存在を知ってるのは視聴者だけか?S5視聴直後の私は、なんとなく事後の記録だと思いこんでいたんだけど、なぜかと言えばそうでないとサムディーンが死にものぐるいで導き出した覚悟と決断が何も響かなくなってしまうから。アポカリプスの筋書きは作ってあっただろうけど完成原稿?は違うのかなと思ってた。だから私の中のチャックの認識って、作者ではあるんだけど一から十まで埋めてあるわけではなくて、土台だけ創って後はキャラが勝手に動いたみたいなタイプだと思ってた。S11で、自分を差し出すことで創造物を残してサムとディーンに後を任せるという彼の決断が結構好きだったから。そういう描写から、この世の誰からも違った価値観を持つはずの神の人柄を自分なりに掴めたと思ってたから、今になってそれらがすべて演技に過ぎなかったかのように後出しされるのは不愉快。
 キャスが最近有能天使なのは有難いけど、やっぱりジャックのためじゃ物足りないんだよなー。ディーンのために尽くすのでないと。あの契約は逆に言えば最高の幸せを得られるという確約みたいなものだからある意味幸せなことかもしれないが、その幸せはやっぱりディーンに関わることでなければ納得できない。だって最後だから。これからも生き続けるなら良いけど最後だから。
 キャスのFaithってのは要するにジャックが世界をより良い方向に導くと信じてるってことで、それは妄信でも計画でもなくて信頼だということなんだろうけど、ジャックが導く世界ってのの具体的なビジョンが見えないからピンと来ない。「神の計画が壊れて自分を見失った時期」ってS6~S12前半までを指してることになるけど、そう言われると迷走期長いな!?確かにいろんなことやらかしてきましたね~。
 キャスの死についてごちゃごちゃ考えたり何かの弾みでネタバレ見ちゃうよりは思い切って最後まで見てしまった方が良いのかもしれないと思った。サムディンが死ぬと聞いてもそこまで傷つかないのは、あいつらに出来ることはやり切ったと思えるからで、なぜキャスだとダメなのかって私がまだ満足してない・キャスはまだやれると思ってるから。だから「真の幸福」の内容次第では満足して見送れる可能性も全然あるわけだ。ジャックの爆弾の件で珍しくキャスが報連相してて驚き!最終章でついに報連相を覚えた!?しかし死神のノート通りって結局「誰の」が違うだけで筋書きの中じゃん!と思うけどどうなるんだろう。
 ディーンの「ジャックは家族じゃない」は衝撃ではあるけど理解はできる。あれもこれもと背負いきれないからある程度の線引きは必要だと思う。でもそれでいいのか?ディーン・ウィンチェスター最終章がそれでいいのか?「家族は何よりも大事だけど、家族じゃないなら死んでも構わない」が答えでいいのか?
「チャックを殺すためなら何でも差し出す」と言うディーンに対してサムが「僕も差し出す?」って何の話!?今はサムを差し出すような状況じゃないのになぜ仮定の話を!?サミちゃん必殺の泣き落としが始まって「ディーンはずっと僕を守ってくれてたよね」ってマジこれ何の話!?ディーンがサムに銃向けたと言ってもどうせ撃てるわけないのわかってるし撃てたとしてもせいぜい脚……も無理かも。でもサムを振り払いたいならそれくらいしないと無理だから「ディーンはそんなことしないよね?」と言いたいのか?意見に反対する・しないじゃなくて、阻もうとする僕を傷つける・つけないの軸で勝とうとしてる?そんなんディーンが勝てるわけないじゃん!!?私としてはディーンが銃出したのは「これくらい本気ですよ」のアピールであって、実際に撃てるわけないと思って軽く流してたんだけど、「僕も差し出すの?」はそこにかかってるんだよね?
 家族団らんの回にキャスがいなくて、いつも家族だとか言ってるくせに何で除け者!?と不満を抱いてしまったんだけど、もしやそこにいたら最高の幸せを感じてしまうからだった……!?
 キャス、あの状況からどうやって幸せになるのかと思ったら「幸せは手に入るものではなく、あるものなんだ」ってあいつ最後までパワー理論だったな……。でも恐れてたより彼の最後にずっと満足してる。「もう何があっても良いからディーンの隣で死なせてやってくれ!最悪幸福でなくても良い、死ぬときはディーンのためにしてやってくれ!それだけ叶えばいい!」と最大限にハードルを下げて挑んだからかもしれないが、最後まで愛に準じた男だった。でも「the one thing I want...it's something I know I can't have.」って何!?欲しいものはあるけど手に入らないって何のこと!?いやでもその後に続くのがディーンの話で、というかディーンへの励ましで、この流れでそれに当てはまるものディーン以外に何がある!?「手に入らない」ってどう頑張ってもディーンにとってサム以上に大切なものになれることは無いということを指してるんじゃ!?それかディーンの役に立ちたくてやることがいつも大惨事に終わることの方か!?私だってこの取引が発生してからキャスの幸せについて考えたけどそんなん……ディーンしかないじゃん!役に立ちたいとか認められたいとかもあるけどそれらは二次的な物で、究極的にはディーンが生きていてくれること、ディーンの存在そのものでしょう。でもホントに最後の最後に言うことが「君は愛に溢れた人間なんだ」ってお前……お前……マジか……。ディーンのことずっと見てきて、知っててくれてて、信じてくれてて……。そうなんだよ、愛ってのは手に入れるとか入れないとかそういう問題じゃなくて、ただ愛してるってことなんだよ。しかもその後ディーンの肩に手形ついてるの見てもう……あいつ……本当にディーンのことが好きなんだな……と感極まってしまってもう涙で画面が見えない。ディーンはツンギレなだけでキャスの想いをちゃんと理解はしてると思う。ただそれ以上にサミーちゃんが大事なだけで。でも私はそれを報われてないとは思わないというか、サミーちゃんを愛してないディーンなんてディーンじゃないし、そういうディーンだからこそキャスは愛してるわけだから、報われる=同じ気持ちを返されるではないと思うんだよ。まあ理屈でそう思っても寂しくないわけではないんだけど。
 ルシファーが再登場すると思ってなかったからびっっくりした!しかもミカエルと会うなんてあまりに待ち望んだ光景すぎて卒倒しそう。しかもミカエルの開口一番が「こいつを信用するのか?」で完全に解釈一致すぎて死んでしまいそう。
 と思いきやルシファーマジかよ親父のビッチに成り下がりやがって!どうせまた捨てられるのに!?プライドは無いのか!?……とは言っても妙に納得する部分はある、というかS11での和解後の猫ちゃんぶり見てると、状況が変われば神にべったりになるんじゃないか?と思わせる部分はあったと思う。
 ミカエルが結局神の側に付くならルシファーとの件何だったん?と思ったけど、ルシファーの方を復活させて自分は無視されたとわかったからか!いやでもその感情の移り変わりを兄弟が完璧に理解してるの何で!?しかもジャックを爆弾にしたことでエネルギー吸引機になったって何!?どういうこと!?勢いで言ってない!?でも死のノートは結局読めないから俺たちのやり方でやるって展開は流石だった。筋書き通りなんて二人らしくないからね。でもミカエル結局報われてなくてだから言ったじゃん!一番尽くしてきたからこそ期待してしまうのわかるけどと思った。結局一番悲しい奴ミカエルじゃないか?
 まるで最終回みたいな19話で最後何やるのかな~日常で終わるやつかな~と思っていて、でも兄弟が死んで終わるらしいことだけは知ってたからショックとかではないんだけど、狩りの中で死ぬのかあ~……ディーンらしいけど……らしいけど……。でも最後の兄弟が素晴らしすぎて何も言えないわ。好きなキャラが死ぬ瞬間まで文句無く描いてもらえるって本当に奇跡みたいに贅沢なことだから……。二人が手を重ね合わせただけでも感極まるのに額と額をくっつけるところが……ジェンセンの涙最後まで素晴らしかった。美しいって言っちゃうと顔の話みたいだけど(顔もだけど)何というか透き通ってて……。死ぬのはそりゃあ悲しいけどそれ以上にディーン大好きって気持ちでいっぱいになって、終わりの時にこういう気持ちになれるってことがどれほど幸せなことか。老化したサミーちゃんがピッカピカに保ってるインパラに乗ってディーンを想うところも涙で画面が見えなかった。
 しかしボビーが「ジャックが天国を作り変えた。キャスも手伝ったけど」って言ってて、あいつ戻ってるの!?ジャックが来たのは神になった後でだろうからキャスも戻ったってことでいいのか!?最後出なかったのはあんな鮮烈な別れ方してすぐ出てきたら台無しだからいいわもう!元気であれば!(そういえば兄弟とキャスの寿命差について前に考えたりしたけど、この世界だと人格そのままで天国に行くだけだし、天国は天使の領域なんだから会おうと思えばいつでも会えるのではないか?) 

 完結による感情の高ぶりが抜けてから冷静に考えてみると、神を倒す所は正直勢いで押し切ったと思ってる。でもそれは神を殺すというのがあまりにも大きすぎる目標だったのと、どうにかして話を終わらせないといけなかったせいだと思う。最後にディーンが死んで終わるのも、ただ狩りを続けていくだけだと今までのシーズンの終わり方とあまり変わらなくなってしまう気がして、それなら兄弟が死ぬ方が完結感が出る気がするけど二人同時に死ぬのはなんか間抜けだし、そのうえ怪物の方を勝たせたみたいになるから微妙で、じゃあ死ぬとしたらどっちかと考えたらディーンがサム無しで老衰まで生き続けられるビジョンが全く見えないから、彼が先に死ぬことになるのは割と納得できる。
 やっぱり話の完成度としてはS5までがよくて、キャラの色々な面を見られるファンサービスとしてはS6~S9がよかった。S10以降は正直深みが足らないというかノリと勢いでどうにかしてる感じだった。特にクラウリーとかルシファー辺りのIQが下がり気味だったし。状況によって手を組んだり離れたり色んな登場人物の思惑が絡み合うのは前と変わらないんだけど、登場人物それぞれのバックグラウンドとそこから生まれる複雑な感情や関係の描写が終盤になるほど減っていったと感じた。兄弟とキャスのことは納得してるけどそれ以外が。特に神がただの陰険な存在になってたのと、ジャックがまだ生まれて間もなさ過ぎてちゃんとした人間関係を築くような段階じゃなかったのが大きいかもしれない。ミカエルが最後に父親に着いたのは彼のキャラクター性としては自然な気がするからそういうのがもっと欲しかった。
 個人的にはルシファーの描き方に違和感があって、彼から父への感情はともかく、ミカエルへの感情は高き者への嫉妬だけじゃないはずだと思う。ケツ野郎事件の後の台詞でルシファーが「私の兄を?」とわざわざ言うのも「ミカエルに関係を持つのは私だけ(dick withの意味が分からないので仮定する)」と言うのも、つまりはどんなに文句があっても兄は兄だから他人に害されるのは許せないということだと思うから。そもそもルシファーはサムの同位体だから、サムにとってディーン>父であるようにルシファーにとってもミカエル>神のはずではなかったのか。だから「父がミカエルではなく自分を選んだ!ミカエルに勝った!」という気持ちが発生しないとまでは思わないけど、気持ちの優先順位としてはもっと低いと思ってた。あの墓場の段階であってさえ、ミカエルさえ了承してくれればいつでも迎え入れる気だったルシファーが好きだから、あの時の兄愛はいったいどこに捨ててきたんだろうということが最後まで気になった。

 キャスの「the one thing I want...it's something I know I can't have.」がディーンおよびディーンの愛だというのが、私の願望にすぎないかもしれないというカプ厨にありがちな恐れから他の可能性を考えてみたけど、ディーンでないとすれば次に来るのはほぼ確定で世界平和。キャスの人格的にそれぐらいしか思いつかない。でも虚無との契約の時点ではそれはジャックがやってくれると信じていたんだから「契約をして以来ずっと考えてきたが、全く答えは出ていなかった」や「手に入らないと知っていたから」は当てはまらない。それにその後の「手に入れる物じではなく言葉にすることだ」にも繋がらない。だからやはりそこに入るのはディーンしかいない。
 しかしあのセリフを見てキャスに対する見方が変わった。ディーンを大好きなのは当然知ってたけど「手に入れたい」だとは思ってなかったというか……。いやディーンをというか「ディーンにとって自分が重大な存在になること」でもいいけど、少なくとも現状では満足できていなかったということになるから。私が考えていたよりずっと切実だったんだなあと……。
 最終決戦の前にキャスが死ぬこと自体はまあ、ディーンの死後にキャスがいるとサムと慰め合うことが確定してしまって普通の生活は送れないだろうし、妥当な線だと思う。ディーンの死後にキャスサムが身を寄せ合って暮らすのは割と見たいけど、延々ディーンの思い出をぽつぽつ語り合いながらお通夜みたいな雰囲気で前向きにはなれなさそう……。楽しかったことを笑いながら話すんじゃなくて何か……ぽつぽつ話して束の間無言になった後「ディーンに会いたいよ……」って泣きだしそう。お互いの顔を見るとディーンのこと思い出しちゃうからしばらくしたら辛くなって別居しそう。
 ディーンがキャスに我が儘な怒りっぽさを発揮できるのはディーンなりの甘えなんだろうけど、それでも終盤の塩っぷりはすごかったな。どんだけ無茶苦茶なこと言ってもキャスは愛してくれるのがわかってるってだけで絶対にディーンの支えになってたと思うけどさすがにね。それでも愛を貫いたキャスのことは心底尊敬するわ……。
 ジャックに関しては、私がガキのキャラ(見た目は成長してるけど精神的に)嫌いってのはあるとしても、彼ってこのシーズンを終わらせるための都合のいい道具って感じが終始していたから一人の人格として見られなかったんだ。生まれた時から期待される役割があったせいで、彼自身の信念というより周囲からの圧というか誘導というかの要素が強く見えてしまった。サミー達は「正しい方向に導く」つもりでやってたんだろうけど、サミー達の考える幸福にしか触れる機会が無かったのに自由とは?とどうしても思ってしまう。ジャックの中にサミー達に好かれたいからという気持ちもかなりあると思うし、結局彼らの模倣でしかないのではないか?「子供は親の願いを叶えるために生みだされる」という暗黒面を感じ取ってしまう。ジャック自身がこの世界を守りたいと思うような何かがもっとあればよかったのかもしれない。

 何はともあれ本当に素晴らしいものを見せてくれたSUPERNATURAL……ここまで付いてきてよかった!

『SUPERNATURAL』Season11~12感想 

-Season11-

 辺獄で会話したときのルシファーとサムのやり取りは全部興味深いんだけど、ルシファーがS5のサムの決断力やら大義のために身を犠牲にする志やらを正しく評価してくれていたのが意外というかなんというか……。アメリアと一緒になろうとしたことと結局ならなかったことのどっちを責めてるのか最初はわからなかったけど、大義よりも「普通の生活」とか言って自分の心の安寧を取ったことを責めてるんだよなやっぱり。「あの頃は強かったけど今は腑抜けになってしまった」とかそんなん気にするんだ。意外とよく見てるんだな……。
 キャスがルシファーを入れようと決断するに至った過程がいまいち納得できてなくて、消耗品って言われたのそんなに気にする?ディーンはそんなこと思ってないのは明らかなのに?と思ってたんだけど、その単語というよりも「最終的にやり遂げるのはディーンとサムであって、自分は手助けしているだけだから大して重要な存在じゃない」というところに引っかかっていたのか。
 檻から出られた後自然を楽しむルシファーが、川を見たあとに口笛で吹く曲が「川に集まろう」とかいう讃美歌で「こいつ腐っても天使なんだな……」と思わせる細かさがすごくいい。S5の時点で、人間を滅ぼしたいだけで地球のことは美しいと思っているようなことは言ってたし、川や植物を見てる時の様子から見ても本当に自然が好きなんだろう。
 一応キャスのふりをしてサムの命を心配するようなことを言ってたルシファーが「もうバラしてしまおう」という考えに至ったのって、自分の言った通りサムがディーンを救うためなら何でも犠牲にするほど弱くなったという実例が目の前に来て「ほらこれだ」ってなったのと、自分が演じていることにも気づかず無邪気に「キャスを信じる」などと言うサムの馬鹿さに笑うしかなかったのと、そもそもそういう愛情や友情のノリ全部が馬鹿馬鹿しくなったのと色々あると思う。しかし、「アマラと繋がっているのはディーンなのに、なぜ俺はお前を見逃そうとしてきたのだろう?それはお前がプロムで私を断り続けた女の子のようだから」って、プロムで断わり続けた女の子に対する感情ってどんな?吹き替えだと「断られるほどどうしても落としたいとムキになる」って言ってたけどそれかな?
 今のディーンならサムが死んでどうするのかなと思ったら、普通に睡眠薬自殺で死神呼び出して「サムを戻して自分を代わりに連れて行け」って全くブレてない。喜ぶところか?
 正直ルシファーが出る部分以外はあんまり面白くないけど、逆にそこは全部最高に面白い。見たかったものを見せてくれてる。S5の頃からすればルシファーのカリスマ性はだいぶ減ったけど、檻の中にサムをおびき寄せた手腕は期待通りだったし、サムとディーンに簡単には降らない所も良かった。ウィンチェスターとキャスを同時に相手にして完全に圧倒する強さもいい。悪役が味方になると毒気が抜かれて個性(魅力)を失った都合のいい存在になる懸念はずっとあったけど、今のところそこまで悪くは無いな。単純にルシファーの出番が多くて嬉しい。しかしミカエルが檻の中でミュージカル曲を歌いながら自慰してるってのが本当だったらショックだわ。ミカたその掘り下げもっとしてほしい。
 メタトロンが神に対して人間の素晴らしさについて語るのは「お前そんなキャラだったか?」と思ったけど、彼が神のために尽くそうとするのはスッと腑に落ちた。なにせ誰もがあれほど待ち望んだ神が目の前に現れてしまってるんだから。メタトロンだって今は人間でも、天地創造の時から天使だったものが神を忘れるなんて出来っこないし。しかもメタトロンは自分が本当は矮小な存在だということをよくわかっているからこそ注目されたくて必死だったわけだから、たとえ偶然でも神が自分を選んでくれて、自分だけに聞かせてくれる言葉があって、それで「神の書記」と名乗れたことがどれほど彼にとっての誇りだったかはよくわかる。「あなたの光が私を照らした」に全てが詰まっている。これはS11で一番の名台詞かもしれない。それに遠くにいる間は気にしてなくてもいざ相手を目の前にすると思い出す気持ちとかはあるから。
 メタトロンも言っていたし、この回のオーディオコメンタリーで「『人間は諦めない』というメッセージを発してる」と言われてるけど、私はそこら辺はマジで興味が無い。「視聴者は自分たちのことだと思う」って、そういう人も多いだろうけど、少なくとも私はそれで励まされたりはしない。諦めないことで絶対に解決できるのはそれがフィクションだからで、作者は解決可能な出来事しか起こさないんだから当たり前だ。視聴者がエンタメとして許容できないほどの不快感は創作の中では存在を許されない。私がSUPERNATURALに惹かれるところも期待するところもそことは全然違う。愛ゆえに発生する葛藤や苦しみや痛みに傷つき疲れ果てて、時にはその愛を投げ捨てて楽になりたいと思ってもそれでも愛してしまうこと、その愛を失えないし失いたくないという気持ちを描いていると思うから。だからこそ神に対するメタトロンの気持ちをこの回で聞けて、彼に対する評価がかなり変わった。愛しているからこそ憎くなるし、期待してしまうからこそ対面すると文句ばかり言いたくなるけど、それでもその気持ちを捨てられない。それが愛だから。
 しかしメタトロンの態度とかを見ていると神が被造物に嫌気が差すのも全くわからないわけではない。下々の者の行動で何が起きても「あなたのおかげ」か「あなたのせい」になるし、誰も彼もが跪いてお世辞しか言わなくなるし、自分のやることすべてに過剰な意味を見出されて、気まぐれにやったことですら「あなたに存在を認められた!」と言われたりする。特定の人の祈りを聞いて一度介入したら今度は「神に選ばれた存在」という肩書が地上に生まれて、それを理由に新たな争いが起こると思うとちょっとうんざりするかもしれない。「どうして僕になろうとした?」「気を引きたかったから」「誰の気を?」「あなたの」ってメタトロンのやり取りでチャックの笑顔が消えるシーンが良い。みんなあなたのことが本当に好きなんですよ……ってなるし、自分が背負える以上に人々から想われることの重さも感じられる。
 ルシファーがアマラに「俺と組んで神への恨みを晴らそう」とか言ってたくせに最終的には「彼を讃える気は無いが、お前は彼にはなれない」になるのが愛憎を感じて好きだし、神の方もメタトロンには「ルシファーは悪党じゃない」と言ったのと同じ口でディーンには「少しでも信頼したら檻になんか入れるか?」とか「今はもっと悪くなってるだろう」とか言ってるのが愛憎で好き。実際ルシファーがアマラと組もうとしたところはほとんど当たってるんだけど、「お前は彼にはなれない」の方がルシファーの根本で、全ての憎悪や矛盾は結局愛から来ているってところがたまらなくいい。
 神に対するルシファーの望みが「謝ってほしい」なんて、アポカリプスに比べれば意外なほど無欲なのも興味深いし、サムが何の因果かルシファーに肩を貸したり話し合いで味方をする図になってる皮肉も最高。
 S10を見た時はあまり理解してなかったんだけど、ルシファーが堕ちた原因となった嫉妬心が刻印のせいだって死の騎士が言ってたのか。でも神が言うには、刻印は元から持っていた感情を増幅しただけらしい。外部からの影響で仕方なくとかでなくて、ルシファー自身から来ている方が圧倒的に好きだからよかった。なぜかと言うと、激しい嫉妬とは激しい愛を持っている証拠みたいなもので、つまりそれによって自らの身を焼くほどルシファーの愛が大きかったということになるから。感情のパワーというものは振り切れれば振り切れるほど魅力的というか、超常の存在だからこそ持ち合わせる純粋で剥き出しの感情を感じたい。
 神がルシファーに対して何て言うのか全く予想できなくて固唾を飲んで見てしまったんだけど、英文見る限り、本当は創造物のことは平等に愛すべきで、誰かを特別視するようなことをしてはいけなかったけど、それでもルシファーは最も可愛がった息子だったということか?特別に愛していたからこそルシファーに刻印を任せて、彼なら理性を保てると考えたけど、その選択が間違いで最愛の息子を蝕むのを見たとき、自分を憎み、その延長でルシファーを罰したと。しかし神に「耐えられると信じたから刻印を渡した」と言われて、ルシファーの方が自分のふがいなさにバツが悪く感じるという手法には感心した。"most cherished son"はルシファーにとってキラーワードすぎる 。
 ルシファーがウィンチェスターに「聞いたか?神が父親で、それと議論するのがどんな感じかわかるか?」と言ってるところ、何度見ても因果の妙を感じて最高。あのルシファーが人に共感を求めている!しかしサムの言う「謝るというのは時として謝るだけなんだ」っていうのはかなり金言だと思う。ディーンの「嘘でもいい」は違うと思うけど(特に今のルシファーには嘘じゃダメだろ)そうではなくて、謝るという行為そのものが目的になることはある。結果として果たされないことがあるとしても、そこに申し訳ないという気持ちが存在しているという事実が重要なことがある。
 神と話し合いが終わった後のルシファーの憑き物が落ちた顔がすごかった。
 神曰く「"存在"は神の手から生じた者ではなく、最初からそこにあって生まれるのを待っていた」だって?聞き捨てならない新解釈。神という存在をどう言い表すかは相当難しいと思うけど、つまりこの世界のあらゆる"存在"を生み出したもので、あまねく場所に存在し、知らないことは無く、この世の良いことも悪いこともすべて神が「そのように決めたから」そうなってるんだと私は思っていた。でもこの"神"はただそれらがこの世に出てくる手助けをしただけで、”存在”の根本を創り出したわけではない?そうだとしたらかなり色んな解釈が変わってくるぞ。
 神が消えれば宇宙が消えるのは当然理解できるけどダークネスが「私も含めて」とか言い始めてわけがわからない。じゃあ今までのは何?神に復讐するはずじゃ?つまりは最初から心中ってこと(見返したら殺すというより痛めつけて思い知らせたいだけだったらしい)?そうしたらそれを受けたディーンが「本心では独りが嫌で、弟を求めてる」とか言い出してさらに驚愕。「本当に望んでるのは俺じゃない」「本当の望みは何だ」って急に好みの展開が来て驚いた。ダークネスの弟に対する感情「私がいるのに他のものを求めたお前を憎んだ」!!??急に愛が重すぎる!光と闇って神とダークネスだけじゃなくてディーンとサムにも当てはまってて、ダークネスは自分を蔑ろにした神の代わりに同じく光としてのディーンを欲しがっているってこと!?確かにディーンを気に入ってる時点で神の創造物を気に入る余地があるってことだよなとは薄っすら思ってたけど!ダークネスがディーンに愛着があるのは単に解放された恩かと思ってたけど、弟の代わりだったの!?その方がただの人間を特別扱いするより説得力があるかもしれないけど弟に対する愛が重い!
 しかしどちらかが欠けると光と闇のバランスが壊れる→神が死にそう→ならダークネスの方も殺せば均衡は保たれる、もなかなかの超理論だと思う。そこまで影響力の強いものがゼロになってなんで地上に影響が無いんだ。
 ダークネス、母さんを生き返らせて贈り物とか言うけど人を簡単に生き返らせるんじゃない!死が軽くなるだろうが!ものすごく今更だけど!でも母さんとかぶっちゃけ役目を終えた人間だと思ってたから今更出て来られてもあんまり嬉しくない。「思い出の中でじっとしててくれ」って言葉はこういう時に使うのかな。
 ダークネスの語感がすごくホビーアニメっぽいとか、世界を壊した後どうなるかがふわふわすぎるとか、「光と闇はどちらが欠けてもいけない」とか、強大な敵を前にしてかつての敵同士が協力するとか、展開がどうにも安っぽいしどこかで見た感満載だけど、演者の力量で面白くなってる感じ。S10が面白かったのはクラウリーとディーンの関係の変化とか、サムのディーンに対する感情とかいろいろ見どころがあったからで、刻印の設定が面白かったわけではない。だからS11はずっとつまらなかったけど、最後の最後でダークネスと神の感情濃度が急増したから最終回は良かった。メタトロンと神、ルシファーと神との感情の辺りも食い入るように見てしまったくらい良かった。神の前だとルシファーは完全にクソガキだったし、和解の後なんて完全に牙抜けてたけどそれもまた良かった。だって神こそがルシファーのあらゆる行動の理由なんだから。

 初見では神とルシファーとメタトロンにばかり注目してしまったので、サムディンに関してS8からずっと続いている「互いを救うために大勢の人を犠牲にするのは正しいのか?」という問いの答えがどうなったのかに注目して二回目を見てみた。「S8のラスト:サムが死にかける S9のラスト:ディーンが死んで悪魔になる S10のラスト:サムを殺さなければならない」のすべてで結局世界よりもお互いを選んできたわけだけど、そこからS11ラストの魂爆弾まででどんな心変わりがあったか。
 初回でディーンの「タイムマシンがあったらお前がダークネスを開放するのを止めに行く」という発言があって、それが「刻印を取り除く儀式を止めさせる」という意味ならいつも通り自分が犠牲になって世界を守る気でいることになるが、それに対してサムが「自分たちを救うのと大勢の人を救うのを両方するんだ」と返していて「ああなるほど、そういう方向に向かうんだ」と感心した。
 ……したんだけど、ルシファーに再会して言われた「ダークネスを本気で倒したいなら自分や愛する人が死ぬ覚悟をしなきゃならない」でまた元の位置に戻ってきた。S8からずっとそのテーマで来てるのに、結局身内を犠牲にして世界を救うんじゃ振り出しじゃないか。というか理性ではわかっていてもいざその局面に立つとどうしてもできないから、こんな何シーズンもウダウダしてるんだからね。
 次にその件に関係してくるのは人狼に捕らわれた一般市民を助けてサミーが殺された時。サムを生き返らせること自体はそうすることが世界の危機に直結するわけじゃないから良いとしても、ディーンが死んで代わりに行くのでは今度はサミーが蘇らせるために何でもするだろうというループは変わらない。世界のためということを考えれば「ディーンにアマラを倒すことは出来ないから世界を救うためにはサムが要る」は正しいように見えるが、この時のディーンは死神に指摘されているように世界のことなど本当は気にしていない。結局ディーンは弟がいないと生きられないから、自分が生きている以上は戻す以外の選択肢は選べないというだけである。つまりこの話ではほとんどこの件に関しては進展していない。
 次はキャスの中に入ったルシファーを追い出すべきかそうでないかという口論の時。ここでディーンは「家族なんだから当然連れ戻す」という意見。前回のことといい、彼の中ではもうS10のラストで最終的な結論は出たということかもしれない。一方でサムは「家族だからこそ本人の意志を尊重するべきだ」という意見。おそらくルシファーの提言が影響していると思われるが、こっちもシーズン当初で出した「自分たちも世界も両方救う」論は跡形も無くなっている。あれ?今までのくだりは何だったんだ?
 そして結局キャスはディーンが呼びかけても帰る気は無いということがわかって、ディーンも「あいつの意志なんだ」と納得する……というところまでは理解できたのだけど、その後の「片方が賛成しない選択をもう片方がするとしても邪魔しないと誓ったよな」という台詞にびっくり仰天。そんな話いつした?本気で覚えがない。主題に関係ないと思って早送りした中に入ってたのか?それとももっと前のシーズンの話?この発言が想定外すぎて完全に検証の道が途切れてしまった。まあその発言は置いておいても結局身内を犠牲にして世界を救う感じ?それってただのS5じゃね?あれ?今までのくだりは何だったんだ?「お互いを救い合っても結局何にもならなかったよね」ということでいいのか?
 これだけ長らく引っ張ってきてどんな結論を出すのか一生懸命追いかけてきたのに新しい道も何一つ見出されずに結局S5に立ち戻るってマジ?それならS10の時点でこの話題は終わっておいた方が良かったんじゃないか?最終的にはディーンは死ななくて済むわけだけどそれって結果論だしな……と思ったが、神が世界を創るために身内を犠牲にするという選択をしてしまったのが始まりだから、神とダークネスが和解できたことが「どちらかを犠牲にではなく2人とも生き残る」道があるという示唆なのか?

-Season12-

 キャスとクラウリーの組み合わせ、見るだけで私の中の何かが助かる。
 ルシファーくんの「愛されたいからロックスターやる!(ギター弾けない作曲できない)」の格下げ感すごい。崇拝されるならせめて実力でやんなさいよ。これで本当に未知なる音楽の才能をもっていたとかなら面白かったのに。いやルシファーが音楽に触れる機会とか無いんだから当たり前なんだけどね。でも「愛の証明として血を捧げてみせろ」と要求するのは彼の性格的にわかる気がする。しかしルシファーは確かに反逆者だけど、だからこそ崇拝されてもいただろうに人気者になりたいとは……。「自分の意志を貫いて何が悪い?嫉妬の何が悪い?」って彼に共感する人はいつの時代もいるのに。それに正道を知るからこそ邪道に進み、逆に邪道に進んだからこそ正道の価値がわかるということもあるし。というか少なくとも堕ちる前は神にもミカエルにも愛されてただろ!この間だって最愛の息子っていう称号をもらったばっかりなのに!?(と思ってたら、そう言ったくせに神が今度はアマラと一緒に出て行ってまた置き去りにされたからだった。そう考えると和解後に神にべったりになるルシファーはちょっと見たかった)
 ルシファーが愛されたかった子供というのはその通りなんだけど、同時に超常の存在であることも重要な要素だから、人間の尺度のみで図った「子供あるある」だけで終わってほしくない。彼らが人間とは違う存在だからこそ人間とは違う受け取り方をするし人間とは違う理屈で動くってのがもっと欲しい。もちろん人間との共通点もあるけど。
 カスティエル……ついに守る対象がウィンチェスター家全員に……。自己犠牲しがちな彼らのことを他の何よりも思いやってくれる存在がいるのはものすごく嬉しいんだけど、あなたそうやっていっつもボロボロになって……。宇宙規模のツケが回って来るって言われてんのに……。
「良い父親になれる」って言われて「閃いた」みたいな顔するルシファーホント草。「自分が父親になればいいじゃない」じゃないんだよ。「創るのは初めてだ」じゃないんだよ。ルシファーのクソガキ化が止まらない。
 ルシファーが「よだれを垂らしたミカエルと檻の中にいるよりはマシ」と言ってたけど、それが本当だったら確かに本気で見たくない光景だと思う。だってルシファーにとってのミカエルは、自分を育ててくれて、自分のできないことを全部出来て、いっそ崇拝と言えるくらいに愛していた人で、だからこそ一緒に来てほしいと願ったけどどこまでも正しいからこそ来てくれなかった人だから。そんな人と仲違いして憎み合うことになるのは悲しいけど、受け入れられないわけではない。でもその完璧な兄が壊れて見る影も無くなっていく姿を見る辛さはそれとは全然違う。
 クラウリーここまで圧倒的に勝利を収めたのは流石に初めてじゃない?しかもルシファーを相手に!今は珍しく小物臭くない!……と思ったけど、やっぱダメだわ、ルシファーとは根本的に器が違う。クラウリーはどこまで行っても名声にしか興味が無いというか、何かを成した結果の名声じゃなくて「名声を得ること」自体が目的で、もっと言えばその名声というのも「尊敬や恐れの目で見られる(内心で馬鹿にしているかどうかは不明)」という表面的なことだけだから、何をしても器が小さく見える。一時的な盤面操作で王座に着いてもクラウリー個人を好いてる人が誰もいないから、情勢が不利になれば即寝返る人しかいない。この辺りはメタトロンとまったく同じで、本人も自分がそこまでの器ではないと内心で気が付いているからこそ煌びやかな称号を求める。本当のカリスマは褒められようが貶められようがその存在は揺らがないから、誰にどんな風に呼ばれるかなんて大した問題じゃない。S10まではクラウリーのことを十分推しと言えてたはずなのにS11から急にその良さが感じられなくなってしまった。でもミカエルの槍の回で帰ったように見せかけてラミエルに直談判してたり、貴重な槍を破壊してキャスを助ける義理は全く無かったのに助けた所とかは普通に好き。人間味というか良心との狭間で揺れる男好きだから。ルシファーが床を舐めててもそこまで惨めな感じがしないのは、何か考えがあるんだろう(あってほしい)という気持ちと、最終的な勝利のためなら一時的な屈辱は看過するくらいの器を感じる(これもそうであってほしいという願望込み)からかな。何というか、クラウリーは床を舐めさせられることをガチで最大の屈辱と思ってそうなところが……小さいんだよなスケールが……。
 キャスはもはやウィンチェスター家に全てを捧げる勢いだったし、かなりギリギリまで死に近づいてた時に「君たちに出会えてよかった」と言ってる辺りまでは一貫してたのに、突然天界に帰りたくなって本当の家とか故郷とかに心動かされてるってどういうことなんだ?昔のキャスなら二人に求められたら何もかも放り出して飛んできてた(今は翼無いけど)のに?と思ってたら、ウィンチェスターには母子を殺せないだろうから私がやるってことか。二人を守りたい気持ちもあるし、これまでの失敗に次ぐ失敗で自信を喪失して、兄弟無しでは何も出来ない自分が嫌になっていたからというのもなんとなく理解できた。……って納得してたのに殺らないんかーい!お前マジでディーンに蹴り入れられた方がいいぞ!?二人を振り切ってまで来たんだから徹底的にやらんかーい!失敗ばかりってお前学習しねーからだろ!?
 危険だけど恩寵を抜ければ母子の命は助かるかもという申し出を断って、子供が「特別な子」でいることの方が重要なのが最高にキショくてケリー無理かも。自分の子供が“真っ当”に育つという根拠の無い自信(というかただの願望)で「壮大な計画があるのかも」とか言ってる時の完全にイッちゃってる目が無理すぎる。単に「生まれた瞬間の子供は善でも悪でもないから善の方向に導く存在が必要だ」って路線だけならここまで反感抱かないのに。でも善に導く存在と言われたらキャスしかいないと思うその判断は支持する。人の話は聞かないし暴走するし失敗するけど、キャスがずっと善であることは変わりないから。
 ルシファーのガキに気に入られるキャスは正直面白いけど、行くなら三人一緒に行け―!行き先が天国だろうと地獄だろうとそれ以外だろうと三人一緒に行けー!キャスが自己嫌悪の果てに父性(最後まで見たら父性というより献身かなと思った)に使命感見出して死ぬようなことになったら一生恨む。S10までの思い出を胸に生きてやる。命捧げるとか軽々しく言うんじゃねえ!お前が命捧げて良いのはディーン・ウィンチェスターのためだけだ!キャスの「ずっと迷っていたけど、もう迷わない。信じられるものがある」のところだけ見たら無性に殴りたくなって困る。現実でもそうだけど、新しい命がとか未来がどうたら言う時だけラリる人多すぎ。これだから子供が希望扱いされる話って嫌いなんだよ。勝手に期待抱かれて生まれさせられる側にもなってみろ。これはお話だから「子供も生まれたがってる」みたいな話の運び方をされるけど、このスピリチュアルは現実でもガチで信じてる人がいるから厄介。誰かの願いを叶えるために「きっと上手く行く(根拠無し)」とか言われても、そのための努力や代償を払わされるのは当の子供の方。思えばこのシーズンがつまらなく感じるのってテーマが母みたいだからかも。ウィンチェスターはその辺りあまりラリってる感じがしなくてよかった。これで兄弟まで同調してたら不愉快すぎて死んでしまう。キャスがルシファーの子を産まれるべき存在とみなした理由が「誰も苦しまない楽園を彼が創造するから」って言ってたけどそんなの人間が人間である限り可能なのか?「そんな平穏はケツの穴にでも突っ込んどけ」ってS4ディーンの幻聴が聞こえてしまった。
 UKの賢人たちを信じた理由をサムが「自分で率いるより楽だから」と言っていたけど、もしかしてこれから先、サムが人を率いる立場になっていくということ?実際ハンターたちに対する演説はなかなか迫力があった。ディーンが自分は残ってサムを送り出すシーンを見た時、何というか「この二人はもう大丈夫だな」と思えた。怪我のせいもあるけどディーンはディーンの出来ること、サムはサムの出来ることをして、離れた場所にいても信頼しているから任せられるという感じがする。
 最終回で普通の天使の剣なんてルシファーには効かないのわかってるのにキャス何で来たんだよと言いたいけど、ルシファーに直々に殺されるのならそこまで酷くもなかったな。それもS13でちゃんと蘇生されるってわかったから言えることで、死んだ瞬間を見た時は逆に平静だったけどこのまま本当に死んでたらどうしようとこっちも生きた心地がしなかった。キャスが死ぬのは初めてではないけど、次のシーズンでは生きてることを知ったうえで毎回見てるから大丈夫なのであって、リアルタイムなら放心してたと思う。クラウリーが死んでもそこまで悲しくないのは、死ぬことを知ってたのもあるし、最近の小物化が著しかったのと、ずっと地獄の王座に着いたり戻ったりしてるばっかりでマンネリを感じてたから。自分が玉座に向いてないってことにクラウリーがようやく気付いたのはちょっと面白かったけど最後の言葉が「Bye boys」って簡潔な辺りがらしくていい。
 しかしメアリーにクソほど興味がないうえにハンター同士の諍いとか所詮人間だし……と思ってしまってシーズン全体を初見ではほとんど飛ばしてしまった。キャスやルシファーが出るところだけ先に見た。二回目は最初からヒューマンドラマのつもりで落ち着いて見たからそこまで悪くはなかったけど、そもそも超常の存在との関わりを期待して見てるわけだから……化け物が絡まないベベルとケッチの派閥争いとかガチで興味ない。ミックだけは兄弟ともキャスとも違うタイプの良い人で、良心と規則の間で葛藤する姿も良かったから新しい人間関係として期待したけど、良い人だからこそ早々に死んでしまって残念。クソつまんない賢人関係でもミックの部分だけは良かった。もともとは優しい人間だけど疑問を持つことを許されなかったというバックグラウンドがあり、元々優しいからこそウィンチェスターに感化されるという筋道が通ってる。ケッチとの関係も「友達というより生き残った者同士」という独自の関係性で、ミックの失敗をケッチが庇ったりはしない所からも過去があって今に連続しているという感じが出てる。
 ケッチは自身がいわゆるサイコパスだとわかっていて「自分にそういうの(親密な人間関係とか)は無理だ」と言えるキャラなのは悪くないかと思ったけど、結局メアリーに対して特別な感情をもっているから「ハイハイいつもの」と思ってしまった。悪いとまでは言わないけど、なんというか……普通なんだよ……メアリーが洗脳されるのも、その解き方が心の中に入って説得することなのも、ディーンがケッチに殺されるかというところで正気のメアリーが割って入るのも全部普通。捻りが無さ過ぎて何も驚くようなことが無かった。ここでしか見られないものを見せてほしいなあ……。
 特典で「ベベルとミックとケッチの過去エピソードの構想はあったけど削った」と言われていて、そこを削るからあいつらに感情移入できないんだろ!と思った。予算とか人員とか手間とかあったとしても。ミックは過去エピがあったから、兄弟とは違う形で賢人になったからこそ違う価値観をもっているといういう説得力が湧くんだよ。彼らとの関わりがウィンチェスターにどんな変化をもたらしたかってのが薄いし(一応サムにとっては「人に任せるより自分が率いた方がいい」という教訓になったけどそれだけ)アバドンの外の人の過去回でも顕著だけど「過去にこういうことがあった」の羅列でしかなくて感情が足りない。

・クラウリーの話
 特典で「クラウリーは自分に能力が無いと思ってるけどあると思われたい」と言われていたが、少なくともS9辺りまでの策士ぶりは十分実力が伴ってたと思うのだけどいつの間にそういうことになったのだろう。
 確かにルシファーやらカインやらアバドンやらに比べたら純粋なパワーでは劣るかもしれないけど、契約の悪魔として独自の美学をもっていて全然見劣りしていなかったと思う。
 人間性を得た時に悩んだのはウィンチェスターを殺したくないと思っている(仲間を欲しがってる)自分との葛藤であって、まあそのせいで地獄の王としての立場が危うくなったと言えばそうなんだけど、それが「見栄だけの小物」と言い切られてしまうと今までの有能ぶりが無視されているようで嫌だ。
 確かに圧倒的な力さえあれば余計な策略はいらないのだから「能力が無いのが問題」は正しくはあるのかもしれない。しかしクラウリーの「知らないことでも知っているように振舞う」態度はちっぽけな自分を大きく見せるためと言うより、相手を手玉に取る戦術の一つという認識だった。自分が手を出せる領域と出せない領域を的確に見極めるのも実力の一つだろう。それが小物的解釈だけに偏るのは納得がいかない。
 特にダークネスの辺りからだんだんアホ化が顕著になっていくのだけど、悪魔ディーンすら手に負えなかったのにダークネスを制御しようなんて無理なのがわからんのか?というのがアホになったように見えるポイントとして大きい。人間性のせいで失墜した部下からの信用を取り戻すためにデカい一発をかまさなければという考えだったのかもしれないけど。 
 S9の元始の剣の時は、ディーンを友にしても管理するのは自分という気概があった。その時点で人間の血は入っているはずだから、人間性だけが問題ならもうアホ化していないとおかしいけど、その時はまだ狡猾な部分は残っていた。やっぱりロウィーナが分岐点か?サムディンに対して態度が軟化するだけだったら長い付き合いだし家族に関するディーンの助言を受けた恩もあるから納得できるのだけど、権力争いに全振りするならもっと彼は賢いはずだろうと思った。
 そしてさらにS11のクラウリーがつまらない存在になっているのは、10まででせっかく積み上げてきたディーンとの関係の変化がアマラを得たことで振り出しに戻ってしまったからか。しかしたとえ馴れ合い路線を捨てて地獄の王としての道を取ることになったとしても、葛藤の末にそれを選んで貫いてくれるなら寂しいけど面白かったかもしれない。しかし結局アマラはすぐに出て行ってしまうしディーンを殺すこともなくて、数話後には普通に会話してもうただの便利屋になっていて、今までのくだりは一体何だったのか?と思ってしまった。おそらくロウィーナが出て以降、翻弄されるばかりで翻弄することがないからだと思う。
 ルシファーが出張って来ると悪役が飽和してしまうから性質の違いを出さなきゃいけなくて難しいというのはあると思うけど、ルシファーもそんなに頭は良くないと思う。というかルシファーが頭悪く描かれるせいでそれより格が下のクラウリーがもっとアホに描かれるのか?そのルシファーも結局大したことはできずに神上げのための前座に過ぎなかったし。神が最高点だからルシファーはそれより下、クラウリーはそれより下と考えてああなったのかもしれないけど、それは力の話であって頭脳ではないと思う。力で圧倒するルシファーと策略で翻弄するクラウリーで十分差別化できたと思うんだけど……。やっぱ権力闘争のIQがS6やらS7やらアバドンの頃と違うんだよ。いつもならその間抜けに見える態度は演技で、しっかり先を見越したうえでたとえ最後に勝つのがウィンチェスターだったとしても自分の利益だけはちゃっかり得ている男だったじゃないか。

・全体の話
 シーズンが進むに従って演出や設定が安っぽくなってきてるように感じるのは「エリックが当初から書きたかった話はS5まで」という事実を知っているが故の先入観なのか否か。今もエリックが意見は出してるみたいだからやっぱ先入観か?しかしリヴァイアサンあたりから「シリーズを続けるために頑張って敵を作っている」感が出てきてるなとはどうしても感じる。
 エリック総指揮の時は神・天使・悪魔とか父親・兄・弟とかに対して一貫した姿勢があった気がして恋しいとか思ったりする。神や信仰について答えを出したいという内心からの要請?欲求?のようなものってキリスト教圏で育ってない人間にはどうしても理解できない部分があると思うんだけど、私自身「信仰する」ということ自体に惹かれる部分と絶対的に超えられない壁を感じる部分とがあって、エリックの中にそれらに対する確固とした何かがあるのならそれを見せてほしいと思ってS4・S5を見ていた。S4とS5がずっとしんどいのは、血を流しながらも答えを模索する真摯さの副産物みたいなもので、S6~S9とかはそれより全体的に気楽に見れるし私の見たいものを見せてくれるから大好きなんだけど、それ自体にどこかファンディスク染みた雰囲気があるのはS6冒頭から確実に感じていた。ただ私は天使が出てきてからが圧倒的に面白くなったと思っているから、初期の一話完結の狩りや黄色い眼の悪魔だけではそこまで燃えられなかったし、S4を評価できるのもS5でこれまで耐えてきた時間全てが報われる結末を見せてもらえたからで、兄弟がずっと喧嘩して打ちのめされ続ける展開が続くならこんなに好きにはならなかった。実際S4初視聴の時はかなりダレてたし。
 神話を現代ナイズする手法は他の海外ドラマとか小説でもよくやるけど、SUPERNATURALは登場人物が大体くたびれたおっさんだったりみんなチェックシャツ着てたり、上辺の煌びやかさにあまり頼らない泥臭くて地に足が着いた感じが好きなんだよ。特に天使といえば翼なのに、そもそも肉眼では見えなくて容易く見せびらかしたりしないってのが硬派で痺れるし、死ぬ瞬間にそれが焼き付くってのが死ぬほどオシャレで……。最近そういうこだわりを感じる部分が少なくなってきている……と思うのはやっぱり先入観か?

『SUPERNATURAL』Season9~10 感想

-Season9-
 人間化したキャスが最初に出会った天使の人が「その器に私も入ってあなたと1つになる」とか言ってたけどもうほぼ二輪挿しで笑う。ジミーの身体、穴としか見られてなくて可哀想。その人「私が守ってあげる。置いていくならあなたの居場所をバラして同志に殺させてやる」とかすごいヤンデレだったけど、キャスって本人は普通に接してるつもりなのにこういう風に勝手に燃えるような恋情抱かれて最終的に刺されそうなキャラ第一位(このドラマの中で)かもしれない。
 クラウリ―って相手の嫌がるところを的確に突いてきて本当にやだわ。私は悪魔にとって一番必要なのは相手の弱点を見抜く能力だと思ってる。そんな生粋の悪魔が中途半端に人間性を取り戻すって本人にとって悪夢でしかない。しかし暗闇の中に取り残されて目を伏せる仕草だけで、それまでのクラウリーとは何かが違うことを表現するのがすごい。
 "エゼキエル"のためにキャスをバンカーから追い出したけど、たとえ本当にキャスが「迷惑かけたくない」と言ったとしても、いつものディーンなら意地でも一緒に戦うって言って引き留めてるはず。でもサムの命がエゼキエル次第な時点で彼の言うことを聞く以外にない。しかし瀕死のサムの命を天使の憑依によって留めたことを、サムの方には教えたらまた死にたがるから言えなかったのだとしても、キャスにまで隠したのはおかしくないか?それだとあの時は単に「お前が狙われてるからここにいさせられない」と言っただけということ?結構酷いな。
 ディーンが少年の頃に厚生施設で暮らしたことがあると判明する回で、いろいろと制約はあるけど施設に居れば愛情を与えてくれる保護者とちゃんとした生活ができるのに、車にサムが乗ってるのを見て少年ディーンが帰ることを決めるシーンに"""愛"""が爆裂に詰まっててすごかった。微笑みひとつで完璧に表現できている。現代のサムが「どうして戻ったの?」って聞くけど、そんなんサムがいるからだよ!サムにディーンがいるようにディーンにはサムがいるんだよ!
 しかしそういうエピソードを見てしまった後だと、ディーンもサムもキャスやケビンに「お前も家族だからお前のためなら死ねる」と言うけど実際にそうしたことは無いからホントか?と思ってしまう。そこに使っちゃったらお互いに使うぶんが無くなってしまうじゃないか。
 ガドリエル拷問時にあるディーンとキャスの「俺たちは間抜けコンビってこと?」「お人好しという言葉の方が好ましい」って会話が良い。しかし人間が堕落したり神がいなくなったのまでガドリエルのせいにされてて笑う。きっかけはそれかもしれないけど人間が堕ちたのは流石に人間のせいだろ。最終戦争とかもルシファーのせいだし、元はと言えば神が悪の根源としてのルシファーを望んだからそうなったんだし。
 クラウリ―、掛け金全乗せのタイミングが完璧すぎる。ディーンにとってサムの命以上に価値あるものは無いから、それが台の上に出された時点ですかさず「私を自由にしろ」という最大限の要望を出す判断の速さ。
 カインのエピソード聖書と全然違って草。嫉妬が動機だったのにアベルの代わりに地獄へ行った弟想いになってて草。そうすることでディーンと同じ立場にするためだろうけど。聖書ではカインは追放されるけど、神が「私がすでに罰したのだから何人たりとも今後私刑に走ることは許されない」と厳命して、カインは生き残り多くの子孫を残したって話がめっちゃ好きなんで残念ではある。いいけどね。「どうしようもない奴でも神は本当の意味では見限ったりはしない」っていうエピソードだから好き。しかしカイン談の「アベルは神と話したんじゃなくルシファーと話した(talking)んだ」って英語で言ってるのに、吹き替えで「ルシファーに愛された」って言ってて目玉飛び出た。でもその後の「ルシファーは俺の弟をペットにしようとした」は英語もまんまでさらに驚愕。あいつほんと自分と同じ立場の奴好きだよな。でもカインが「弟は天国に、自分は地獄に」って願った時のルシファーどんな気持ちだったんだろう。「理想の兄の姿だ!」って喜んだかもしれないけど、ミカエルはそんなこと言ってくれなさそうだから複雑そう。それにしても「弟を天国に送りたければてめえ自身で殺しな!」って性格悪すぎて笑う。自分とミカエルに重ね合わせて絶頂してそう。
 サムちゃんがガドリエル追跡のために自分が死ぬことになっても良いとでも思ってそうな態度でいる理由が、まだ自分に価値が無いと思って犠牲になることで綺麗になろうとしていたからで「まだそれかよ」と思ったんだけど、そういえばS8の儀式達成できなかったからその心理が継続してたのか。だから災厄の元で役立たずの自分は死ぬべきだと……。一つでも正しいことをして死にたいと……。
 ガドリエルを憑依させた件でまたしても仲違いした二人が久しぶりに会って完全に仲直りする流れだと思ってたらサムさんが「もう元には戻れない」とか言い出して驚愕した。おまけに「兄弟関係は抜きにする」とか、お前らから兄弟取るって、兄弟だからこうなんだし兄弟じゃないお前らなんてお前らじゃないよ!?「目指す方向が変わってる気がする」ってディーンはブレてないだろ!いつだって一番に考えてるのはサムを死なせないことだけで、世界を救うのは二番手だろ!S5の最後はディーンがサムの意思を尊重しようと最大限に努力した結果で、それでも檻の中から出す方法を探してたんだし……。
 わりと忘れてたけどサムちゃんもしかしてS5の頃言ってた対等云々を気にしてる?弟だと思われるからいつまでも守るべきものとして見られるみたいな?一人前として、ハンターの相棒として頼りにしてほしい的な?ディーンにとって家族認定は最大の賛辞だけどサムにとっては庇護対象として見られて不服ってこと?いつもの言葉と態度だけ見れば単に鬱陶しがってるとしか見えないから、ディーンが自分の価値をどん底に見積もるのもわかるわ。だって「兄弟抜きで」なんてディーンからしたら死刑宣告みたいなものよ。サムまさかそれに気が付いてないのか?逆にすごい。「兄弟抜きで」のシーンを英語字幕で見た感じ、「今は家族じゃないって?」というディーンの問いには流石のサムでも言い淀んでた。でも「僕が言いたいのは家族だからで何でも解決した気になるんじゃなくて、仕事の相手として見てほしい」みたいな感じなのは間違いない。「ディーンがそれよりも兄弟でいることを期待するなら一緒にはいられない」みたいな。でも少なくとも試練を中断したときはお前も納得してたのに、そのことでディーンを非難するのはおかしいだろ。しかもその後「僕の言ったこと引きずってる?」とか「正直に言っただけだから」とか追い打ちかけてて鬼か?
 それだけでは飽き足らず、「サムを救うのはサムのためじゃなくディーンのため」疑惑、もはや九割方わかってたことだけどついにサムが言葉にしてしまった。「僕なら助けない」って鬼か?
 クラウリー「お前らのDNAの依存症になって苦しみと重荷を背負った」って何?中途半端に人間の血が混ざったせいで依存症になった?から定期的に人間の血を取らないとおかしくなる?もっと人間性と悪魔の性質との間で葛藤するシーンが見たいとか思ってたら一気に壊れ始めてびっくりした。しかも何その距離感。酔っぱらって電話してくるのはもう友達なのよ。S8終盤までの敵対ぶりが遠い昔のようだ。
 クラウリーがやけに二人に対してすり寄ってくるのはむず痒いんだか不気味なんだか形容しがたい感覚だったけど、元始の剣と同調するディーンの様子を冷静に観察する表情には「やっぱこうでないと!」と思った。いつもの容赦の無さがあるからこそのギャップ萌えだから。
 サムから出た後に捕まったガドリエルがディーンを散々に罵る内容「一人になるのが怖いガキ」はサム自身がほとんど同じこと言ってたし、「父親の愛情が足らなかったからか?」ってガドリエルがダッドのことまで知るわけないんだからこれがサムの考えってのはたぶん本当だと思う。そんなことを弟に冷静に分析されてるなんて嫌すぎる。
 クラウリーが息子を守るために兄弟を売ることにしたのかと思ったら「ポキプシー」って言った時の衝撃はすごかった。アバドンを倒さなきゃいけないとはいえ、友達か?
 テッサ(=死神)が天使の一員みたいになってたけどそんな設定だった?エイプリルもなんか「この子もすぐに同意してくれた」とか憑依みたいなこと言ってたけど死神って憑依だっけ?
 メタトロンはクソだけど「最後の日にカスティエルが優先するのは自身とそこの兄弟だ」は結構的を射てる。仲間を助けたい気持ちも本当だけど、絶対にどちらかを選ばなければいけないとしたら……。
 カスティエル、やっぱりディーンを選んだ。ディーンを殺したら今までの何もかもを踏みにじることになってしまうから当然だと思う。サムと飛躍的に仲良くなっても結局カスティエルにとって絶対的な存在はディーンなんだなあ。
 メタトロン嫌いだわー。こういう俯瞰気取ってその実名誉に飢えてて自己評価だけが異常に高い奴嫌いだわー。神に成り代わろうとするのも腹立つ。愛が無いじゃん。みんな神にいろんな不満をもってるけど、それは結局神を愛してるからこそ出るものなのにコイツは誰のことも愛してない。人への憐れみとか愛のためじゃなくて自分が目立つために人を助けるパフォーマンスに反吐が出るわ。キリスト教の憐れみの概念(相手を見下す哀れみではなくてただ慈しむこと)が好きだからムカつく。
 ディーンがメタトロンに刺された時に「俺が死んでも平気じゃ?」にサムが「嘘だよ」って返すんもう私はわけがわからなかった。ディーンが「自分でも死ぬべきだと思ってる」のはあの時のサムと完全に同じなのにサムは抗っている。じゃあそもそもなんで「僕なら助けない」なんて言ったのか?嘘だよって何?なんであの場で嘘つく必要があったの?ただの強がり?いざ現実に目の前にしたらそうじゃなかったと気が付いた?(S10でチャーリーにこの時のことを話してたけど、「ディーンのやり方が頭にきてつい傷つける言葉を言っただけ」だって??マジかコイツ。それが本当なら的確にえぐる言葉を選ぶ能力がありすぎる。)ディーンの「どんな結果になっても(たぶん俺がどうなってもの意味)メタトロンを殺す」に「わかってる」と返してたのに、本当にディーンが死んだら悪魔と契約して戻そうとしてて「結局戻すんじゃねーか!お前いい加減にしろよ!?」と半笑いになってしまった。ディーンが説明しないとか一人で行くとか言うようになった理由は刻印もあるけど、お前が「家族と思うな」とか言ったのも絶対入ってるからね!?
 そしてクラウリーがいつのまにかディーンにかなり懐いていてちょっと困惑した。血を入れたのはサムなのに、助けたり呼ばれたりするのはいつもディーンの方だし。ディーン好かれるようなことなんかしたっけ?クラウリー初登場回のサムはルシファー復活の責やら悪魔の血に飢えてるやらで、悪魔と見れば誰にでも噛みついて隙あらば殺そうとする坊やだったから嫌うのはわかるけど今も?(見返してみたら、ディーンはカインの剣の辺りから何だかんだ「クラウリーなら人質は殺さないだろう」とか言ったり、「剣さえ手に入ればクラウリーは用済みだから殺していいよね?」と言うサムに対して妙な間を空けたりしててちょっと情が移ってた?みたいだから、サムにはそういう傾向が全く無いから嫌われてるのかもしれない。)サミーが彼に人間性を取り戻させたんだから出来ればディーンとだけでなくサミーとだけに発生する関係も欲しかったけど、サミーからクラウリーへの態度が頑なすぎて取り付く島が無かった。ディーンがクラウリーに甘いのはやっぱりサム無しの時に一緒にいてくれたからなのか?でも呼び出すときはいっつもサム無しの時だけで、サムと合流すると速攻で捨てられるから都合のいい男感がすごい(これはキャスもだけど)。
 最終的にかなりガドリエルが好きになった。ガタイが良くて寡黙で実直、そして過去の所業に苦悩する姿が良いし、クソ上司でも一度誓ったら身を挺して庇う忠誠心も、敵に対してでも最低限のモラルをもつべきだと思ってるのも良いそう言ったから」じゃなくて「自力で戦えないものを守る」というところまで明言した天使は初めてだし。罪人ではなく名誉ある者として皆に覚えられたいという願いを最後まで抱き続けたこともかなり効いた。死ぬ前の英語台詞は全シーズン通しても指折りの名台詞だと思う。 
 
 クラウリーが人間の血を得て急に良い人になるのではなく、今までの彼らしさを残したままで少しの表情や態度で彼の中のゆらぎを表現するマーク・シェパードの演技が素晴らしかった。状況を裏で掌握する悪魔としての振る舞いと、仲間が欲しいという人間としての振る舞いの配合が絶妙だったからこそ「良心の芽生え」なんて安っぽくなりがちな展開でもクールに纏まっていた。「クラウリーは知っていても言わないし知らなくても言わない」と特典でマークが言っていたけどそこが良い所だと思う。常に策略を巡らせて自分が優位に立てる瞬間を見逃さない所。
 特典を見て初めてわかったんだけど、今期のテーマはグレーゾーンなのか。人間性を獲得したクラウリーと非人間的になったディーンが近い位置に立ったということだったのか。サムは最初からグレーの領域にいたキャラだし、キャスも天界と人間と自分が犯した罪の間で常に迷ってるキャラだし。

「何が正しくて何が間違ってるか」が今期のテーマなら、メタトロンの言い草から彼の性根が腐っているとガドリエルが感じ取ることが出来たということが、規則や命令が無くとも「本当に正しいこと」を直感的に理解することは可能だということを示しているのではないか。それはいつでもわかるわけではないし、善悪の基準は色々あって一概には言えないが、極限状態の時最後に信じるべきなのは「自分の内なる声」ということかもしれない。そういえばキャスが軍隊よりもディーンを取ったあの場面も「大義よりも一人を取る」行いという点でディーンの選択と同じだ(タイタニックの時と石板の時とこれでもう三回目だから気づかなかった)。ディーンを罰することが「正しい行いだ」とわざわざハンナに言わせていることからも、それでもキャスの内なる声は「それは違う」と叫んでいるということではないだろうか。それが大多数の人にとっては罪にしか見えないものだったとしても、究極的には自分にとっての最善を探すしかないということではないか。

・ディーンとサムについて全体的な話
 ディーンはサムがいない時、空いた相棒の位置にすぐ別の誰かを座らせるように見えるが、なぜそれが出来るかと言えば誰がそこに座ろうがサム以上に大切な存在にはならないからだ。彼には「サムかそれ以外か」しかない。さらに言えばサムがその席に座り続けてくれるという期待もしていない。サム自身が選んでそこにいてくれるなら最高の幸福だけど、いないならしかたないと思っている。ディーンがサムに期待しないのは何と言っても前科があるからで、それが「昔の過ちだった」で済まされないのは、紛れもなくサムの本心がそうさせたのだと理解しているから。ディーンが「他の何を捨ててでもここにいてくれ」と言えないのは、サムが自分たち家族より普通の生活を優先したあの時のことがいつかまた起こるという予感を持ち続けているから(サムはガドリエルが憑依して間もない頃に「今まで生きてきた中で感じたことがないくらい今が幸せ」と言っているけど、あれだけ普通の生活に固執してるのを見てきたんだから「嘘こけ」と言いたくなる気持ちもわかる)。
 ディーンはサムにとっての一番が自分でなくても構わない(たとえ心の底では望んでいたとしても)けど、サムはディーンにとっての一番は自分でないと嫌なのが基本の形なのかもしれない。ただ問題の根本はディーンの「心の底では望んでいる」の部分な気がする。素直に弟の幸せを祝福するだけの健全な距離感だったなら何の問題も無かったのに……。願いが叶わなくてもそういうものだとディーンが諦められるのは、そうするより他になかったからで、期待と絶望の循環を繰り返すのは苦痛だからだんだんと諦めが身についていく。
 二人の関係は複雑だけど、アメリアの件でディーンが「俺よりも女を取った!」と激高してたのは誇張無しの事実で、その後「お前は幸せになってもいい」とか殊勝なことを言いながら、サムが最終的に彼女より自分を選んだことに内心では喜んでいる部分があるのは間違いない。
 特典も含めて色々見返してわかったんだけど、サムは世界よりも優先されてしまうこの執着の根源が「兄弟」にあると考えたから、自分たちが変わるためにはそこを見直さないといけないと判断したということらしい。それ自体は筋が通ってると思うし、サムを救ったせいで未だに世界中で悪魔による犠牲が出るままになっていることも、サムの意志を無視して救うのが自分勝手というのもわかるけど、結局サムの方もディーンが死ぬ時に有言実行できなかったからその問題は解決していない。サムとしてそれはいいのか?
 サムは兄弟として見なければ二人の歪みは解決できると思っているようだけど、ディーンにとっては兄弟がいないということは自分が世界を守るための単なる機械になるということと同義。なぜならディーンの人間的な部分は家族への感情が担っているから。私としては「所詮一人間に過ぎない者が家族を大事にするのはそんなに罪か?」とどうしても思ってしまう。本物の英雄になるためには自分の家族すら単なる物の数として扱えなければならないってどこの切嗣?英雄である前に人間なんだし、自分の家族だけはノーカンと開き直れるぐらいの方が精神的に健全じゃないんだろうか?

-Season10-

 サムが悪魔ディーンを捕まえるのに手錠を持参していたが、弟が兄に手錠をかけて引き回す絵面を想像すると倒錯性が酷すぎて笑える。しかしサム、ディーンが「当然の報いだ」と言ってるのに気にしないとか言っててお前前回までは……この野郎……。
 前期ですっかりディーンに懐いたのに結局振られたクラウリーがディーンとの仲良さげな写真を持っててびっくり仰天よ。なんでそんな悲しそうな顔で見てんの?揶揄とかじゃなく彼氏と別れた人の反応だよそれは。いつの間にそんなディーン好きになったの?やっぱ友達欲しかったのかな。二人で地獄を支配して毎日パーティみたいなの本気でやりたかったの?配下の悪魔にディーンのことを日本語字幕で「愛人」って言われてたから英語字幕も見たら「boy toy」でそのまんま「若い男の愛人」だった。確かにそうとしか見えない。わがまま放題されて形だけは叱るんだけど、強制力は全く無くて振り回されてるだけなところとかそのまんまだし。部下からしたら上司が人間ごときに監禁されて自分も人間になりかけたあげく血依存症になり、次はアバドンにも捕まって長く音信不通になり、やっと玉座に帰ってきたと思ったら今度は人間一匹にどつかれて反撃できないほどの威厳の無さなのは仕える対象として不安だろう。
 ディーンが今まで何をしても捨てられなかったサムへの執着を、悪魔になることで初めて捨てられたんだとしたら、2割くらいは喜ぶべきなのかもしれない。でも悪魔期結構すぐ終わったから期待してたぶん肩透かしかも。悪魔の時のディーンの発言をサムは「本当のディーンじゃなかった」とは言うけど、「お前が生まれなければ母さんは生きてた」は一度くらい思ったことはありそう。女とヤッてるのはいつものことだし(礼儀はほとんど捨ててたけど合意だったし)、カラオケ好きが増幅したのと暴力衝動を抑えなくなったぐらいで、そこまで壊れた感じは無かったな。一番の違いはサムを殺すことに躊躇が無いことぐらいだけど、でもそこがディーンにとって一番重要なのか。メタ的に考えると、ここで無茶苦茶やらせちゃうと元に戻った時に取り返すのにも限度があるからさせられなかったのかも。
 二人と離れてハンナと行動するカスティエルが「混沌から生まれるものは悪いものばかりじゃない(愛とか希望とか)」と言ってたけど、天使は器に入って初めて人間のような感情や感覚を得られる以上、「それらは人間のものであって天使のためのものじゃない」というハンナの意見は一理あるかもと思った。
 ロウィーナの登場でクラウリーのガチでかわいそうエピソードが増えてきた。例の「俺は愛されたい」の源泉ってここか。でも親子関係って人類において一番普遍的な呪いかもしれない。クラウリーって名乗っても頑なにファーガスって呼び続けるとことか親の一番嫌なところ出てる。たとえ何百年経ってて忘れたと思ってても、目の前に立たれると一瞬で親と子の力関係が固定される感じ。子はどんなに憎んでてもどこかで「もしかしたら」という期待を抱いてしまうものだけど、毒親の方は何が問題なのか永久に理解しないという現実を思い知るだけだから、極力会話なんてしない方がいい。喋れば喋るほどクラウリーの願望が漏れてきちゃってる。「数百年も放っといただろ」は「そばにいてほしかった」の意味なのよ。
 クラウリーがディーンから要件も無しに「今すぐ会いに来い」って言われただけですぐ飛んでっちゃうのもう好きじゃん。心なしか嬉しそう。「飲み会の誘いかと思ったら……」があながち冗談にも聞こえなくなってきた。二週目を見返してみてわかったけど、やっぱ地獄に信頼できる人がいないから本気でディーンを相棒にしたかったのに、悪魔ディーンがあまりに言うこと聞かないんで泣く泣く諦めたんだ。S4やS5のときはおじさんキラーだったのにすっかりディーンに骨抜きになっちゃって……。
 しかし母ちゃんの言いなりになるキングなんて嫌すぎる。統治者とか名乗って恥ずかしくないのか。暴君だとしても自分の価値観に沿ってやるならこんなんより何百倍もマシだわ。アバドンと争ってる時は契約の悪魔としての誇りがありそうな雰囲気だったからかっこよかったのにどうしちゃったの!?と思った。母ちゃんと対峙してる時のクラウリー完全に顔が死んでる。いつもの軽さと上品さと毒気がさっぱり見当たらない。
 ディーンがカインを倒した後に剣を渡すと思わせておいて渡さない所、何度見てもクラウリーかわいそうすぎるいろいろ含みがあるとはいえ「ディーンに生きて帰ってきてほしい」って気持ちは紛れもなくあっただろうにかわいそ!これは過去の行いが悪いんだけど「ウィンチェスターはどうせ裏切る」と母親に吹き込まれた後で、それでも信じたいと思う気持ちがあったから来てくれたんだろうに……かわいそ!いやディーンの方は終始「お前は仲間じゃない」と表明してたんだから、クラウリーの方が勝手に期待してただけなんだけど!なんで当のディーンよりクラウリーよりキャスの方が悲しそうな顔してんだ?良いやつか?
 その後母親にディーンを殺せと言われたクラウリーとディーンが穏やかに話してる図というか、クラウリーがディーンに心理的に寄りかかってると言ってもいい状況だけでも感動するのに、ディーンが言う「血縁だけが家族じゃない」の重みで泣いてしまう。「家族はお前が何もできなくても気にしてくれる。良い時も悪い時も支えてくれる。時に傷ついても。それが家族だ」が明言すぎる。それをずっと身をもって実践してきたディーンだからこそ尋常じゃない説得力がある。そう言いながら思い浮かべてるのがサムやボビーやキャスのことだと思うとほんとに泣ける。しかし「昔のクラウリーなら地獄の猟犬や悪魔を山ほど引き連れてきたのに、今は戦わずに話し合おうとしてる」ってほんと、ほんの2シーズン前なのにその頃が遥か昔のことに思える。でもロウィーナを生かしておく理由があるって本当に「家族だから」だけだったのか。意外だ(見返したら「俺が丸くなったっていう母さんが正しいんじゃないかと思ったから」とも言ってた)。
 メタトロンを天界から連れ出す回はボビーの久しぶりの登場だけでも十分嬉しいのに、ディーンが自分の命を諦めてると聞いてすぐさま「諦めない」って選択が取れるのも泣ける。その前にキャスが同じく諦めないって言うのも泣ける。
 サムとキャスが組むと和むけど、穏やかそうな顔してブチ切れたら何してくるかわからない怖さがある。この二人の方が性格的には近いから喧嘩もせずに堅実にやれる気がするけど、喧嘩しないってのは互いに対する情熱も薄いってことだから、ディーンに対するみたいには2人ともならない。似た者同士よりも全く違う存在の方が惹かれる度合いは高いから。結局こいつらは三人でいるのが最良の状態ってことになってしまう。
 クラウリーが母ちゃんよりウィンチェスターを選んでくれて(本人は「俺を選んだだけ」って言ってるけどね)本当に良かった……!ヒヤヒヤしたわ!ロウィーナのシーン長くてずっと不快だったけど今までの忍耐が報われた……!「俺を生んだかもしれないが、母親じゃなかった」にディーンの言葉が響いてることが含まれてて泣ける。さらにボビーからサムへの手紙なんてこんなの泣くなって言う方が無理。ありがとう……。「ディーンは時々頑固だが、わかってくれる」もすごいけど、色々前科のあるサムに対して「お前が何を選んでも正しい道だと信じてる。お前は善い人間だ。誇りに思う」って言い切れるのがすごすぎる。二人を心から信じてくれてるのが全ての文面から伝わってくる。「血縁だけが家族じゃない」の体現者。
 呪われし者の本の回でのチャーリーとサムの会話メモ「①ディーンと行動し始めた頃は、いつも『この仕事で最後にして法律の勉強に戻るんだ』って考えてた。それなのにジェスを失ってからもずっと『もう一度だけ』『もう一度だけ』と言い続けてこうなってた。②でも今はこれが自分の人生だと満足してる③でも兄貴無しではこの仕事は続けられないよ」これらを総合すると、兄貴込みの人生に満足してるけど、兄貴が死んだら……死んだら……何?人生の目標を見失う?「狩りをする人生には兄貴がいないと狂ってしまう→他の女性と一緒になるなら狩りも一緒に辞める」ってことなの?兄貴と狩りは常にセットだから、兄貴と狩りor普通の生活ってこと(でもそれだと「生活は違っても狩りは一緒に」の説明が付かないな)?
 S9の最後でキャスが「一人の天使で居たい」と言ったけど、メタトロンの言う通り今のキャスはどっちつかずだ。地上に自由を求める天使たちを天国に連れ帰る任務に協力しているが、前はカスティエルこそがその「自由を選んだ」筆頭だったはずだ。その彼が説得するのは「お前が言うな」と思われても仕方ない。今もそれと並行してウィンチェスターに協力している。結局キャスは何がしたいのか?というのは当然の疑問。別に必ずどちらかを捨てなければいけないことも無いと思うが、キャスはメタトロンの言葉に明らかに動揺して、言い返すことも出来てなかった。
 呪いの本を焼けたということにして隠していたうえにディーンに内緒でロウィーナに協力を仰ぐという驚きの行動にサムが出るが、なり振りかまわない時のサムってディーンより遥かに手が付けられない。S9のドライっぷりは何だったんだ。いやでもS3の時もこんな感じだったわ。自分が死ぬときはあっさりしてるのにディーンがいざ死ぬとなるとこうなるのか。サムがロウィーナのことを言わないのは、止められることが目に見えているからなのはわかる。ディーンの中ではサム>>>大義>>>自分で、サムの中でもディーン>>>大義>>>自分。同じはずなのに何でこんなに嚙み合わないのか?答えは二人ともが「自分には救われる価値なんてない」と思っているから。
 チャーリーとキャスとサムが順に「ディーンのために」って唱えるのがそういう秘密組織みたいで笑う。ロウィーナも言えよみたいに目配せするのも笑う。本人が死んでいいと言ってても死なせたくない、つまり「救うのは自分のため」って過去にサムがディーンに言った言葉がそのまま返ってきてて皮肉だ。
 チャーリー死んだの普通に悲しい。ディーンが怒るのはもっともすぎて何も言えない。「お前が死ぬべきだった」という言葉も弟命のディーンらしくない言葉だけど、危険を冒させた側が代償も払わずのうのうとと生きてるのはおかしいからごもっともと思う。ウェルテルの箱回の「ディーンの命を救うために無関係の人間を何人殺すの?」という問いかけは正しい。今期今までで一番暗いかも?
 S10のテーマってもしかして家族?しかも出てくるのは割とクソ家族率が高くて「こんなのに比べれば僕とディーンはかなりマシ」みたいな方向に持ってこうとしてる?そういえば天使も名目上は家族だったな。今回は珍しく敵が人間だけどスタイン家も家族だな。自分が独りにならないために相手の意志を無視して救い合うサムとディーンは、果たして「辛いときに支え合う家族」と言えるのか?
 カイン殺しのときに期待するだけバカだったとわかったはずなのにディーンの電話1つで来てくれるってクラウリーどんだけディーン好きなん?「善い行いをすればもう一度何かを感じられるかもしれないと」!?何かって何!?それは感じられたんですか!?ただ、サムの言う通り今までの数百年にやってきたあらゆる悪事がたかが数年の善行で帳消しにはならないと言われたら確かにその通り。クラウリーが久しぶりに赤い眼を見せて「本来の自分を思い出した」ってのは、殺されかけたわけだしそれなりに真実味があったんだけど、それでもサムを殺さないんだ?殺さない理由ある?
 刻印がディーンを生かし続けるせいで何世紀と生きることになった場合、サムたちはディーンより先に死ぬのでその堕ちた姿を見続けなくて済む。しかしキャスだけは天使なので、たとえ何世紀経とうがディーンを見続けることになる。その発想は無かった。見ないという選択肢は存在しないらしい。
 クラウリー、殺されかけたのに言葉でお願いするだけで協力してくれるなんて優しすぎか?だって命を差し出せとか拷問させろとか大切なものを殺せとかに比べたら、表面上の言葉なんて一瞬我慢すればいいだけだからいくらでも言えるよ。「本来の自分」はどうした?しかしキャスが困ってクラウリーに助け求めるのも驚きだけど、過去の事を考えたらあり得る選択肢か……。でもS6では天使として一方的に命令するだけの関係だったのに……変わったなあ。
 最終話で次シーズンの設定唐突に生やしてきて笑う。ダークネスって語感が急に遊戯王
 ディーンを隔離空間に幽閉するだけじゃサムが探しに来てしまうから、サムにも同時に死んでもらわなきゃいけないってこと!?どっちかが死んだら残された方が無茶するっていう循環だから、同時に死ねば解決じゃん!とは薄々思ったことはある(しかしサムがその気になれば異空間にまで来ると思われてるの地味に評価高くて笑う)。
 オスカーの登場によってクラウリー可哀想ポイントが最高値を記録した。母親が「誰も愛せない」なら自分が悪いんじゃなかったことになるけど、「俺意外に愛せた者がいた」なら自分じゃダメだったってことになる。こんなに酷いことあっていいのか?キャスなんか「ロウィーナの愛する者」で真っ先にクラウリーを思いつくくらいにまともなんだぞ。本当の地獄ってこれ?今のところロウィーナを好きになれるところが一個も無い。
 サムが自分を含めて「善い人間だ」と言い切れる日が来たのは喜ばしいことなのに、状況が悪すぎて全然喜べる空気じゃない。ディーンに滅多打ちにされて「僕は絶対に言わない」って何かと思ったら「ディーンの本質が良いものじゃないなんて」!?「いつか戻れる日が来たらこれが道しるべになる。きっと思い出せる。何が善か。何が愛か」なんかこれ聞いた瞬間もうサムに対する今までの些細な不満とかどうでもよくなった。自分が殺されるって時に最後までディーンの心配して……信じてくれてる。ディーンが言ってた「たとえ傷ついても、いつも支えてくれる」まさにその通りの姿じゃないか?
 私は実の所、S9までは2人の関係に対してそこまで深刻には思ってなかった。でもS10が終始じっとりと纏わりつく闇みたいな空気だったせいで「いつのまにか戻れないほどの深みに嵌ってしまっていた」ことに気が付いたような感じ。今までそんな風に感じなかったのはサムがけっこう平然としてたからで、サムがおかしくなるとこの二人はもう行くところまで行ってしまうことがわかった。何というか、互いの鎖を引っ張り合って縛り合ってる状態?サムの方も世界や相手のためじゃなく自分のためにディーンを救おうとしてることが確定してしまったから、それも愛……の一種なんだろうけど、純粋な気持ちとは言えなくなってしまったなとか。サムがクレアに「死は永遠の別れじゃない」と言ってたけど、それも場合によっては呪縛と言えるんじゃないだろうか。黄泉返りできたり天界の魂と交信できたり天国でも魂同士で会話出来たりする世界だと、完全な無にはなれないから完全な開放も無いってことで……。もし死が永遠の別れだったなら、サムとディーンの関係は少なくともこんな風に拗れてはいなかっただろう。戻す手段があるからこそ未練を断ち切れない。

  今期のテーマも前期に引き続き「何が正しくて何が間違ってるか」だとするなら、サムディンの根本は「家族」にあるけど、他のろくでもない血縁関係の例(ロウィーナとクラウリー等)を見せることで「家族は血縁だけじゃない」に繋げた(これ自体はアダムの時点で示されてたし、ボビーやらキャスやらを家族認定してる時点で割と今更な気がする)。そして前期では非情なことを言っていたサムも結局「家族」をやめることはできなかったし、またしてもディーンは世界よりも弟を取った。「互いを救うために大勢の人を犠牲にするのは正しいのか?」という問いを二シーズン通して続けてきたわけだけど、ディーンがサムを殺さなきゃいけないという時に家族の写真を見て「これが正しいのか?本当に?」と自らに問いかけて導き出した結論が「違う」だとしたら、それが真理ということかもしれない。