感想置き場

BLとアサシンクリードが好き

『SUPERNATURAL』Season6~8 感想

-Season6- 
 サムの魂を戻すか戻さないかに関して、肉体のみとはいえ本人が要らないと言っているのにディーンの「お前には魂が必要だ」っていったい誰のために?とは思った。「失敗したら吹き飛ぶのは僕の命と人生」というサムの言葉は圧倒的に正論なのに、それでギャンブルすることをためらわない辺り、必要なのは「ディーンにとっての愛すべき弟」ではないか?S5でザカリアが二人のことを「性欲面でまで依存し合ってる」と言ったのは、あの二人がいかに堕落していて信頼に値しない存在かをアダムに吹き込むためだけど、性はともかく共依存であることは間違いない。
「ハンターと家庭、どちらかしか手に入らないなんて思わないで」とリサさん言ってたくせに、やっぱり全然両立出来てなくて笑う。実際いつ帰るかもわからないし、知らないうちに死んでるかもしれない男を待ち続けるなんて無理だから仕方ない。しかし「サムが来た時、もう無理だと悟った」と言うリサさんはかなり察しがいいと思う。ディーンの「普通の生活」とはサムがいないという前提でかろうじて成立していたに過ぎないから。
 爺サミュエルを信用しないことに関してディーンが「血縁だけでは家族とは言えない。努力がいる」と言ってて、アダムが似たようなことを前に言ってはいたけど、ディーンの口からそれを聞くのはすごい。圧倒的成長を感じる。魂が戻ってからはサムとの関係も一方的に心配したりされたりではなくなってきて、全体的に落ち着いた感じになってる。
 サムを檻から出したのキャスだったのか!しかも「困難だったが、私には使命感と確信があった」としか言ってないからクラウリーが一緒だったかはわからないけど、全部クラウリーのせいにしてて笑う。普通に可哀想になってきた。キャスの言う「最終戦争を止めるために払った大きな犠牲」ってまさかサムのことか?神の定めた運命が覆されたのが人類始まって以来初だったのもすごいけど、キャスが二人に肩入れするのは「自分の意志で戦うことを教えてくれたから」という純然たる個人的な理由で!?役割が全ての天使がそんな個人的な動機で「使命感」とまで言ってるってことは、普段ぶっきらぼうだからわかりにくいけど、キャスのウィンチェスター兄弟に対しての感情って実はとんでもなく巨大なんじゃ……。天使独特の感性があって人間のことを完全には理解してないし、「まだ打ち解けたとまでは言えないかな~。でもこうやって徐々に仲良くなっていく過程が見られるのもいいかな~」とか思ってたら……。「状況が違ったならここにいたい」というセリフを微笑ましく思ってる場合じゃなかった。その言葉の裏にどれだけの感情が秘められていたのか。思い返せば、本当に嫌ならいつでも飛んで逃げることできるのに渋々でも付いてきてくれるし、困った時に使えるドラえもん扱いされてるのに怒らないな~とは思ってたけど、まさか最初っからそんな感じだったとは……。
 ディーンが直感ではキャスの言動を怪しいと思ってるのに健気に信じてるの好き。さすがボーイズラブの才能がある男。
 キャスとクラウリーは煉獄を開けたいという利害の一致で協力してるけど、キャスにとっては絶対的にウィンチェスター>>>>>>クラウリーなのでクラウリーの部下は殺していいの笑う。思ったよりずっとウィンチェスターガチ勢か?だって煉獄の魂を欲するのも、ラファエルに勝つのも、延いては天界と人間界の秩序のためなのに、それよりウィンチェスターの方が優先度高いってことになってしまう。キャスがディーンの幸せを壊したくないと思ったり、保身のために嘘をついたり……。「ウィンチェスター兄弟を守るために仕方なく」と言いながら「自分を守るためか?もうわからない」ってところ最高だった。
 神がキャスを戻したという事実が、望むと望まないとに関わらず「神に選ばれた存在」という印籠として機能してしまう。キャス自身にも「自分は優れた存在だ」という気持ちがあって、そこまで自惚れてはいけないと思っていても「神の意志」という誘惑には抗えない。
 いやディーン、相談してればって言われても……ラファエルを倒すほどのパワーをお前らがどうやって?ミカエルとルシファーを封印したんだからと考えられなくもないけど……。クラウリ―に会えば間違いなく兄弟が負けるとキャスが確信してるのもまあ……2人を信じてないと言えなくもないけど……。しかし噓がばれたときにキャスが咄嗟に「サムを連れ戻したのは私だ」って言ったのは「君たちのために尽くしてる」アピールだったんだろうけど、「隠し事がまだありました」宣言になっちゃってるの泣ける。こっそり会話を聞いてたこととクラウリ―への道を潰してたことしかやってないのに(あとタイタニックの件もか)、一つ疑われると他の何もかもが悪し様に受け取られるの笑うしかない。
 しかし煉獄を開けたらどうなるかまではまだわからない(イヴに倣って怪物がわさわさ出てくるとサムたちは思ってるのか?)のに、ただクラウリーと組んでるってだけでそこまで詰める?と疑問に思わなくはなかった。お前らもあいつの力を借りてルシファーを打倒したんだから、この時点で「裏切り」は言い過ぎなんじゃないか?
 クラウリ―、あんな扱いされたのに本当にキャスを助けに来てくれただけ?実はいいやつか?ボビーの魂を「最善の努力」と言って返したがらなかったのは狡猾だけど、実際働きに対する対価であって、願いは叶ってるのに払わないで済ますのはどうなのと思わなくもない。悪魔に対して公平にとか考える時点で甘すぎるのかもしれないけど。
 ディーンは悪魔と取引して今までよかった試しがないからやめろと言ってるんだろうけど、「でもお前らは結果的に生きてるじゃん!」と言いたくなる気持ちもある。前にサミュエルに対して言った「死んだ人間を戻すべきじゃない。悪循環になる」は正論なんだけど、もしもう一度サムが死んだらディーンは戻さずにいられるのか?リサと生活しながらもサムを地獄の檻から戻す方法を探してたみたいなこと言ってたし。
 ディーンの「サムの次にもっとも家族に近しいのはお前とボビーだ」って台詞やばい。ディーンの家族認定ってつまり「お前のためなら死ねる」だぞ。何を引き換えにしても惜しくないって意味だぞ。これ以上の光栄ある!?しかしキャスがこんな短期間でボビーと同格なのすごい。でも「兄弟のように思ってる」まではいいとして、「俺がやるなと頼んでるんだからやるな」はなかなかのパワー理論。その前に「理屈は抜きにしよう」とか言ってるし……家族論でゴリ押しだ。ディーンにはそれで充分なんだろうけど割と無茶苦茶で笑う。でも「お前も家族だ」と言われた瞬間にキャスの伏せていた目がパッとディーンに向けられるのはめちゃくちゃいい。この頃のキャスの根幹として「自分は天使で、ディーンは人間だ」という意識があって、だから自分が何とかしないとと思ってるのかな。自分が兄弟のガーディアンであっても逆は無いと。
 普通の家族って何なんだろう。結局一緒にいても離れても狙われるんだから全員でハンターになるしかないんじゃないか。ジョンが問題だったのはハンターだからじゃなくて、言葉足らずで半分病んでて性格的に子育てに向いてなかったせいだろう。
 キャスが何もかも知ってることがわかったうえでS6を見直すとやばい。コイツ……いけしゃあしゃあと嘘を……!戦争で忙しいのは嘘じゃないけど、本当は会いたいのに二人に会うとボロが出てしまうから来なかったのか。サムに魂が入っていないことにいつ気づいたのかは描かれてないけど、復活した直後に呼び掛けたのに一度も来てないってことは最初から気づいてたということでいいんだよね?気づいてなかったとしたら最初の確認ぐらいはすると思うから。本当に内戦のせいで確認する暇がなかったという線もあるけど。でもサム復活時の様子からして、ディーンのいる家に送り届ければ当然会うだろうと思ってたらなぜかサムが背中を向けて行っちゃって「あれ?なんで?」って思ってる顔に見える。なんか変だけど人間の感情はよくわからないからと思って放置したのかもしれない。
 兄弟を従えるクラウリーのシーンを改めて見ると、本当はできないことがわかってても「サムの魂を出せるのは私だけだ」と言い切ることでディーンを釣る作戦能力と演技力に感心する。クラウリーやっぱ頭いい。キャスがクラウリーに命令し、クラウリーが兄弟に命令する。しかしキャスは兄弟のドラえもん。複雑な関係だ。クラウリーがキャスにした淫売煽りがものすごく好きなんだけど、力の差がある天使相手に正面から皮肉を言える度胸と、相手の弱みを的確に突く抜け目なさと賢さが好き。
 魂が戻ったサムと初めて対面したときにキャスの方からハグしようとしたのが意外だったんだけど、兄弟のためなら何でもするという巨大感情を内に秘めてたなら納得。
 キャスは五万人の魂よりウィンチェスターを取ったのに、ライアンの時には二人に「より大きな目的の方が優先だ」とかどの口が言うすぎる。それでいて二人に置き去りにされた時の捨てられた犬っぷり。
 最後の「私は一生懸命やってるのに友人はみんな離れていく」という姿を見たら、これはBaby言われてもしゃーないわと思った。バルサザールとの長年の友情は本物っぽかったけど(バルサザールが一度逃げたように見せかけて助けに来たりとか、キャスもディーンを抑えて彼を開放したりとか)「君と共に地球の半分がぶっ飛ぶ危険がある」という警告に対して「そんなことは起こらない(根拠の無い自信)」だから、そりゃバルサザールも「こいつやべー」と思うでしょうね。今期のキャスって裏切る/裏切らないより行動の根拠が「自分には出来る(謎の自信)」なのが問題な気がする。
-Season7-
 死の騎士が、呪文で縛られた上に割と高圧的に命令されたのに、キャスを止める方法を教えてくれたあげく「月食は私が起こそう」とか言ってくれて、しかも「次やったら容赦しない」ってつまり今回はお咎め無しなのが優しすぎる!一人間に過ぎないディーンに激甘な対応。
 サムがギリギリまでキャスを助けようとする割にディーンが「もうあんなやつ知らん」という態度なのは、一度は家族だとまで認定した存在に裏切られることが何より嫌いだし、そのうえサムに危害を加えるのはディーンにとってこの世で最も赦しがたい罪だからしょうがない部分はある。
 ディーンが死の騎士にキャスを「早く殺せ!」って言った時は結構容赦無いなと思ったけど、キャスが振り向いた顔見たらたじろいでて、これ目の前に来ると情が湧いてしまって決心が鈍るやつだと思った。
 キャスはあれだけ「私に愛を誓わなければ殺す」とまでぶち上げた割に二人を頼るのが早い!流石にこれは虫が良いと言われてもしゃーない!
 壊れかけのサミーちゃんが申し訳ないけどめちゃくちゃ可愛く見えるし、お世話お兄ちゃんモードに入ったディーンも可愛すぎる。
 オシリスの回でサミーちゃんが勉強したこと活かせるかな!?と期待したんだけど、そういえばロースクールに行く前だったから専門知識は皆無だったわ。「真の裁きは罪人にとっての救いとなる」私の好きなやつ来た!過ちに対して罰を受けて償うという工程を踏むことで、罪を犯した本人も救われるというやつ。しかしディーンだけが裁きの対象になったことに対してサムちゃんが「もう気にしてないんだ」って言うからどんな鋼メンタルかと思ったら、地獄で十分報いは受けたという認識なのか。一理ある。でもあれだけのことがあって「過去より前を向きたい」とか言えるのはやっぱ鋼メンタルだと思う。
 ディーンがエイミーを殺したの、エイミーの危険性がそこまでとは思えなかったから二人を喧嘩させる脚本のための口実に見えてしまった。殺したこと自体よりも、一度話し合いで結論出したのにそれを裏切って勝手にやったのがキレられる所だと思ったんだけど、結局サミーの方が折れたことに驚いた。
 サミー洗脳結婚回でディーンが「俺の許可を求めずに?」みたいなこと言ってて、そんな娘を持つお父さんみたいな……娘ではなく息子ですらなくて弟なんだけど。ディーンが兄でありながら半分母でもある(父もと言ったら流石にジョンが可哀想だからやめる)ところが好きだからここ良かった。
 ボビーが死ぬことは先に知ってたから覚悟ができてよかった気がする。リアルタイムで死ぬのか死なないのかやきもきするのに耐えられたかわからない。ボビーは自分も父親のようになるのが怖くて実子を持たなかったけど、サムとディーンが立派に育ってくれたことでボビー自身もその呪いから救われてたってのが本当に良い。ボビーにとって最良の記憶が、兄弟がただくだらないことで喧嘩してる光景ってのもめちゃくちゃ愛の深さを感じる。
 「眠れないなら良い薬あるよ」って言われて知らないおじさんに着いて行っちゃうサミーちゃん!?知らないおじさんの車で一緒にお休みしちゃうサミーちゃん!?危ないでしょうが!
 キャスが神になってから没落するまでも爆速だったけど、エマニュエルとして登場してから記憶が戻るまでも爆速だった。ディーンとしてはサムを壊したくせに彼だけが記憶を無くして幸せになっていることに怒ればいいのか、自分と過ごした日々を全て無くされたことに悲しめばいいのか、それでも生きて会えたことに喜べばいいのか全てがぐちゃぐちゃだったと思う。笑うキャスを見る時のディーンの複雑な顔!ジェンセンの演技はやっぱり素晴らしい。さらにコートはずっと車のトランクに入れてた辺りがディーンの心情の複雑さを表してて良い。
 キャスがぶっ壊れるとは聞いてたんだけど、人の名前は間違わない辺り予想より正気だった。そして起きた時には着てなかったのに次のシーンではちゃんとコートを着てくれてるのが良かった。「わざわざ」着たってことだから。
 キャスの元部下のへスターに「お前のせいでカスティエルは失われた」ってディーンが言われるのは全くその通りすぎてへスターに同情してしまう。イナイアスはへスターに比べると今でもキャスを慕う気持ちが残っていることが、直接的な台詞が無くても態度でわかるのがいい。へスターの言う通り、そもそもキャスをここに連れてきたのはディーンで、キャスが道を見失ったのも結局はディーンに起因するからこそ、ディーンの中にあるのは怒りだけではないんだと思う。
 花畑キャスは争いの話になると逃げはするけど、そのまま遠くに行って音沙汰なくなるのではなく割とすぐに戻っては来るから、兄弟といたいという気持ちはまだ持ってくれてるんだな。サムの痛みを引き受けることでキャス自身も救われたというのは、オシリスの回で言われてた「心に重荷を抱える者にとって罰は救いとなる」ということの体現な気がする。しかしサンドイッチ作ってくれるキャスめちゃくちゃ可愛かった……皿拭いてるのも可愛かった……二回目も同じのだったからそれしか作れないんだろうけど……。
 決戦前のディーンの台詞、「悪いが九回裏でベンチにはお前しかいない、でも俺はむしろお前がいい」が大好きすぎる。特にその後の「呪われててもそうでなくても」の所が最高。ディーンがキャスといるのは役に立つからではなくて、キャスだからだというのが感じられる良い台詞。でもディーンのrather have youって何に比べてなんだろうと考えて「他の人より」かなと思ったけど「お前がいないよりはいた方が良い」の方か?キャスの台詞が「サムとディーンが英雄的に死んでいくのに自分はせいぜい自分の過ちを正すために死ぬくらいだ」って意味になるから、後のシーズンで現れる「サムディンに比べて自分は大した存在じゃない」という意識がこの頃からあるのか。キャスも戦いたくないと言ってたのにディーンが許してくれたと思えたら行く気になるし、ローマンからサッとディーンを庇うしディーン愛がすごい。
 ローマンの倒し方が意外と地味だったけど、キャスディンの共同作業なのはよかった。後のシーズンを見てから戻ってくると、天使が飛べるのが便利すぎるから以降のシーズンで飛べないようにしたのかなと思った。全体としてはキャスの出番は意外と少なかったけど出る回全部が重要だし、キャスディンを理解するなら絶対に外せないシーズンだった。

-Season8-
 ベニーの存在に関して、ディーンが家族意外に深い関わりをもてない生活からキャスという友達が出来たものの、それもサムと共通の友達だし結局家族になっちゃったので、ディーンだけの友達というのは新鮮。しかしベニーのとこに行くのに上手い言い訳を考えつけずに「野暮用だ」で押し通そうとするのはディーンっぽいけど、その様子が完全に浮気する夫で笑う。「お前(サム)と狩りするのが俺の最高の生き方」と言ってたけど一応サムを手放す気は無いんだな。狩りこそが本望というだけなら別にベニーとでもいいのではないか。
 サムの言う「普通の生活」って狩りも辞めるものだと思ってたけど、ヴァイパイアの巣の時に「離れて暮らしたいとは言ったけど狩りは……」って台詞があったしどっちなんだ。「一人でやれば?」って言ったくせにディーンが一人で巣に行ったら怒るってどういうことなんだ?一人で狩りするってそういうことではないのか?狩りだけは一緒だと仮定しても、生活サイクルが違うのに狩りの時だけ都合を合わせるなんて出来なくない?自分が何をしてるのかアメリアに説明できないのに?その後の口論の内容的にてっきりサムが出て行ったんだと思ってたから、次のシーンで普通にモーテルにいてびっくりした。

 ディーンが一年探されなかったことずっと根に持ってて草。ディーンだったら探すもんね。なんか夫がかまってくれないから浮気する妻みたいに見えてきた。S6以降の出来事はまだ記憶に新しいから良いとしても、ルビーやルシファーのことはもう許したかと思わせといて未だにネチネチ持ち出してくるのは笑う。しかもたぶん世界のためとかではなく「俺を捨てたから」が理由な気がする。正しいか間違ってるかじゃなくて俺を信じたか信じなかったかがディーンの軸だから、たぶん一緒に堕ちるんだったら大抵のことは許してくれそう。結局二人とも「俺よりも他のやつを大事にしやがって!」が喧嘩の動機で笑う。
 キャスと三人で仲良く車載ってる図が良すぎる。今までは決戦の時ぐらいしかそういうの無かったから、これを待ち望んでいた。助手席に乗りたがるキャス可愛すぎる(サムだけじゃなくディーンにも同時に却下されてるのは意外だった)。でも妙に張り切りすぎな感じして逃避臭いなとは思った。天国に帰りたくないのも自分の行いの大きさを思い知りたくなかったって。しかしサムディーンの仲裁をキャスがやってキャスディーンの仲裁をサムがやる構図最高だわ。やっぱり三人って最高。あとはサムとキャスが喧嘩するだけだ。
 ベタな展開ではあるけどキャス「天国か兄弟か選びなさい」ってナオミに言われてついに選んだな。もうS6の時から兄弟>>>天国なのはわかってたことだけど。洗脳されたキャスが何千人ものディーンを殺し続ける図を想像すると気の毒だけどゾクゾクしてしまう。サムが一人も交じってない辺りどうしてもディーンの優先度の方が高いっぽいのがまた。操られるキャスに対してディーンが「We're family」の後に「We need you」と来て「I need you」に繋げる流れがこれ以上無いほど完璧。キャスにとっては2人とも大切だけど唯一絶対の存在はディーンで、ディーンがちゃんとI needって言ってくれたからこそ、その気持ちが報われてることが心に刺さる。
 ベニーも現世に居場所が無いとは言ってたけど、弟とは切れないから自分を切ったくせに困ったら頼ってきて殺していいかというなかなか酷いディーンの頼みを受け入れるのは器がデカい!
 ディーンが怒ってるからってビールとかアジアの巨乳とかパイとかでご機嫌取ろうとするキャス良かった。なんでトイレットペーパーもあったのかは謎だけど。「パイが一番大事なんだ!」って必死なのは笑う。妻が口利いてくれなくてどうしたらいいかわからないから花とかドーナツとか買う夫?しかし今のキャスなら贖罪のためって言えば何でもやってくれそう。ディーンがずっと怒ってるのは「一人で決めんな」ってことなのに、一人でメタトロンと会ってて何も学習してなくて笑う。
 サムちゃんまだ自分が汚れてるから綺麗な存在になりたいと思ってるのか。前にやっただろそれは。
 クラウリ―はルシファーに比べたら貫禄は無いけど、やり方がえげつなくて出てくるとゾッとする存在ではある。方法が具体的だから逆に神秘性が無いのかもしれない。チンピラ悪魔から地獄の王に昇格した結果、ボビー亡き後ウィンチェスター兄弟に世界一詳しいおじさんになってるのは笑う。詳細がわからなくても二人の利になりそうなことをなんとなく避ける能力に芽生え始めてるし。しかし呪い袋を電話の中に入れるなんて頭いい!憎んでる相手の声なんか聞きたくないと思ってても、敵が何を考えてるのかの情報は一つでも逃せないからつい演説を最後まで聞いてしまうという心理を利用している!かしこ!ウィンチェスターが稼業について迷った時、救ってきた人々のことを考えることで心を支えていることも見抜いてるし!でもその後捕らえられてラリった勢いで「俺は愛されたいんだ!」って叫んじゃうとか恥ずかしすぎる。しかもそんなのをサムちゃんに聞かれたという事実だけで顔から火が出る。
 ディーンは過保護なときあるけど、ちゃんとサムにクラウリーの浄化を任せて離れる選択を出来てるし、S4S5の頃とは確実に変わってると思うけどな。ベニーの時だって「あいつを甘く見るな。サムなら必ずやる」って言ってくれてたし。試練を自分がやりたがったのはサムが心配なのが第一だけど、あとはサムも普通の生活がどうとかうるさかったのと、ディーン自身の「自分は戦いが本業だ」という意識との複合でそうなってたんだと思う。でもそこから「二人で力を合わせる」に変わるだけじゃなくさらにサムを信じて任せることが出来るようになってる。弟を心配してしまうのはもう反射みたいなものだからしょうがない。「お前が大丈夫だって言うなら大丈夫だ」に至れたのはやっぱ最終戦争以降だからこそだね。
 サムいつもはそんな素振りないのに、突然ディーンへの巨大感情出すんじゃない!懺悔したのが「兄を失望させたこと」だっただけならまだしも「僕を信じられなくなったら次は誰を信じる?天使か?ヴァンパイアか?」って完全に嫉妬じゃないか!お前はいつもそう、自分からはディーンを捨てる癖にディーンの方から捨てられそうになったら必死で縋りつく!S8の最初はディーンやキャスがどこに行ったのかもわからなくて、死んだかどうかもわからない(そこに死の概念があるかどうかもわからない)状態で他に家族も友人も誰もいなかったからこそ、新しい人間関係と落ち着いた環境を求めたというなら筋は通る。あとたぶんボビーがいないことが一番大きいんだろうな。今までは兄弟のどちらかに何かあってもとりあえずボビーの家に行けば一息はつけたし相談できたし、そこから解決策を探す道が開けてた。でもそれすらできないと本当に独りだから。でもディーンはいつだって誰がいたって最終的にはサムを選んできたから「お前が一番大切だ」の圧倒的説得力。キャスだって家族には入ってるけど、それでもサムとは代えられないと思う。血縁ってだけならアダムだってサミュエルだっていたし、地獄に行く原因となった契約の時だって、蘇らせるなら親父でも母さんでも可能だったのにそれでもサムだから彼は。「お前のためなら母さんを殺したSon of a bicthだって見逃してやる」はなかなかすごい。
 冷静に考えるとサムちゃんS8冒頭では激おこのディーンに結構平然としてて「謝ればいいのか?でも僕はもうやめる」とか言ってたのに、最終話の態度違いすぎて笑う。ベニーを優先されたのがそんなに堪えたのか。
 サム全力甘やかしモードのディーンは全ディーンで一番可愛い。試練の影響で熱出すサムを看病する時の驚くべき甲斐甲斐しさも、S8最後の「お前は何もしなくていい。俺が付いてる」とか、そんなこと言われたら抗えない。

 


 今期はサムの心情がどうにもわかりにくいので時系列順に並べてみた。

 ローマンを倒した後人生で初めて天涯孤独になる→アメリアに出会って今までずっと憧れていた「普通の生活」を送る→アメリアの夫が生きていたことが判明し、彼女の幸せを思って去ることを決める→ディーンとの再会→「放置してきたケビンに対して責任があるだろう」と言われて行方を探す→地獄の門を閉める方法があると判明する→門とケビンのことはやるつもりだけど普通の狩りには消極的で「ディーン一人でやれば?」と発言→アメリアに未練タラタラで「門とケビンのことが終わったらまた普通の生活を送りたい」と発言→ディーンが自分に隠れてヴァンパイアの巣に乗り込んだことでベニーの存在を知る→エイミーは殺したくせにベニーのことは本人の「血液パックしか飲まない」という証言のみで信じているディーンに怒る→コインに呪われたディーンに過去の過ちを並べ立てられ「この一年、ベニーはお前よりも兄弟だった」と言われる→自分はこの一年のことを洗いざらい話したのにディーンは隠していたことに激怒→ベニーに殺人疑惑が浮かび、ディーンがどうしても時間が欲しいと言うので聞き入れたが新たな犠牲者が出て、狩ることを決める→アメリアを騙るメールでディーンに騙される→結局マーティンが殺され、それでもなおベニーを被害者だと言い張るディーンに「ディーンは自分を信じろじゃなくベニーを信じろと言ってる。僕にはそんなことできない」と言い、「ベニーとの関係を切るか切らないかディーン次第だ」と迫る→ディーンと離れ、嘘メールをきっかけにアメリアとの関係が再燃しかける→「あなたが一緒になると言ってくれたら今までの生活を捨てる覚悟があるけど、そうでないならハッキリ終わりにして」とアメリアに言われる→サマンドリエル奪還のためにディーンと共闘する→キャスの様子がおかしいことが判明する→「自分たちを取り囲んでいる問題のことを考えたら行けない」と、ディーンの元に残ることを決意→第一の試練で「死ぬためではなくて二人とも生き残る道が僕には見えてるから信じてほしい」とディーンに言い、自分が試練を遂行する覚悟を決める→「俺が代わってやれれば」と言うディーンに「どうして僕を信じてくれないんだ?」と発言→メタトロンのいるホテルで「ずっと自分のことを汚れていると思ってきたけど、この試練が僕を浄化してくれている」と発言→最後の試練の前、懺悔の内容に関してまたしてもディーンに過去の過ちをあげつらわれる→ディーンを何度も失望させたことを懺悔する→「ディーンは僕が何もやり遂げられないと思ってるから天使やヴァンパイアを頼るんだろ!ディーンを失望させたのが僕の最大の罪だ」と泣く

 こう並べてみるとベニー前と後で態度が違いすぎるから、自分よりヴァンパイアの方が全幅の信頼を置かれていたことがよっぽどショックだったんだろうなあと思うけど、どう好意的に見ても「お前が先に捨てたんだろ!?」と言いたくなる。ディーンが後釜に別の男見つけたらキレるのはどの口が言うすぎる(時系列的に後釜というのは正確ではないけど)。お前もアメリアと付き合ってんだからディーンが誰と付き合おうが良いだろうが!しかしその後サムが身の振り方を選んだのはいいけど、その時に「状況上仕方なく……」みたいな言い方したせいで、ディーンも「俺と一緒にいることを選んでくれた」と思えなくて「無理矢理付き合わせてる俺が試練をこなして早くサミーを解放してやらなきゃ」と思ったのでは?たぶんサムの中ではあの時点でディーンと苦難を分け合うという覚悟を決めたのに未だにディーンが「俺だけが背負えば丸く収まる」と思っていることが不満なのではないか?でも「なんでディーンは僕を信じてくれない?」ってそりゃ前科あるからに決まってんだろ!?つい最近まで口を開けばアメリアメリアばっか言ってたやつの何をどう信じるんだよ!マジで何言ってんだコイツ!?実力云々じゃなくて、テメーが普通の生活普通の生活うるさいから五体満足で帰れるようにとディーンが頑張ろうとしてるんだろうが!それを「実力が無いと思われてる」って何が見えてるんだ!?

 教会でのサムの台詞からして、ディーンにとってサムが世界の全てだってことにS8になってもなお気付いてないのがすごい。大学の頃は親父や家業から離れられた達成感で頭がいっぱいで、ディーンは親父さえいれば大丈夫だと思ってたからそんなに傷つくなんて思ってなかったと取れたけど、そこから今までこんなに一緒にいるのに気づいてないとか鈍感すぎないか?ただ私はS5までのサムの過ちは自ら檻に入ったあのラストで既に清算されてると思うから、ディーンが未だにその頃のことをネチネチ持ち出してくるのはちょっと酷いとは思ってる。教会の前でまでそれをわざわざ言われたのが「役立たずだと思われてる」という彼の感覚に拍車をかけたという気がする。

・三期全体の話

 キャスの迷走とは「神を失った天使はどう生きればいいのか」を問う旅で、自由意志という言葉は一見聞こえはいいが、要は各々の意志がぶつかり合って傷つけあう確率も高くなるということだ。良かれと思ってやったことが大惨事を引き起こすこともあるし、恨まれることもある。S7でへスターが「これが私の選択だ」と言ってキャスを殺そうとしたのが何よりの証拠。しかし特典の「戦う天使 カスティエルの物語」を見てようやく理解したんだけど、キャスにとってはまだ「正しいこと=神が望んでいること」のままなのか。そこを勘違いしてた。自由意思も神が望んでることだと思ってるのか。そう言えばS6で他の天使たちに「神は君たちが自由に生きることを望んでいる」とか言ってた。天使の石板を持って正気を取り戻したキャスがディーンからも離れたのが疑問だったんだけど、ロバートが言う「これが自分に残された神との最後の繋がりだと思ったから」なのか。確かに言われてみればS5で抗ったのは「運命に」であって「神に」ではなかったかもしれない。神はむしろサムディンに味方するようなことをしてたんだった。そこを勘違いしてたかもしれない。

 さらに特典の「人間を守る石板の秘密」を見て初めて理解したんだけど、この話に出てくる石板とは「神が存在する証拠・人間から神へ繫がる道」としての「聖遺物」だったんだ。だから私この設定に興味湧かなかったんだ。私は神が本当に存在するかしないかなんてどうでもいいと思ってるから。でも聖遺物の理屈だと「神がいる」という前提から入るから「聖なる物」があってくれないと困るという、結果から証拠を探すという捻じれが起きてる。逆だ逆!証拠があるから結果を推測できるんだ。というかこのドラマの中では神が実在してることは既に確定してるんだから、サムディンにとって聖遺物がどうたらがそんなに重要なことだとは思えない。彼らは別に信心があるわけではないし。それらは製作がやりたいことであって、サム達がどう思うかが置き去りになってるから設定に入り込めなかったんだな。あくまで私はサムディンやキャスがもがきながらどうやって世界や自分と折り合いをつけていくのかに興味があるだけだから。天使たちについても同様で、創られた者たちが神無き世界でどう生きればいいのかを問うという部分が見たいから。

 そこから気づいたんだけど、私がS5までを良いと思ったのは、被造物たちが抱く神への想いを「父への想い」とリンクさせる手法によって、信仰を「遠い何か」ではなく我が事として捉えることができたからだったんだ。信仰と言うより「神への愛」と言う方が正確か。そう言い表してもらえたからこそ、それに伴う苦しみや喜びをリアルに感じられた。だからS6からの「魂や神が存在することはみんな当然わかってるよね?」という態度で来られると「そんな前提共有してないけど……?」と思ってしまう。だから「魂が無かったららどうなるか?」という問いにも全然興味が湧かなかった。だって魂というものが独立して存在すると思ったことがないんだから、それがあったらなかったらという問い自体が自分事ではなくて「そういう設定」の話としか捉えられない。