感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

『アサシンクリード3 リマスター』感想

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 3は駄作という評価があちこちで聞こえてきていたからやるかどうかは迷ったんだけど、やっぱりまだ見ぬ土地でのパルクール欲はどうにも抑えらんないよ……!独立前の北アメリカに高い建物はあんまりないし目を見張るような美しさとかも特にないんだけど、もはやそういう問題じゃあないんだ。街の空気を肌で感じるというか溶け込むというか”世界”に自己が繋がっている感じがいいんだよね。というかヴァルハラの後だとボストンなんかもう大都会だし。むしろこのぐらいの文明レベルの方が落ち着くまである。個人的には色が多くて派手派手の街があんまり趣味じゃなくて、若干薄汚れたり色あせた建物の方が好きなんだよ。それに木の間を縦横無尽に飛び回るのもなかなか楽しい。

 

この休み方超好き

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    システム面に関してはUIがさらにわかりづらくなったとか、クエストの導線も前より不親切だとか、日本語音声の抑揚が不自然に感じるときが多いとか、カメラが向けたいところに向けられないことが多くてイラつくとか、弟子回りが揃うのが遅すぎる上に使いづらいとかいろいろ不満はある。でも私はストーリーにさえある程度満足できればそれでいいので結果的には十分に良い体験だったと思えた。

 

・ストーリーの話

 例の如く動画視聴済みだったせいでヘイザムお父さんの正体を事前に知っちゃってたのが我ながらホントもったいないわ~~。「な、なんだってぇ~~!?テンプル騎士団だったのかぁ~~!?」ってなりたかったなあ。と言ってもチャールズが出迎えの時に思いっきり「騎士団のために~」とか発言しちゃってたからバレバレだったけどね。これ英語だと教団と騎士団をあらわす単語が同じだからミスリードになっていたということをアサクリスレで聞いた気がする。ガバガバじゃねーの。

 しかしアサシンの元に生まれたら問答無用でアサシンにならなきゃいけない方がおかしいんだし、長い歴史の中で離反する人が出てくるのは当然だよね。プレイヤー的には知らない人間を殺す分には大して心が痛まないけど、一度仲間として触れ合ったエピソードのある人達を殺す側になる展開は悲壮感があって新鮮だった。

   しかし当たり前と言えば当たり前だけど、騎士たちは身内(ヘイザム)にはものすごく友好的なんだよね。共に世界を変革する資格があると認めた同志だから。そして身内以外の有象無象の人間には死ぬほど厳しい。コナー編になって初めて会ったチャールズ・リーたちの血も涙も無さにびっくりしちゃったもの。ヘイザム視点だとチャールズは真面目で忠誠心にあふれていて面倒見がいのある後輩ポジションだったのに!確かに思い返してみると、ドアを蹴破って侵入したり身分の低そうと見た人に高圧的だったりしたなあとかいろいろ合点が行った。

 ヘイザムおじさんはその点、効率の面からかもしれないけど先住民の奴隷化にも反対してたし、交渉のためとはいえ彼女らと対等に話していたから、必要のない殺害は好まないタイプに見えた(効率的だと思えば思えばガンガンする)。だからガジージーオたちのいる村を焼くように支持したのがヘイザムじゃないとわかったときはホッとしたけど、見方によってはそこが彼の厄介なところと言えなくもない。いちいちムカつくことを言ってくるしドン引きする要素があるんだけど、時々優しさのようなものを見せてくるから完全に憎むこともできないあの感じ。ガジージーオの独白にあったように、妻子に対する彼なりの愛情があったことは確かだと思うんだよね。その事実と「親父としての素質が無さすぎる」という事実は同時に存在できるというだけで。

 しかしテンプル騎士団内にもいろんな派閥があるとはいえ、チャールズたちは自分たちの基準に沿わない人たちを野蛮と切り捨てて「我々の正しき文明の光であなた方を導いてあげましょう」とかマジで大きなお世話すぎる。独立の後押しをしたのだって「愚か者に世界を牛耳られては困る」という理由だろうし。そう考えるとテンプル騎士団の理念そのものが植民地主義とほぼ同じだなあと思った。白人たちだって「我々はもっとも賢く優れた者たちなのだから世界を手中に収める権利がある」と思っていたわけでしょう。まあ”世界の真実”に気付いてしまった賢き方々から見たら「ただ生きている」人たちが愚かで無能で無意味に見えるでしょうね。でも私からしたら「お前らが”意味”と思っていることもお前らの中の”そういう設定”であって誰のやることにも”意味”なんか無いよ~。全部嘘だよ~。」みたいなことを言いたくなってしまうよ。テンプル騎士団の選民意識には鳥肌が立ちますわ。

 主人公交代以降は動画で見るのは止めていたから見ることすべてが新鮮でよかった。コナー編は「先住民の仲間たちのため」が主な動機になるんだけど、リンゴから接触してきたジュノーさんを精霊のお導きだと認識してしまうことに「絶対間違ってるよ!利用されてるよ!」といたたまれない気持ちだった。確かにテンプル騎士を阻止しないと村どころか世界を支配されてしまうから結果的に村も守ることには繋がるんだけど、「白人の侵略から村の人たちを守りたい」という限定的な願い以上の重荷を成り行きで背負わされているように思えてならなかった。ミネルヴァとかは結構真面目に人類の助けになりたいと思ってくれているけど、ジュノーはそんないいもんじゃないんだよ!それが判明するのが今作なんだけど(しかし今更だけど「お前らが神様と思ってるやつらは全部イス人だよ♪」ってされるとなかなかに夢がないな)。コナーが必死で頑張ったのに結局村のみんなは棲家を追われてしまって、完全に利用された形で終わってしまったのが悲しい。コナーが守りたかったのはみんなの生活を含めてだったのに、ジュノーにとっては土地さえ守れればそれでいいから人々のことなんて取るに足らないことなんだよな。「必要な代償だ。諦めろ。」とか平然と言ってのけてくるし。私はイス人がどれだけ人間に親身(?)になってくれてもイマイチ気を許せないというか「お前らの都合ですよね?」と思ってしまうところがある。エツィオもそうだったけど、自分で選んでいるように見えて実は大いなる力によって選ばされているだけなんだとか言われてしまうと悲しいよ。結局駒扱いかって。 コナーはイス人の願いと愛国派の願いとアサシン教団の願いを叶えてしまえたわけだけど、全部終わってから冷静に考えてみると村焼きの首謀者はワシントンだったしチャールズたちの目的は効率的に戦争を収めることだったわけだから、今回の騒動はコナー自身のためにはほとんどなっていなかったのでは?と思えてくる。白人たちの内ゲバを手助けしてやる義理は全くなかったわけだし…。教団の一員としては多くの人々のためになれてよかったと言うべきなんだろうけど……なんだかやりきれないな。

 まあ私は歴史の大きな流れに埋め込まれた個々の人生の中にどんな気持ちや思い出があったかということを見る方が好きだから別にいいんだけどさ。アサシン教団も、もちろんテンプル騎士団も結局個人の集合体だから、そこに生きて死んでいった人たちの個人的感情を無視してはいけないと思うんだよ。イス人の思惑とか人類の存続とかぶっちゃけそこまで興味がないわ。

    今作はウィリアムとデズモンド、ヘイザムとラドンハゲードン、アキレスとコナーら父子たちにスポットが当たる話だったね(もっと言えばイギリスとアメリカも親子関係のようなものだし)。このあたりの三者三様の描き方はすごく丁寧でよかった。

 ウィリアムのことはリベレーションまででちらほら出てきた情報だけで、「すべての原因を相手の心が弱いせいと決めつけて自分が悪かった可能性を一ミリも考えようとしないクソおじさん」すぎて超嫌いだった。でも現代パートで話しかけたときのウィリアムは、最初は取りつく島もない感じだったのに3回目あたりで急に謝ってきて本当にびっくりした。自分を省みるって選択肢が芽生えたんだ……!?どういう心境の変化!? ジェイコブのときもアルタイルのときもそうなんだけど、「自分が悪かった」とちゃんと言葉と態度に出して伝えるのは本当に勇気がいるし気高いことだよ。いざやろうとするとつい照れたり斜に構えたりして「でも」とか「だって」とか言ってしまいがちだけど。

 デズモンドの方もずっと強がっていたけど言葉の端々から"普通の家族"みたいに「愛している」と表明してほしかったという気持ちが現れていたから、今回それが叶って本当に良かった……。捕まったウィリアムを助けに行く展開で、親父がいつも通り皮肉を浴びせようとしたらデズが思いのほか素直だったから黙っちゃって静かにハグするのも良かった。私はデズが死ぬことは知っていたから「これが無事に終わったら家に帰っていいかな?」のシーンには泣きそうだった。これからだったのになあ……。ウィリアム達はデズを行かせたら死ぬことになるってわかっていたのかなあ?

    次はヘイザムとラドンハゲードンのことだけど、まさか2人の共闘展開を途中で挟んでくるとはね〜!こんな風な陣営間の腹の探り合い的展開は、世界は敵と味方だけで構成されているわけではないという感じがリアルで好き。村を脅かす悪党だと思っていたテンプル騎士たちが、実際は非効率なだけの戦争を最小限の犠牲で留めるために動いていたのだと判明したり(人道的な意味では決してないんだけど)、自由や平等を謳う"愛国派"だけが清廉潔白なわけではないと理解したりして、世界に対するラドンハゲードンの解像度が急激に上がっていく過程も面白い。

    ラドンハゲードンからヘイザムへの感情も複雑すぎて一言では表せないんだけど、子からすればそりゃ息子だって認めてもらえたら嬉しいし、「もしかしたらいがみ合わずに済むんじゃないか?」って期待はもってしまうよ(これはハートフルというより呪いのニュアンス)。でも一緒に行動してるときのヘイザムはネチネチネチネチうるさくてムカついた♪船に乗せてやってるときに「その程度の操船でよく船長などと名乗れたものだな!」とか言われた時は海に落としてやりたかった♪野営地偵察のときも、捕まったのはわざとかと思ったらわりと本気のミスだったくさいのも腹立つし、その後自分1人だけ先に逃げたのもムカつく♪でもガジージーオが亡くなったことを知って「聞いてすまない」とかしょげた顔してくるのが憎めなくて一層ムカつく♪

 

いつ決別するかヒヤヒヤしながらも二人が揃ってるとちょっと嬉しいのが複雑

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 コナーの祈りも空しく、結局自らの手でヘイザムを殺すことになってしまったんだけど、その最後のやり取りがすご~~くよかった。ヘイザムの「私は泣かん。過去を振り返りもせん。」って台詞も、息子に向ける最後の言葉が「さっさと殺すべきだった。」なのも本当に彼らしくてよかった。コナーの実力と精神性を最大限に評価してくれているからこその賛辞だとわかるから。散々好き勝手して今更後悔なんてされたらそっちの方が裏切りだよ。コナーに対してまったく情がなかったわけではなくて多少なりとも愛があったんたんだと知って、それを捨ててでも手に入れたいものがあるという彼の覚悟を見せられたらもうどんな言葉も無意味だと悟ってしまう。一つの信念をもって突き進める人も好きだけど、私はこんな風に心に揺らぎを抱えながらなんとか立っているような人が好きで、認めるのはものすごく癪なんだけど結果的にヘイザムをものすご~~く好きになってしまった。

 

ヘイザムの思い出としてアサシンの篭手を見せられてもう「ウワーーーーー」よ

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    アキレスとコナーの関係は一番健全な親子関係だったんじゃないかと思う。中盤ぐらいまではずっと喧嘩ばっかりしていたんだけど、まあ出会い方が出会い方だし(コナーの非常識・傍迷惑な押しかけっぷりが)、コナーとしても”精霊のお導き”で半強制的に収まったようなところがあるし、アキレスの方も露骨に愛を態度に出すような性格ではなかったから仕方ないね。でもアキレス爺は厳しい言葉を使いながらも最初から本気でコナーを心配している様子が見え隠れするから全く嫌な感じはしなかった。それに対してコナーの方は血気盛んすぎて後先考えずに暴走してしまう危うさがあるのは確か。まあ村という限定的なコミュニティの中では正直であればあるほど美徳だし、助け合いの精神で大抵のことはうまく収められるという価値観になるのもわかる。老人から言葉で聞かされても身をもって体験しなければ若者はなかなか納得できないものだしね。でも社会が大きくなればなるほど物事の周縁にいる人たちも増えて、そういう人たちにとっては「本当のこと」と「本当っぽい嘘」のどちらも大差はなくなっていって、真実が必ずしも良い事に繋がるとは限らないどころかもっと悪いことを引き寄せてしまうことすらある。人間社会が発展すればするほど新たな苦しみも増えるってなんなんだろうね。

    コナーはストーリー上で何度も何度も「英雄気取り」とか「理想を追いかけているだけの子供」とか言われたりするんだけど、みんながみんな「世界はそんなに甘くない」を唱え続ける世界なら、じゃあいつ誰がどうやって世界をよくしてくれるんだ?という気持ちにもなるから、私はコナーの言い分を聞いてなんとなくスッとした気持ちになったんだよ。時代が下るほど世界は複雑化して、ただ邪魔者を殺せばいいだけの単純な理屈は通用しなくなっていく中でアサシン教団はどうすべきか?という葛藤がアキレスとコナーの問答に現れているのがよかった。ヘイザムとの関わりで世界に対するコナーの見方が変化して2人が譲歩し合ってからは、互いに対する態度が柔らかくなって本当に良い親子関係を築けていたと思う。アキレスの諦めていた世界にコナーが希望をくれて、ホームステッドに仲間がどんどん増えて「帰る場所」になっていくんだなあと思ったら感慨深かった。だからアキレスが死んでしまったときは本当に悲しかったけど、それ以上に「ありがとう……」という気持ちの方が大きかった。それに何よりあの手紙!あれは反則でしょ!泣きそうとかでなく本当に泣いたわ。コナーに対する愛情に溢れている超いい手紙……。アキレスがコナーを助けたのと同じくらい、コナーの存在がアキレスの救いだったとわかるくだりは涙なしでは見られないよ……。実の父親との関係がああいう感じだっただけに、血のつながらないお父さんがここまでまっすぐに愛してくれて本当によかったな。このエピソードが良すぎて胸がいっぱいになったから終わり良ければすべて良しになってしまったわ。

 

アキレスの旧衣装一生着倒したい

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 DLCの『ワシントン王の圧政』には大して期待してなかったんだけど、闇落ちしたワシントン王のあまりにテンプレ的暴君っぷりに笑っちゃったし、なぜかクソダサ彫像とピラミッドを建設し始めるところにも笑っちゃったし、コナーがドーピングで手に入れた超絶人間離れした能力も楽しかった(システムは相変わらず不親切だったけど)から結構満足できちゃったわ。タカの翼とか何アレ?どういう原理なの?イーグルアサシンとかあんなんもう無敵じゃん。めっちゃ楽しかった。

 ワシントンとコナーの関係も一筋縄ではいかないんだけど、コナーが徹頭徹尾「ワシントンが邪悪なのではなくリンゴに魅入られて血迷っているだけなんだ」というスタンスなのが良かった。ワシントンは良くも悪くも流されやすいというか状況によって残酷にも賢明にも慣れてしまう人だと思うんだけど、それって大抵の人がそうだと思うんだよ。どれほど高潔でいようと努力しても秘宝ひとつで堕落してしまうし、そんな風にふるまえてしまう自分自身に慄いてしまう感じに親しみを感じるというか……。そういう自分をリンゴが見せたビジョン?で身に染みて理解してしまったからこそテンプル騎士?の誘惑を跳ね除けることができたというラストも良かったね。

 何だかんだしっかり楽しんじゃったな~。やってよかった。