感想置き場

小説・ゲーム・稀に映画の感想置き場。ミステリーとBLとアサシンクリードが好き。

有栖川有栖『乱鴉の島』感想(ほぼ文句しか言ってない)

 おい海老原以下信者の面々!ふざけやがって!クローン人間の人権は!?クローンクローン言いますけどね、それって遺伝情報が元と同じなだけで生まれてくるのは1人の人間なわけですよ。記憶を受け継ぐわけでもないし思い通りに操れる物言わぬ人形でもない、考えて感じることのできる人格をもった人間なんだけど!?それを何だお前らは分身だの生まれ変わりだの、1人の人生を生み出すことを何だと思ってやがる。生まれてさせられてみたら勝手に見ず知らずの人の人生を投影されてる人間の気持ちを考えろよ。

 そのあまりにも身勝手で自己陶酔極まった傲慢な考えに腹が立って腹が立って、その後事件解決の余韻にまったく浸れなかった。同じ世代に生まれることでしか共有できないものがあることの寂しさとか、永遠から外れたものにしか愛は抱けないとか、命は一瞬だからいいとかの理屈はわかるけど誰かの人生を操作して利用することにあまりに無責任すぎるもんだから共感できない。何が「素晴らしい計画」だよ 。生まれさせる側の感傷なんて子供にはまったく関係ないっての。そのうえ拓海くんと鮎ちゃんを実験台としてくっつけようと画策してたとか……恐ろしい……他人はあんたらの人形じゃないわ……。その点は有栖が「DNAが同じでも生まれてきた2人は別の人格だから愛し合う保証はない」ってツッコんでくれてたからまだいいものの、その計画を「祈り」とか「愛の奇跡への興味」とか美しいもののように語ってたのはいただけなかった。私にはそんな綺麗なものじゃなくてグロテスクで薄ら寒いものにしか見えなかった。そもそも子供を親の分身と捉えたり親が叶えられなかったことを子供に押し付けようとするのが嫌いだ。他人を自分の代わりにするな。
 絶海の絶海の孤島のシチュエーションは大好きだし火アリが珍しく安全圏じゃなく容疑者枠として居心地の悪い思いをしてたことも新鮮で面白かったが、これほど登場人物に腹が立つ本はそうそうない。
 有栖川有栖の描く長編の犯人の動機は(今回は直接的な動機ではないが)、初め純粋だったものが自己陶酔の果てにぐずぐずに歪んでることが多いので「ええ〜〜〜〜……?」となることが多くて辟易してしまう。
 あとあれだけ何度もクローン説をばっさり否定されてなお引っ張られるから別のあっと驚く真相が残されてるのかと思いきや、結局クローンじゃねーか!