感想置き場

BLとアサシンクリードが好き

『Assassin's Creed IV Black Flag』感想

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 ハァ~~終わっちまったなあ!アサシンクリードってやっぱり……いいゲームだな……。流石にここまで短期間に連続でやると飽きが来る部分もあるけど、最後にスタッフロールが流れたときに胸がいっぱいになれるともう細かいこととかどうでもよくなってくる。

 特に海戦は既にローグでまあまあやってしまっていたのもあって飽きが来るのも早かったんだけど、ストーリーを終わらせるだけなら最上級外殻の設計図は要らない程度の難易度調整で本当に助かった。船乗りの歌が心地良すぎるから船旅自体はいつものびのびとした気分で出来たし。シェイがわざわざ海戦をする理由って正直無かったと思うけど、エドワードはそれが生業だから没入感もローグより大きかった。

 その一方でアサシンになったのがゲーム中でもかなり後半だったからか、アサシンとしてのミッションは尾行!尾行!尾行!の嵐であまり面白味はなかったかもしれない。まず街に長居することがないからパルクールの出番がほとんど無かったし。

 

・ストーリーの話

 エドワードはヘイザムにもコナーにも全く似ていない荒くれ者で、やっぱり人格を作るのは血筋より育ち方の面が大きいよなと思った(モーションが同じところが多いのは制作のリソース上の都合だと思う)。彼の行動原理の9割は金のためなので非常にわかりやすい。でもただ豪遊できればいいのではなく、すべては愛するキャロラインに良い暮らしをさせてやりたいからというところが憎めないポイント。女に対しては全体的に妙に優しいし。しかし一獲千金でどうにかしようと思っているところとか、2年経ったら帰るという約束をすっぽかしてもまだ妻をここに呼べるかもと淡い期待を抱いている一途なところがまあ……言いにくいけど「夢見てんな~」ってなるよね。キャロラインはそんなのいらないって言ってるのにまだ「お前のためだ」と譲らないから、そりゃあ別居にもなりますわ。彼女も愛していないわけではないのにこの……すれ違いっぷりね。

 彼、ストーリーの始めからまさかの追い剥ぎする側ですからね(殺る気になったのはさすがに向こうが殺意を向けてきてからだったから正当防衛?なんだけど)。一方でアサシンとしての教育を一切受けていないのにアドリブでアサシンのふりをやり切るという規格外の才能の持ち主。<観測所>というトンデモパワーの存在を知っても自分が利用しようとか一切考えず「金になるぞ!」まっしぐらなのでいっそ清々しい。嘘がばれてとっ捕まった後もその船を奪って自分の物にしてしまうほどのタフさ。コツコツ金をためて正規法で買うよりもこっちの方が遥かに手っ取り早いもんな!

 奪いたいときに奪って飲みたいときに飲んで好きなように面白おかしく暮らせればいいというナッソーの理想も、大国イギリスの圧倒的武力の前では泡のように消えてしまうものでしかないというのがやるせない。というかあれだけ商船を好き勝手沈めてたらそりゃあ取り締まられますわ。”理想郷”も結局人間社会からは逃れられないという……。ホーニゴールドなんかは時勢を読んだ結果イギリスに付いた方がいいと踏んで裏切り者と化してしまったわけだけど、正直それが英断なのはわかるというか、歯向かったところで絞首刑になる未来しかないならそういう奴も出てくるよなあと思って、私はあんまり憎む気持ちにもなれなかったな。サッチもヴェインもラカムもメアリーもその通りに無残に死んでいったし……。散々奪って殺しまくって置きながら自分だけ穏やかな死に方を求めるのは図々しいのもわかるし、思いっきり生きた結果がそれなら仕方ないと思えるのが理想なんだろうけど、実際の惨たらしい死に直面してなおそんな風に吹っ切れるかはまた別の話だよ。サッチは最後に戦って死ねたから本望かもしれないけど、それでも「これからは静かな航海をしたい」と心変わりを語った直後だったから、「あれで本当によかったのか?」とどうしても思ってしまうよ。でもナッソーをほとんど見捨てた形のサッチに対して、エドワードは怒るでもなくただただ残念だという態度だったことに驚いた。「好き勝手生きる」がモットーである以上、去る者に必死になって追いすがろうとは思えなかったのかな。ホーニゴールドはエドワード自身が始末したわけだけど、それはイギリスに仲間たちを売ったからだしちゃっかりテンプル騎士になってやがったせいだからね。裏切りに烈火のごとく怒るのは仲間として信頼していたことの裏返しだと思う。実際私、エドが狂ってしまったヴェインをぶちのめしただけで殺していなかったことに相当驚いたもの。海賊なんて危険な生活をしていたら拠り所になるのなんて仲間くらいだろうから、それを根こそぎ失ってしまったら何のために戦っていたのか見失うのも仕方がない。

 しかしナッソーの代表者が総督に呼びつけられたときにエドワードの名前だけ呼ばれなかったのはなんで!?やっぱ観測所観測所ばっかり言って変わったやつだと思われてたから!?それか影響力のある黒髭たちと親しくしていても本人が統治に一切興味が無かったから、立場としては大したことなかったのかな。観測所にこだわり続けたせいでアドたち船員の心も離れていたみたいな描写が多くあるし。というかアド!いくら呆れていても置いてくって何!?そんなに嫌いだった!?と思ってネットで調べたら「ロバーツの手下に襲われてやむなく」みたいなことが書いてあってなるほどそういうことなら……となったけど、それならそうと言えー!「置いて行ってゴメン」ぐらい言えー!何を爽やかに去って行ってんだ!アドには捨てられるわロバーツには売られるわ監獄にはぶち込まれるわ一番信頼していたと言っていいメアリーも失うわで、ホーニゴールドが死に際に残した言葉「このままだとお前は孤独になる」が実現してしまって、結局どんなに財宝を手に入れてもそれを分かち合う人がいなければ意味がないとエドワードは気づいたんじゃないかなあ。泥酔した彼が見た、おびただしい数の屍が浮いている海の絵面!あれだけ戦って戦って得た物がこれですか?という説得力が尋常じゃなかった。共に過ごした仲間たちがみんないなくなって打ちひしがれているアンとエドワードが寄り添うシーンはすごくよかった。アサシンたちという頼もしい仲間を得たのはよかったけど、愛した海賊たちと生きた記憶と喪失の悲しみはこの2人にしかわからないことだから。余談だけどこの時のアンは目の保養要員とか”俺の女”枠ではなくて人格のあるただの「海賊仲間」だったことが私にとってはすごく嬉しかった。こういうのが多いから私は海外ゲーが好き。

 このゲーム何といってもエピローグが最高でさあ……アンの歌……あんなんダメだよ……泣いちゃうよ……。もうここにいない仲間たちの幻影を見せながら「さらば愛しき仲間たち」て……。しかもその歌に載せてエドが娘さんのために花を摘むシーン!あのクソ雑荒くれおじさんが!娘さんと上手くやれなかったらどうしようとソワソワしている姿を見せられたらもう!滂沱の涙よ!母と自分をずっとほったらかして好き勝手やってた親父が今更父親面してくるのはジェニー的にはどうなんだと思うけどもう頑張れしか言えない。

 今作はアサシンもテンプル騎士も賢者もほぼおまけレベルの関わり方だったけど、ストーリー上しっかりと要点にはなっていて「アサクリらしくはないけどアサクリ」という不思議な塩梅だった。それもたぶん4まで続いてきたからこそ「たまにはこういうのも良いよね!」となれるんだろう。アサクリ初心者に4を薦める人は多いけど、いきなり4からだったらたぶんこうは思えないよ。まあゲーム的面白さを求めている人に1からやれと言うのも酷な話だけど。

 いや~~いいゲームだったなあ。